アップフロント・コントローラー(UFC)
A-10Cに新しく追加されたUFCは、以前のA-10Aと比較し非常に簡単にデータの入力および検索を行うことができる様になっている。UFCはボタンとロッカースイッチの組合せで構成され、コックピット内へ目を逸らすこと無くCDUやMFCDのデータ内容にアクセスすることを可能にする。多くの機能はUFCかCDUのどちらを使用するか選ぶことができる。
特殊目的ボタン
UFCには左側に10個の英数字ボタン(0-9)と、以下の6つの特殊目的ボタンが配置されている。
- 1.マーク(MK)
マーク(MK)ボタンはCDU MARKボタンのリピーターとして機能し、このボタンを押すことで機体の現在の座標がCDUに新しいマークポイントとして作成される。 - 2.クリア(CLR)
クリア(CLR)ボタンを押すとHUDやCDUのスクラッチパッドから1文字消去される(すなわちバックスペースとして機能する)。CLRボタンを0.5秒以上長押するとスクラッチパッド全体が消去される。 - 3.タイムハック(HACK)
HACKボタンを押すとHACKモードに入り、HUDの右側下部のボックスに目標へのハックタイム(指定所要時間の修正値)が表示される。HACKボタンをもう一度押すとリアルタイムモードの表示に戻る。ハックタイムはDATAロッカースイッチを使用して調節することができ、ENTキーを押すことで適用される。また、スクラッチパッドを使用して手動で入力することもでき、同じくENTキーを押すことで適用される。HACK機能の更なる詳細はHUDの項を参照のこと。 - 4.スペース(SPC)
スペース(SPC)ボタンを押すとHUDとCDUのスクラッチパッドにスペースが一つ挿入される。 - 5.高度アラート(ALT ALRT)
高度アラート(ALT ALRT)ボタンを押すと、HUDに現在のAGL高度アラート値が表示される。続けて押すとMSL高度アラート値、MSL上昇限度アラート値と順に切り替わり、4度目の押下でこの機能から抜ける。HUDに数値が表示されている間、DATAロッカースイッチを使用するかスクラッチパッドに数値を入力しENTボタンを押すことで、その数値を変更することができる。 - 6.エンター(ENT)
エンター(ENT)ボタンは現在のUFC動作モードに応じていくつかの機能を持つ。
例として:- HUDテストモードにおいて、HUDカーソルで示されたメニュー/サブメーニューの項目を選択する。
- メニューやサブメニューのアクションを実行する。
- 現在のステアポイントのターゲット高度アップデートを入力する。
- HACKモードにおいてDATAロッカースイッチにより選択した目標への所要時間を適用する。
- マーベリックHUDボアサイトモードでのボアサイト調整を適用する。
UFC動作モードボタン
正方形や長方形の特殊目的ボタンに加え、UFCは2つの丸ボタンを持ち以下のモードを提供する。
- 7.レター(LTR)モード
レターモードにすることでHUDやCDUのスクラッチパッドに文字を入力することができる。このモードはLTRボタンを押すことでいつでも有効になる。レターモード中に数字キーを押すと、そのキーに書かれた文字列の最初の文字が入力され、続けて押すことで文字列の文字を順に切り替えることができる(携帯電話の様に)。その後スイッチを押さずに一秒経過すると、スクラッチパッドのカーソルが次のスペース(空白)に移動し、同じ方法で次の文字を入力することができる。また1秒経つ前でも異なる数字キーならば次の文字を入力することができる。このレターモード中はHUDスクラッチパッドの右に"L"が表示される。LTRボタンを2回押すことでレターモードが常に有効になり文字のみを入力することができる。この常時有効モード中は下線の引かれた"L"がHUDスクラッチパッドの右に表示される。LTRをもう一度押すと数字モードに戻ることができる。 - 8.ファンクション(FUNC)モード
FUNCボタンを押すことでファンクションモードが有効になり、機能が割当てられた14個のボタンによってCDUやAAPの機能をUFCから選択することができる。各ボタンに割当てられた機能はそのボタンの下に白で印字されている。機能を選択するためには初めにFUNCボタンを押し、その後に任意の機能を選択する。ファンクションモード中はHUDスクラッチパッドの右に"F"と表示される。一旦機能が選択されるとファンクションモードは自動的に解除され、ボタンは通常の動作にもどる。しかしFUNCボタンを連続して2回押すことで、FUNCボタンがもう一度押されるまでファンクションモードを有効にし続けることができる。この常時有効モード中はHUDスクラッチパッドの右に下線の引かれた"F"が表示される。- これらの6つの機能はCDUのリピーターとして動作する。
- SYS -CDUシステム機能選択キーと同等
- NAV -CDUナビゲーション機能選択キーと同等
- WP -CDUウェイポイント機能選択キーと同等
- OSET -CDUオフセット機能選択キーと同等
- FPM -CDUフライトプラン機能選択キーと同等
- PREV -CDU PREVキーと同等
- これらの3つの機能は左AAPダイアルのリピーターとして動作する。
- FPLAN-左AAPダイアルのFLT PLAN設定と同等
- MARK -左AAPダイアルのMARK設定と同等
- MSN -左AAPダイアルのMISSION設定と同等
- これらの3つの機能は右AAPダイアルのリピーターとして動作する。
- POS -右AAPダイアルのPOSITION設定と同等
- STEER-右AAPダイアルのSTEER設定と同等
- WAYPT-右AAPダイアルのWAYPT設定と同等
- MALF -HUD障害の消去(機能しない)
- UPDT -HUDアップデート(機能しない)
- ファンクションモードでは、AAPのダイアル設定に関わらずCDUの動作、ページ選択、およびウェイポイント選択が行われる。AAPパネルで設定が変更された場合には再びAAPの設定が有効になる。
- ファンクションモードでは、ページ(PG)アップ/ダウンおよびSEL+/-ロッカースイッチが、CDU同じロッカースイッチのリピーターとして機能する。またSTEER+/-ロッカースイッチはCDUブランクロッカースイッチのリピーターとして機能し、ウェイポイントID検索エンジンと合わせて使用される。
- これらの6つの機能はCDUのリピーターとして動作する。
- 数字モード(デフォルト)
数字モードは、UFCがレター(LTR)モードやファンクション(FUNC)モードのどちらでもない場合に有効になる。またこのモードはUFC起動時のデフォルトになっている。数字モードでは任意の数字ボタンを押すことで、HUDとCDUの両方のスクラッチパッドにその数字が表示される。
ロッカースイッチ
UFCは以下の5つのロッカースイッチを持ち、情報の選択や切替に使用される。
- 9.DATA
このロッカーはUFCの右側に配置され、左側に上下の矢印と"PG"、そしてスイッチ中央に"DATA"と書かれている。このDATAロッカーは動作モードに応じて以下の異なる機能を持つ。- IFFCCテストモード時にHUDに表示されたデータを変更する。
- ハックタイムモード時に表示されたハックタイムを増減する。
- FUNCモード時にCDU PGロッカースイッチと同様に機能する。
- 上記のモードが選択されていない時にこのスイッチが押された場合、HUD上に表示されたターゲット高度が10秒間点滅するようになる。点滅中にこのロッカーを押すことで、その数値を10刻みで増減することができる。また点滅中にENTを押すと点滅が止まり、その時スクラッチパッドに有効な数値が入力されている場合、高度として設定される。この点滅中にSELロッカーが押された場合には、セットされた数値とDTSで高度が切り替わる。
- IFFCCテストモード時にHUDに表示されたデータを変更する。
- 10.SEL
このロッカーはUFCの右側に配置され、左側に"+"と"-"、そして中央に"SEL"と書かれている。このSELロッカーは動作モードに応じて以下の異なる機能を持つ。- FUNCモード時にCDU +/-ロッカースイッチと同様に機能する。
- IFFCCテストモード時にメニューを選択する。
- CCIP、CCRP、およびNAVモード時に武器プロファイルを切り替える。
- GUNSモード時にGUNレティクルを切り替える。
- AIR TO AIRモード時に空対空の脅威を切り替える。
- FUNCモード時にCDU +/-ロッカースイッチと同様に機能する。
- 11.STEER
このロッカーはUFCの左側に配置され、上下に"+"と"-"、そして右に"STEER"と縦書きされている。STEERロッカースイッチはAAP上のSTEERトグルスイッチと同様に機能する。またFUNCモードにおいて、このスイッチはCDUブランクロッカーのリピーターとして機能し、ウェイポイントID検索エンジンと合わせてウェイポイントIDを選択するために使用される。 - 12.INTEN
このロッカーはUFCの右下部分に沿って水平に設置され、上に"INTEN"と書かれている。インテンシティ(INTE)ロッカースイッチはHUDディスプレイの明るさ調整に使用される。 - 13.DEPR
このロッカーはUFCの右端に配置され、左に"DEPR"と縦書きされている。デプレッション(DEPR)ロッカースイッチによりHUD上のディプレッシブルピパーを、Zero Sight Line (ZSL)を基点に+10から-300ミルの範囲で手動で動かすことができる。このロッカーを一瞬だけ押すことでピパーを上下に1ミリラジアンずつ動かせる。 - 14.マスターコーション
MASTER CAUTIONライトボタンはUFCの右上部分に配置され、点灯時にMASTER CAUTIONと中央に2行で表示される。注意・警告灯パネルのライトが新しく点灯した場合、警告音が鳴りMASTER CAUTIONライトが点滅する。MASTER CAUTIONが押されると注意・警告灯パネルのライトが点滅を止め、警告音が止まり、MASTER CAUTIONライトが消灯する。この機能はHUDもしくはMFCD上の危険・警告・注意(WCN)を消すことは出来ない。
UFCとCDU/AAPの関係
UFCの機能の多くはAAPやCDUのものと同等の機能を持っている。以下の図はこれらの関係を解りやすくするため色分けされている。
- 黄色 右AAPダイアル
- オレンジ 左AAPダイアル
- 青 CDU機能選択キー
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