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Last-modified: 2011-05-30 (月) 22:30:18

ヘクトルがひどい有り様になっている頃、シグルド兄さんは・・・

グランベル商事・応接室
アーダン 「いやー・・・すみませんね。ドズル工業の若旦那自らがこちらにおいでというのに、随分とお待たせしてしまって。」
ブリアン 「いやいや、お気になさるな。そもそも本来は休日なのにこちらの都合で商談をねじ込んだのですから。」
アレク  「ドズル工業の新製品のワイヤレス小型ピンホールカメラ『スワンチカDX(ダブルエックス)』。
      機能性はもとより、一番の売りはその耐久性。その耐久テストの方法として最もインパクトが有る提案をした企業と契約を結ぶ・・・。
      これまでもいろいろな企業がチャレンジしている。何とかうちで契約をとりたい一件だ。」
ノイッシュ「・・・何でそんな説明口調なんだ?」
アルヴィス「くそ・・・取引先をいつまでも待たせおって・・・シグルドのヤツは何を考えているんだ?」
アレク  「まぁまぁ、落ち着いて下さい。良いアイディアなんですって。」
アルヴィス「最高攻撃力を誇る私のファラフレイムでビシッと決めた方が手っ取り早くて良いんじゃないか!?」
ノイッシュ「もう少し、もう少しなんです。シグルド係長の計算では・・・。」

ところ変わってイリア温泉街
アルム  「ふぅ、大体これくらいかな。クリフ、ロビン、グレイのお土産に、
      マイセンのじっちゃんの分、ジークさんの分もあるし、ローソン店長の分と。」
セリカ  「私もメイにジェニーにボーイに・・・ノーマ様のお土産もオッケー。」
アルム  「友達の分のお土産は大体買った・・・かな?」
セリカ  「そうね。あとは姉さん達のだけど・・・。」
アルム  「そうだね。何か良い物があればいいけど・・・あっ、これなんてどうかな?」

アルムが手にしていたのは男の子と女の子が手をつないでいるマスコットだった。
セリカ  「あら、可愛いじゃない。これは・・・お守り?二つで一組の。」
アルム  「そう。これ、シグルド兄さんのお土産に良くないかな?そしてシグルド兄さんがディアドラさんにもうひとつをプレゼントするんだ。」
セリカ  「いいわね、それ。恋人同士みたいで。」
アルム  「じゃあ、僕ちょっと買ってくるね。ちょっと待ってて。」
セリカ  「行ってらっしゃい。」

アルム  「買ってきたよ。」
セリカ  「おかえりなさい。あら?そのもうひとつの袋は何?」
アルム  「・・・君に、受け取って欲しいんだ。」

アルムがセリカに手渡したのは先程のマスコットの色違い。男の子は水色が基調で女の子は赤が基調と、良くできているものである。
セリカ  「アルム・・・。ありがとう。」
アルム  「セリカ・・・。」
お約束のいつもの雰囲気。お邪魔虫がいないのでやりたい放題かと思いきや、そのオーラを遠く離れた地で敏感に感じ取った者がいた・・・。

再びグランベル商事・応接室
シグルド 「!! ノイッシュ、窓を!!」
ノイッシュ「わかりました!!」
アレク  「とうとう来たみたいだな。」
ブリアン 「む?突然どうされたのですかな?貴殿が投げようとしているその剣は
      先程うちの『スワンチカDX(ダブルエックス)』をくくりつけておりませんでしたかな?」
アーダン 「ブリアン殿も随分説明口調ですね・・・。」

射手シグルド、おおきく振りかぶって・・・

シグルド 「KINSHINは許さんぞーーーーー!!!!!!!!」 ブン!! キラッ☆ミ

その一投のもとにイチローもびっくりな位、ティルフィングは星になった。向かう先はもちろんあの場所である。

再びイリア
アルム  「セリカ・・・僕、何だか汗かいちゃった。」
セリカ  「そうなの?・・・私も。」
アルム  「おや、あんなところに温泉があるね。混浴の。」
セリカ  「行きましょうか。・・・!!」

シュウウウウ・・・ドーーーーーーーン!!!!

ご想像の通り、イリアまで飛んできたのはティルフィングである。(スワンチカDX付き)
アルム  「・・・まさか、こんなところまで来るとはね・・・。」
セリカ  「もう!!どうして兄さんはどこまでしつこいのかしら!!」
アルム  「・・・このカメラなんだろ・・・?それに手紙・・・?『今回ばっかりは投げた事を許して欲しい』・・・どういう事・・・?」

三度グランベル商事・応接室
ブリアン 「・・・何、今の。」
アレク  「おー。よく飛びましたねー。」
ノイッシュ「今イリアに到着しました。モニター、確認。映像もばっちり映ってます。」
アーダン 「おー、さすがドズルの新製品。壊れずしっかり作動してる。」
ブリアン 「え?みんな驚かないの!?イリアってここから数百㌔離れていて・・・」
部下三人 「いつものことですから想定の範囲内です!!」
シグルド 「ブリアン社長・・・これが我々が提案する、耐久テスト方法です。如何でしたでしょうか・・・。」
ブリアン 「いやー・・・ここまでインパクトのある、素晴らしいのは想像していなかった。
      他の企業なんて神器だかでぼかぼか叩いたり燃やしたりする程度。
      もしここでも似たようなものだったら即刻御社からは撤退する予定でしたわ。」
シグルド 「・・・と言いますと?」
ブリアン 「この製品、御社に、いや、貴殿にお任せしましょう。」
シグルド 「ありがとうございます!!」
アレク  「ね?良いアイディアだっていったでしょう?アルヴィス課長?」
アルヴィス「フン。・・・この案件は君らにこれからも全て任す。失敗は許さんぞ。」
アレク  「はい。お疲れ様でした。」

その後・・・
アーダン 「良かったですね。色々と上手くいって。」
シグルド 「ああ。これもみんなのおかげだ。本当にありがとう。
      それに、この後はディアドラとデート・・・ハッ!!もうこんな時間か!?マズイ・・・間に合わない!!」
ノイッシュ「係長、あとは俺たちで何とかしますよ。」
アレク  「そうそう。大した仕事も残っていませんしね。」
アーダン 「一仕事やり遂げたあとなんですから、すぐに向かってあげて下さい。」
シグルド 「お前達・・・すまないッ!!行ってくる!!」
アレク  「ごゆっくりぃ~。」
ノイッシュ「さて、やるか。今夜は残業だな。」
アーダン 「ああでも言わないと、シグルド係長、絶対行かないもんなぁ。」

しかし、そんな二人を邪魔しようとする、黒い陰謀が・・・!!
エーディン「(電話)と言うわけです。ですのでシグルド様があの女に出会えなくなるよう、
      しっかりと妨害を。では。 (ガチャ ツーツーツー」
ガンドルフ「・・・また今日も部下をけしかけてデートを妨害する仕事が始まるお・・・(泣」
デマジオ 「兄貴ー。俺たちもう嫌っすよー。あの男強いんですもん。」
ガンドルフ「本当になぁ・・・。未だに携帯にも非通知でかけてくるしよ・・・。でも、やらなきゃなんねぇんだよな・・・。」
?????「そこの男、それまでだ。」
ガンドルフ「な、なんだお前は!?」

そこにいたのは、炎をまとった、要するに戦闘態勢のアルヴィスだった。
アルヴィス「話は聞かせて貰った。普段は正直あんた達の働きはありがたいが、今日ばっかりは別だ。
      あの二人の邪魔をするというのなら、この私が相手になろう。」
ガンドルフ「あ、そうなの?・・・あんたにちょっと頼みたいことがあるんだが・・・。」
アルヴィス「聞く耳持たんな。」
ガンドルフ「まぁ、そう言うなって。俺含めて部下全員、先にあんたにやられたって事にしてくれねぇか?」
アルヴィス「・・・は?」
ガンドルフ「なぁ頼むよ。こっちもわざわざ痛い思いするくらいなら負けたって事にして無傷で引き下がるからよ。いいだろ?」
アルヴィス「あ、ああ・・・。」
ガンドルフ「よし、決まったな。おーし、おめえらー!!久しぶりに飲みに行くぞ-!!」
部下達  「ヒャッホーー!!!」

アルヴィス「・・・あれ?」

こうして、シグルド兄さんは久しぶりにディアドラとのデートを堪能できたのでした。

続く