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Last-modified: 2008-12-07 (日) 23:41:32

360 名前: ロイ・最後の切り札 [sage] 投稿日: 2008/10/26(日) 19:27:06 ID:7cfKsDwa
アイク「ただいま。」
マルス「ただいま…。」
ミカヤ「あら二人とも、お帰りなさい。」
セリス「お帰りなさい。地区対抗格闘技大会、どうだった?」
アイク「今日はいい試合ができた。連戦連勝だ。」
エフラム「そうか、兄上がうらやましいな。俺もぜひ、様々な技を持った猛者たちと手合わせしたいものだ。」
セリス「マルス兄さんは?どうだった?」
マルス「……やっぱりもういやだー!もう僕は出たくないーーっ!」
ミカヤ「また始まったわ……。やっぱりマルスにはかわいそうかしら……。」
エフラム「しかし、あの大会は多額の賞金が出るからな。」
セリス「あのお金がないと、ちょっと苦しくなるよね…。」
三人「うーん…。」
ロイ「…ふふっ、いいよね~、二人とも出られてさ…。」
エフラム「ロイ…。」
ミカヤ「あっ…!」
ロイ「どうせ僕は今後も未来永劫出してもらえないんだろうな…。しょせん動きはマルス兄さんのコンパチだし、炎の技はアイク兄さんと被るし……。ああ、僕にも個性があったらな…はははははははは。」
ミカヤ「ロイ……。」
エフラム「哀れだ……。」
マルス「個性………!?そ れ だ !」
セリス「え?どうしたの!?」
マルス「ロイくん、僕にまかせたまえ!君が大会に出られるように、主催者と交渉してこよう!」
ロイ「え、ええーーっ!?そんなこと、できるの!?」
マルス「ああ。楽しみに待っててくれよ!ヒャッホ~イ!」
ミカヤ「あっ、マルス!?」
アイク「ものすごい勢いで外へ飛び出して行ったな。」
エフラム「一体何を考えてるんだ…?」

10分後
マルス「ただいま!」
ロイ「お帰りなさい!で、どうだった!」
マルス「上手く行った。課題をクリアすれば出してやるって!」
ロイ「課題……?」
マルス「そう。見てこれ!」
アイク「む、これは…。」
セリス「スマッシュボール…だっけ?」
マルス「その通り!ロイくん、これを使って君だけのオリジナル・最後の切り札を考えよう!それが個性的でかっこよくできたら、大会に出してあげるよ!」
エフラム「そんな“ぼくのかんがえたさいきょうわざ”みたいなノリで……。」
ロイ「うわー!やるやる!イヤッハーーー!」
マルス「そうか、よかった!これで僕も心置きなく引退…イヤッハーーー!」
エフラム「………。」
ミカヤ「大丈夫かしら…。」

361 名前: ロイ・最後の切り札 [sage] 投稿日: 2008/10/26(日) 19:30:18 ID:7cfKsDwa
次の日
ロイ「う~ん…。」
リン「どうしたの、ロイ?難しい顔をして…。」
ロイ「必殺技がなかなか思いつかないんだ。」
リン「ああ、それが出来れば大会に出してもらえるのよね。」
ロイ「うん。ねえ、リン姉さん、なにかいいアイデアないかなあ。」
リン「え!?う~ん…ごめんなさい、思いつかないわ。」
ロイ「そっか…はぁ…やっぱり僕は無個性でどうしようもないのかなあ……。」
リン「(困ったわね………そうだわ!)ねえ、ロイ。みんなにあなたの切り札を考えてもらうのはどう?」
ロイ「えっ、みんなに?」
リン「うん。そのほうがいいアイデアが出ると思うの。」
ロイ「そうだね。それがいいかも!じゃあ、早速みんなにお願いしてくるよ!」
リン「あっロイ!?…行っちゃった。よっぽど大会に出場したいのね……。」

マルス「さーあ始まりました!“ロイくんの最後の切り札をみんなで考えようの会”!司会は私、マルスでーす!」
エイリーク「マルス…とてもうれしそうですね。そんなにロイのことを思って……。」
ヘクトル「いや、あれは明らかに自分のためだろ……。」
マルス「さあ、今日はロイくんのために何人かの同志が技を考えてくれました!
    その中からもっともロイくんにふさわしいと思うものをみんなで決めていきましょう!」
ロイ「へへ…緊張するなあ。」
マルス「それでは…早速始めたいと思います!エントリーナンバー1番!リーフプレゼン、“エクスプロージョン・プライム”!どうぞ!」
リーフ「やっぱり、ロイの技と言えばエクスプロージョンだよね。ということで、この技はそれを強化しただけのシンプルだけどかっこいい技だよ。
    よし、ボールを飛ばすよ、ロイ!」
ロイ「いいよ!えい!」
バリーン!
シグルド「おお、ロイが光り輝いている!」
セリカ「すごい……キレイね。」
ロイ「うわああ!力がみなぎる!すごい!」
リーフ「ロイ!はやくはやく!」
ロイ「あ、ごめん。よし、行くぞ!」
ロイは封印の剣を振り上げ、地面を思いっきり貫いた。すると剣を中心に爆炎が沸きあがり、一瞬で辺りを黒焦げにしてしまった。
アルム「うおおおお!すごい!」
エリウッド「すごいぞロイ!サンドバッグくんも丸こげだ!」
リン「あ、サンドバックくんあったんだ。」
ロイ「す、すごい…。ほんとに出来るとは思わなかった…。」
マルス「ああーっと!これはすごい!いきなり大技が出ました!これは高ポイントが期待されます!果たして、判定は!?」

362 名前: ロイ・最後の切り札 [sage] 投稿日: 2008/10/26(日) 19:32:07 ID:7cfKsDwa
エリンシア、エイリーク、エリウッド「○」
マルス「おっと、合格を表す○カードを挙げたのはたったの3人だー!これは予想外、ヨソウガイです!」
エリンシア「たくましくてステキな技だと思うわ!」
エイリーク「ロイらしくていい技だと思います。」
シグルド「いいかいロイ?炎で全てを焼き尽くすなんて、外道がすることなんだよ。」
セリカ「大地を傷つける技は、ちょっとね……。」
エリウッド「かっこいい技だとおもうんだけどなあ。」
ヘクトル「ていうか、これこそアイク兄貴の噴火と被るんだよな…。」
リン「ヘクトル!余計なこと言わないの!」
セリス「お花さんがかわいそうだよ~。」
アルム「……リーフのネーミングセンスもね…。」
リーフ「え、なんで!?かっこいいじゃん!」
マルス「うーむ、これは手厳しい意見の数々。審査員たちの目は予想以上に厳しいもののようです!
    では、続いて、エントリーナンバー2番!エフラムプレゼン、“封印の紋章”!どうぞ!」
エフラム「要は、ロイにしかできない技を使えばいい。この技は、封印の剣の力を最大限に使っているものだ。よし、行くぞ!」
ロイ「オッケー!」
バリーン!
エリンシア「なんか…ロイちゃん、どんどんハイテンションになってるような…。」
ロイ「えい!」
ロイがサンドバッグくんに向かって封印の剣を向けると、サンドバッグくんを突如結晶が覆い始めた。
ロイはそのまま、封印されたサンドバッグくんを封印の剣で貫いた。粉々になった結晶のかけらがダイヤモンド・ダストのように飛び散っていく。
エイリーク「すごい…封印の剣の持つ、相手を結晶化して封印する能力を使ったのですね。」
セリス「うわー!すごくきれいな技だね!」
マルス「おおー!これは美しい技が決まりました!さあ、判定は!?」
シグルド、エリンシア、エリウッド、エイリーク、リン、セリス「○」
マルス「出ました!9人中5人が合格!トップに躍り出ましたー!」
シグルド「これこそロイのアイデンティティだ!」
セリス「とってもきれいだったね!」
ヘクトル「もっと男らしい技がいいと思うんだけどな。」
エリウッド「封印の剣はロイにしか扱えないからね。ああ、僕にも扱えたら…orz」
エイリーク「兄上…泣かないでください。」
アルム「うーん、ちょっとまぶしすぎるかな……。」
セリカ「観客席から見るときはね……。」
エリンシア「まあ、そこがいいところなのに…。」
リン「エフラム、よく考え付いたわね!」
エフラム「おお、なかなか高評価だったな。」

363 名前: ロイ・最後の切り札 [sage] 投稿日: 2008/10/26(日) 19:33:52 ID:7cfKsDwa
ロイ「…?ちょっと待って、兄さん。」
マルス「おや、なんだかロイくんの様子がおかしいようですね。」
ロイ「封印の剣が……欠けてる!」
エフラム「なっ……!?」
ピッ
ニア 封印の剣 17/20
ロイ「うわあああ!やっぱり耐久減ってる!」
エフラム「何だって!?」
マルス「これは緊急事態です!なぜか封印の剣の耐久が減ってしまったようです!」
エリウッド「もしかして……封印の剣の真の力を使ったために、剣に負担がかかったのかも…。」
エフラム「そうか…仕方がない。さすがに剣の耐久が減ってはな…この技は……。」
ロイ「“封印”…だね。」
マルス「なんと!せっかくの高評価の技でしたが、致命的な欠点が発覚!この技はお蔵入りということになってしまいました!
    ハプニングが続出のこのプレゼン、一体どの技が選ばれるのかっ!?」
シグルド「そういえば、リーフとエフラム以外には誰が考えたんだ?」
エイリーク「たしか、ミカヤ姉上とアイク兄上だったはずです。」
マルス「さあ、盛り上がってきたところで次に行きましょう!エントリーナンバー3番!アイクプレゼン、“火炎竜巻”!どうぞ!」
リン「……またすごいネーミングね。」
アイク「ロイから、自分の必殺技は俺の大天空と違った方向を目指したいと聞いた。
    だから大天空の縦回転に対して、この技は横に回転する技にしてみた。」
リン「………。」
アルム「方向ってそっち!?」
シグルド「いやーうまいな!方向性とベクトル的な方向をかけたのか!ハッハッハ!」
セリカ「兄さん…喜ばないでよ。」
アイク「よし、投げるぞロイ。」
ロイ「イエーヤァ!」
バリーン!
ヘクトル「ますますはっちゃけ出したぞロイ……。」
ロイ「よっしゃああ!」
ロイが叫ぶと、封印の剣が炎に包まれた。そして剣を水平に持ち、その場で回転し始めた。
やがて炎は渦になっていき、ロイを中心にして巨大な炎の竜巻が起こった。
エリウッド「うわあ!これはまた派手な技だね。」
マルス「さすが現役ファイターが考えた技、迫力満点です!さあ、判定は……。」
リン「ちょっと待ってマルス。何か様子が…。」
マルス「へ?」
ロイ「……景色が…ぐるぐる……。」
技を終えたロイは、ふらふらしながらその場で倒れた。
エリンシア「きゃーっ!ロイちゃん!」
マルス「なんと!自らの技で目を回してしまいました!これは想定の範囲外です!」
エイリーク「ロイ、大丈夫ですか!?」
ロイ「アイク兄さん…ごめん、僕、この技を使ったら…目が…回る…。」
アイク「ロイ…すまん。俺はお前のことをきちんと考えていなかったようだ。
    俺は天空で回転には慣れていたからな…。マルス、すまんがこの技はなかったことにしてくれないか。」
マルス「う、うん。いいけど……。」

364 名前: ロイ・最後の切り札 [sage] 投稿日: 2008/10/26(日) 19:36:27 ID:7cfKsDwa
それから10分後
マルス「さあ、ロイくんも元気になったようなので、いよいよ最後のプレゼンに参りたいと思います!
    ここまでのトップはリーフの“エクスプロージョン・プライム”。このままリーフの技が採用されるのか!?
    それとも次の技が逆転勝利を収めるのか!?それでは、エントリーナンバー4番!ミカヤプレゼン“誓いの剣”!どうぞ!」
ミカヤ「この技は、私が一番ロイのいいところだと思うことを活かしているわ。さあ、頑張って、ロイ!」
ロイ「行っくぞー!」
バリーン!
リン「これで最後ね……。」
ロイ「みんな!この剣の元に!」
ロイが封印の剣を天高く掲げると、剣が光り始め、リリーナやウォルト、マーカス、嫁候補たちなどロイと縁の深いものたちが召喚された。
リリーナ「ロイ!応援に来たわ!」
マーカス「よし、全員で総攻撃じゃ!」
そしてロイと共にいっせいにサンドバッグくんへと攻撃を仕掛けた。
あまりの威力にサンドバッグくんは吹き飛ばされて、星になってしまった。
シグルド「な………。」
エイリーク「す、すごい威力です……。」
マルス「こ、これはすさまじい技が出ました!ロイくんの支援相手全員を呼び出す攻撃!ビジュアル的にも威力も文句なし!
    これはかなりの高評価が期待されます!さあ、判定をどうぞ!」
全員「○」
マルス「なんと!満場一致の合格が出ました!すばらしい!見事に逆転勝利を収めましたー!」
エリウッド「素晴らしい技だね。ロイの交友関係の広さを十分に活かしていると思うよ。」
アルム「なんか女の子たちが火花を散らしていたように見えたけど…気のせいだよね。」
シグルド「友情アタック…なんて美しい技なんだ!」
リン「これはなかなか真似できない技よね!」
エイリーク「ロイの長所がよくわかるいい技だと思います。」
ヘクトル「威力も十分だしな。」
セリス「お友達と攻撃すれば、ロイも心強いよね!」
エリンシア「後でみなさんにお礼を言いに行かなければいけませんわ!」
セリカ「これだけの人に信頼されているのもすごいわよね。」

365 名前: ロイ・最後の切り札 [sage] 投稿日: 2008/10/26(日) 19:37:27 ID:7cfKsDwa
マルス「なんという絶賛の嵐!というわけで、主催者に提出する技は、ミカヤプレゼン“誓いの剣”に決定いたしました!
    よし、ロイ!今すぐ見せに行こう!」
ロイ「え…僕、技を出しまくって疲れてるんだけど……。」
マルス「いいから、行くよ!というわけでみなさん、本日はありがとうございました!
    これから主催者のもとに行ってまいりますので結果をお楽しみに!それでは解散!」
ロイ「ええ~!?もうちょっと休ませて……。」
マルス「えい!」
バリーン!
ロイ「兄さん!?スマッシュボール壊して何を…!?」
マルス「ロイ、僕に掴まって!」
ロイ「?う、うん。」
マルス「はっ!」
マルスは必殺の一撃を繰り出し、ロイと共にあっという間に去っていった。
ロイ「うわあぁぁぁぁ……。」
エイリーク「マルス…あんなに急いで…弟想いのいい子ですね。」
ヘクトル「エイリーク、少しは人を疑うことを覚えような。」
エイリーク「?」

それから1時間後
セリス「みんなー!二人が帰ってきたよー!」
ミカヤ「本当!?」
マルス・ロイ「ただいま……。」
エリウッド(うっ…この沈んだ顔はどう見ても……。)
セリス「どうだったの!?」
ロイ「ダメだった…。」
シグルド「ええ!?」
エイリーク「そんな…どうしてでしょう!?」
セリカ「いい技だったのに!」
マルス「………“あんなにいっぱいキャラが出てくると処理落ちするから”だって…。」
リン「へ?」
マルス「クソーッ!盲点だった!やっぱり僕が直々に考えるべきだった!せっかくのチャンスがあああああ!」
エリンシア「マルスちゃん!?しっかりして!」
セリス「ミカヤ姉さん、処理落ちってなに?」
ミカヤ「あんまりそういう発言はしないほうがいいんだけどね……。」
ロイ「………。」
アルム「ロイ、落ち込んでるのかい?」

366 名前: ロイ・最後の切り札 [sage] 投稿日: 2008/10/26(日) 19:39:17 ID:7cfKsDwa
ロイ「…もういいんだ。」
アルム「え?」
ロイ「みんな、ありがとう。結局選手には選ばれなかったけど、
   僕、あんなすごい技をいっぱい使えてすごく楽しかったよ。それだけで十分だよ。」
ミカヤ「ロイ……。」
ロイ「それに、僕は無個性なんかじゃなかったってわかったしね。」
シグルド「ロイ……うおおおお!お前はなんていい子なんだあ!」
エリンシア「ロイちゃん!」
ロイ「わっ!」
ヘクトル「あー、親バカ二人が抱きしめちゃってるよ。」
ミカヤ「うふふっ。ロイ、あなたも成長したのね……。」
リン「ロイも納得したみたいだし、これで一件落着ね!良かったわ!」

マルス「…あれー?みんな僕のこと忘れてない?僕はまたあの地獄の大会に出なきゃいけないんだけど…。
    ああ、この苦しみはいつまで続くんだろうなあ…………。なんか叫びたくなってきた……。
    リーフ、セリフ借りるよ…………この人でなしー!」

おわり