コックピット/MFCD/MAV

Last-modified: 2012-07-29 (日) 16:00:04

マーベリック(MAV)ページ

A-10CにおけるAGM-65D/G/H/K、TGM-65D/G/H、およびCATM-65Kマーベリックコントロールは、センサーからのマーベリック映像を専用のTVモニターではなく、MFCD上に表示する点を除きA-10Aと同様のものになっている。マーベリックは装甲車両や要塞に対する精密誘導空対地ミサイルとして使用される。マーベリックには異なる弾頭サイズやシーカータイプ(CCDまたは赤外線)を持ついくつかのバージョンがある。全てのマーベリックタイプはジャイロ安定化システムを使用し、これは使用する前に調整を行わなければならない。

 

マーベリックアライメントタイム

  • アライメント(調整)には3分を要する。マーベリックのEOパワーをONにすると調整が開始される。EOパワーをOFFにセットした後に再びEOパワーをONにする場合、常に再調整を必要とする。
     

マーベリックランチャー

  • マーベリックは二つのタイプのランチャーに搭載することができる。LAU-88は最大3発、LAU-117は一発のみ搭載する。GやKのような重量のあるマーベリックバージョンはLAU-117にのみ搭載できる。
    • LAU-88
      ステーション9または3に最大3発のマーベリックを搭載可能。ステーション9は優先ステーション。
    • LAU-117
      ステーション9または3に1発のマーベリックを搭載可能。ステーション9は優先ステーション。
       

マーベリックの選択/起動

  • マーベリックには以下の方法でアクセスできる。
    • ページ選択OSB
      ラベルにMAVと表示されたページ選択OSB(12~15)を押すことで、マーベリックページを表示することができ、これによりマーベリックをセンサーまたは武器として使用することができる(マーベリックプロファイルがまだ選択されていないと仮定して)。
       
    • HOTAS選択
      HUDがSOIの場合、HOTASを使用しHUDロータリーからマーベリックプロファイルを選択することができる。これにより選択されたマーベリックは武器として使用される。マーベリックはシーカー映像がMFCDに表示されていない場合、自動的にスタンバイモードにセットされる。
       
  • マーベリックが選択されると優先ミサイルが自動的にアクティブになる。マーベリックの優先順位は以下の様に決定される。
    • マーベリックがLAU-88に搭載されている場合、デフォルトでステーション9はステーション3より優先される。ランチャーの各レールは機体外側のレールが最初に選択され、その後にセンターレール、機体内側のレールの順に選択される。ステーション9から全てのミサイルが発射された後に、自動的にステーション3が選択される。ステーション3が選択された状態でも同様に機体外側、センター、内側の順でマーベリックが選択される。ミサイルリジェクト機能(China Hat Aft Short)を使用する場合でも同様の順番で行われる。
       
    • マーベリックがLAU-117に搭載されている場合もステーション9のマーベリックが優先される。ミサイルリジェクト機能(China Hat Aft Short)が使用されるとステーション3に切り替わる。
       
  • マーベリックが選択されるとMFCDにそのシーカー映像が表示される。ただし起動してから3分が経過するまでの間、すなわちミサイルのジャイロがスピンアップされるまでの間、映像は表示されない。この3分間、ディスプレイ中央にはALIGNと表示される。映像が表示されるためには以下の条件が満たされていなければならない。
    • マスターアームがARMにセットされていること
    • マーベリックが機体に搭載されていること
    • EOパワーがONにセットされていること(マーベリックページまたはDSMSミサイルコントロールページから)
    • 3分間の調整が完了していること
       

マーベリック発射条件

  • マーベリックが発射されるには以下の条件が満たされていなければならない。
    • LAU-88またはLAU-117が搭載されていること
    • 残弾数があること
    • マーベリックDSMSプロファイルがアクティブにされていること
    • マスターアームがARMにセットされていること
    • ALIGNモードが終了していること
    • フラップが完全に格納されていること
       
  • マーベリックはマーベリックページがSOIでなくても発射することができる。
     

マーベリックステーションの切り替わり

  • マーベリックが発射された場合、次のミサイルが優先順位に従って自動的に選択され、その映像がマーベリックページに表示される。
    • もし機体がLAU-117(単発のマーベリックを搭載する)ステーションを2基搭載している場合、リジェクト機能(China Hat Aft Short)を使用するたびに次のステーションに切り替わる。LAU-117からマーベリックが発射されると優先順位に従って次のマーベリックが選択され、そのシーカーはボアサイトに移動する。
       
    • もし機体がLAU-88(最大3発のマーベリックを搭載する)ステーションを搭載している場合、リジェクト機能(China Hat Aft Short)を使用すると、次のステーションに切り替わる前に、まずそのステーション中で次に優先されるマーベリックが選択される。LAU-88からマーベリックが発射されると優先順位に従って次のマーベリックが選択され、シーカーが前のマーベリックが照準していた地点を照準する(ラピッドファイアモード/クイックドロー)。
       
    • 二つのステーションを切り替えるには、両方が武器モードとセンサーモードの混合ではなく、共に同じモードに設定されていなければならない。
       

マーベリックモード

  • スタンバイ
    マーベリックEOパワーがONの状態で映像を表示していない場合。
     
  • アライン
    マーベリックのEOパワーを有効にすると、映像が表示されるまでに3分のスピンアップ時間を必要とする。この3分間"ALIGN"と表示される。
     
  • ボアサイト
    マーベリックが起動された後、これはシーカーとHUDレティクルが固定される初期位置になる。またこれはマーベリックシーカーが再ケージされた場合に、トラック(追跡)またはグラウンドスタビライズ(地上固定)状態から戻されるポジションでもある。
     
  • スルー
    HOTASスルー機能を使用することでマーベリックシーカーの照準をジンバルリミット(シーカーの可動限界)内で動かすことができる。照準が動かされ後にスルーボタンが離されると、シーカーはターゲッティングゲートに重なった、またはその周辺のターゲットの捕捉を試みる。もしロックできない場合、シーカーは固定されない。
     
  • スレーブ
    SPIへのスレーブ機能を使用することで、マーベリックシーカーポジションを自動的にSPIへ移動することができる。SPIにスレーブされた場合、マーベリックはグラウンドスタビライズモードの様に振る舞い、自動的にロックはされない。
     
  • グラウンドスタビライズ
    グラウンドスタビライズ機能(TMS Aft Short)を使用することで、マーベリックシーカーを地上の任意の地点に固定することができる。ただしこの状態ではターゲットをロックしないため注意する必要がある。これはスルー機能が使用されると解除される。
     
  • トラック
    スルー機能が使用された後、シーカーは自動的にコントラストの強弱を検知することでトラッキングゲート内のターゲットを捕捉し、トラック(追跡)を試みる。もし追跡に失敗した場合は自動的にブレークロックモード(拡張クロスヘア)に移行する。
     

マーベリックページディスプレイ

  • マーベリックページ上には追加の情報がシーカー映像に重なって表示される。これらの表示はデクラッター(DCLT)OSBを使用することで消去することができる。
     

シーカーステータスメッセージ

  • ディスプレイ上部から1/3の位置には、選択したマーベリックの状態を表すテキストが表示される。この緑のテキストはシーカー映像やシンボルに重なって表示され、シーカーステータスに関する情報を以下のメッセージにより提供する。
MAV_ALIGN.JPG
  • NO MAVERICK
    ステーション上にマーベリック不検出。
  • OFF
    マーベリックのEOパワーがOFF。
  • ALIGN
    マーベリックがジャイロの調整中。これはミサイル起動後3分を要する。
  • MASTER ARM SAFE
    AHCPのマスターアームスイッチがSAFE。
  • FLAPS
    フラップが展開中のためマーベリックが発射不可能。
  • GIMBAL LIMITS
    マーベリックシーカーがジンバルリミット(シーカーの可動限界)に到達。
  • POWERING OFF
    マーベリックEOパワーがOFFにされた場合。パワーオフ・プロセスには2秒要する。
  • NO TRACK LAUNCH IHBT
    マーベリックがターゲットを捕捉していない状態で発射を試みた場合、このメッセージが表示される。
     

センサーとしてのマーベリック

  • センサーとしてマーベリックを使用する場合、以下の条件を満たす必要がある。
    • AHCPのマスターアームスイッチがARMまたはTRAINであること
    • EOパワーがONにセットされていること(OSB 6)
    • マーベリックジャイロが調整済みであること
    • マーベリックプロファイルが選択されていないこと
       
  • センサーはマーベリック以外のプロファイルがアクティブにされている場合でも、他の武器設定に関わらず使用することができる。
     
  • マーベリックはDSMSのマーベリックプロファイルがアクティブにされない限り、センサーとして動作する。この状態はページ左側に沿って"SENSOR"と縦に表示されることで示される。
     

武器としてのマーベリック

  • マーベリックを武器として運用するためには以下の状態であること加え、いずれかの方法でマーベリックプロファイルが選択されなければならない。
    • AHCPのマスターアームスイッチがARMであること
    • EOパワーがONにセットされていること(OSB 6)
    • マーベリックジャイロが調整済みであること
       
  • HUDから選択
    HUDがSOIの状態で、ロータリープロファイルをマーベリックプロファイルが選択されるまで切り替える。
  • DSMSプロファイルから選択
    メインプロファイルページからマーベリックプロファイルを選択し、アクティブプロファイルにセットする(ACT PRO)。
  • マニュアル選択
    DSMSステータスページから搭載しているマーベリックに対応するOSBを押し、マニュアルプロファイルを作成する(MAN/Maverick)。
     
  • マーベリックが武器として選択されると、dynamic launch zone (DLZ)がディスプレイ左側に沿って表示される。
     

マーベリックディスプレイフィールド

MAV_D_F.JPG

1.EOパワー

  • EOパワー機能(OSB 6)により、全てのマーベリックステーションに手動でパワーを適用することができる。このOSBはONとOFFの設定を持つロータリーOSBになっている。デフォルトではOFFに設定されている。EOパワーがONにセットされた場合、EOタイマーが自動的に表示され計測を開始する。
     

2.ボアサイト調整

  • ADJ OSBによりマーベリックのボアサイトポジション調整が行える。詳細はこのページのマーベリックボアサイト調整の項を参照のこと。
     

3.EOパワータイマー

  • EOパワーがONにセットされた場合、このタイマーが自動的に表示され計測を開始する。このタイマーはEOパワーが適用されてからの経過時間を時間:分:秒で表示する。EOパワーがOFFにセットされるとディスプレイ上からタイマー表示が消えリセットされる。これはまた調整タイムもリセットされる。
     

4.Dynamic Launch Zone (DLZ)

  • マーベリックが武器としてアクティブにされている場合、DLZがページの左側にそって表示される。DLZは、マーベリックの最大/最小射程距離、許容ローンチウィンドウ、レンジキャレットおよびアタッチドデジタルレンジを示すシンボルの集まりとミサイルの飛行時間表示で構成されている。
    MAV_SYMBOL.JPG
    • アッパーティック/ローワーティック
      これらは選択したマーベリックの最大/最小有効射程距離を表している。このティックは動的ではなく固定されている。この二点間の距離はおおよそ15海里になる。
       
      NOTE 概してマーベリックの最大射程はミサイルが飛行できる物理的な距離ではなく、センサーの捕捉能力によって制限される。最大捕捉距離は通常約7海里になっている。
       
    • ステープル
      このエリアは選択したマーベリックの動的な最大/最小射程距離を表し、速度や高度により調整される。マーベリックジンバルリミットが横方向30度以上の場合、ステープルは表示されない。
       
    • レンジキャレット
      このキャレットは機体からマーベリックHUDレティクルで示された地上のポイントまでの距離を表している。キャレットはアッパー/ローワーティックの間で移動する。キャレットがステープルの範囲内にある場合には、キャレットの横にその距離が数字で表示される。
       
    • 飛行時間
      レティクルによりステープルの範囲内でエリア/ターゲットが照準されると、ここにはその場所までのマーベリックの飛行時間が秒単位で表示される。レティクルがステープルの範囲外の場合は"XXX"がこのフィールドに表示される。
       
  • センサーとしてのマーベリック
    マーベリックプロファイルが選択されていない場合、DLZの場所には"SENSOR"と縦に表示される。
     

5.アクティブマーベリックステーション

  • もしアクティブなマーベリックステーションがステーション3の場合、ここには"3"と表示される。ステーション9がアクティブな場合には"9"と表示される。
     

6.プロファイル名

  • このフィールドには選択中のマーベリックプロファイル名が表示される。
     

7.SLEW

  • SLEWデータフィールドに入力した数値に応じてマーベリックスルーレートを調整することができる。レートを入力するためにはUFCもしくはCDUキーパッドからレートを入力し、その後にOSB8を押す。
     

マーベリックディスプレイシンボル

マーベリックのシンボルはHOTAS Boatスイッチがブラックシンボルにセットされている場合、黒で表示され、ホワイトシンボルまたはオートにセットされている場合には、白で表示される。しかしもしマーベリックがターゲットを追跡している場合(トラックモードで)、マーベリックが再ケージされるかスルーモードに入るまで変更は適用されない。

MAV_D_S.JPG
  1. クロスヘア
    この水平および垂直のラインはディスプレイの縦横の幅(44×44ミル)に渡って伸び、センターにオープンギャップを持っている。このセンターギャップはトラッキングゲートを表し、ターゲットを追跡する場合に対象をこの中に捉える必要がある。このギャップのサイズはマーベリックタイプおよびミサイルのFOV設定に応じて変動する。
     
  2. ディプレッションマーカー
    クロスヘアの下側のラインに沿って3つの固定された目盛りが表示される。これらはディプレッションアングルを表し、それぞれの目盛りはクロスヘア中央からの5度、10度、15度ディプレッションを示している。
     
  3. FOVコーナーマーカー
    マーベリックがWide Field of View (WFOV)モードの場合、4つのコーナーマーカーがディスプレイに表示される。これらのコーナーマーカーはディスプレイがNarrow Field of View (NFOV)モードに変更された時のFOVを表している。FOVコーナーマーカーはNFOVモードでは表示されない。
     
  4. トラッキングゲート
    トラッキングゲートはクロスヘアの水平線と垂直線の交点に位置している。トラッキングゲートはシーカーがターゲットの捕捉/追跡を試みる照準を表し、ターゲットをロックした場合にその大きさに合わせサイズが変化する。
     
  5. ポインティングクロス
    ポインティングクロスは機体の前後軸を基準に、マーベリックシーカーが向いている相対的な方向を表している。ポインティングクロスはシーカーがターゲットを捕捉している場合に点滅する。
     

マーベリックトラッキングタイプ

  • セントロイド・トラッキング
    セントロイド・トラックモードの場合、マーベリックはトラッキングゲートに重なった十分なコントラストを持つオブジェクトをロックしようと試みる。ロックが行われるとシーカーはターゲット中央をロックし、トラッキングゲートがその形や大きさに合わせ伸縮する。
     
    セントロイド・トラック中にはAided Target Acquisition 標的捕捉支援(ATA)が使用される。これはスルー機能を使用してロックできない場所へトラッキングゲートを重ねた場合に、ATAモードにより自動的にゲート周辺がサーチされ、最も近いターゲットがロックされる。もしロック可能なターゲットを発見できなかった場合はブレークロックモードに移行し、クロスヘアが拡張表示になる。
     
    ターゲットがトラッキングゲート内にあり捕捉可能距離内の場合、TMS Forward Shortを使用することで手動でターゲットをロックすることもできる。
     
  • フォースコーラレイト・トラッキング
    フォースコーラレイトモードの場合、マーベリックシーカーは実際のオブジェクトではなく、その風景映像に応じて固定された一点を追跡する。これによりマーベリックは建造物、バンカー、船の様な大きなオブジェクトの任意の部分を照準することが可能になっている。このモードにおいて、スルー機能使用中はクロスヘアにギャップが表示されるが、スルーボタンが離されロック/追跡が実行されるとクロスヘアのギャップが閉じ、クロスヘアはトラッキングゲートの無い完全な十字表示になる。この十字の中心がミサイルの指定着弾ポイントになる。
     
    AGM/TGM-65Dを除く全てのマーベリックバージョンがフォースコーラレイトモードを利用できる。
     
    フォースコーラレイト中は常に白いシンボルが使用される。
     
    フォースコーラレイトモードを使用するには:
    1. ターゲットをロックしていない状態でBoatスイッチをセンターポジションにする。
    2. トラッキングゲートを任意のターゲットの近くに移動させる。
    3. TMS Aft Shortによりマーベリックをグラウンドスタビライズにする。
    4. トラッキングゲートをターゲット上に移動させる。その後トラッキングゲートは完全に閉じる。
    5. ウェポンリリースボタンを押してマーベリックを発射する。
       
      (フォースコーラレイトモードを終了するには、TMS Aft Shortでグラウンドスタビライズした後に、BoatスイッチForwardまたはAftを使用する?)
       

マーベリックボアサイト調整

  • デフォルトボアサイトロケーションのセット
    マーベリックシーカーはマーベリックが最初に選択された場合、またはボアサイトに戻された場合に、デフォルトのボアサイトロケーションを向くようになっている。もし希望する場合、このロケーションを以下の様に変更することができる。
    1. MAVをSENSORモードにセットする。
    2. 地上または空中ターゲットをマーベリックでロックする。
    3. Boatスイッチをセンター(AUTO)ポジションにセットする。これによりMAVページに"SEEKER BORESIGHT"と表示される。
    4. TMS Forward Shortを押す。これにより"SEEKER BORESIGHT"メッセージが反転表示になる。
    5. Boatスイッチをセンター(AUTO)ポジション以外にセットする。
       
  • ボアサイトシンボルの調整
    更にHUD上のボアサイトシンボルの位置を調整するには以下のように行う。
    1. MAVページをSOIにする。
    2. 地上または空中ターゲットをマーベリックでロックまたはグラウンドスタビライズする。
    3. MAVページのOSB6を押してADJ OFFからADJ ONに切り替える。
    4. HUDのマーベリックシンボルをDMSスイッチUP、DOWN、LEFT、RIGHTを使用してターゲットに重ねる。
    5. UFCのENTボタンを押す。

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