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Last-modified: 2007-06-14 (木) 22:26:43

リーフ 「ただいまー」
リン  「お帰りリーフ。今日は」
リーフ 「さて寝るか」
リン  「ちょっと待て」
リーフ 「なにさリン姉さん」
リン  「帰って早々『寝るか』ってなによ。残業帰りのサラリーマンじゃあるまいし」
リーフ 「だって、起きてたってすることもしたいこともないんだよ。夢の世界は素晴らしいんだ。
      僕だって物語の主人公になれるんだよ。貧乏騎士団を率いて追いはぎの旅に出かけたり」
マルス 「まあ所詮夢なんだけどね」
リン  「こらマルス!」
リーフ 「とにかくもう放っておいてよ。外は怖いところだからね」
リン  「リーフ! ……はぁ。これじゃ引きこもりコース一直線だわ」
マルス 「相変わらずリーフはヘタレだね」
リン  「嫌な言い方しないの。そりゃまあ、ちょっと意気地がないなあとは思うけど。
     でも、あの年で『外が怖い』なんて言ってるようじゃ本気で心配になってくるわね……」
ヘクトル「……」
リン  「どうしたのよヘクトル、気まずそうな顔して」
ヘクトル「いや、別に何でも」
マルス 「ふふふ、僕は知っていますよヘクトル兄さん! ヘクトル兄さんは昔――」

リーフ 「行ってきまーす」
ヘクトル「お、外に遊びにいくのかリーフ。気をつけろよ」
リーフ 「え、何が?」
ヘクトル「一人で遊んでるとロプトマージに連れ去れて捕虜収容所行きになっちまうからな」
リーフ 「ええ、嘘でしょ!?」
ヘクトル「本当だよ。ほらあれ見ろ」

セーラ 「イヤーッ! 人さらいーっ! わたしがあんまり可愛いからってーっ!」
黒服  「……」

リーフ 「ほ、本当だ! 女の子が怪しい黒服に連れ去られようとしている!」
ヘクトル「外の世界は弱肉強食だからな。他にもロングアーチの雨が降ってきたり」
リーフ 「そんな馬鹿な!」
ヘクトル「あれを見てみろよ」

アイク 「ふっ、ほっ、はっ!」

リーフ 「ああ、アイク兄さんが降り注ぐアーチの雨を紙一重でかわし続けている!」
ヘクトル「だろ。他にも突然襲い掛かってくるフェンリルの嵐やら、
      すれ違い様にケツの毛まで毟り取るダンディ・ライオンって盗賊団とか」
リーフ 「怖ぇーっ! 外怖ぇーっ!」

マルス 「とまあこんな風に、幼児期のリーフの脳味噌に、
      『外の世界』というのは非常な恐怖の対象として刻み付けられた訳で」
リン  「要するにあんたの悪質な悪戯のせいかァーッ!」
ヘクトル「痛い痛い痛い! 止めろリン、鍛え抜かれたお前の足で関節技は! ギブギブギブギブ!」
マルス 「セーラさんは黒服着たエルク君と一緒にリアルおままごとの最中で、
      アイク兄さんは近所の人に頼んで対アーチの特訓中だったんだけど……ってもう聞いてないねリン姉さん」