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Last-modified: 2007-06-14 (木) 22:21:38

うわーん!

セリス   「どこかから子供の泣き声が!」
マルス  「げふっ……ごふっ……お、お仕置きと称して僕を殴ってる場合じゃないですよ、リン姉さん」
リン    「どうやらそのようね。現場に急行よ、二人とも」

シビリアン「誰か、誰か!」
リン    「どうしたんですか、一体なにが」
シビリアン「ああ、助けてください。あそこに凶悪な顔の人さらいが」
マルス  「人さらい!?」
セリス  「白昼堂々の犯行……許せませんね」
リン    「全くだわ。一体どこのどいつ……」
女の子  「うわーん! うわーん!」
ヘクトル 「こらガキ、いい加減泣くの止めろって……リン? それにマルスとセリスも」
マルス  「うわぁ……」
セリス  「ヘクトル兄さん……とうとうそこまで」
リン    「たまにエリック半殺しにするだけで、値は優しい奴だと思ってたのに」
ヘクトル 「ちょ、待てよお前ら、なんか誤解してねーか!?」
マルス  「性犯罪者の弁解……いつも以上に見苦しいですよヘクトル兄さん」
リン    「ヘクトル、家族の一員として、せめてわたしの手で」
ヘクトル 「クソッ、お前ら人の話を」
セリス  「ヘクトル兄さん」
ヘクトル 「おおセリス、お前だけは分かってくれ」
セリス  「拘置所に届ける差し入れは何がいいですか」
ヘクトル 「分かってねえ!」

リン    「迷子?」
ヘクトル 「そうだよ。母親とはぐれたらしくてな。俺が探してやろうと思ったんだが顔見た途端に泣き出してよ」
マルス  「人助けも鏡見てからしましょうよ兄さん」
セリス  「さすが兄さん、偉いですね。僕は信じてましたよ」
ヘクトル 「この野郎、抜け抜けと」
リン    「まあ事情は分かったわ。ヘクトル、悪いんだけど帰ってくれない? この子のお母さんはわたしが探すから」
ヘクトル 「そりゃまあいいが……人数は多いほうがいいんじゃねーのか?」
リン    「いいから行ってちょうだい」
ヘクトル 「変な奴……」

マルス  「……で、迷いなく歩き出したリン姉さんが難なく母親を見つけ出した訳だけど」
セリス  「凄いですねリン姉さん。一体どうやって」
リン    「……ちょっと、臭いをたどってね」
マルス  「さすがリン姉さん、まさに野獣のわざぶっ!?」
リン    「一言余計なのよあんたは!」
セリス  「ところでどうしてヘクトル兄さんに帰ってもらったんですか?」
リン    「あいつの体臭がきつすぎて臭いが分かんなくなっちゃうのよ」
セリス  「……生々しいなあ」