14-515

Last-modified: 2008-12-18 (木) 19:27:47

515 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/11/04(火) 18:49:56 ID:si4VnakT

アイク・ザ・レインボー前編 ~邂逅そして開放~

ロイ「おはよーみんな……ってええ!?」
マルス「おはようロイ。どうしたんだい?起きてそうそう大声あげて。」
ロイ「なんか、リビングがやたらと広くなってるんだけど……。」
マルス「ああ、そうか。ロイにはまだ……。」
ユンヌ「もちろん、このユンヌちゃんが広くしたのよ!」
ロイ「えっ、どうして?」
ユンヌ「今日、アイクが地区対抗格闘技大会で知り合ったお友達を連れてくるらしいのよ!
    んで、アイクが私に家を広くして欲しいって頼んできたわけ。私、張り切って特大サイズにしちゃったわ~。」
ロイ「へえ、あのアイク兄さんがねえ。」
マルス「僕としては、あの連中を家に連れてくる神経がわからないんだけどね…。」
ピーンポーン
マルス「っと、話してる間に来たみたいだ。」
エリンシア「私が出てくるわね。」
エリンシアが玄関へ向かう。リビングが広くなっているので、玄関までたどり着くのも一苦労である。
エリンシア「アイク、お帰りなさ―――――キャアアアアア!」
マルス「そーら始まった。どうせ赤い方のヒゲ親父あたりがジャンプでもしながら入ってきたんだろう…。」
マルスがあきれていると、アイクが焦った顔でリビングに入ってきた。
アイク「すまん。なぜかエリンシア姉さんが気絶してしまった。ミカヤ姉さん、レストで起こしてくれないか?」
ミカヤ「ええ。いいわよ。」
ミカヤは杖を持って玄関へ小走りで向かう。
ミカヤ「え!?イヤーーーーーーッ!」
ロイ「ミカヤ姉さんまで!?」
マルス「…ロイ、我が家に来てくださった客人たちを盛大にお出迎えに行こうか。」
ロイ「う、うん。」
マルスとロイは急いで玄関へ向かった。ちなみにマルスはしっかりとファルシオンを持ってきている。
マルス「ちょっとあんたら、一体何をして………。」
ロイ「…………!?」
二人が見たのは、にわかには信じがたい光景だった。
アイク(赤)「よっ、今日は世話になるぞ!」
マルス「え……?」
アイク(白)「ふん。俺は来たくて来たわけじゃない。」
アイク(黄)「そんなことを言うな。ほら、笑顔、笑顔。」
ロイ「な、なんで……?」
アイク(緑)「あんたらがそうやって騒ぐから、ますます俺の影が……。」
アイク(灰)「……………邪魔するぞ。」
それは、色とりどりのアイクたちが玄関に集合している光景だった。
ロイ・マルス「うわーーーーーーーっ!」

516 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/11/04(火) 18:51:33 ID:si4VnakT
アイク「すまん。前もって言っておくべきだったな。あらためて紹介する。“俺たち”だ。」
アイク(全色)「よろしく頼む。」
ヘクトル「ちょっと待て!」
リーフ「“俺たち”で済ませないでよ!」
セリカ「どう考えてもおかしいでしょ!」
アイク「?何がだ。」
セリカ「だって、どうして兄さんが7人も……!」
アイク(白)「……どうやら、この女は地区対抗格闘技大会のことをよく知らないようだ。」
アイク(赤)「おい、説明していなかったのか!?」
アイク「すまん。すっかり忘れていた。」
アイク(黄)「仕方ないな。じゃあ俺から説明しよう。あの大会では、同じ選手でも何色かバリエーションがあるのは知ってるよね?」
セリカ「え、ええ。」
アイク(黄)「あれは、俺たちが交代で出ているんだ。」
シグルド「なっ……あれはアイクが着替えているのではなかったのか?」
アイク(白)「違う。あんな衣装をいちいち着替えている暇はない。」
アイク(黄)「それに、あなたたちも大会に行ったことがあるなら、見たことがないかな?四人の“アイク”が戦っている試合をね。」
セリカ「えっ!?そんな試合見たことないけど……そんなことって!」
アイク(白)「…全ては観客のムチャな要望から始まった。“同じ選手4人の試合を見たい!”…主催者は見事にそれに答えた。」
シグルド「なるほど、大体察しがついた。お前たちは……。」
アイク(赤)「俺たちは、そこのアイク(オリジナル)から作られたクローンだ。」
アイク(白)「俺たちだけではない。あの大会の選手は全員クローンがいる。ただし観客には知られていない。
       同じ選手4人の試合は、立体映像だと説明されているらしい。」
リン「そうだったのマルス、ロイ!?」
マルス「……そうさ。僕も髪の毛を一本取られた。それから……僕と同じ顔の………ギィヤァァァァァァ!」
リン「マ、マルス!?しっかりして!」
ロイ「僕は……全然覚えていないよ………。」
アイク(緑)「無理もない。大会から外された者は、口封じのために記憶を消されたからな。」
ロイ「僕、記憶消されてたの……!?ガクガクブルブル」
シグルド「……で、どうしてそのクローンがうちに遊びに来たんだ。」
アイク(灰)「……疲れたんだ。」
リン「疲れた?」
アイク(灰)「大会……戦い……疲れた……バカンスだ。」
エイリーク「うちはリゾートホテルではないのですが…。」
アイク(赤)「それにな、こっちの“アイク”の生活もちょっとのぞいてみたくなって、無理を言ってつれてきてもらったんだ。」
アイク(緑)「本当は、俺たちはあの会場から外には出てはいけないのだが……。」
ロイ「そうなんだ…。」
アイク「というわけだ、今日一日、よろしく頼む。」
アイク(全色)「世話になる。」
ヘクトル「うう…頭が混乱しそうだぜ。」
エリンシア「いやあああ!KINNIKUいっぱいス・テ・キー!」
ユンヌ「きゃあああ!アイクがいっぱいサ・イ・コー!」
エリウッド「…こっちには、さっきから興奮しすぎてバサーク状態になっている人たちもいるけどね。」
リン「とにかく、うちにいるのはいいですから目立つ行動は慎むようにしてください!
   もし、アイク兄さんがたくさんいるなんてバレたら―――――。」
アイク(赤)「むっ、お前強いな?表へ出ろ。俺と勝負だ!」
エフラム「……いいだろう。兄上のクローン…相手にとって不足はない。」
リン「ああ、言ってる側から!」
エリウッド「ま、兄上のクローンならおとなしくしているはずがないよ…。」

517 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/11/04(火) 18:53:43 ID:si4VnakT
アイク(黄)「マルスくん、どうしてそんな顔をしているんだい?」
マルス「く、来るな化け物!お前たちなんて所詮作り物なんだ!」
エリンシア「こら!何てことを言うのマルス!」
アイク(黄)「いいんだエリンシアさん。それは真実だからね…。
       でも、いつまでもそんな辛そうな顔をされては、こっちも悲しくなってしまう。さあ、笑顔笑顔!」
マルス「う、うるさい!ついて来るな!お前、なんで兄さんのくせにそんなにさわやかでにこやかなんだーーっ!」
アイク「…普段の俺はそんなに無愛想なんだろうか。」

アイク(赤)「うおおおおーっ!」
エフラム「やるな!だが、これでどうだ!」
アルム「ちょっと二人とも、あまり暴れないで!せっかく作った畑が……。」
アイク(白)「ぬうん!」
アイク(赤)「ぐはっ!」
エフラム「ぐわあっ!」
アルム「え?」
アイク(赤)「おい、何をするんだ俺(白)!」
エフラム「勝負の邪魔をするな!」
アイク(白)「うるさい。こんなところで戦われたら目障りだ。とっとと失せろ。」
アイク(赤)「なんだと!?やる気か!」
アイク(白)「今の戦いでダメージが溜まったお前を星にするくらい、俺には楽勝だが?」
エフラム「うっ……。」
アイク(赤)「わかったよ。おいお前、エフラムとか言ったな。勝負は次に持ち越しだ!覚悟しておけ!」
エフラム「それはこっちのセリフだ。」
アルム「あ…兄さ……アイク(白)兄さん、ありがとう。」
アイク(白)「…礼を言われる覚えはないが。」
アルム「僕の畑が荒らされてたのを見て、二人を止めてくれてんですよね?」
アイク(白)「な……ち、違う。変な勘違いをするな!俺はただ、あの二人が目障りだっただけだ!」
アルム「ふふ。照れなくていいのに。」
セリカ「…何だろう?今何かものすごい嫉妬の嵐が胸の中で巻き起こっているんだけど。」
シグルド「いいぞ。もっとやれアイク(白)!」
リン「兄さん…KINSHINじゃなければなんでもいいわけ?」

ミカヤ「…ふぅ。これ以上ユンヌを暴走させたら私の身がもたないわ。悪いけど、しばらくおとなしくしててね。」
ユンヌ(鳥)「ちぇ~。まあいいわ。空からながめるアイク祭りもなかなかよ!ヒャッホ~♪」
アイク(緑)「ミカヤさん。」
ミカヤ「わっ!?あなたは…?」
アイク(緑)「ああ…やっぱり気づかれてなかったか。俺はこの色のせいかどうも影が薄いらしい……。」
ミカヤ「そ、そんなことないわよ。サザだって“緑風”とか言われてるけど(このスレでは)目立ってるし。」
アイク(緑)「サザ?」
ミカヤ「ええ。とっても優しい人よ。あなたとも、きっとお友達になれるわ。」
アイク(緑)「サザ…なぜだか昔から知っているような名前だ…。一度会って、緑同士色々と語りたいものだ……。」

518 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/11/04(火) 18:55:58 ID:si4VnakT
アイク(赤)「ん、どうした同盟軍カラー?また暗い顔をして。そんなだからあまり目立たないんじゃ…。」
ブチッ
アイク(緑)「同盟軍カラーって……言うなあああ!」
アイク(赤)「うおっ!やったな!」
ユンヌ(鳥)「きゃっ、影のあるアイクもステキ!」
ミカヤ(これは影っていうより、ただのネガティブじゃ……。)

セリス「あはは、なんか本当ににぎやかだね!アイク兄さん、どうやってみんなと仲良くなったの?」
アイク(灰)「………。」
セリス「あ…ごめんなさい。兄さんじゃなかった……。」
アイク(灰)「………あいつはいい奴だ。」
セリス「え?」
アイク(灰)「…本当の“アイク”……俺たち……会場から出られない……。
       それを知って…本気で悲しんでくれた。」
セリス「そっか…。兄さん、普段はちょっと無愛想だけど、根は優しいもんね。」
アイク(灰)「ああ……俺たちの無茶な要求も……聞いてくれた。
       あいつには……本当に感謝している……。」
セリス「その言葉を兄さんが聞いたら、きっと喜ぶと思うよ。」
アイク(灰)「……だといいけどな。」
セリス「そうだ、兄さん(灰)は今日初めて外に出たんだよね?
    だったら、僕が最初の友達になってあげるよ!」
アイク(灰)「………え?」
セリス「僕、セリスっていうんだ。よろしくね!」
アイク(灰)「あ…ああ。よろしく……セリス。」

ヘクトル「あーあ。もう好き放題だぜ。」
リーフ「単純に考えてアイク兄さんが6倍になってるんだもんね……。
    もうこうなったら誰にも止められないよ………。」
ロイ「ねえ、僕の気のせいならいいんだけどさ。さっきからこの家、ミシミシいってない?」
エイリーク「え?」
ミシ…ミシ…
リン「…本当!聞こえるわ!」
リーフ「ちょ、ちょっとマズいんじゃない!?
    ユンヌの拡張が、アイク兄さんたちのパワーについて来れていないんじゃ……。」
エイリーク「み、みなさん!どうかお静かに……。」
カゲガウスイッテイウナ!オマエラマタアバレヤガッテ!マルスクンドウシテニゲルンダイ?テン↑クウ↓キャーッアイクマツリヨ!
リーフ「ぜんっぜん聞いてないし……。」
エリウッド「ユ、ユンヌ!今すぐみんなを外に連れ出して家の拡張を…!」

519 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/11/04(火) 18:57:51 ID:si4VnakT
ビキ…ビキ…
ヘクトル「ギャーッ!ますます音が大きくなってるぞ!」
リン「…こうなったら仕方がないわ。」
ロイ「ね、姉さん!?何をする気…。」
リン「みなさん!おーいしーいお肉が焼けましたよー!」
ピクッ
アイク(全色)「肉……?」
エリウッド「うわ、全員いっせいに動きが止まった!」
リーフ「色によって性格は違うけど、これだけは共通なんだ……。」
リン「ふふっ、どんなもの―――――」
アイク(全色)「肉くれーーーーっ!」
リン「えっ、ちょっと!?全員でこっちへダイブなんかしたら……。」
ドッカーーーン!
アイク×6が一斉にダイブした衝撃で、床が抜け、遂に家が倒壊し始めた。
リン「きゃっ、きゃああああーーー!」
ガラガラガラ…

ミカヤ「ううっ…みんな、大丈夫?」
アイク「ああ……まさか俺たちのせいで家が崩れるとは……。」
ミカヤ「だけど、あれだけ拡張していたわりに、瓦礫は少ないわね…。よいしょ!」
アイク「……?姉さん、みんなが見当たらん。今日招いた“俺たち”もいないぞ。」
ミカヤ「えええ!?そんな、瓦礫の下も探したの!?」
アイク「ああ。だが、本当にみんないない。」
ミカヤ「どういうこと……?」
ユンヌ(鳥)「ゲ、ゲホッ!ぷはーー!やっと出られたあ!」
ミカヤ「ユンヌ!無事だったのね!」
ユンヌ(鳥)「もっちろん!」

520 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/11/04(火) 18:59:14 ID:si4VnakT
アイク「ユンヌ、他のみんなが見当たらないんだが、今どこにいるかわかるか?」
ユンヌ(鳥)「あー、それなんだけど……。」
アイク「?」
ユンヌ(鳥)「私、アイクがお友達を連れてこれるように家を拡張したじゃない?あれって、よその家から空間を借りてきて、広げてたんだけど……。」
アイク「そういえばそうだったな。」
ユンヌ(鳥)「どうも、倒壊したときにその拡張魔法が溶けて、借りてきた空間が元の場所に戻るのにみんな巻き込まれちゃったみたいなの。」
ミカヤ「えっ!?ちょっと、それってまずいわ。」
アイク「何でだ?」
ミカヤ「だって、今日遊びに来た“アイクたち”もユンヌが借りたよそのお宅へ飛ばされたってことでしょ?」
アイク「そうか…。“俺たち”の存在がばれるということか。」
ミカヤ「そうよ!アイクがたくさんいるなんて知れ渡ったら、町中が大混乱に陥るわ!」
アイク「だが、あいつらは昔の俺の姿をしているし……。」
ミカヤ「私たちは普段からあなたを見ているからすぐに別人だってわかるけど、そうでない人にはわからないと思うわ。」
ユンヌ(鳥)「それに……ちょっと言いにくいけど……。“アイクたち”があんまり人の目に触れて大会の主催者にそれがバレたら、
       下手をしたらクローンのアイクたちは消されるかもね……。」
アイク「…確かにそれはまずいな。よし、俺たちだけでもみんなを探しに行こう。」
ミカヤ「……でも、一体どこを探せば…。」
ユンヌ(鳥)「私もどこの空間を借りたかなんて、いちいち覚えてないし……。」
アイク「大丈夫だ。俺はどうやらあいつらと不思議なつながりがあるらしい。」
ミカヤ「不思議なつながり?」
アイク「ああ。少し目を閉じて意識を集中させれば、あいつらが何をしているかもわかるし、頭の中でメッセージも送れるんだ。
    それで大会のときは連絡を取り合っていた。」
ユンヌ(鳥)「それなんて親善大使?」
ミカヤ「そうなのね。じゃあアイク、ここから一番近いところにいるのは誰だかわかる?」
アイク「……むっ!」
アイクは少し目を閉じた後、いきなり走り始めた。
ミカヤ「あっ、アイク待って!」
ユンヌ「さ~あ“アイクたち”の捜索開始ね!せっかく念願のアイクオンリーハーレムが実現したのに、消されてたまるもんですか!」
ミカヤ「またそんな理由で……。まあいいわ。行きましょう!」

55 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/11/14(金) 18:06:55 ID:ofNiX9Ej

アイク・ザ・レインボー中編 ~レインボーアイクを捕獲せよ!~

セフェラン「ああ…今日はいい天気だねえ。」
漆黒の騎士「そうだな。こんな日は茶でもすすりながらのんびりするのが一番……。」
ドゴォォォォーーン!
セフェラン「な、何今の!?だれか、かくばくだんでも使った!?」
漆黒の騎士「………私が見てこよう。」

アイク(赤)「いってててて……。」
エフラム「おい、みんな大丈夫か!?」
エリウッド「……あんまり大丈夫じゃないよ。」
リーフ「ちょっと!三人とも重い!重いって!」
アイク(赤)「む?どこからかおかしな声が……。」
リーフ「ここだよ!あんたの下!」
エフラム「…聞こえる。この音は……!」
デーデッ デーデッ デーデデデーデデデー(漆黒のテーマ)
    |┃三           /! _ ト、
    |┃ ≡       ,r‐ '/l[[!ト、!:::\
    |┃      ___ !l::::::!:.!:l,!:::!::::::::l _       
    |┃≡  /____ l !!:::::l:.l:::!::::!::::::::!| ,二二、  
    |┃ヽ___//::::::!| 'l|ト、ヽ:::::/:::::::;' !  !:::::::::::::   
____.|ミニニヽ:::::::::::l ,'   )ヽニVニイ!r'´!  !::::::::::::::::::  
    |┃:::::::::::ヽヽ:::::::! !ィr(:::ヽ::::::! !:::ノ:ヾ!:::!  !::::::::::::::::::::
    |┃:.:.:.:.:.:::::!|::〈/:.ヽミト、r‐'┴―‐く:∧ l::::::::::::::::::::  ガラッ
    |┃:.:.:.:.:.:.:.:l|::/:ヽ:.:.:.:.:フ::::::::::ll___/:.:.:ヽ ヽ::::::::::::

アイク(赤)「…お前は!」
漆黒の騎士「……ここで何をしている。」
エリウッド「お隣の漆黒さん!?」
エフラム「ということは、ここはしっこくハウスか。どうやら俺たちは、家が崩れた衝撃で吹き飛ばされたらしいな。」
漆黒の騎士「ん?お前は……。」
アイク(赤)「俺から聞いていたぞ、漆黒の騎士!一度お前と戦いたかったんだ。来い!」
漆黒の騎士「そうか、アイクが私に転移の粉を借りてまで連れ出したのは貴殿か。……いいだろう。庭へ出るがいい。」
アイク(赤)「ああ!」
エリウッド「ああ……大変なことに……。」
リーフ「……ねえ、お願いだからどいてくれない?本気で潰れそうなんだけど……。」
エリウッド「あ、ごめん。」
エフラム「忘れてた。」
リーフ「…ちょっとひどすぎるでしょ!この人でなしー!」

アイク(赤)「ふっ、せいやぁ!」
リーフ「うわ、早速始めちゃってるよ……。」
エリウッド「頼むから、これ以上人の家を壊さないでくれ………。」
アイク(赤)「どりゃあ!」
アイク(赤)はラグネルを大きく振り上げ漆黒の騎士へ打ち下ろす。だがその攻撃を漆黒の騎士は簡単にかわした。
漆黒の騎士「…太刀筋が甘いな。姿もそうなら、中身も昔のままか。」
アイク(赤)「何だとっ!?」
漆黒の騎士「これで終わりだ。」
漆黒の騎士がエタルドを構え、アイク(赤)に向かって行く。
エフラム「あれは……月光の構えだ!逃げろ兄上(赤)!」
アイク(赤)「逃げる……?そんなことしてたまるか!逃げるくらいなら俺は死ぬ!」
漆黒の騎士「…愚かな奴だ。」

56 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/11/14(金) 18:08:40 ID:ofNiX9Ej
セフェラン「あーーーーーっ!」
漆黒の騎士「ビクッ!」
セフェラン「見っけた!もー、なかなか戻ってこないから様子を見に来てみれば……。またお友達とケンカしていたのね!?」
漆黒の騎士「な、な……い、今出てくるな!」
セフェラン「何言ってんの!あー、ごめんなさいねぇみなさん。ぜーたん、根はいい子なんだけどぉ、ちょっと不器用で……。」
アイク(赤)「……誰だ?」
セフェラン「あらぁ、あなたはお隣のアイクちゃん!……じゃあないみたいねぇ。なんか、ちょっと雰囲気違うしスリムだし。」
エリウッド「あーセフェランさん、話せば長くなるんですが……。」
ドンドンドンドン!
セフェラン「あらぁ?だれか来たみたい。」
ミカヤ「セッちゃん!騎士様!」
セフェラン「あーら、ミカやんじゃない!どうしたの急に?」
ミカヤ「ごめんなさい突然。ちょっと上がらせてもらえる?」
セフェラン「もちろんいいわよ。」
アイク「……邪魔をする。」
セフェラン「あら、アイクちゃんまで!ぜーたん、アイクちゃんが来たわよー!」
エフラム「兄上が!?」
ミカヤ「アイク(赤)!」
リーフ「あ、姉さん!」
ミカヤ「あら、みんなもいたのね!良かったわ!」
漆黒の騎士「……乙女よ。私は状況がよくわからないのだが。」
ミカヤ「あ……そうですよね。アイク、この二人になら話してもいいわよね?」
アイク「ああ。あんたらはこういうことを口外するような人間じゃないからな。」
ミカヤ「わかったわ。エリウッドたちも聞いて。実は………。」

漆黒の騎士「なるほど。話は大体わかった。」
エリウッド「じゃあ、残りの兄さんたちも探しに行かないと!」
アイク(赤)「……俺はここに残る。」
エフラム「何故だ?」
アイク(赤)「俺がこっちのアイクと行動を共にしていたら、いくらなんでもマズイだろう?」
ミカヤ「そうね……それが一番いいわ。セッちゃん、騎士様、アイク(赤)をお願いします。」
漆黒の騎士「承知した。」
セフェラン「まかせて!変な奴が寄って来たら、クライディレドでぶちのめしてやるから!」
エフラム「……兄上(赤)。」
アイク(赤)「何だ?」
エフラム「お前の同胞は、俺たちが必ず救い出す。主催者の勝手な都合で消させたりはせん。だから、その腕を磨いて待ってろ。
     もっとも、俺は今度の勝負も負ける気はないがな。」
アイク(赤)「…ああ!」

57 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/11/14(金) 18:09:50 ID:ofNiX9Ej
一行はしっこくハウスから出て路上に集まった。
ユンヌ(鳥)「ミカヤ!」
ミカヤ「ユンヌ、偵察ご苦労様!どう?アイクたちは見つかった?」
ユンヌ(鳥)「ええ、ビンゴよ!向こうのほうに……。」
「きゃーっ!」
「ステキー!」
ミカヤ「え?」
ミカヤたちが声のする方を見ると、たくさんの人が何かにまとわりつくように歩いていた。
ワユ「大将、今日はやっさしいねー!」
ミスト「お兄ちゃん、大好き!」
レテ「わ、私は別に嬉しくなんかないぞ!」
リィレ「ふふ、本当はちょーうれしいくせに!」
ジル「アイクさん、お肉のお届けものです。……私から。」
セネリオ「いや、そんなものより僕の用意した特上ドラゴンステーキを……。」
ティアマト「アイク、今日はなんだかとてもうれしそうね。」
イレース「アイクさんのオーラおいしいです^^」
サナキ(くぅぅ…今日はアイクにあっさり遊園地のチケットを受け取ってもらえて二人きりでデートが出来ると思ったのに、
    なぜいつの間にか取り巻きが増えているのじゃ!?)
アイク(黄)「ははは、みんな笑顔が一番だからな。さあ、次はどこに行こうか。」
嫁候補たち「アイク!アイク!(゚∀゚)」

リーフ「うはwwwアイク兄さんにさわやか好青年分がプラスされてすごいフラグメイカーになってるよ!」
ミカヤ「しかも何気に支援関係がない人まで巻き込んでるわね。」
ティアマト「ところでアイク、もし良かったら今日の夜いっしょに……。」
ワユ「何言ってんの!大将はあたしと……。」
アイク(黄)「そうだな。じゃあみんなで行こうか。みんなが笑顔なのが俺は一番嬉しいからな。」
ティアマト・ワユ「………。」
ミカヤ「でも、結局鈍いのは変わってないみたいね……。」
リーフ「……なんか、本家よりタチ悪いフラグクラッシャーになってない?」
エリウッド「というか、なんであんなに馴染んでるんだろうね…。」
「あーっ!やっと見つけた!」
エフラム「ん?今度は何だ?」
マルス「おーい!」
ロイ「みんな!」
エリウッド「マルス、ロイ!」
ミカヤ「良かったわ無事で!ケガはない?」
ロイ「うん、大丈夫。それより……。」
マルス「ああ、やっぱり大勢の人に囲まれてるよ………。」
エフラム「お前たちは兄上(黄)と一緒にいたのか?」
マルス「うん。いつの間にかグレイル工務店にいたんだ。今日は休みで誰もいなかったから良かったんだけど。」
ロイ「それで急いで家に戻ろうとしたら、なぜかだんだんいろんな人がアイク兄さん(黄)の周りに集まってきて……。
   その集団に押されて僕たち離れ離れになっちゃったんだ。」
リーフ「……あの兄さん(黄)はカリスマのスキルでも持ってんのかな?」
ミカヤ「だけどあのままじゃまずいわね。あれじゃいつまで経ってもアイク(黄)に近づけないわ。」
アイク「よし、俺が行ってこよう。」
ロイ「え!?ダメだよ兄さん!兄さんが行ったらみんな混乱しちゃうよ!」
アイク「うーむ…。」
マルス「…待って。僕にいい考えがあるんだ。」

58 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/11/14(金) 18:11:33 ID:ofNiX9Ej
マルス「お待たせ。用意できたよ。」
ミカヤ「マルス、早かったわね。」
マルス「まあね。で、今の状況は?」
ミカヤ「……ますますひどいことになってるわよ。」

ミスト「はいお兄ちゃん、ジュースだよ!」
ワユ「はいはい大将、お茶だよ!」
ティアマト「いえいえ、おいしいコーヒーが…。」
セネリオ「全力で阻止。」
ミスト・ワユ・ティアマト(このガキ………!)
ティバーン「よっ、アイクじゃないか!どうだ?これから飲みに……。」
リュシオン「ティバーン……まだ昼だぞ。」
サナキ「あーもううっとおしいわ!第一、始めにアイクを誘ったのは私じゃぞ!?」
イレース「…誰が最初かなんて関係ありません。」
アイク(黄)「みんな、楽しいのはわかるがこれでは身動きが取れないぞ。ははは。」

ユンヌ(鳥)「…アイク(黄)のカリスマパワー、恐るべしね。あっ、私も惹かれちゃう~。」
マルス「どさくさに紛れて行こうとするな変態女神!」
ユンヌ(鳥)「チッ……。」
マルス「どうも早く始めたほうがいいみたいだ。よし、みんな準備はいいね?」
ミカヤ「ええ。」
アイク「大丈夫だ。」
リーフ「…ねえ、本当にやるの?」
マルス「もちろんさ。さあ、いまだアイク兄さん!」
アイク「よし。」

ニア そうび

  ラグネル       ‐‐
ニア ブラザーアーチZ    50

アイク「行くぞ!」
アイクはリーフを、アイク(黄)を取り囲む集団の上空に投げた。
リーフ「もう!何でこんな役ばっかり…う、うわああああああぁぁぁぁぁ……。」

59 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/11/14(金) 18:13:12 ID:ofNiX9Ej
ミスト「な、なあに今の?」
マルス(よし、タイミングばっちり!)
続いてマルスが、リーフに気を取られた集団の中にケムリ玉を投げ込む。
これは、地区対抗格闘技大会のときに彼がこっそりくすねてきたものだ。
ワユ「うわっ!」
ティアマト「何なのこの煙は!」
マルス「姉さん!」
ミカヤ「わかったわ!レスキュー!」
アイク(黄)「なっ!?」
視界をさえぎる煙にまぎれて、ミカヤは見事アイク(黄)を集団の中からレスキューした。
アイク(黄)「なんだここは?俺はどうなっ―――――。」
エリウッド「しっ!」
アイク(黄)「むあっ!?もごもご……。」
エフラム「しばらく黙っていてくれ。」
アイク(黄)「???」
アイク「…そろそろいいか。行ってくる。」
マルス「うん。頼んだよ兄さん。」
レテ「ゲホゴホ!やっと煙が晴れたな。」
セネリオ「全く………誰のイタズラでしょう?」
アイク「……みんな。」
ワユ「あれ?大将なんだかいきなり太った?」
アイク「気のせいだ。それより、すまんが急用が出来てしまった。俺はここで帰らせてもらう。」
一同「えーーーーーーーっ!?」
アイク「じゃあな。」
アイクは急いで集団の中から去った。
全員「…………。」
アイク(黄)を囲んでいた集団はしばらく呆然としていたが、しばらくしてからわれに帰った。
ワユ「……もーっ!せっかくチャンスだったのに!」
ミスト「お兄ちゃん!?どこ行ったの!?」
サナキ「……せっかくチケットも受け取って上手くいくと思っていたのに、お主らのせいで何も出来なかったではないかーー!」
イレース「人のせいにしないで下さい…。ああ、まだまだおなかがすいていたのに……。」
ティバーン「ちっ、つまんねえな。」
セネリオ「………。(やはり、さっきのアイクは別人だったみたいですね。あれはなんだったのでしょう?)」
ティアマト「それにしても今日のアイク、何かおかしかったわね…。さっきまで妙に楽しそうにしていたのに、いきなり帰っちゃうなんて…。」
ジル「あれ?なんか洗脳が溶けたように頭がすっきりと……。」
レテ「ふん。結局帰ったか。ぜ、全然……悲しくなんてないぞ!」

60 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/11/14(金) 18:14:57 ID:ofNiX9Ej
ミカヤ「ああ…フラグが音を立てて壊れていくわ……。」
マルス「でも、とりあえず入れ替わり作戦は成功したみたいだ。ここがうちの近くでよかったよ。
    そうでなきゃ倉庫からレスキューとケムリ玉をとってこれなかったし。」
アイク「…ふぅ。なんとかバレずに済んだぞ。」
エリウッド「お疲れ様、兄さん。」
ミカヤ「ロイがリーフを回収するまで時間がかかりそうだし、先にアイク(黄)だけでも騎士様のお家に預けに行きましょうか。」
アイク(黄)「……イヤだ。」
ミカヤ「え?」
アイク(黄)「せっかくみんなと仲良くなれたのに、もうお別れなんて…。俺はもっとこの町を見てみたい。」
エフラム「何を言ってるんだ。お前がこの町をうろついていたら、主催者に脱走がばれて最悪消されるかもしれないんだぞ。」
アイク(黄)「そんなことはわかっているよ!でも、だからってこのまままたあの生活には戻りたくない!」
アイク「………。」
アイク(黄)「暗い会場に閉じ込められて、戦いに明け暮れる毎日……。
       だけど、そんな人間とは呼べないような扱いをされていた俺の周りでみんなが笑ってくれるのなら、たとえ消されたって……!」
バチーーーン!
アイク(黄)「なぁっ……!」
ミカヤ「マ、マルス!?」
エリウッド「マルスが…兄上(黄)を……殴り飛ばした!?」
マルス「……あんたさ、さっきからバカみたいに笑顔笑顔って言ってるけどさ、一番肝心なことを忘れてない?」
アイク(黄)「なん…だって…?」
マルス「あんたが勝手にうろちょろして口封じされるのは自業自得だからどうでもいいけどさ、それで一番悲しむのは自分自身じゃないの?」
アイク(黄)「あ………。」
アイク「…俺(黄)、お前は今日初めて外に出たんだ。いろんなやつと楽しく過ごしたいというのはわかる。」
アイク(黄)「………。」
アイク「だが、もう少し待ってくれないか?今は散り散りになった“俺たち”と合流するべきだと思う。
    …俺はいつか、お前たちが自由に外を歩けるように主催者と交渉するつもりだ。どれだけかかるかわからんが…。だから今は、頼む。」
アイク(黄)「……わかった。正直君がそこまで言ってくれるとは思ってなかった。ありがとう。」

61 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/11/14(金) 18:16:40 ID:ofNiX9Ej
マルス「………。」
ミカヤ「マルス…。」
エフラム「お前の熱い気持ちが兄上(黄)に伝わったみたいだな。なんにせよ、納得してくれて良かった。」
マルス(よっしゃ上手くいった!これでうざったい兄さん(黄)と一緒に行動しなくて済んだぞ!
    やっぱり、なんだかんだで兄さんのクローンだよね。拳で説得したらこんなにすんなりと……。)
アイク(黄)「それと、マルスくん。」
マルス「……えっ!?な、何?」
アイク(黄)「感謝してるよ。君は俺のことを想って、忠告してくれたんだね。」
マルス「は?いや、ちが――――」
アイク(黄)「君は大切なことを気づかせてくれた。俺はこれからも本当の“笑顔”を忘れない。本当にありがとう!」
アイク(黄)はよほど嬉しかったらしく、マルスの手を握り、目を輝かせながらお礼を言った。
マルス「あーもう、やっぱりウザい!とっととしっこくハウスに引っ込んでくれーっ!」
ユンヌ(鳥)「あらあらマルス、素直じゃないわね。うふふ……。」
マルス「あんたわかってて言ってるだろ!」
アイク(黄)「どうしたんだい?別れ際まで怖い顔をして。さ、笑顔笑顔!」
マルス「だーーーっ!何でこうなるんだーーっ!」

それから一行はしっこくハウスにアイク(黄)を送り、再び路上に集まった。
ロイ「おーい、みんなー!リーフ兄さん連れて来たよー!」
エリウッド「ああ、ロイ!」
ロイはリーフを引きずりながら戻ってきた。
リーフ「………。」
エフラム「おい、リーフが白目剥いてるぞ。」
ミカヤ「完全に気絶してるわね。困ったわ…レストの杖はガレキの下だし。」
ユンヌ(鳥)「おかしいわね。いつもはこのくらいじゃへこたれないのに。」
エリウッド「今日はさっきから酷い目にばかりあってるからね。」
ロイ(ていうか、みんなの態度もたいがい酷いよね……。)
マルス「じゃ、とりあえずリーフはほっといて、次はどこへ行けばいいんだろう?」
アイク「少し待て。俺たちに呼びかけてみよう。………………。」
ダラダラダラ…
マルス「うわっ!兄さん、いきなりヨダレ垂らさないでよ!」
アイク「あ、ああすまん。どうやら俺(灰)は食事をしているらしい。」
エリウッド「食事?」
ミカヤ「アイク、呼びかけてみてくれる?」
アイク「わかった。(おい、俺(灰)!聞こえるか!?)」

62 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/11/14(金) 18:18:16 ID:ofNiX9Ej
アイク(灰)「………この食事、美味い。」
イドゥン「そうですか。それならよかったですね。」
セリス「イドゥンさん、ユリウス、ユリア、ありがとう。食事まで用意してもらって。」
エイリーク「私たちは天井を突き破ってしまったというのに……。」
ヘクトル「お、俺の体重のせいじゃねえからな!これは四人まとめて落ちてきたからであって(ry
セリス「兄さん、焦りすぎだよ…。」
ユリア「いえいえ全然構いませんわ。私、セリス様とお兄さま方が来て下さってとても嬉しかったんですもの。」
ユリウス「家が壊れるのはいつものことだしな。主に誰かのチート光魔法のせいで……。」
ユリア「何かおっしゃいましたか、お兄様?」
ユリウス「な、なんでもありませんからナーガはやめてアーッ!」
セリス「あはは、あいかわらず元気だねユリア。」
ヘクトル「おいおい、また屋根に穴が開いたぞ……。」

アイク(灰)「…………うっ、ぐぅぅ……。」
エイリーク「ど、どうしました兄上(灰)!?」
イドゥン「まさか、私の料理がアイクさんのお口に合わなかったのでは……。」
アイク(灰)「……頭………すごく痛い……。何か……聞こえる………。」
アイク(おい、俺(灰)!聞こえるか!?)
アイク(灰)「な……俺から…声が………。」
セリス「えっ、兄さんから!?」
アイク(今、どこにいるんだ?)
アイク(灰)「セリス……ここは、どこだっけ………?」
セリス「ここは竜王さんちだよ!」
アイク(灰)「竜王さんちだ……。」
アイク(なに!?竜王山地だと!?)
アイク(灰)「………?」
アイク(お前たちは竜の住む山にいるのか!?)
アイク(灰)「え………いや……。」
アイク(わかった、すぐに行く!そこを動くなよ!)
アイク(灰)「…………。」
アイク(ところで……。)
アイク(灰)「なんだ……早くしろ………頭痛い。」
アイク(お前の食べた食事の味を俺へ送るなんてことは、できないか?)
アイク(灰)「………………ふざけているのか?」
アイク(残念だ……。)
アイク(灰)「あ…聞こえなくなった……。」
エイリーク「兄上はなんとおっしゃってましたか?」
アイク(灰)「……そこを動くな、迎えに来る…と。」
エイリーク「そうですか。迎えに来てくださるのですね。」
アイク(灰)「……大丈夫か…あいつ……?」
イドゥン「…アイクさん。」
アイク(灰)「なんだ…。」
イドゥンは山のような料理をアイク(灰)たちの目の前に置いた。
ヘクトル(ゲッ…今食い終わったばかりだってのに!)
イドゥン「先ほどのお料理がお口に合わなかったようでしたので、急いで作り直して来ました。どうぞ、召し上がってください。」
アイク(灰)「………。」
セリス「う、うわぁ、おいしそうだね。」
エイリーク「ほ、本当ですね。」
アイク(灰)「……よし、みんな食うぞ。……残さず。」
セリス・エイリーク・ヘクトル「はーい…。」

63 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/11/14(金) 18:20:18 ID:ofNiX9Ej
アイク「みんな、大変だ!」
ミカヤ「な、何!?どうしたのアイク!?」
アイク「俺(灰)たちはどうやら竜がたくさん住む危険な山に飛ばされているらしい。今すぐ助けにいかなければ!」
ロイ「ええ!?」
ユンヌ(鳥)「ちょっと待って、アイク。私、そんなところの空間を持ってきた覚えはないわよ!」
アイク「しかし、あいつらは今“竜王山地”にいると……。」
エリウッド「…竜王山地?」
ミカヤ「そんな地名聞いたことないけど……。」
エフラム「何かおかしくないか?」
ロイ「竜王山地……リュウオウサンチ……リュウオウ、サンチ…竜王さんち……あっ…!」
アイク以外全員「竜王さんち(竜王家)だ!」
アイク「?」
エリウッド「危なかったよ…本当に山登りをするはめになるところだった。」
アイク「…あいつらは山にいるんじゃないのか?」
ロイ「兄さん、竜王、さんちだよ!竜王家!」
アイク「……………あ、ああ!」
マルス(なんかいまだにわかってないような返事なんだけど。)
ロイ(兄さん、鈍いにもほどがあるよ……。)
アイク「よ、よし。じゃあ竜王家にあいつらを迎えに行くぞ!」

マルス「残るアイクはあと三人…。しかし、この七色アイク探しの裏で大きな陰謀が動いていることを、彼らはまだ知らなかった……。」
ロイ「兄さん、なんで無理矢理締めようとしてるの…。しかも陰謀って何。」
マルス「ああ…。いや、僕が思うに、主催者はもうとっくに兄さんたちの脱走に気づいてると思うんだよね。
    で、もうそろそろ何か仕掛けてきそうな気がしたからさ。」
ロイ「何かって?」
マルス「さあ、それはさすがの僕にもわからないけど…。これが杞憂なら一番いいんだけどね……。」

296 名前: 助けて!名無しさん! [sage] 投稿日: 2008/12/02(火) 18:45:28 ID:SV+ECzOj
壁一面にモニターがある暗い部屋に、男が一人座っていた。
男はモニターの一つを見つめ、大きくため息をつく。
????「やはり…か。」
?「ご主人様!やはり、クローンたちがいなくなっていたのだ!」
????「ああ。今、私のほうでも確認した。」
男がモニターを切り替える。

ピッ

エイリーク「な、なんとか食べ終わりました…。」
セリス「おなかパンパンだよ…。」
ヘクトル(くそっ、また体重が増えちまうじゃねーかよ…。)
アイク(灰)「…美味かった。イドゥン、おかわ―――――」
エイ・セリ・ヘク「ダメーーーー!」

ピッ

アイク(緑)「サザ、お前が―――――」

ピッ

アイク(白)「ここは………?」
エリンシア「どこかの家のようですが…。」
セリカ「ずいぶん豪華な家ね。」
アルム「あっ、誰か帰ってきたよ!」

ピッ

????「………。」
?「あああ…。これはまずいのだ……。
  もしご主人様が、違法に生み出したクローンを戦いに使っていたと知れたら……!」
????「…やむをえない。Gよ。」
G「はっ。」
????「MTOS作戦を開始する。……ぬかるなよ。」
G「わかったのだ!」
????「まったく…惜しい人材だった……。
     だが……アイク、いや“アイクたち”よ…これで、さらばだ。」

297 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/12/02(火) 18:47:18 ID:SV+ECzOj
TV「えー…今日の午後からはところにより雪が降るでしょう…。」
セリス「そういえば、兄さん(灰)って雪は見たことある?」
アイク(灰)「ユキ……?」
セリス「えっと、とっても白くて冷たくて、さわるとすぐに溶けちゃうんだ。」
アイク(灰)「ああ、あれか…。恐竜島……氷山でも見たことある……。
       だが……ちゃんと触れたこと………ない。」
セリス「そっか。じゃ、もし雪が降ってきたらいっしょに遊ぼう!」
アイク(灰)「………ああ。」
ヒュウウウウ…
ヘクトル「ん?」
アイク(灰)「これ……雪が降る音…?」
エイリーク「花火ではないでしょうか?」
ヘクトル「おいおい。今は昼だぞ。」
ユリウス「げっ、この音は……!?」
ドゴオオオオオン!
エイリーク「きゃああ!」
ヘクトル「なんだあ!?」
ユリア「中庭に、何か落ちてきましたわ!」
セリスたちは急いで中庭に様子を見に行く。
セリス「なにこれ!?」
アイク(灰)「セリス……この町の雪………変わってる。」
ヘクトル「いや、これはどう見ても雪じゃねえよ!」
中庭に落下して大きな穴を開けたのは、巨大な赤いブロックのような物体だった。
どうやらかなり頑丈な素材で出来ているらしく、あんなに大きな音を立てて落ちてきたというのに傷一つついていなかった。
エイリーク「見てください。このブロック、中央にチューリップの模様があります!」
確かに、よく見るとブロックの中央に大きく何かが刻印してあった。
セリス「ほんとだ、かわいいね~。」
イドゥン「これは……。」
ユリア「お姉さま、どうかしましたか?」
イドゥン「これは、チューリップではなく炎のマークではないでしょうか?」
セリス「炎?」
イドゥンに指摘されて、セリスがもう一度刻印を見る。
セリス「そうだね。ブロック自体も赤いし、なんか炎に見えるかも。」
ヘクトル「ということは、これは……?」
セリス「炎の紋章!?」
ヘクトル「へ?」
イドゥン「なるほど。これは炎の紋章なのですね。」
エイリーク「すばらしいです!この町に、また新たな紋章が増えたのですね!」
ヘクトル「いや……嘘だろ。こんなもんが………。」
セリス「兄さん何言ってるの!ほら、この立派な大きさ、真っ赤な色、炎の刻印、どこからどう見ても炎の紋章じゃない!」
ヘクトル「う…そう言われると、なんかそんな気がしてきたような……。」
アイク(灰)「でも……なんで空から…?」
ユリア「…ですよね。しかも、やたらと大きくありません?」
ユリウス「………。」

298 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/12/02(火) 18:49:05 ID:SV+ECzOj
一同が謎のブロックを見つめながら悶々としていると、
ミカヤ「アイク(灰)!」
セリス「あ、姉さん!」
イドゥン「あら、みなさんこんにちは。」
エフラム「すまないイドゥン。いくら呼び鈴を押しても応答がなかったから、勝手に上がらせてもらった。」
エリウッド「何かすごい音が聞こえたけど、大丈夫でしたか!?」
イドゥン「ええ。中庭に、炎の紋章が落ちてきて……。でも、ケガはしていません。」
アイク「なんだって!?炎の紋章!?」
イドゥン「え…アイク……さん?」
ロイ「兄さん!出てきちゃダメって言ったでしょ!」
アイク「すまん。だが、本当にここに俺(灰)たちがいるのか気になって……。」
エリウッド(ロイ……こっそり拾ってきた子猫に言うような口調だなあ……。)
マルス「ところで、炎の紋章って…これが?」
ミカヤたちは先ほど落ちてきたブロックを見つめる。
ユンヌ(鳥)「!!!これは……!」
ミカヤ「ユンヌ、何か知ってるの?」
アイク「やはりこれは炎の紋章なのか?」
ユンヌ(鳥)「これは…マズイわ!」
エイリーク「どういうことですか?」
ユンヌ(鳥)「これはね………。」
ユリウス「メティオだ。」
一同「!?」
ユンヌ(鳥)「その通り!ってユリウスちゃん、よく気づいてたわね。」
ユリウス「当たり前だ。僕は町で一番のメティオ使いだからな。」
セリス「えっ、ユリウスってそんなにメティオ使ってたんだ!僕、ほとんど見たことなかったけど…。」
ユリウス「い、いいんだそんなことは!」
マルス「ま、原作からの垂れ込みだろうしね。」
ロイ「兄さんメタ的発言自重。」
ユリウス「これが落ちてくるときの音は、明らかにメティオ特有のものだった。
     何度も聞いている僕が言うから間違いない。」
エリウッド「でも、ただのメティオなら大丈夫なんじゃ……。」
セリス「だれかの打ちそこないじゃないのかなあ?」
ユンヌ(鳥)「これは普通のメティオじゃないわ。見て、この形。
       こんな四角いメティオは炎魔法じゃ作り出せないもの。」
ミカヤ「じゃあ、誰が……?」

299 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/12/02(火) 18:51:06 ID:SV+ECzOj
アイク(灰)「俺……聞いたことある………。」
セリス「え?」
アイク(灰)「ご主人…いや……大会主催者……巨大な…隕石……操る………。」
ロイ「ええ!?あの人にそんな能力が!?」
マルス「…彼は、いろんなところにコネがある。その一つが…宇宙。」
エフラム「宇宙……?」
マルス「うっかりしてたよ……。あの主催者は宇宙人とも繋がってる。
    しかもその宇宙人たちは、巨大な隕石を操ってスポーツのように相手の星を滅亡させているとんでもない連中なんだ…。」
エイリーク「じゃあ、この攻撃は……!」
ユンヌ(鳥)「おそらく、彼の部下の宇宙人が作り出したメティオね…。主催者にばれたのよ!」
その言葉を待っていたかのように、紋章町の上空に突如無数の流星が現れた。
赤、白、黄…様々な色のメティオがまるで虹のように町に降り注ぐ。
リーフ「う、うわあ!なんだこれ!」
ロイ「あ、兄さん起きたんだね!よかったー。」
リーフ「あ…う、うん。
   (あーもう、本当は気絶したふりを続けてラクしようと思ったのに…あんまりすごいから思わず声を上げちゃったよ…。)」
マルス「どこかで僕らの会話を聞いていたんだよ!あいつは…紋章町ごと僕らを口封じするつもりだ!」
ミカヤ「いけない…このままじゃ、町が!」
アイク「…元々俺がまいた種だ。俺は町を守りながら残りの“俺たち”を探しに行く。みんなはここで待機していてくれ。」
ミカヤ「何言ってるのよ、アイク!」
アイク「だが……。」
エイリーク「そうですよ。みんなで行きましょう。」
エフラム「俺も兄上(赤)と約束した。必ず兄上たちを連れて帰ると。」
リーフ「兄さんだけに、おいしいとこ持って行かせらんないね!」
エリウッド「兄さん一人が全責任を負う必要はないよ。」
ロイ「みんなで兄さんたちを助けよう!」
セリス「僕らだって兄さんの力になれるよ!」
ヘクトル「あんな危険なもんを降らせやがって…許せねーー!」
マルス「全く…心底いけ好かない主催者だよねー。」
ユンヌ(鳥)「アイクたちを守るのは負の女神ユンヌちゃんの天命よ!」
ユリア「町のことならご心配なく。」
イドゥン「私たちが…守ります。」
アイク(灰)「…俺も……イドゥンたちと…一緒に……町……守る。
       みんなのこと…頼んだぞ。」
ユリウス「本当はどうしてアイクが二人もいるかすっごく気になるけど、ま、聞かないでおいてやるから安心しろよ。」
アイク「みんな……すまんな。じゃあ、行くぞ!」
一同「おーーーっ!」

300 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/12/02(火) 18:52:46 ID:SV+ECzOj
マルス「あ、兄さん。水を差すようで悪いけど、僕はちょっとやるべきことがあるから別行動をさせてもらうよ。」
アイク「やるべきこと?」
マルス「うん。…このメティオに対抗する作戦を思いついたからさ。」
アイク「本当か!?」
マルス「うん。それと、もし兄さんたちをみんな探し出せたら、僕らの家に集めておいてくれないかな?」
アイク「ああ。わかった!」
マルス「よし、行くよリーフ!」
リーフ「ええ!?僕も行くの!?」
マルス「もちろんさ。たっぷり眠って疲れもとれたろう?さ、早く!」
リーフ(起きたとたんにこき使われて…やっぱり寝たふりしておくべきだったよ。とほほ……。)
マルスはリーフを連れて急いで走り去った。
ヘクトル「ところで兄貴、残りの奴らの場所はわかんねえのか?」
アイク「ちょっと待て……………ん?おかしい。何か…ふらふらする……。」
エイリーク「ふらふら?」
アイク「ああ…今、“俺たち”のつながりを使って俺(緑)と連絡をとろうとしたんだが……。
    視界が…ふらついて………。」
アイクは足をからませ、思いっきり転んでしまった。
セリス「だ、大丈夫!?」
アイク「う……ああ。よし、もう一度……。(…おい、俺(緑)!応答しろ!)」

301 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/12/02(火) 18:54:21 ID:SV+ECzOj
サザ「なあ、あんたら…二つほど聞きたいことがあるんだが。」
シグルド「ん?」
リン「なぁに、サザ?」
サザ「一つ目。何で緑以外立ち入り禁止のこの居酒屋に、
   わざわざ緑じゃない奴(シグルド)をつれて天井から派手に入店するなんて真似をしたんだ?ヘタしたらリンチ喰らってたぞ。」
リン「こっちが聞きたいくらいよ!いつの間にかこんなところにいたんだもの!」
シグルド「まあ、いいじゃないか。他に客はいないんだし。」
サザ「う…まあな。マスターは今留守だし、店番を任された俺が全責任を負えばいいことだからな。
   あんたらには日頃お世話になってるし……。」
リン「で、もう一つは?」
サザ「…何で今日の団長はやけに緑色で、しかもやたらと俺に絡んでくるんだ?」
アイク(緑)「サザ!酒が足りんぞぉ!もっと持ってこーい!」
リン「あーそれは……。」
シグルド「まー、そんな日もあるさ!はっはっは!」
リン「アイク兄さん(緑)もシグルド兄さんも、相当お酒まわってきたみたいね…。」
アイク(緑)「だいたい不公平なんだ!同じ緑のくせに三角の勇者やでっていうは目立ってるのに、俺たちと来たらなんだぁ!?
       あまりに扱いがひどすぎるだろ!」
サザ「団長……あんたは青色だろ?」
アイク「なにを言っている!俺たちはぁ、この色のせいで散々永遠の二番手だの、緑(笑)だの言われてきた仲間だろぉ!
    さあ、今日は飲むぞ!」
サザ「リン……団長に何があった?」
リン「えっと…話せば長くなるんだけど……。」
と、豪快に酒を飲んでいたアイク(緑)が突然頭を抱えだした。
アイク(緑)「うう……。」
リン「兄さん(緑)?」
アイク(緑)「頭いてええ……。」
シグルド「なんだアイク(緑)、その程度でギブアップか?まだまだだな!はっはっは!」
リン「そういう問題じゃないでしょ!兄さん(緑)、大丈夫?」
アイク(緑)「…飲みすぎだろう。少し横になったほうが……。」
アイク(…おい、俺(緑)!応答しろ!)
アイク(緑)「……あ?俺から…声が…。」
リン「ええっ、兄さんから!?兄さん、いつの間にエスパーになったのよ!?」
サザ「おいおい、本当に今日の団長どうなって……。」
シグルド「まーまー、サザ!私たちも一緒に飲もうじゃないか!」
サザ「ちょ…俺は仕事中で……わっぷ!」

302 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/12/02(火) 18:56:14 ID:SV+ECzOj
アイク(緑)「なんか用か~主役さんよ~。」
アイク(お前…まさか、酔ってるのか?)
アイク(緑)「はあ?俺はぜんっぜん平気だ!」
アイク(…まあいい。今お前はどこにいる?)
アイク(緑)「ここは緑しか入れない居酒屋だ!お前は入れないぞぉー!ざまーみろ!」
アイク(……そこを動くな。今から迎えに来るからな。)
アイク(緑)「…あ、聞こえなくなった。」
リン「ねえ、本当にアイク兄さんからだったの?」
アイク(緑)「知らん!俺は何も聞いていなぁーい!」
リン(もう…このアイク兄さん(緑)、妙にうちのアイク兄さんに劣等感持ってるみたいね……。
   元は一人なのにねえ。)
その時、店の奥から緑の影が現れた。
リン「あ…マスター!」
マスター「おや、リンさん。お久しぶりですね。どうですか?サザはあなた方にご迷惑をかけておりませんか?」
リン「ええ。まあ……。」
サザ「うっしゃあああああ!団長!今日は飲むぜええ!今日はあんたと俺の記念日!みどりの日だあああ!」
アイク(緑)「おおお!」
シグルド「お前たち、今日は私がおごってやるぞ!どんどん飲め!」
三人「わっはっはっは!」
リン「………。」
マスター「なんと、サザめ、お客様と一緒に酒を飲むとは!なんという……ん?んん!?」
マスターは飲みまくる三人のうちの一人―――――アイク(緑)を見て目を丸くした。
アイク(緑)「んん?あんたがマスターかぁ?あれ…そういえば、前どこかで……?」
マスター「ホッハッヒッヘッフ!?」
リン「マ、マスター、どうしたんですか!?」
マスター「え、ああ、す、すみません。あまりに驚いたものですから……。」
リンの呼びかけで、驚きのあまりおかしなポーズをしていたマスターはいつもどおりの落ち着きを取り戻した。
が、それでもまだその顔は驚愕に満ちている。

303 名前: アイク・ザ・レインボー [sage] 投稿日: 2008/12/02(火) 18:59:49 ID:SV+ECzOj
マスター「とにかく、あなたはここにいてはいけません!すぐにもといた場所に帰らないと……。」
サザ「マスタァ?なーにを言ってるんですかあ?」
アイク(緑)「俺は今日は帰らんぞおおお!」
バシャア!
サザ「うおお!?」
アイク(緑)「つ、冷たい!」
マスター「それで少しは酔いも覚めたでしょう。」
リン「マスター!?何を……。」
マスター「いいですかリンさん、この“アイク”さんを早く帰るべき場所へ………。」
ヒュウウウウウウ……ドゴオオオオン!
シグルド「う、うおお!?」
アイク(緑)「な!?」
リン「なに、今の音!?」
マスター「やはり……もうすでに…さあ、みなさん早く!裏口へ!」
マスターに連れられて、訳のわからないうちにリンとアイク(緑)は店の裏口から外へと出た。
マスター「先ほどの爆音は、地区対抗格闘技大会主催者の攻撃です!
     アイク(緑)さんの存在を外部に漏らさないように、この町ごと消すつもりなのですよ!」
リン「な、なんですって!?」
マスター「わかったなら、早く!」
リン「なんかちょっと、まだ頭がこんがらがってるけど…わかりました。とにかくアイク(緑)兄さんを連れて帰ります!」
アイク(緑)「いやだ!俺はもっとサザと語り合いたいんだ!」
リン「そんなこと言ってないで、早く行く!」
アイク(緑)「黙れ!お前にはどうせわからん!俺たち哀れな緑の気持ちなんて……。」
リン「………。(ソールカティを構える)」
アイク(緑)「よし!みんな、行くぞ!誰も死ぬな!」
リン「全く………。」

シグルド「あっるええ~?みんな、どこ行ったんだあ~?」
マスター「しまった…シグルドさんを忘れていましたね……。」
サザ「仕方がない。俺が送っていこう。ついでにリンたちとも合流して……。」
マスター「それはありがたい。…ですがその前に、サザ、何か忘れていませんか?」
サザ「へ?」
マスター「…あなたは店番という立場にありながら、お客様と、泥酔するまでお酒を酌み交わしましたね?」
サザ「げっ!まさか…!?」
マスター「……反省してもらいましょう。」
マスターはおもむろに不思議な踊りを始める。するとその周りにおかしな空間が発生し、サザを飲み込んでいく!
サザ「ぎゃあああ!すいませんマスタァァァ!あ、頭に花があああ!」
意味無くこけたり、眠ったりと色々とすごいことになっているサザを尻目に、マスターは懐から出した緑の帽子を被り、
リンとアイク(緑)が去った方向を見て祈るようにつぶやいた。
ルイージ「嗚呼……どうか、無事で…緑の同志よ………。」

後編その2へ続きます。