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Last-modified: 2007-06-14 (木) 22:38:51

リン   「ふう……」
ロイ   「どうしたの、リン姉さん」
リン   「あ、ロイ……ううん、ちょっとね、肩が凝っちゃって」
ロイ   「……リン姉さん、いつもお疲れ様です」
リン   「あえて『何があったの』とは聞かないロイの気遣いに、お姉ちゃん涙が出そうだわ……」
ロイ   「そりゃ、ね。端で見てれば何となく分かるよ」
リン   「はあ……皆がロイみたいに素直だったらね……マルスは馬鹿だしリーフは落ち込みやすいし、
      セリスはいい子だけどちょっと変わってるし、アルムとセリカは……一人ずつなら問題ないのにねえ。
      その上ヘクトルとエフラム兄さんが毎度毎度問題起こしてエリウッドの胃を痛くさせるもんだからもう」
ロイ   「本当、お疲れ様」
リン   「ああ、ごめんね、愚痴っぽくなっちゃった」
ロイ   「いいんだよ。僕だって家族の一員なんだから、せめて愚痴ぐらい聞かせてほしいな。
      手伝えなくてごめんね、正直、僕じゃ兄さんたちを抑えるのは難しくて」
リン   「ああいいのよ、ロイはそんなこと考えなくても」
ロイ   「でも」
リン   「いいんだって。年少組を抑えるのはわたしの役目なんだから……ふう」
ロイ   「……リン姉さん、肩、揉んであげようか?」
リン   「え?」
ロイ   「あ、いや、その、変な意味じゃなくて」
リン   「ぷっ……わたしたち姉弟でしょ? 何照れてるのよ」
ロイ   「そ、そうだよね、あははは……」
リン   「でも、そうね……お願いしようかな」
ロイ   「うん、分かった……ええと、この辺、かな」
リン   「ああ、うん。そこそこ」
ロイ   「強さはこのぐらいでいい?」
リン   「もうちょっと強く……そうそう、上手じゃない、ロイったら。なんか慣れてる感じ」
ロイ   「あはは。実は、いつもセシリア先生に肩揉み頼まれてるんだ。それで……」
リン   「……ロイ。その先生って、どんな人?」
ロイ   「え? うーん、真面目な人、かなあ。皆は怖いって言うけど、僕はあんまり怒られたことないんだ」
リン   「若い人?」
ロイ   「うん。多分二十……五、ぐらいじゃないかなあ」
リン   「独身?」
ロイ   「確か。美人なのに何でだろうねって皆噂してるぐらいだよ」
リン   「……ロイ、今後、あんまりその先生に近づかない方がいいかも……」
ロイ   「どうして?」
リン   (……何でわたし相手だと若干照れるのに、その先生には平気で……
      そっか、先生だから女の人として意識してないのね。ふふっ、まだまだ子供ね、ロイも)
ロイ   「リン姉さん?」
リン   「あ、ごめん、なんでもない。……はあ、それにしても上手ねえ、ロイ」
マルス  「さっきから何やってんですかリン姉さん、気色悪い声出して……」
リン   (ぴくっ)
ロイ   (うわっ)
マルス  「あ、なんだ、肩揉みですか。はははは、いつも以上に年寄りじみて見えますよ姉さん」
リン   「(ブチッ)……ロイ、ありがと。マルス、ちょっとおいで。あんたの肩も揉んであげるから」
マルス  「え、いいですよ僕は。いつもマリクに揉ませて……いや、揉んでもらってるし」
ロイ   (揉ませてるんだ……っていうか、あああ、リン姉さんから危険な気配が……逃げてマルス兄さーっん!)
リン   「まあまあ、遠慮せずに」
マルス  「しょうがないなあ。ま、僕の柔肌に触りたいというリン姉さんの下心を汲んであげましょう」
リン   「(ビキビキッ)……ふふふふふ、それじゃ、たっぷり揉んであげるわ」
マルス  「うんうん……へえ、これはなかなか……あ、あの、リン姉さん?」
リン   「んー、なあにー?」
マルス  「その、力強すぎ……揉むというより潰すといった方があいだだっ! い、痛い、痛いですリン姉さん!」
リン   「お黙り! 肩のついでにあんたの人格も揉みほぐして少しは柔らかくしてやるわぁっ!」
マルス  「ぎゃあああああああっ! ちょ、そこ、そこはっ!」
リン   「そうか、ここか!? ここがええのんかぁ!?」
ロイ   (……リン姉さんの肩こりを治すには、まずマルス兄さんをどうにかしないとなあ……)