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Last-modified: 2007-06-14 (木) 22:30:26

~夕食~
リン「はあ……」
エリンシア「あらリンちゃん、もういいの?」
マルス「珍しいね。いつもなら軽くおかわり六杯は軽いぐはぁっ!」
リン「……そんなに食べない」
エイリーク「けどリンディス。もう少し食べないといけませんよ」
リン「……うん。けどごめんなさい。アイク兄さん、残りどうぞ」
アイク「……まあ、どうしても食えないと言うなら貰おう」
マルス「駄目だよーリン姉さん。ちゃんと食べないと洗濯板のまま成長しないんだからがああっ!?」
リン「……セクハラ死すべし。それじゃ(席を立つ)」
リーフ「リン姉さん、どうしたのかな。最近ほんとに元気ないけど」
セリス「だよねぇ。マルスへの折檻も一発だけなんて」
ヘクトル「いつもなら気絶するまでボコるのにな」
ロイ(……判断基準はそこなんだ)
マルス「どうせラスさんに冷たくされたとかそんなとこでしょ? ほっときゃいいよ」
エリウッド「マルス、そういう言い方は……」
マルス「だって今の方が僕には都合がいいし。……ごちそうさま。僕、今からマリクの家で勉強会だから」
エリウッド「こら。まだ話は……って、もういないし」
エフラム「速いな。ブーツを履いていたか」
ミカヤ「室内なのに。後で叱らないと」

~家の外~
マルス「ジュリアン? 報告を」
ジュリアン「はい。リンディスさんの元気がない理由ですけど……一言でいえばいじめですね」
マルス「いじめ? リン姉さんが?」
ジュリアン「そうです。っつっても、生徒から、じゃなくて教師からいじめられてるみたいで。ラングレンっつう腐れ教師が、リンディスさんに、まあ、いわゆる猥褻行為をしようとして……」
マルス「……返り討ちに遭って、逆恨み?」
ジュリアン「そうっす。で、それ以来一人だけ不当な扱いを受けてるようで」
マルス「ふうん。……まったく。すぐに訴えればよかったのに、甘いんだから。……ありがとうジュリアン。それじゃ約束どおり、マチスが単身赴任になるように手を回しておくよ」
ジュリアン「ありがとうございます!」

マルス「マリク?」
マリク「はい。こちらが、問題のラングレンとかいうのの住所です」
マルス「ん。シーダ?」
シーダ「はい。エリンシア様親衛隊の方々に来て頂きました。そちらの空き地でお待ちしています」
マルス「分かった。行こう」

ルキノ「……話はわかりました。しかしなぜ私たちに?」
マルス「リン姉さんと無関係で、確実に動かせる人材だからさ」
ルキノ「お待ちなさい。まだ依頼を受けるとは……」
マルス「報酬は、エリンシア姉さんの七五三からセーラー服までなんでも写ってる、このアルバム」
ルキノ「…………っ!」
マーシャ「えっ、うそ!? 見せて見せて」
リアーネ「ほしい、ですっ」
ネフェニー「……私、も……欲しい、それ……」
ヘザー「いいわよ何でも承りましょうじゃないの!」
ルキノ「おおおおおちつきなさい皆! ……こほん。いいでしょう、マルス君。しばし、貴方の指揮下に入りましょう」
マルス「ありがとう(にっこり)」

マリク(相変わらず、人を操るのが上手いなあ……)

~三日後、朝食の席にて~
ミカヤ「あら? ねえリン。この三面記事の教師って、貴女の担任じゃなかった?」
リン「え? ……あ、ほんとだ」
シグルド「なになに……変態教師、女子更衣室で一泊? ……なんだ、これは」
ミカヤ「うーんと、女子更衣室で、全裸で女子の衣服にくるまって寝ているところを、警備員が発見した……だそうよ」
エイリーク「……そんな汚らわしい方が、リンディスの担任だったのですか?」
リン「う、うん。まあそうなんだけど……。私も、その、ちょっとセクハラっぽいことされたし……」
エリンシア「まあ……。可哀相に、よしよし」
リン「ちょっ……!? 抱きしめて頭を撫でないで子供みたいに!」
マルス「にしても、物好きだねその教師。リン姉さんなんて触っても筋肉ばっかで男みたへぶうっ!?」
リン「死にたいようね……(ゆらり)」
マルス「ちょ、ま、ソール・カティは勘弁し……」
リン「もんどうむよう!」
マルス「ぎゃあああああ!!!!」

ヘクトル「あれはさすがにマルスが悪いな」
セリス「思っても口にしてはいけないことって、あるもんね」
リーフ(その言い方、なんか黒いよ)

マルス「……うう、死ぬ……。早く学校行ってマリーシアに治して貰おう」
しっこく「少し……よろしいかな」
マルス「あれ、しっこくさん? 珍しいな、僕に用ですか?」
しっこく「いや、用という程ではないが、気になってな。……なぜそう偽悪的なのだ?」
マルス「…………。何のことですか?」
しっこく「隠す必要はない。私もまた、あの教師は放っておけぬと監視していたのだ」
マルス「……はあ。別に、悪人気取ってるわけじゃないですよ。今回の件は、リン姉さんの耳に入れない方が良いって思っただけで。……姉さん、潔癖だから、こういう陥れるようなやり方嫌だろうし」
しっこく「それだけか?」
マルス「それだけですよ。もしヘクトル兄さん辺りだったら、盛大に恩着せてますし」
しっこく「では、先程のやり取りはなんだったのだ? 向かいの私の家まで聞こえるほど暴れられたようだが」
マルス「え、そんなにうるさかったですか?」
しっこく「うむ。……なぜわざわざ挑発する? それに、その気になれば抵抗できないわけでもなかろう? 技と速さは一歩譲れど、力は貴殿の方が上だろうに」
マルス「女の子相手に手を挙げろって言うんですか。……まあ、女として分類できるかは疑問だけど」
しっこく「…………」
マルス「別に挑発してるわけじゃないですよ。アレが、僕とリン姉さんのスキンシップってだけですから。こう見えて、兄弟仲は良いんですから、うち」
しっこく「……フッ。そうか……」
マルス「もういいですか? 早く学校行きたいんですけど……」
しっこく「ああ、引き止めてすまなかった」

しっこく「面白い子だな」
シリウス「だろう? 彼は腹黒いと評判だが、そして敵対した者は残らず破滅しているが、……ついでに見方でも引っ掻き回されて苦労させられているが……」
しっこく「だが、味方のためならば損得抜きで動く」
シリウス「そうだ。身内を傷付けない、犠牲を出さないためならば、彼はどんな手段でも用いる」
しっこく「……あの家族は皆、正義感の塊だ。一人くらいは彼のような者がいた方が良いのだろうな」
シリウス「ああ。一人は汚れ役が必要だ。……それを、彼も分かっているのだろう」