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Last-modified: 2011-06-09 (木) 22:08:36

-七色家族-
 紋章町の日が暮れる。誰かが吹っ飛んだりする無茶苦茶な町にだって、時の流れはある。
夕刻になれば誰もが戦いの手を休め、帰るべき家へと向かう。安らぎが町を包む。
その一角、最も騒がしい主人公一家。ここにだって静かな時間が流れる。

 ねぇ、ミカヤ姉さん。
「あら、ロイじゃない。わざわざ私の部屋に来て、どうしたの?」
 ちょっとだけさ、よく分からないかもしれないけど、聞いてほしいんだ。
「私でよければ聞くけれど」
 僕たち兄弟は皆髪の色が違うじゃないか。それで考えたんだよ。
皆の髪の色からどんなイメージができるかなって。
「・・・ふぅん、どんな風に?」
 例えばミカヤ姉さんは銀色だから、皆の月みたいな感じかな。
表立って皆を引っ張るわけじゃないけど、いつでも支えてくれてたじゃないか。
だから、真っ暗い夜を照らしてくれる、お月様。太陽じゃないけど、明るい。
「そんなに煽てたって何もでないわよ。でも、それなら正しく貴方は太陽かしら。
いつでも明るく、家族を暖かくしてくれる。一番年下だけどね、誰よりも輝いているの」
 そうかなぁ。僕はそこまで凄くないよ。
「事実よ。あ、エリウッドも同じ色だけど、私としては夕焼けみたいな感じね」
 うわ、それなんだか分かる。さんさんとしてないけど、静かで、柔らかい感じ。
「イメージも一致。やっぱり、あの子はそういう子かしらね」
 じゃないかな。次に思いつくのは・・・水色。エフラム兄さんとエイリーク姉さん。
「二人はどう違うの?」
 色の通り『水』のイメージなのは共通。でも、種類が違うんだ。
エイリーク姉さんは渇きを潤して、命を育む水。自然と皆を癒してくれる。
エフラム兄さんは何にも濁らない、透き通った水。自分のありのままであり続ける。
「なるほど。他にはずばり」
 緑は緑でも三者三様。だから、エリンシア姉さんとアルム兄さんとリン姉さん。
エリンシア姉さんは草花の緑。心を和ませてくれる、当たり前の風景。
アルム兄さんは山渓の緑。力強くて、生命力が溢れてる。
リン姉さんはやっぱり草原の緑。深い色合いは風が自由に走る広大さ。
「自然を示す緑でも三者三様、と」
 それでね、セリカ姉さんの桃色はあったかい、皆を包む日差し。太陽じゃないよ?
リーフ兄さんの茶色なら、大地の色。目立たないけど、誰よりも大きな存在。
あとは一番多い青色の人たち。似た色だけど、これまた違う。
「へぇ~、どういう風に?」
 シグルド兄さんなら海。時に荒れることがあっても、深く澄んでる。
アイク兄さんは炎。青いと熱くなさそうだけど、実際は凄く熱いんだ。
ヘクトル兄さんも海かなぁ。でも、シグルド兄さんと違って荒波を立ててる。
マルス兄さんなら夜。よく見えないけど、なんとなく安心できる。
セリス兄さんは空。天真爛漫で、どこまでも広がって、何でも包んでくれそう。
「なるほどなるほど。それにしても、随分と詳しく話せたわね」
 あ、これずっと前から考えてみてたんだ。
皆色が違うけど、それなら皆の色はどんな物を表す色なんだろうかな、って。
冗談のつもりだったけど、これが結構イメージが広がって。
・・・・・・実は最近、いや、ずっと前から考えてることがあったんだ。
「心配事? それとも何かあったの?」

324 :助けて!名無しさん!:2009/01/03(土) 12:57:03 ID:5qc6+5Wr
 正直――僕たち兄弟は似ていないな、って。
そもそも同じな筈の色や瞳の色が色々でさ、とても、不思議だった。
シグルド兄さん、アイク兄さん、ヘクトル兄さん、マルス兄さん、セリス兄さんはみんな青い髪。
エリンシア姉さんとアルム兄さんは緑で、リン姉さんはそれよりもっと深い色。
エフラム兄さんとエイリーク姉さんは水色。僕とエリウッド兄さんは赤。
そして、ミカヤ姉さんは銀、セリカ姉さんは桃、リーフ兄さんは茶色。
いくらなんでも色鮮やかすぎじゃないかって。本当に血の繋がった家族なのかなって。
「――そうね。一番上の私も、疑いたくなるときもあったわ。だけどね」
 だけど。
「そんなのどうだっていいじゃない」
 は? え、あの、姉さん、そんないきなり回答を丸投げされても。
「ちょっと言い方が極端だったわね。別にあなたへの答えを拒否するつもりではないわ。
ただ、血が繋がっている・繋がっていない、それだけが家族を示すものだと思う?」
 ・・・・・・・・・・・・。
「一緒に過ごして、時間を共有して、一番沢山の思い出のある存在。
誰よりも分かりあうことが出来る、それが家族じゃないかしら」
 たしかに、姉さんの言うとおりかもしれない。
「あれだけ話せるのは、それだけ相手を知っているってことよ。
似てなくたって、こんなに兄弟のことを分かってるじゃないの」
 うん、そういえばそうだ。
「それで十分。どんなことがあっても私たちは家族よ。似てなくたって、今まで家族だったでしょう?」
 うん、まぁ、確かに。兄さん姉さんがいる、家族。皆で生活してきた、当たり前の家族。
似ていないことなんて、そこまで気にする必要はないかもね。
「分かれば宜しい。気にする気持ちは分かるけど、考えているだけ無駄なこともあるわ。
せっかく皆で暮らせているのだし、今は気にしないでのんびりといきましょうよ。
・・・・と、なんだかはぐらかしちゃった感じもあるけど、これが私の考えよ。どうかしら?」
 あはは。ありがとう、ミカヤ姉さん。
    「「み ん な あ つ ま れ ー !」」
「この号令はアルムとセリカ? あぁ、もう夕食なのね。行かなくちゃ」
 うん。呼ばれたからには行かなくちゃ。早くしないと兄さんたちに夕食を取られちゃう。

 昔から、不思議に思っていたことがある。僕たち兄弟は似ていない。
ほかの兄弟と違って、髪の色や瞳の色が多種多様で、それが不思議でしょうがなかった。
シグルド兄さん、アイク兄さん、ヘクトル兄さん、マルス兄さん、セリス兄さんはみんな青い髪。
エリンシア姉さんとアルム兄さんは緑で、リン姉さんはそれよりもっと深い色。
エフラム兄さんとエイリーク姉さんは水色。僕とエリウッド兄さんは赤。
そして、ミカヤ姉さんは銀、セリカ姉さんは桃、リーフ兄さんは茶色。
いくらなんでも色鮮やかすぎじゃないか。本当に血の繋がった家族なのか。
不安だったんだ。もし、血のつながっていない、赤の他人の集まりだったらどうしようって。
分かっていたんだよ? もしそれが分かった所で何になるわけでもないってさ。
ミカヤ姉さんと話してよかった。どんなことがあっても、僕たちは家族なんだ。
「おっ、今日は焼肉!? 豪k・・・兄貴肉取るのHAEEEEEEE!!」
「流石は兄上だ・・・・・・俺も負けてられんな」
「食べれるだけ食べておかねば、次にいつ食べれるかわからないからな」
「ちょ、アイク兄さん食べすぎ自重! ヘクトルもエフラム兄さんもそれに対抗しないっ!!」
「とか言ってリン姉さんは自分の分の肉があだだだだだだ止めて止して関節技は許して」
「ほほほほほほほ誰が肉付きのいいおばさんですってぇぇぇぇえええええ!?」
「わぁ、マルス兄さんからメキメキって音がするね。ホルモンいただきまーっす」
「それより誰もあそこまで言ってないんだけど。ってセリス、それ僕のだよこの人でなしーっ!」
「で、誰も助けないんだ・・・あぁ、皆お肉ばっかり! 野菜も食べてっ!」
「ええ、肉類を食べるならその分野菜類もきちんと食べるべきです!」
「僕もエイリークに賛成だね。でも僕は胃が弱いから、そもそもお肉はあんまり・・・・・」
「大地母神ミラ様、今日も無事家族と食卓を共に囲めたことを感謝します―――」
「シグルド兄様、お酒は飲まれますか?」
「ああ、頼むよエリンシア。そんなに飲まないから缶一本だけ頼む」

325 :助けて!名無しさん!:2009/01/03(土) 12:59:38 ID:5qc6+5Wr
 騒がしくて、家もよく壊れて、紋章町一目立つのが僕の家族。
だけどこうやって皆で過ごして、笑ったり泣いたり、喧嘩もする普通の家族。
横を見れば嬉しそうに微笑んでいるミカヤ姉さん。僕はこんな良い家族に囲まれて幸せだ。
皆と家族で、本当に良かった。

えー、変な区切りかたしてすみません。初心者が投稿するもんじゃない・・・・・・orz
なんとなく、主人公兄弟の髪の色へのイメージを書きたかっただけです。