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Last-modified: 2008-10-07 (火) 20:42:07

35 名前: 潔白の証明 第1章 [sage] 投稿日: 2008/07/17(木) 04:22:05 ID:kDBsxxpy
1/4

第1章 深まる疑惑
注:少々メタ発言が濃いのでご注意ください

日曜日昼下がりの兄弟家、家にいるのはミカヤとエリンシアとリンの3人。そこに、ルーテがリンディスを訪ねてくる。
居間で会話をするリンとルーテ、それを居間の外から監視するミカヤとエリンシア。

―兄弟家居間
エリンシア「お姉様、どうですか」
ミカヤ   「今のところ、怪しいところは無いわね」
エリンシア「それにしても、リンちゃんが女の子しか愛せない子だったなんて・・・」
ミカヤ   「まだ決まったわけじゃないわ、でも日頃のフロリーナさんとの言動を見るに、その素質があるのは確かよ」
エリンシア「嗚呼、リンちゃん」
ミカヤ   「リンがガチだとしても、あいてはフロリーナさんだと思う。でも、女の子と2人っきりのときは用心に越したことはないわ。何か間違いがあってからじゃ遅いもの」
エリンシア「その通りですわ、お姉様」
ミカヤ   「とりあえず今は二人を観察して、リンの傾向を探るわよ。そしてやはりその気(ケ)ありと断定された時は・・・」
エリンシア「その時は、私が絶対にリンちゃんを更生させて見せますわ」
ミカヤ   「お願い、エリンシア。我が家から第2のヘザーを生むわけにはいかないのよ!!」
36 名前: 潔白の証明 第1章 [sage] 投稿日: 2008/07/17(木) 04:22:59 ID:kDBsxxpy
2/4

リン    「(なんか視線を感じるわね)ええっと、それでルーテさん、私に何の用?」
ルーテ  「実は今度の新作同人誌のための取材に協力して欲しいのです」
リン    「取材なんて、相変わらず熱心ねぇ・・・」
ルーテ  「私、優秀ですから」
リン    「(お茶をすすりながら)それで、私に何を聞きたいの?」
ルーテ  「はい、リンディスさんに、女性同士の愛し方を伺いたいのです」
リン    「ブフゥーーーーーー」
ミカヤ・エリンシア「!!」
ルーテ  「お茶を吹き出すとは、女主人公にあるまじき行為だと考えますが」
リン    「いいいい、いきなり何を言い出すのよ?」
ルーテ  「百合モノは同人誌において王道ですが、正直な話優秀な私もあまり知識がありません。私の蔵書約391万8000冊を検討しましたが、残念ながら満足する知識は得られませんでした」
リン   (大学よりも本を持ってるルーテさんって、一体何者・・・?)

注:日本の大学で最も蔵書数が多いのが東北大学の約370万冊。

ルーテ  「そこで、実際の経験がある方に伺おうという結論に達しました」
リン    「それで、どうして私のところに来るのよ!?」
ルーテ  「優秀な私の解析によれば、リンディスさんには、百合的傾向があります」
リン    「な、何を根拠に?」
ルーテ  「それについては13種41項目の解答が用意できますが」
リン    「そんなにあるんかい」
ルーテ  「その中で最も有力な根拠は、フロリーナさんとの支援会話とエンディングです」
リン    「はい、そこ、メタ発言しない」
ルーテ  「しかし、非常に有力な根拠です」
リン    「べ、別に女同士の支援会話なんて珍しくも無いわよ。それにエンディングだったらエイリーク姉さんとターナさんだって女同士よ」
ルーテ  「あなたも思いっきりメタ発言しているのですが」
リン    「ええい、この際気にしていられないわ。とにかく、女同士の支援とエンディングはあくまでも友情の範囲内、それともルーテさんはエイリーク姉さんとターナさんも百合だって言うの?」
ルーテ  「あの2人は最終的にそれぞれ結婚して子供を産みます。それに比べあなたとフロリーナさんは」
リン    「うぐっ、り、領地をヘクトルにまかせて草原で二人暮らし・・・」
ルーテ  「はい、人はそれを『愛の逃避行』と呼びます」
リン    「違う、断じて違うわ」
ルーテ  「さらに支援会話も」

リン    『ずっと我慢してたわ。でも、やっぱりだめ。もう限界よ。』

フロリーナ『うん。わかった・・・いっしょにいようね。何があっても・・・これからも、ずっと・・・』

ルーテ  「いかがですか、一文字も変えていませんが」
リン    「抜き出し方で十分誤解を招くわ」
37 名前: 潔白の証明 第1章 [sage] 投稿日: 2008/07/17(木) 04:23:31 ID:kDBsxxpy
3/4

ルーテ  「今作は全年齢向けですので、別に愛し方といっても<ダキュン>なことまでは必要ありません」
リン    「当たり前でしょ」
ルーテ  「登校中に時々手をつなぐとか、電車の座席でお互いより沿って転寝をしたとか、泣いている所を抱きしめて慰めたとか、むしろ読者の妄想を掻き立てるような微妙なラインが理想です」
リン    「う・・・」
ルーテ  「ちなみに、ターゲットは10代前半から30代前半の男性です」
リン    「・・・」
ルーテ  「いかがですか、フロリーナさんとそんな感じの体験はありませんか?」
リン    (い、言えない。今ルーテさんが言ったこと全部、割と日常的だなんて言えない。まして実は2人でお風呂に入ったことがあるとか、何回か一緒のベッドで眠ったことがあるなんて、絶対に言えないっ!!)
ルーテ  「リンディスさん?」
リン    「そ、そそそそ、そんなことしてないわよ。と、とにかく、取材には協力できないわ」
ルーテ  「そうですか、残念です」
リン    「大体、そういうことは、ヘザーさんに聞くのが一番じゃないの?」
ルーテ  「私もそう思ってお願いしたところ、『じゃあ、ルーテちゃんで実践してあげるわ』という答えが返ってきました」
リン    「全くあの人は・・・」
ルーテ  「同人活動のためならば仕方ないとも考えましたが、それでは、その・・・アスレイに申し訳ないと思いまして、断念しました」
リン    (ノロケた!!今、すっごくさりげないけど私に対してノロケたわ!!)
ルーテ  「ですので、リンディスさんが最適だと考えたのですが」
リン    「悪いけど、協力できないわ」
ルーテ  「そうですか。まぁ、何とかなるでしょう。私、優秀ですから」
リン    「ま、まぁ、がんばってね」
ルーテ  「新刊が完成したら、リンディスさんにも1冊贈呈します」
リン    「いらないわよ!!」
ルーテ  「それでは、今日はこれで失礼します」
38 名前: 潔白の証明 第1章 [sage] 投稿日: 2008/07/17(木) 04:24:02 ID:kDBsxxpy
4/4

―ルーテ帰宅後
リン    「ブツブツ、全く、なんで私が百合キャラ扱いされなきゃならないのよ・・・って、あれ?」
ミカヤ・エリンシア「・・・」 
リン    「え、えっと、どうしたの2人とも?なんか妙に怖い顔をして」
エリンシア「・・・お姉様」
ミカヤ   「ええ、わたしが許すわ、エリンシア。思う存分やっちゃって!!」
エリンシア「わかりました。さぁ、リンちゃん来るのよ」
リン    「え、な、何?一体何なの?」
エリンシア「いいから、私の部屋に来なさい!!」

―エリンシアの部屋
リン    「ちょっと姉さん、いきなりどうしたの?」
エリンシア「リンちゃん、筋肉よ」
リン    「はい?」
エリンシア「い い か ら 筋 肉 を み る の よ !!」
リン    「あ、あの・・・」
エリンシア「いいこと、女の子はね、腰の細さとかおっぱいの柔らかさとか、そんなモノに興奮してはいけないの。そういうのは自分が持っているだけで十分なのよ」
リン    「は、話が見えないんだけど・・・」
エリンシア「そうではなく、殿方の腕の太さにハァハァし、胸板の逞しさに鼻血を流す。それこそが女の子のあるべき姿なのよ」
リン    「いや、それもどうかと思うけど」
エリンシア「とにかく、今から殿方と筋肉の素晴らしさをリンちゃんに叩き込んで差し上げますわ!!そして、リンちゃんを百合の道から遠ざけなければ」
リン    「ちょ、だからそれは誤解だって」
エリンシア「問答無用です!!さぁ、スーパーマッスルレッスン・エリンシアスペシャル、まずは基本中の基本、上腕二頭筋と大胸筋からはじめます」
リン    「い、いやぁぁぁぁー」

42 名前: 潔白の証明 第2章 [sage] 投稿日: 2008/07/17(木) 17:23:27 ID:kDBsxxpy
1/3

第2章 自身への疑惑

―翌朝 リン登校中
リン   (ゆ、昨夜は散々だったわ。エリンシア姉さんに筋肉のレクチャーに付き合わされて)
?    「リン、顔色悪いけど大丈夫?」
リン   (やれ、上腕二頭筋だの、外腹斜筋だの、橈側手根屈筋だの、延々4時間以上も)
?    「リン、聞いてる?」
リン   (しまいには平滑筋まで語りだすんだから。どこの世界に内臓動かす筋肉にときめく女がいるのよ!?)
?    「ねぇ、リンったら」
リン   (それにしてもまずいわ。なんか私の百合疑惑が本格的に広まってきたみたい、なんとかしなければ・・・)
?    「リンってば!!」
リン   「え、あ、ご、ごめんなさい、フロリーナ」
フロリーナ「リンってばさっきから全然話を聞いてない」
リン   「ごめんね、ちょっと考え事をしてたから」
フロリーナ「もう・・・」
リン   (・・・ふふ、拗ねたフロリーナも可愛いわね。って、あれ?ちょ、ちょ、ちょっと、私、今、何てこと考えた?フロリーナ可愛いとか考えなかった?)
フロリーナ「それにしても、リン大丈夫?今朝はずっと顔色悪いけど」
リン   「だだだだ、大丈夫よ。き、今日もサ、サカの草原がわわ、私に活力をあたえてくれるわ」
フロリーナ「それならいいけど・・・。で、でも無理はしないでね。リンにもしものことがあったら、私・・・」
リン   (嗚呼、フロリーナ、何ていじらしいの。このまま抱き締m・・・って、だからそういう考えにいっちゃダメなのっ!)
フロリーナ「リ、リン、どうしたの、頭抱えてうずくまって?」
リン   (うう~、今まで否定してきたけど、ひょっとして私その気(ケ)ある?百合の道を歩みかけてる?)
フロリーナ「どこか痛いところはない?苦しいところは?」
リン   (ううん、そんなことは無い。父なる天と母なる大地にかけて私はノーマルのはずよ)
フロリーナ「熱があるのかなぁ?リン、ちょっとおでこいい?(リンの額に手を当てる)」
リン   「////!!」
フロリーナ「えっと、すこし熱っぽいかな」
リン   「////・・・あ、あ・・・////」
フロリーナ「わ、何かどんどん熱くなってる」
リン   「・・・だめ、だめよ・・・だめよリンディス、正気に戻るのよーーー!!(グサ、グサ)」
フロリーナ「ちょ、ちょっとリン、なにやってるのよ!!?マーニ・カティを自分の手に突き刺しちゃダメーー!!」
リン   「止めないで、フロリーナ!!嗚呼、父なる天と母なる大地よ、この痛みと引き換えに我が魂を救いたまえーーー(グサグサグサグサグサ)」
フロリーナ「やめてよ、血が出てるよ、だ、だれかリンを止めてくださーい!!」
リン   「うがぁーーーー」

ヘクトル 「・・・一体、あいつらは何をやっているんだ?」
エリウッド「わかんないけど、止めないにはいかないよね、通行人が奇特な目で見てるし。ああ、胃が・・・」 

第3章へ続く
43 名前: 潔白の証明 第3章 [sage] 投稿日: 2008/07/17(木) 17:24:20 ID:kDBsxxpy
2/3

第3章 2通の手紙

―休憩時間中、エレブ高校女子更衣室
リン   (け、今朝は散々だったわ。フロリーナは泣き出しちゃうし、ヘクトルとエリウッドには可哀相な目で見られるし、貴重なマーニ・カティの耐久は減るし、手は痛いし)
リン   (なんにしても、百合疑惑だけは晴らさないといけないわね。でもどうすればって、あれ?ロッカーの中に何かが入ってる)
リン   (これは、手紙。しかも、綺麗な封筒に『Dear Lin』の文字、ひょっとしてラブレター!?)
リン   (ど、ど、どうしよう。と、とにかく読まなきゃ始まらないわよね。ここじゃまずいし、後で読もう)

―更衣室を出た廊下
ロイ   「あ、姉さん」
リン   「あら、ロイじゃない」
ロイ   「よかった、丁度姉さんの教室に行くところだったんだよ。ところで、姉さん、大丈夫?今朝は大変みたいだったけど」
リン   「あはは・・・まぁ、何とか大丈夫よ。フロリーナは宥めたし、傷はライブと傷薬で直ったわ、まだちょっと痛むけど」
ロイ   「ま、まぁ、それならいいんだけど」
リン   「それより、私に何か用があったんじゃないの」
ロイ   「あ、じ、実はね、えっと、すごく言い難いことなんだけど」
リン   「どうしたの?」
ロイ   「僕のクラスメートがこれをどうしても姉さんに渡してくれって」
リン   (これは、手紙。しかも、綺麗な封筒に『Dear Lin』の文字、ひょっとしてラブレター!?)
ロイ   「僕は断ったんだけど、そのこがどうしてもって聞かないから・・・」
44 名前: 潔白の証明 第3章 [sage] 投稿日: 2008/07/17(木) 17:26:13 ID:kDBsxxpy
3/3

リン   「・・・ロイ」
ロイ   「迷惑なら僕今からでも断るよ。ちょっと心苦しいけど、無理に渡すわけにもいかないから」
リン   「もう、ダメじゃないのぉ、そんなこと言ったら(ニコ)」
ロイ   「ね、姉さん?」
リン   「いい、ロイ、相手の人が折角気持ちを込めて書いてくれたんだから、ちゃんと読んでお返事をしなきゃだめなのよ(ニコニコ)」
ロイ   「姉さん、満面の笑みを浮かべてすごく嬉しそうだけど、その手紙の差出人って・・・」
リン   「コラ、どんな人でも、恋する気持ちに偽りなんか無いの。ロイが差別をするなんて、お姉ちゃんは悲しいぞぉ~(ニコニコニコ)」
ロイ   「キャラと口調変わってるよ、姉さん」
リン   「とにかくこれはお姉ちゃんがしっかり読んでおきます(ニコニコニコニコ)」
ロイ   「う、うん、じゃぁ僕は行くね」
リン   「うふふ、ロイもいつまでもハーレム状態でいちゃダメよぉ~~」
ロイ   「そ、そんなことないって!!」

リン   「・・・ふ、ふふ、うふふふふふ」
リン   「や、やったわ、ラブレターよ。1日に、2通も、男の人から、ラブレターよぉぉ」
リン   「これで、私の百合疑惑は完全に晴れるわ。姉さん達もこれを見れば納得するはず」
リン   「父なる天と母なる大地は私を見捨てていなかったのね、嗚呼感謝します」

―昼休み、校舎裏
リン   「ここなら誰もいないわね、ふぅ、いざ読むとなったら緊張するわね・・・でも読まなきゃ始まらないわ。まずはロイがくれた方から」

愛しのリンディス様へ
エレブ中学に入学した日、ロイ君の隣にいるリンディス様を一目見た瞬間、私は恋に落ちました。
その日から、寝ても醒めても思い浮かぶのは貴女のお姿ばかり。
この恋を伝えたかったけど、私達は女の子同士、かなわぬ恋と諦め、遠くからリンディス様のお姿を眺めるだけにとどめておきました。
そんなある日、弟さんのマルス先輩から、貴女が女の子を愛するかただと聞き、私はもう自分の気持ちを抑えることができませんでした。
はっきりとここに自分の気持ちをつたえます、リンディス様、私は貴女が好きです。
世界中の誰よりも、貴女のことを愛しています。
貴女にとってご迷惑であれば、この手紙は破り捨ててください。
でも、もしもそうでないのならば、私に会いに来てください、そして「リンディスお姉様」と私がお呼びすることを許してください。
私はいつまでも待っております。

エレブ中学 ○年×組 リリアーヌ・プティ・スール

リン   「・・・(状況が理解できていない)」
リン   「・・・(数秒後)・・・な、なんじゃこりゃーーー?」
リン   「ちょっと待って、一体何?差出人のリリアーヌ・プティ・スールって、も、もしかしなくても女の子!?」
リン   「ってことは、これは女の子から女の子へのラブレター?超百合百合?私、ちっとも疑惑晴れてない?っていうかむしろ広まってる?」
リン   「うう~、何か本格的に頭痛がしてきたわ、もう父なる天も母なる大地も信じられなくなりそう。とりあえず、マ ル ス は 後 で シ メ る」
45 名前: 潔白の証明 第3章 [sage] 投稿日: 2008/07/17(木) 17:27:17 ID:kDBsxxpy
(行数オーバーのため、もう1レス分追加します)

リン   「気を取り直してもう1枚、更衣室にあった方を読みましょう、今度は男の人からのはず」

リンちゃんへ(はあと)
マルスから聞いたわよ、なんか本格的に女の子を愛せるようになったんだって。
ということで、早速私がイロイロ教えてあげるわ。
遠慮しないで、私、あなたみたいな子にはとびっきり優しくしたい性質だから。
明日の7時、キラメキ公園で待っているわね。
Hザーより

リン  「あは、あははははは、はは・・・そうよね、こういう流れだったらこうなるわよね。っていうかそもそも女子更衣室においてあった時点で男の人は無理よね」
リン  「うう~、何よ、何なのよ、何が悲しくて女の子から1日に2通もラブレターもらわなくちゃならないのよ?私何か悪いことした?」
リン  「大体なによ、この『Hザー』って、わざわざアルッファベットにする意味なくない?それともただの誤変換?とりあえずマ ル ス は 絶 対 に 許 さ な い わ」

リン  「あぁ、もうーーー、私はレズでも百合でもないのにーーーー!!」
?   「その通りですわ」
リン  「誰!?」

第4章へ続く

62 名前: 潔白の証明 第4章 [sage] 投稿日: 2008/07/18(金) 08:27:11 ID:D7Xmn8wM
1/4

第4章 悲しき誤解

―リンが振り向くと、そこには赤い髪の少女が立っていた。
リン    「プリシラさん」
プリシラ 「リンディスさんが女性しか愛せないなんて、真っ赤な偽りです」
リン    「え?本当にそう思ってくれるの」
プリシラ 「ええ、根も葉もない噂が飛び交っていますが、そのような状況におかれたリンディスさんについて、私は常に心を痛めておりました」
リン    「うう、プ、プリシラさ~ん(プリシラに抱きつき、相手の頬を頬擦り)」
プリシラ 「あ、あの」
リン    「これはね、『カラヤ』っていう草原部族に伝わる、親愛を示す行為なの。ありがとうプリシラさん、あなたは親友よ、私の唯一の理解者よ」
プリシラ 「は、はぁ・・・」

父なる天の声『そんなことをやっているから、百合疑惑がつきまとうのではないのか・・・』

リン   「(今何か聞こえた気がするけど気にしてられないわ)それにしても、どうして私はレズじゃないって信じてくれるの?」
プリシラ 「簡単なことですわ、リンディスさんには既に意中の男性がいますもの。私存じています」
リン   「えっ////ちょ、ちょっと何であなたが知っているのよ?」
プリシラ 「リンディスさんの日頃の態度を見ていれば、わかりますよ」
リン   「や、やだ、そんなに表に出ていたかしら?」
プリシラ 「ふふふ・・・それに、私とあなたは似たもの同士ですから、気持ちもわかるのでしょうね」
リン   「そ、そんな、全然似てないわよ。私はあなたほどお淑やかじゃないし、綺麗でもないわ」
プリシラ 「リンディスさんはとってもお綺麗ですよ。それに、似ているのはそんな表面的なことではなく、もっと内面的なことです」
リン   「内面的なこと?」
プリシラ 「女の子にとって最も大事な気持ち、殿方を恋をする気持ちです」
リン   「えーっと、ちょっと意味がわからないのだけど・・・」
プリシラ 「つまり、私もあなたも同じ方を愛しているということです」
リン   「え!?まさかあなたも・・・」
63 名前: 潔白の証明 第4章 [sage] 投稿日: 2008/07/18(金) 08:27:46 ID:D7Xmn8wM
2/4

プリシラ 「はい、私はレイモンド兄さまを、あなたはヘクトルさんをそれぞれ愛しているのですよね」
リン   「・・・は?」
プリシラ 「つまり、私達はどちらも兄を愛した妹同士ということですわ」
リン   「ちょ、ちょっと待って、な、なんで私がヘクトルを好きにならなくちゃならないのよ」
プリシラ 「違うのですか?」
リン   「当たり前でしょっ!!」
プリシラ 「も、申し訳ありません、私としたことが飛んだ誤解を」
リン   「ふぅ、わかればいいのよ」
プリシラ 「リンディスさんが愛しているのはエリウッドさんのほうですね」
リン   「違ーーーーう!!」
プリシラ 「それではエフラムさん?アイクさんですか?」
リン   「だーーー、何でそうなるのよ。いい、いまアンタが挙げた男は全部私の実の兄よ、血縁者よ、KINSHINよ!!」
プリシラ 「????」
リン   「素でわかっていない顔をするなーーーー」
プリシラ 「妹が兄を愛して何か問題があるのですか?」
リン   「ありまくりじゃー」
プリシラ 「魅力的な兄を持った妹が、兄を愛するのは至って自然な行為ですわ。私など、生まれてこの方、兄さま以外の男性など目にはいったことはありませんのに」
リン   「(頭痛がしてきたわ)そうはいっても世間の目とか・・・」
プリシラ 「そこなんです、私と兄さまがどんなに愛し合おうとも、世間の理不尽な思惑が私達を引き離すのです!!なぜですか、愛し合う私達を引き裂く理由を語ることのできる者が、この世にいるというのですか!?」
リン   (『血縁だから』5文字で説明できるわね)
プリシラ 「私達だけではありません、きっと世界のあらゆるところに、愛し合う兄妹とそれを引き裂こうとする者がこの世に存在するのでしょう」
リン   (ひ、否定したいけど、身内にモロ該当者がいるから否定できない・・・)
プリシラ 「そこで、我々兄を愛する妹達は立ち上がり団体を作りました。互いの愛の力を団結させ、血の繋がった兄妹が何の隔たりも無く愛し合う世界を作り出すのです!!」
リン   (シグルド兄さんがきいたら怒り狂いそうね・・・)
プリシラ 「その名も『AKJ同盟』。正式名称『兄(Ani)が嫌いな(Kiraina)女子(Joshi)なんていません同盟』です」
リン   「は、はぁ・・・」
プリシラ 「今日あなたにお会いしたのは他でもありません。リンディスさんにAKJに入会していただきたいのです」
リン   「ちょ、ちょっと、なんで私が?」
プリシラ 「ヘクトルさんにエリウッドさん、魅力的な兄をもったあなたはAKJ会員に相応しい方です」
リン   「そ、そんなこといっても私にKINSHINの趣味はないわよ」
プリシラ 「どうしてそのような嘘をつくのですか?妹が兄を愛するのは当然のことですのに」
リン   「勝手に決めるなーー」
プリシラ 「さぁ、入会を」
リン   「誰が入るかーーー(その場を脱走)」
プリシラ 「待ってください!!(リンを追う)」
64 名前: 潔白の証明 第4章 [sage] 投稿日: 2008/07/18(金) 08:28:19 ID:D7Xmn8wM
3/4

―エレブ校舎内 逃げるリンと追うプリシラ
プリシラ 「お願いです、我がAKJに入会してください」
リン   「いやよ、そんな微妙に『悪女(AKuJo)同盟』って読める様なところに入りたくなんてないわ!!」
プリシラ 「お金のことなら心配要りません。AKJは入会費、年会費一切が無料。『兄を愛する気持ち』こそが我々にとって最高の会費なのです」
リン   「そういう問題じゃなーい」
プリシラ 「それどころか結婚や同棲費用は全額援助をいたします。ノディオン家、コンウォル家、リグレ公爵家などがスポンサーですので絶対安心ですわ」
リン   「名家の財力をそんなことに使うなーーー」
プリシラ 「資金面だけでなく、戸籍の改ざん、既成事実のお膳立て、恋敵の抹殺などの人的支援も充実しています」
リン   「黒っ!!やっぱり悪女同盟で正しいんじゃないの?」
プリシラ 「さらには現在、兄妹の結婚を認める法案を提出するよう、紋章町議会に圧力をかけていますのよ」
リン   「話がでかくなりすぎじゃーー(全力ダッシュ)」

―リン、体育倉庫に隠れる
リン   「ハァ、ハァ・・・なんとか撒いたわ。うー、全力で走ったから汗だくね。でも暫くここに隠れていれば大丈夫なはず」
プリシラ 「ハァ、ハァ、見つけましたわ、リンディスさん」
リン   「ちょ、何でここがわかったのよ」
プリシラ 「隠れられる場所を一つ一つ探そうとしたら、偶然一番最初にここを引き当てました」
リン   「くぅ、この幸運女め・・・。支援キャラの幸運を吸い取って期待値をたたき出す、魔性の幸運女め・・・」
プリシラ 「さぁ、この入会契約書にサインをなさってください」
リン   「ちょ、ちょっと待って、その契約書、なんか魔力を感じるんですけど・・・」
プリシラ 「ノディオン家の秘宝、魔剣ミストルティンに埋められた宝石を細かく砕いて紙に混ぜたものですわ。法律だけでなく、魔法で相手を拘束できる契約書なんですの」
リン   「聖戦士の神器をそんなことに使うなーーー」
プリシラ 「兄を愛する同志として、共に戦っていきましょう」
3/4

リン   「わ、私なんかよりも会員に相応しい人がいるはずよ。例えば私の妹に1人いてね・・・」
プリシラ 「リンディスさんのご家族でしたら、既にセリカさんが正会員に、エイリークさんが準会員になっています」
リン   「ちょ・・・セリカはともかくエイリーク姉さんまでなにやってるのよーーー!?」
プリシラ 「ですから、リンディスさんも是非入会を(リンに詰め寄る)」
リン   「だから私はね・・・(後ずさる)」
プリシラ 「さぁ、契約書にサインを(さらに詰め寄る)」
リン   「ちょっと、プリシラさん、そんな近づかれると、バランスが・・・きゃー(両者、転倒)」
65 名前: 潔白の証明 第4章 [sage] 投稿日: 2008/07/18(金) 08:28:51 ID:D7Xmn8wM
4/4

―体育倉庫前を通りかかった、風紀委員長ケント
ケント  「む、体育倉庫の中が騒がしい・・・。いかんな、最近我が校の風紀の乱れが著しい。ここは風紀委員長である私が厳重に注意しなければ・・・」
ケント  「(体育倉庫の中に入り)何をしている!!もうすぐ授業が始まる・・・ぞ・・・・」

―体育倉庫に入ったケントが目にした光景、それは
 頬を赤らめ(←走ったから)
 体は汗ばみ(←走ったから)
 呼吸は荒く(←走ったから)
 着衣は乱れ(←転んだから)
 互いに密着し(←転んだから)
 一方が上、一方が下になって倒れている(←転んだから)
 美 少 女 2 人(←FEだから)

リン   「ケ、ケント先輩・・・」
ケント  「リ、リリリリリンディス君、き、きみは一体何をやっているのかね?た、体育倉庫で、プリシラ君に、お、おおおお、押し倒されて・・・」
リン   「違うんです、これは・・・」
ケント  「さ、最近、君が女性しか愛せないという噂を耳にしたが、そ、それは本当だったのか」
リン   「誤解です」
ケント  「いや、別にいいんだ。不純異性交遊はエレブ高校則23条で禁じられているが、不純『同性』交遊を禁ずる条文は、校則のどこにもない」
リン   「だからこれは事故なんです」
ケント  「それに、互いに真剣な気持ちであればそもそも『不純』とはいえない。たとえどんな関係であろうとも、真剣な気持ちを縛る力は校則にはない」
プリシラ 「その通りですわ、実の兄妹だって真実の愛があれば・・・」
リン   「アンタはちょっと黙ってて!!」
ケント  「そういうことで、グス・・・私は見なかったことにしておく。もちろん教師達にもこのことは告げない・・・うう。」
リン   「ケント先輩、待ってください」
ケント  「それでは、失礼する(半泣き)」
リン   「せんぱーーーーーーい」

―エレブ高校舎内
セイン  「おお、ケントじゃないか。どうした、暗い顔して?」
ケント  「うう、セイン。悪いが放課後付き合ってくれ・・・酒が飲みたい」
セイン  「おいおい、いいのか?優等生の風紀委員長様がそんな不良なことして?」
ケント  「かまわん!!飲まなければやってられん!!」
セイン  「なんだなんだ、さては愛しのリンディス様に振られたかぁ~?」
ケント  「う、うわ~ん(号泣)」
セイン  「ちょ、マジか、マジで振られたのか!?」
ケント  「正確には違うが、似たようなものだ」
セイン  「そ、そうか。よし、俺に任せろ。とっておきの店につれてってやる。可愛い娘がいっぱいいて、しかも教師達には絶対にバレない店があるんだ。そこで思いっきり飲もう」
ケント  「グス・・・すまない、恩に着る」
セイン  「そうと決まれば、午後の授業はサボって今から行こうぜ」
ケント  「・・・わかった、そうしよう」

―無遅刻、無早退、無欠席のケントだったが、その日彼はヤケ酒を煽るため早退し、翌日二日酔いで欠席した。

第5章へ続く12-35-2