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Last-modified: 2008-07-05 (土) 12:03:14

672 名前: 助けて!名無しさん! [sage] 投稿日: 2008/05/12(月) 23:14:40 ID:djKSnsFP
 ~エレブ高校、昼休み~

セーラ  「はい、あたしの勝ち!」
リン   「ぐぅ……ぶ、ブラックジャックで10連敗とか……」
セーラ  「おほほほほ、ありえないほど弱いわねリンったら!」
リン   「せ、セーラ、あなたなんかイカサマ使ってるでしょ?」
セーラ  「知らなーい。仮にそうだとしても、見抜けない方が悪いんじゃないの?」
エルク  「いや、さすがにその理屈は横暴すぎるだろ」
セーラ  「あんたは黙ってなさいよ! さーてリン、約束、覚えてる?」
リン   「わ、わたしが10連敗したら、セーラの言うことを何でも一つ聞くこと」
セーラ  「で、わたしが1回でも負けたら授業態度を改めること、だったわけだけど」
エルク  「条件が有利すぎる時点で何かおかしいと気付くべきでしたね」
リン   「不覚……! 不覚だわ!」
セーラ  「はーい、それじゃ、罰ゲームはっぴょー」
リン   「こうなったら覚悟を決めるしかないわね。さあ、なんでも言ってみなさい!」
セーラ  「じゃ、ヘクトル様に向かって『お兄ちゃん大好き!』って言ってきて」
リン   「 前 言 撤 回 」
セーラ  「えー」
リン   「いや、マジ勘弁して、それだけは勘弁して。そ、そうだ、エリウッドにだったら」
セーラ  「だーめ。エリウッドさまだったらリンの表情で事情を把握しちゃうかもしれないし
      それに下手したら『ああ、もちろん僕も大好きだよ』とか言って爽やかに流されかねないし」
リン   「ううう……」
プリシラ 「あの……でしたらわたしが代わりにレイモンド兄様に言ってきましょうか」
セーラ  「あんたじゃ罰ゲームにならないでしょうが! っていうか意味不明なんだけどその庇い方」
リン   「し、仕方ないわね! でも、言ったあとで罰ゲームだって説明させてよ!?」
セーラ  「ええいいわよ、ご自由に。わたしはただ言われた瞬間のヘクトル様の反応が見たいだけだしー」
リン   「……行ってくるわ!」
エルク  「……成長がヘタレたのに古の火竜に特攻させられた、みたいな顔だったな」
セーラ  「さーて、早速追いかけましょうか」

 ~廊下~

リン   (人通りは……なし。運がいいわね。ま、まあ、ヘクトルさえ現れなきゃ、適当に誤魔化して逃げても)
ヘクトル 「お、リンじゃねえか。なにやってんだ」
リン   「あんたはなに、あたしになんか恨みでもあるの?」
ヘクトル 「……いきなりなに言ってんだお前?」
リン   (クッ、背中から視線を感じる。逃げるわけにはいかないわね)
ヘクトル 「どうしたんだお前、いつになく思いつめた顔だが」
リン   「いい、ヘクトル。一回から言わないからよく聞いてちょうだいね」
ヘクトル 「お、おお」
リン   「『お兄ちゃん大好き!』」

 バサササササササーッ!

リン   「へ? なに、いまの紙束が廊下に零れ落ちるような音は……」
フロリーナ「リン……! やっぱり……!」
リン   「ギャーッ! 真っ青な顔をしたフロリーナが廊下の曲がり角からこっちを見てるーっ!?」
ヘクトル 「いや、あいつが大量のプリント運ぶの手伝ってたとこだったからよ……」
リン   「やっぱりあんたわたしになんか恨みがあるんでしょ、ねえそうなんでしょ!?」
フロリーナ「い、いいの、リン。自分の気持ちに嘘はつかないで……! でも、ああ、わたし、一体どうしたら……!」
リン   「ちょ、待ってフロリーナ、逃げないでーっ!」
ヘクトル 「あのなリン、お前のことはそりゃ家族として大切に思っちゃいるが、俺はアルムのようにはだな」
リン   「あんたもこんなときだけ真面目になるなーっ!」

エルク  「で、どうするんだ?」
セーラ  「あはははは……あたし知ーらないっと」

 逃げ回るフロリーナを捕まえて誤解を解くために、リンは午後の授業を全部さぼったとかなんとか。