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Last-modified: 2009-01-13 (火) 23:06:48

353 名前: エイリーク誘拐事件!!? [sage] 投稿日: 2008/12/07(日) 02:00:26 ID:PYRh4PEz
※この物語はフィクションです、実在の人物、団体、『聖魔の光石』本編、カップリングとは一切関係がありません。

―日曜昼下がり、エイリークは泣きながら兄弟家の玄関を飛び出していった。
エイリーク「うわああああああああん!!」
リーフ  「あ~あ、泣かせちゃった、ダメじゃないか姉さん」
リン   「わ、私のせい?そ、そんなこといったら、アンタだって、巨乳エロ本を姉さんの上にばら撒いたじゃない」
リーフ  「あれはナンナに見つかる前に隠し場所を変えようと・・・」
マルス  「エイリーク姉さんが階段を登ったところ、巨乳エロ本の束を持ったリーフとぶつかる。巨乳の写真に埋もれた姉さんは凹む。
そして、階段を駆け下った姉さんが足を滑らせ、階下に転げ落ちたのを、リン姉さんがキャッチ。
しかし、エイリーク姉さんの眼前には、我が家1の巨乳がありましたとさ。
巨乳をこれでもかと見せられた後に、実の妹の巨乳をつきつけられたら、そりゃ家も飛び出すよね・・・ま、そのうち戻ってくるでしょ」

―泣きながら街中を駆けるエイリークは、ある人物にぶつかってしまった。
エイリーク「あんなに巨乳を見せ付けて・・・貧乳に、貧乳に何の罪が・・・きゃ!!あ、も、申し訳ありま・・・あなたは!!」
ヴァルター「くくく・・・エイリークではないか。久しぶりだな?」
エイリーク「く・・・」
ヴァルター「警戒するな、何もする気はない・・・それよりも、泣いていたようだがどうした?」
エイリーク「いえ、たいしたことでは・・・あ、あの、1つ伺ってもよろしいですか?」
ヴァルター「何だ?」
エイリーク「大きな胸と、小さな胸、どちらがお好きですか?」
ヴァルター「くくく・・・愚問だな。小さな胸に決まっているだろう」
エイリーク「ほ、本当ですか!!?」
ヴァルター「巨乳を否定はしないが、平坦な胸には遠く及ばない。真の豊かさを表した完璧な美がそこにある」
エイリーク「・・・ヴァルター!!(ヴァルターに抱きつく)」
ヴァルター「!!」
エイリーク「申し訳ありません、私は、私はあなたを誤解しておりました・・・」
ヴァルター「くくく・・・そうか・・・それでは我が元へくるか?」
エイリーク「・・・はい」
ヴァルター「くくく・・・」

―買い物帰りのヘクトルの上空を、一匹のワイバーンが飛んでいった。
ヘクトル 「ったく、なんで俺が買出しなんか・・・って、あれは!!・・・今のワイバーンに乗ってる女・・・エイリークだったよな・・・。
・・・しかも、もう1人はヴァルターじゃねえか!!おい、これって、まさか・・・誘拐!!?く・・・とりあえず家に戻って報告だ!!」

―兄弟家
兄弟家一同「な、なんだってーーーー!!」
エリウッド 「エ、エイリークが・・・誘拐!!?」
セリカ  「ヴァルターって、たしかFE史上最強の変態といわれたワイバーンナイトよね、しかもエイリーク姉さんに執着していた気が・・・」
アルム  「そんな変態につかまったら・・・」
マルス  「大変だよ!!今頃姉さんは裸にされて縄で縛られながら・・・」

エイリーク「いや・・・やめて下さい・・・」
ヴァルター「くくく・・・体はもっとやってほしいようだぞ。この淫乱娘が?」
エイリーク「ああ、ヴァルター・・・」
ヴァルター「『ヴァルター様』だろ」
エイリーク「ヴァルター様・・・」

リーフ  「ブハァァァァァァ!!」
リン   「マルス、何てこと言うのよ!!リーフも実の姉のピンチに欲情してんじゃないの!!」
シグルド 「だが、危険な状況だということに変わりはないな」
エリンシア「そうです、あの子の体や貞操に何かあったら・・・早く助けに行きませんと!!」
ミカヤ  「全員最強装備を5分以内に準備しなさい、エイリークを救出に行きます」
兄弟家一同「了解」

―5分後
ミカヤ  「準備はいいわね。すぐに出発するわよ・・・ってエフラムは?」
アイク  「エフラムならヘクトルが報告をした瞬間、ジークムントを持って家を飛び出したぞ」
ロイ   「速!!」
セリス  「僕達も急ごうよ!!」
354 名前: エイリーク誘拐事件!!? [sage] 投稿日: 2008/12/07(日) 02:01:45 ID:PYRh4PEz
―10分後、ヴァルターの屋敷前
マルス  「ここがヴァルターの屋敷『蛇竜館』か。屋根の上にはワイバーンの像・・・変態の棲家に相応しい趣味の悪さだね」
ヘクトル 「表札が『ヴァルター?』って自分の家なのに『?』つけんなよ」
リン   「ね、ねえ・・・中から血のにおいがするんだけど・・・」
セリカ  「そ、そんな・・・な、中で何が起こっているの?」
シグルド 「私が扉を開ける。中では何があるかわからん、皆、気をつけるんだ」

―シグルドが扉を開けると、そこにはこの世のものとは思えない惨劇が起こっていた。
エフラムがヴァルターを押さえつけ、メッタ刺しにしていたのだ。
エフラム 「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!言え、エイリークをどこにやった!?言うんだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ヴァルター「ぐ・・・がぁぁぁぁぁ」
シグルド 「セリス、セリカ、見ちゃダメだ!!」
リーフ  「攻撃するたびに、滅殺やら月光やら、物騒なスキルが発動してる・・・あ、今天空がでた」
ヘクトル 「シスコンパワーってすげえんだな・・・」
アイク  「今の状態のエフラムと、一度手合わせしてみたいものだ」
ロイ   「ちょ、冷静に解説している場合じゃないでしょ!!」
リン   「もうやめて、とっくにヴァルターのライフはゼロよ!!」
エフラム 「HA☆NA☆SE!」
シグルド 「エフラム、落ち着け。その状態では喋れるものも喋れない」
エリウッド「うぷ・・・と、とりあえず、杖を使える人、治療をお願いします」
ミカヤ  「リカバー」
ヴァルター「はぁ、はぁ、エフラム、貴様・・・悪魔か?」
リーフ  「そんなことより、姉さんはどこだ!!?どこで調教した!!?」
ヴァルター「調教?意味がわからんが、エイリークならそこのリビングにいるぞ?」
ロイ   「だから、なんで『?』なの?」

―兄弟家一同がリビングに向かうと、エイリークはソファーに座りながら紅茶を飲んでいた。
エイリーク「兄上、どうしてここに?」
エフラム 「エイリーク!!(ガバッ)」
エイリーク「え、あ、兄上、そんな、急に抱きついて・・・どうなさったのですか?」
エフラム 「お前は何も悪くない。操は失っても、お前が大切な妹ということは変わらない。これからは兄と強く生きていこう」
エイリーク「・・・あの、どういう意味ですか?」
ミカヤ・エリンシア「エイリーク!!(ガバッ)」
エイリーク「あ、姉上まで・・・」
ミカヤ  「たとえ体がどうなっても、心までは汚れていないわ。あなたは綺麗な女の子のままよ」
エリンシア「今日のことは犬に噛まれたものと思うの。気に病んじゃダメよ」
エイリーク「????」
ヴァルター「さっきから貴様らは何をわけのわからんことを・・・」
ヘクトル 「ヴァルター、てめえ!!」
リン   「姉さんに何したのよ!!」
ヴァルター「何のことだ?」
マルス  「とぼけるな、姉さんを調教して陵辱したくせに!!」
リーフ  「そうだ、口では言えないあんなことやこんなことをしたんだろ!!」
ヴァルター「????」
シグルド 「何があったか、正直に言ってもらおう」
アイク  「事の次第ではただでは済まさん」
エイリーク「あの・・・状況がよくわからないのですが、もし私のことを心配してくれているのなら、その必要なありません。
私はヴァルターの家に招かれ、お話していただけですから」
エイリーク除いた兄弟家一同「えええええ!?」
リーフ  「嘘だ、だってあのヴァルターだよ」
マルス  「そうだ、FE史上最悪の変態が、エイリーク姉さんを家に連れ込んで何もしないはずがない!!」
アルム  「姉さん、恥ずかしい気持ちはわかるけど、正直に答えてよ」
セリカ  「は!!まさか、既にヴァルターの調教が完了しているんじゃ・・・」
ヴァルター「くくく・・・どうやら貴様らはよっぽど私に喰われたいようだな」
エフラム 「エイリーク、正直に答えろ、本当に何もされていないんだな?」
エイリーク「は、はい」
エフラム 「本当だな、おれの目を見て言えるな?」
エイリーク「/////・・・は、はい」
エフラム 「・・・おい、ヴァルター、ちょっとこい」
ミカヤ  「エイリーク、アイク、エリンシア、セリカ、セリス、ロイはここに待機、後の人はついてきて」
355 名前: エイリーク誘拐事件!!? [sage] 投稿日: 2008/12/07(日) 02:03:04 ID:PYRh4PEz
―ヴァルターとエフラムたちは廊下に出た。
エフラム 「おい、どういうことだ、なぜエイリークに何もしていない?」
ヴァルター「くくく・・・貴様は、エイリークに何かして欲しいのか?」
エフラム 「ふざけるな、貴様ほどの変態が、家に連れ込んで何もしないのが解せないだけだ」
ヴァルター「私に喰われたいのか?」
ミカヤ  「あなた、エイリークを屈服させるとか支配するとか言っていたじゃない」
ヴァルター「それがどうした?」
リン   「屈服とか支配とかって、つまりは・・・その・・・いやらしいことするつもりだったんでしょ」
ヴァルター「愚かな・・・力づくで女の体を奪って何になる?それでは女の心が手に入らないだろう」
リン   「え・・・?」
ヴァルター「そうではなく、まずはその女のために尽くし、己の身も心も捧げる。
そして、運よく女が己に振り向いてくれたとしても、驕らずに尽くし続ける。そうして、はじめて女の心が手に入る。
体などは最後でかまわないのだ。
いいか、これが女を屈服させ、支配するということだ?」
マルス  「何、その真っ当な恋愛論?」
アルム  「っていうかそれ屈服とか支配とか言わないよね、ただの誠実な恋愛じゃん」
シグルド 「私も愛する女性がいるのだが、彼女は他の男に心が向いている。それは、私の愛が足りなかったのだな」
ヴァルター「そうだ、嘆く暇があったら、すこしでもその女に尽くすことだな・・・。
それでもダメなら貴様はそれまでの男ということだ、大人しくその女の幸せでも願ってやれ・・・くわっはっはっは・・・」
シグルド 「はい、わかりました。うう・・・感動した」
アルム  「ねえ、言っていることは正しいんだから、その口調何とかならない?」
ヴァルター「直そうと努力はしているが、なかなか上手くいかん」
リーフ  「努力はしているんだ・・・普通にいい人じゃん」
エフラム 「ヴァルター、つまり貴様はエイリークを愛しているから、尽くそうというのだな」
ヴァルター「ああそうだ、いつか必ずあの女を屈服させ、支配してみせる」
エフラム 「ほう・・・まあいいだろう、エイリークが決めることだ。もっとも、貴様のような変態を選ぶとは思えんがな」
ヴァルター「くくく・・・私は目をつけた獲物は絶対に逃さない主義でな?」
エフラム 「そうか、俺を相手にしても、その主義を貫けるかどうか見物だな」
エリウッド「えっと・・・もしかして、これ、一触即発?」
ヘクトル 「ったく、シスコンなんだからよ」
ミカヤ  「ま、まあ、エイリークが無事だってわかればいいわ。とりあえず、もどりましょう」
ヴァルター「待て、今のことはエイリークには絶対に言うな」
リン   「何でよ?好きなんだから言っちゃってもいいじゃない」
ヴァルター「エイリークは優しい女だ、私の気持ちを知ったら、私を気遣うに決まっている。
それでは、彼女に迷惑がかかるだろう。
何も言わず、彼女に尽くし、彼女が自然と私に振り向いてくれるまで待てばいいだけの話だ」
マルス  「何、その無駄に思いやりに満ちた態度?」
ヘクトル 「実はいい人とか言うレベルじゃねえ!!」
エリウッド「ま、まあ、本人がそういうなら、僕らは黙っていないとね。とりあえず、リビングに戻らないかい?」

―リビングに集まった兄弟家に、ヴァルターは数種類のケーキとクッキー、紅茶を持ってきた。
ロイ   「えっと、このお菓子は・・・」
ヴァルター「全て私の手製だ、好きなだけ喰らうがいい?」
エイリークを除いた兄弟家一同「えええええええ!!」
アルム  「ちょ・・・料理とかするの?」
セリカ  「似合わないことこの上ないわ。実はこれ人肉入りとか?あるいは媚薬入りで、この後肉欲の宴が・・・」
ヴァルター「そこの女、貴様はいらないのだな」
セリカ  「いえ、いただきます・・・って、美味しい!!これ、並みのケーキ屋じゃかなわないレベルよ」
エリンシア「紅茶もいい香り・・・葉も淹れ方も見事ですわ」
セリス  「ヴァルターさんすごいよ、ねえ、作り方教えて。僕もお菓子作り大好きなんだ」
ヴァルター「この私に作り方を教えろだと・・・貴様、女のような顔して見上げた度胸だな。
それとも、救いようの無い馬鹿なだけか・・・?
(戸棚から紙の束を取り出す)レシピだ、もっていけ」
セリス  「わ、すごく丁寧に書いてある。ヴァルターさん、ありがとう」
ヘクトル 「普通に渡せよ」
セリス  「お礼に、今度僕の得意なお菓子の作り方、教えるね」
ヴァルター「くくく・・・それは血が躍る。私を楽しませろよ?」
ミカヤ  「セリスとも仲良くなっちゃったわね」
356 名前: エイリーク誘拐事件!!? [sage] 投稿日: 2008/12/07(日) 02:04:52 ID:PYRh4PEz
―アイクにはケーキでなく、巨大な骨付きチキンがあてがわれた。
ヴァルター「そこの男、貴様にはこちらがいいだろう、血の滴る肉だ・・・存分に喰らうがいい」
アイク   「わざわざすまない・・・ヴァルター、あんたは信頼に足る男だな」
ヴァルター「くくく・・・」
ロイ   「アイク兄さんとも仲良くなっちゃったね」
ヘクトル 「なあ、こんなデカい屋敷に住んでんのに、アンタ以外誰もいないのか?」
ヴァルター「ああ、私1人だ?メイドや使用人を雇おうとしても、誰も希望してこない」
ヘクトル (そりゃ、雇い主の顔と口調がこれじゃな・・・)
リーフ  (メイドさんとか、真っ先に貞操の危機を感じるよね)
ヴァルター「私一人では広すぎるが、代々仕事と共に受け継いだ家だから捨てるわけにもいかん」
エリンシア「お仕事というと?」
ヴァルター「株式会社グラドの役員幹部だ」
エイリーク「リオンのお父上が経営なさっているマギ・ヴァル区最大の企業ですね」
アルム  「へえ、ヴァルターさんって偉いんだ」

―ヴァルターと兄弟家の会話が弾むのを見ながら、ミカヤとエリウッドが小声で話し合っていた。
ミカヤ  「ねえ、ヴァルターのこと、どう思う?」
エリウッド「誠実ないい人みたいだね。僕たちは彼を誤解していたみたいだ」
ミカヤ  「そうね、別にエイリークにどうこうしようという気はないみたいだし」
エリウッド「それにエイリークへの気配りを欠かしていない。
いまだって、熱いお茶を飲んだエイリークにあわせて、さりげなく空調の設定温度を変えていたよ」
ミカヤ  「どうやらエイリークへの想いは本物みたいね」
エリウッド「恋愛とかそういう問題はともかく、しばらく見守ってみようよ。エイリークも楽しそうだし」
ミカヤ  「そうね・・・でも、それならさ・・・隣にいるこれ、何とかならない?」

―ミカヤの隣では、エフラムが場に不似合いな不機嫌面をしていた。
菓子には一切手をつけず、会話にも参加せず、ひたすらヴァルターを監視していた。
エフラム (少しでも変な真似をしてみろ、ジークムントが貴様の心臓を貫く)
エイリーク「あの、兄上もいただいたらどうですか。とっても美味しいお菓子ですよ」
エフラム 「要らん。それよりもエイリーク、お前、ここにはワイバーンに乗ってきたらしいな」
エイリーク「はい、ヴァルターに乗せてもらいました」
エフラム (ヴァルターめ、騎乗したドサクサにまぎれて、エイリークの体を触りまくったに決まっている。
ルネス脱出のとき、ゼトが用いたのと同じ手口・・・劣情を抱いた男は同じことを考えるものだ)
エイリーク「ヴァルターったら、私と体が触れないために、わざわざいつもと違う体勢で運転してくれたんですよ。
あの姿勢での騎乗は大変だったでしょう?あそこまで気を遣ってくれなくともいいのですよ」
ヴァルター「お前は嫁入り前だ、必要以上に男と体を触れ合わせてはならない」
エリンシア「ヴァルターさんは紳士なんですね」
エフラム (く・・・騙されてはならない。我々を油断させておいて、ばかめ・・・というのが貴様の魂胆だろう。
これからは今まで以上に神経を集中させろ!!絶対にヴァルターから目を離すな、エフラム!!)
ヘクトル 「少しは落ち着けシスコン」

―マルスも先ほどから会話に参加せず、黙って色々と考えていた。そして、突然口を開いた。
マルス  「・・・・・・あ、すいません、トイレ、いいですか?」
ヴァルター「廊下の突き当りを右だ?」
マルス  「ありがとうございます、行こうリーフ」
リーフ  「え、いや、別に僕は」
マルス  「(小声で)いいからついてくるんだ」

―リビングから廊下に出ると、マルスが口を開いた。
マルス  「リーフ、ヴァルターの私室を探すよ」
リーフ  「ええ!!なんで!?」
マルス  「声が大きい。実は僕もエフラム兄さんと同感でね。
ヴァルターの奴、紳士ぶっているけど、怪しいもんだね。内心じゃ変態的欲望を持っているに違いないよ」
リーフ  「そ、そうかなぁ・・・?」
マルス  「今からその証拠を探すのさ・・・私室が一番怪しいからね」
リーフ  「い、いいのかなぁ・・・」
マルス  「僕らの姉さんが変態の毒牙にかかってもいいの?」
リーフ  「うう・・・わかったよ」
マルス  「で、窃盗王子のリーフ君、君の経験上、私室はどの辺だと思う?」
リーフ  「この手の館だと私室は・・・」
357 名前: エイリーク誘拐事件!!? [sage] 投稿日: 2008/12/07(日) 02:05:58 ID:PYRh4PEz
―リーフが目をつけたのは、廊下の奥にある部屋だった。
ドアを開けると、そこには本棚やベッド、机、テレビ等私室に必要なものが置かれていた。
マルス  「ビンゴだね、早速捜索といきますか。まずはテレビ・・・きっと姉さんの盗撮ビデオが・・・」
リーフ  「『紋章町絶景百選』『アンパントマン』『百一匹ワイバーン物語』、どれも健全なものばかりだね」
マルス  「次は本棚だ、きっと『女を屈服させる調教マニュアル』とか『SM大全』みたいな変態本が山ほど」
リーフ  「『ワイバーン騎乗上級編』『世界の美術大百科』『平和への道』・・・いたって真面目な本ばかりだね」
マルス  「ちっ・・・ん、これってもしや・・・リーフ反対側を押して(奥からもう1つ本棚が現れる)。
やっぱり二重本棚だ。わざわざ二重にしてあるってことは、今度こそ隠したい変態本が山ほど・・・」
リーフ  「『言葉遣いの直し方』、『勇気を出してコミュニケーション』、『シャイな男性のための恋愛入門』、
コミュニケーションと恋愛入門に関する本で埋め尽くされてているみたいだけど」
マルス  「えっと、つまり、ヴァルターはこういう本で人との付き合い方を勉強していたと・・・」
リーフ  「普通に努力家のいい人じゃん、やっぱり兄さんの思い過ごしなんだよ」
マルス  「いいや、そんなはずは無いね。次は机だ。
おお・・・日記発見!!きっと中は姉さんに対する変態的欲望がズラズラと・・・これは読むしかないね」
リーフ  「ちょ・・・いくらなんでもそれはまずいって」
マルス  「姉さんが毒牙にかかってからじゃ遅いんだ!!さあ、ご披露!!」

○月×日 晴れ
今日、ルネス女学院の校門前を通ったらエイリークが友人と歩いていた。
声をかけようと思ったが、私のことを見て怖がるといけない。
彼女達に気づかれないよう、私はその場を去った。
最愛の女を一目見ることができただけで、満足すべきなのだ。
会社で部下に口調が怖いと言われた・・・自分でもわかっているがなぜか直らない。
しかし、これを直すまでエイリークと口を利くわけにはいかない。

マルス  「・・・」

○月△日 晴れ
夜、たまたま通った路地裏で、エイリークが暴漢に襲われていた。
距離をとってスレンドスピアを投げ、暴漢を成敗した。
私の姿を彼女に見られていないようなので安心した。
彼女のことだ、私が助けたことを知ったら、私に礼をするに決まっている。
私のことで、彼女に気遣いをさせるのは忍びない。
あと今後このようなことが無い様、防犯灯の設置を自治会に投書しておいた。

リーフ  「・・・・・・」

○月□日 曇り
私は、やってはいけないことをやってしまった。
エイリークの写真を、本人にだまったまま1枚手に入れてしまったのだ。
欲望に負け、知らず知らずに彼女を辱める真似をした私は、許されるものではない。
今すぐ焼き捨てるべきだが、この微笑を捨てることが、私にはできない。
教会に行って懺悔をしたが、神父は『気に病むことないですよ』としか言ってくれなかった。
しかし、私は自分を許すことはできない。
(そのページにはエイリークが微笑んでいる一枚の写真があった)

マルス  「・・・えっと、何これ?」
リーフ  「滅茶苦茶純情でいい人じゃん」
マルス  「でも、この写真は?」
リーフ  「それ、姉さんがコンクールで賞をとったときの記念撮影でしょ。
女学院の文化祭で普通に販売されていたよ、もちろん本人公認で。
そりゃ、懺悔された神父も『気に病むことないですよ』としか言えんわ」
マルス  「・・・まだ疑いの余地が・・・」
リーフ  「はいはい、いい加減に戻らないと怪しまれ」
ヴァルター「おい、貴様ら」
マルス・リーフ「!!!!は、はいいい!!」
ヴァルター「ここは俺の私室だ、貴様らが戻る場所ではないぞ?」
マルス  「え、いや、あの、こ、こ、この館広くて迷っちゃって・・・」
ヴァルター「くくく・・・そうか、ではついてこい」
マルス  「は、はーい」
358 名前: エイリーク誘拐事件!!? [sage] 投稿日: 2008/12/07(日) 02:09:49 ID:PYRh4PEz
―ヴァルターに案内された部屋は、リビングではなかった。
ヴァルター 「音楽室だ、入れ」
リーフ  「お、音楽室!!そ、そんな物まで!?」
ヴァルター「そんな物でも作らん限り、この屋敷は1人では広すぎる」
マルス  「ヴァルターさんのお好きな音楽っていうとやっぱり・・・」

ヴァルター「SATUGAI SATUGAIせよ SATUGAI SATUGAIせよぉぉぉぉぉぉ KILL KILL KILL KILL」

マルス  「って感じですか?」
ヴァルター「ロックも嫌いではないが、今回の趣とは違う」
リーフ  「今回の趣?」
ヴァルター「入ればわかる、他の連中は既に中にいるはずだ」

―中に入ると、そこは小規模のコンサートホールだった。
壁や天井には音響装置が施され、ステージの前には客席が設けられ、そこには兄弟家の面々が着席していた。
グランドピアノが設置された小さなステージでは、エイリークがバイオリンの試し弾きをしている。
ヴァルター「どうだ、なんとかなりそうか?」
エイリーク「はい、とても素晴らしい楽器ですね、私が普段使っているものより、よほど上等なものです」
ヴァルター「くくく・・・それはよかったな」
リーフ  「ええっと、一体何が行われるの?」
ミカヤ  「あなた達がいない間に、エイリークのバイオリンとヴァルターさんのピアノで競演しようって話になったのよ」
リーフ  「ちょ、ヴァルターさん、ピアノ弾くの!!!?」
ヴァルター「かれこれ20年以上な」
マルス  「似合わNEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!」
ヴァルター「私の演奏を聴いたあとにも、同じ言葉が聞けるかどうか楽しみだな・・・くわっはっはっは・・・」
マルス  「だからその笑い方、何とかなんないの?」
エイリーク「ヴァルター、準備ができました」
ヴァルター「そうか、では始めよう。私を楽しませろよ、エイリーク?」
シグルド 「アイク、ヘクトル、エフラム、寝るんじゃないぞ」
アイク  「努力はする」
ヘクトル 「最初の一分は絶対に起きてるぜ」
エフラム 「・・・・・・(←不機嫌)」
エイリーク「それでは、私とヴァルターによる『ピアノとバイオリンのための協奏曲 第1楽章』、どうぞお聴き下さい」

―エイリークが軽くお辞儀をし、ヴァルターと一度目を合わせた。
そして、ヴァルターによるピアノ前奏が始まり、続いてエイリークがバイオリンを奏で始めた。
演奏は完璧だった、両者とも相当な腕前であるだけでなく、
まるで、何十年も共演しているかのように2人の息がピタリと合っていたのだ。
兄弟家一同は、その演奏に聴き惚れていた。
普段は一分以内に確実にスリープがかかるアイク、ヘクトル、エフラムの3人でさえ、
あまりの素晴らしさに眠気を忘れ、聴き入っていたのだ。
もっともエフラムは終始、仏頂面だったが・・・。
エイリーク「(演奏を終える)・・・以上です、ご清聴ありがとうございました」
兄弟家一同「ブラボーーーーー!!」
エリンシア「素晴らしい演奏でした」
セリス  「すごい、すごいよ、僕、感動しちゃった」
ロイ   「なにがすごいって、この3人が寝ていないところがすごいよ」
ヘクトル 「あまりにすごすぎて、眠気も吹き飛んじまったぜ」
アイク  「音楽をここまで素晴らしいと思ったのは、生まれて初めてだ」
エフラム 「・・・・・・(←超不機嫌)」
エイリーク「ありがとうございます」
ヴァルター「くくく・・・我が力、思い知ったか」
エリウッド「それにしても二人の呼吸はピッタリだったね。はじめてだとは思えなかったよ」
セリカ  「きっと、心の奥で通じ合っているからよ。わたしとアルムみたいにね」
アルム  「そうだね」
エイリーク「ふ、2人とも、何を言い出すのですか/////」
シグルド 「そこ、KINISHINをするな。しかし、私も同感だな、お互いに信頼と強い想いがない限りあの演奏はできない」
エイリーク「も、もう、兄上までそんな・・・/////」
エフラム 「・・・・・・(ガシッガシッ)」
リーフ  「痛い痛い、槍刺すのやめて!!」
359 名前: エイリーク誘拐事件!!? [sage] 投稿日: 2008/12/07(日) 02:12:19 ID:PYRh4PEz
エイリーク「ヴァルター・・・素晴らしい腕前でしたね」
ヴァルター「くくく・・・お前には及ばん」
エイリーク「今度は、他の方も呼んで聴かせたいのですが・・・また一緒に演奏していただけますか?」
ヴァルター「いいだろう、獲物は多い方が望ましい」
エイリーク「/////」
ヴァルター「・・・」
リン   「(小声で)え、何、この間?ひょっとしていい雰囲気?」
ヘクトル 「(小声で)知らねえよ・・・でも、エイリークの顔、かなり赤いよな・・・」
エフラム 「・・・・・・(グサッ!!)」
リーフ  「あぎゃああああああ!!」
エリウッド「はい傷薬。エフラムもリーフに八つ当たりしない」

―その時、玄関の呼び鈴が鳴った。
ミカヤ  「あら、誰か来たみたいね」
ヴァルター「私が出る、お前達はリビングで待っていろ」

―数分後、ヴァルターは5人の客をリビングに連れてきた。
エフラム 「デュッセル師匠!!」
デュッセル「おお、エフラムではないか。それにご家族の方まで」
ミカヤ  「いつも弟がお世話になっております」
エフラム 「あの、なぜここに?」
デュッセル「実は珍しい槍が手に入ったのでな、ヴァルターと品評をしようと持ってきたのだ。
後でそなたにも見せようと思ったがちょうどよかった、一緒に鑑賞しよう」
エフラム 「は、はあ・・・」
セリカ  「ねえ、アルム、この人たちって・・・」
アルム  「グラド社の幹部役員・・・いわゆる『帝国六将』だね。たしか、通称に鉱石の名前がついているんだ」
エリンシア「あの、他の方は、どういったご用件でいらしたのですか?」
ケセルダ 「おう、いいウイスキーが手に入ったから、皆と飲もうと思って持ってきた」
グレン  「ヴァルターと竜の話をしようとおもってな」
セライナ 「お料理を作りすぎちゃって、だから皆と食べようと思って持ってきたの」
アーヴ  「ふぇふぇふぇ・・・魔王フォデスについての新たな文献を見せに来たのじゃ。
皆、魔王(笑)と馬鹿にし、ろくに目もくれんが、ヴァルターは真面目に話を聞いてくれるでの」
デュッセル「皆で何かを楽しもうとする時はヴァルターの館に集まろう、と、取り決めていてな」
マルス  「ちょ・・・あ、あんた達って仲良いの!!?」
ケセルダ 「おう、紋章町ひろしといえど、俺たちより結束の固い幹部を抱えた企業はないぜ」
兄弟家一同「な、なんだってーーー!!」
ロイ   「ごめん、一番仲悪いと思ってた。だって本編が本編だからさぁ・・・」
セライナ 「正直最初はギスギスしていましたよ」
グレン  「だが、ヴァルターが率先して皆の中を取り持ってくれたおかげで、我々の結束は高まったのだ」
兄弟家一同「ええええええええ!!」
ケセルダ 「共通の話題を見つけたり、積極的に飲み会を開いたり、ヴァルターの努力はすごかったぜ」
アーヴ  「今まで誰も聞いてくれなかったわしの話を、ヴァルターのやつは一晩ずっと熱心に聞いてくれたのじゃ。
ロストンの連中ですら、わしを認めてくれなかったのに・・・こやつは・・・うおおおお(泣)」
デュッセル「『ヴィガルド社長は病に伏している今こそ、我々が奮闘せねばならない。
それなのに仲違いをしている場合ではないだろう』
ヴァルターが、そう我々に呼びかけたとき、私は己の愚かさを自覚したのだ。
それ以来、我々はお互い切磋琢磨しながらも、グラドのために尽くそうと日々協力し合っている」
セライナ 「今の我々、さらには今のグラドがあるのは、ヴァルターのおかげです」
ヴァルター「買いかぶりすぎだ。私は仕事を円滑に進めるために、当然のことをしたにすぎない?」
ケセルダ 「謙遜するんじゃねえよ」
マルス  「何、この無駄に理想的な信頼関係?」
リーフ  「ヴァルターさん、仕事も完璧なの!!?」
シグルド 「なんと素晴らしい、わが社など、私とアルヴィスですら仲違いしているというのに・・・」
セリカ  「それは、三角関係だからでしょ」
ヴァルター「まあいい、お前達、夕食を喰らっていくがいい」
エイリーク「え、そんな、悪いですよ」
ヴァルター「気にするな、獲物は既に用意してある・・・20人分以上なので少々時間がかかるが、そこで待っていろ」
エイリーク「あ、あの、お手伝いします」
エリンシア「私も手伝いましょう」
セリス  「僕もやるよ」
360 名前: エイリーク誘拐事件!!? [sage] 投稿日: 2008/12/07(日) 02:15:34 ID:PYRh4PEz
―厨房
ヴァルター「くくく・・・どうだ、私に切り刻まれる気分は?少しくらいは抵抗しないと、楽しみがないぞ」
セリス  「す、すごい包丁捌き・・・野菜が見る見る刻まれていくよ」
ヴァルター「なんと喰いがいのある獲物だ・・・見ているだけで血が躍る、さあ私を楽しませろ?」
エリンシア「すごいわ・・・お肉もお魚も高級品ばかり」
ヴァルター「くわっはっはっは・・・抵抗できずに炎に包まれ、焼かれるのを待つばかりとは哀れな姿だな。
私にもわかるぞ、貴様の肉体が焦げていく匂いがな・・・
さあ、命乞いしろ、羊のようにあわれっぽい声で鳴いてみせろ?」
エイリーク「オーブンの中のローストビーフ、とてもいい匂いですね。
中から聞こえる『ジュ』という肉汁の音も食欲をそそります」
マルス  「あのさあ、3人とも他にコメントするところがあるでしょ・・・」

―1時間後、数々のお手製料理が並び、宴会が始まった。
ある意味異様な光景だが、宴会は終始和気藹々とした雰囲気で進んだ。
夜の9時を回ったころ・・・
ケセルダ 「そろそろお開きにすっか」
セライナ 「そうね、明日の仕事もあるしね」
グレン  「午前10時にシレジアとの会合がある、打ち合わせをしたいので、8時には役員会議室にきてくれ」
アーヴ  「ふぇふぇふぇ・・・明日また会おう」
デュッセル「それでは失礼する」
ヴァルター「くくく・・・また来るがいい」
ミカヤ  「わたし達もそろそろ失礼しましょうか」
エイリーク「・・・名残惜しいですね」
ヴァルター「だが、もう9時だ。家に帰って明日に備えるんだ。私の蛇竜で送ろう」
エイリーク「いえ、家族と一緒ですから、歩いて帰ります」
ヴァルター「そうか、では玄関まで送ろう」

―館の玄関に集まる兄弟家一同
エリンシア「今日は何から何まで、お世話になりました」
ミカヤ  「次は我が家に遊びに来てください」
アイク  「今度、訓練に付き合ってくれないか」
シグルド 「仕事帰りに2人で一杯飲みたいので、時間があったら連絡して欲しい」
ヴァルター「くくく・・・いいだろう」
マルス  「(小声で)ちょ・・・年長組に気に入られた!!」
ロイ   「(小声で)これは・・・まさか!!」
エイリーク「あの、ヴァルター、今日は本当にお世話になりました」
ヴァルター「くくく・・・私も楽しかったぞ?」
エイリーク「それでは失礼します・・・また、お会いしましょう」
ヴァルター「エイリークよ・・・」
エイリーク「はい」
ヴァルター「私の顔をよく見ておけ。お前を屈服させ支配する男の顔だ」
マルス  「ヴァルター的告白キターーーー!!セクハラ発言にしか聞こえないところがすごいよね!!」
エイリーク「ふふふ・・・楽しみにしていますよ」
ロイ   「しかも、姉さんも満更じゃないみたい!!」
ヴァルター「・・・・・・」
エイリーク「////////////」
リン   「だから、この間は一体なによ!?」
エイリーク「そ、それでは、失礼します。皆、行きましょう」

―帰路
アルム  「・・・普通にいい人だったね」
セリカ  「そうね、わたし達、今まで誤解していたみたいね」
エリウッド「いや、もういい人とか言うレベルを超えているような・・・」
リン   「誠実で、紳士的で、努力家で、ピアノと料理が美味くて、仲間思いで、大企業の幹部・・・完璧じゃない」
マルス  「顔と口調は怖いけどね」
シグルド 「信頼できる男であったな。私など、最後には本気でエイリークの相手に、と思ったぞ」
アイク  「奴になら家族を任せられる・・・俺はそう感じた」
ミカヤ  「そうね、実はいい人やロリコン教師より、ずっと相応しい相手だと思うわ」
エリンシア「今度我が家にいらしてもらいましょう」
セリス  「うん、今度は僕達がご馳走してあげたいよね」
361 名前: エイリーク誘拐事件!!? [sage] 投稿日: 2008/12/07(日) 02:17:46 ID:PYRh4PEz
エイリーク「も、もう、皆、早とちりをしすぎです。
ヴァルターの気持ちや都合もありますし、あまり我々だけで決めてしまっては、彼に迷惑が・・・//////」
マルス  「と、いいつつも、顔が赤くなっているエイリーク姉さんでした」
エイリーク「こ、こら、マルス//////////」
エフラム 「・・・・・・ウガァァァァァァァァァァァ!!!!」
リーフ  「え、ちょ、だめ、いくらなんでもジークムントは、うぎゃああああ!!」
ロイ   「大事な妹を他の男に取られて、しかも男は完璧なので反対する理由も妨害する理由も見つからず。
怒りのやり場がなくなったので、仕方なくリーフ兄さんに八つ当たり・・・こんなところかな」
ヘクトル 「ったく、どうしようもないシスコンだな、エフラムは」
リーフ  「ちょ、冷静に解説してないで助けて!!僕は何にも悪くないのに!!」
エフラム 「いいから、黙って俺に刺されろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
リーフ  「こ の ひ と で な し ぃ ぃ ぃ ぃ!!!!!」

―翌日、ルネス女学院放課後
ターナ  「へ、へえ・・・き、昨日そんなことがあったんだ・・・」
エイリーク「はい、今度、2人も演奏を聴きにきてください」
ラーチェル「え、ええ、き、機会がありましたらね・・・」
ターナ  「(小声で)ちょっと、どういうことなの、これ?今朝からずっとヴァルターの話ばかりじゃない」
ラーチェル「(小声で)わ、わかっていますわ。そ、それも、話す時には必ず顔が赤らめていますのよ」
ターナ  「(小声で)まさか・・・恋?」
ラーチェル「(小声で)認めたくないですけど、あるいは・・・」
エイリーク「・・・どうしましたか?」
ターナ  「う、ううん・・・」
ラーチェル「な、なんでもありませんわ」

―フレリア家
ターナ  「ただいま・・・って、何してるの、お兄様?」
ヒーニアス「む、帰ってきたか、妹よ・・・これはエイリーク用に仕立てた特注のサンタ衣装だ。
今月の24日、これをエイリークにプレゼントし、着てもらうのだ。
見ろ、このスレスレのミニスカートを、さらに胸にはリアル感触のパットいりだ!!」
ターナ  「はあ・・・だめだ、こりゃ」
ヒーニアス「な、なんだ、そのリアクションは!?」
ターナ  「お兄様、妹として1つ忠告しておくわ。
そんなしょうもないことばっかりやってると、冗談抜きでエイリークを他の男の人にとられるわよ」
ヒーニアス「ふ・・・あんなムッツリ教師と似非賢者など、私の敵ではない」
ターナ  「お兄様・・・伏兵っていうのは意外なところから現れるものよ・・・」
ヒーニアス「?」

―エイリークとヴァルターが友人を招いてコンサートを開くのはそれから2週間後であった。
息ぴったりの演奏と、演奏後妙にいい雰囲気の2人を見たその時、
ヒーニアスは「伏兵」の意味を痛感したという。

「エイリーク誘拐事件!!?」 完