19-11

Last-modified: 2011-06-05 (日) 16:12:00

オルリベス大橋下の河川敷のボロ小屋、緑髪の女性がこの木造ボロ屋には
似つかわしくないノートPCの画面を眺めている。
たまに上からボコッと人や車が落とし穴にかかる音が聞こえる。
彼女の名はミーシャ、去年までシレジア系企業に勤めていたが今はフリーターである。

ミーシャ「今日も疲れたなぁ、バイト減らそうかな・・・そうもいかないか」

1:紋章町総合スレPart1892(199)
2:愛しの彼がフラグクラッシャー 9折れ目(441)
3:この町の幼女について語るスレ ロリコン4人目(901)
4:オスティア騎士団に 入 ら な い か?(96)
5:【ポイズン】ララムの料理【クッキング】(812)
6:FE聖戦の系譜のひろしタンはエロかっこいい8(39)
7:愛しの彼がフラグメイカー 嫁8(212)
8:某リーフに嫁候補を取られてる香具師集合せよ(´;ω;`)寝取られ三人目 (33)
9:ディアドラえもん 9ぬこ目(920)
10:パグ犬の愛らしさは異常!(499)
11:ライナスの依存症について(13)
12:  ビ  ラ  ク  891ウホッ(63)
13:紋章町職業事情 Part2 (121)
14:エレブ地区でかわいいショタっ子見つけました (425)
15:農林水産 バレンシアの明日を考える (2)
16:おねいさんのエロ画像求む! (3)
17:ウホッ!これはいいガチムチですわ 2ぶっ飛ばし (97)
18:緑の居酒屋について語るスレ(883)
19: 酷 い 有 様 で す 1000ヒドイアリサマデス(1000)

ミーシャ「とりあえず16は削除依頼っと・・・」

仕事が終わってから紋章町BBSを1~2時間眺めたり書き込みしたりするのが
ミーシャのささやかな息抜きである。
ちなみに13はミーシャが立てた。自分の知る求人情報を書き込みつつ
情報を集めるのが目的だ。

ミーシャ「愛しの彼がフラグクラッシャー・・・か、
ここは相変わらずコテハンさんの争いがすごいなぁ・・・
アイクって私は詳しく知らないけどステキな人なんだろうなぁ」 

439 幼女社長 投稿日: 1002/6/7(日) 22:05:49 ID:???
おぬしらー!アイクはサナキと支援Aにするのじゃぞ!約束じゃ!

440 ツンデレぬこ 投稿日: 1002/6/7(日) 22:06:31 ID:???

439
なにを言うか!アイクは前線ユニットだ!魔法系では支援を生かせん!
その点レテなら・・・べ、別に支援をつけて欲しいわけじゃないぞ!
勘違いするな!・・・私は作戦の事を考えてだな・・・

441 剣聖わゆ 投稿日: 1002/6/7(日) 22:08:50 ID:???

440
ならワユで決まりだね!剣士同士ピッタリじゃん!
たいしょー!しょーぶ!

ミーシャはこのスレでは半年ほどROMっているがずっとこんな調子である。
もっとも時々アイクの情報が入るのでコテハン達も目を離せないのだろう。

ミーシャは以前ペガサス宅配便のバイトをしてた時の事を思い出した。
以前酒に酔ったアイクが巨大台風と化し紋章町を瓦礫の山にした事があるのだが、
その時飛行中だったミーシャは、暴風に巻き込まれてあえなく海に墜落し、
やしの木一本の極小無人島で3日ほど体育座りするハメになった。まちがいなくバイトはクビだ。
さすがにハラが立ったがファーガスの船に拾われて町に戻ってみると、
アイクとグレイル工務店の面々が、丁寧に謝りながら町を修理していたのを
遠目に見かけた。

その時のアイクの黙々と働く真摯な姿を見ていると、怒る気も失せ、むしろ好感が持てたものだ。
ミーシャがアイクを見たのはこの時の一度きりだが、彼がモテるのも分かる気がする。

ミーシャ「・・・いっそあの時このボロ小屋も吹っ飛んでればなぁ、
アイクさん達に新築にしてもらえたのに」

思わず苦笑がこぼれる。
ミーシャの築五十年は経っていそうなボロ小屋は、巨大なオルリベス大橋の下にあったため
奇跡的に無傷だった。もっともかえって吹っ飛んでいたほうがよかっただろうが。

そんな事を考えながらオスティアスレを開いてみる。このスレはたいして書き込みもなく
過疎っているが、それでもオスティアの情報が欲しいミーシャはこまめにこのスレを覗いている。

ミーシャ「今日も書き込みなしかぁ・・・
オスティアじゃペガサスナイトはやっぱり雇ってくれないだろうなぁ
仕官できればもう少し借金早く返せるのに、いっそアーマーに兵種変更試験受けてみようかなぁ
でも、せっかく頑張ってペガサスナイトになったのに・・・」

最近はどこも不景気で、仕事の口はパートやバイトすらなかなか見つからない。
かつてはイリア地方などは温泉宿の送迎や宅配で多数のペガサスナイトを雇っていたのだが、
今では傭兵家業に手を出して、どうにか雇用を保っている状態だ。新しく人を雇う余裕はない。

ベグニオンも社員にペガサスナイトを多くとっているが、貴族主義、ファミリー主義が強い。
名門大学を出て、一流企業シレジアに勤めたミーシャといえど、
平民出身であり、社員の家族がいるわけでもない。
一度履歴書を出してみたが、薄い不採用通知1枚もらっただけである。

憂鬱な気分になりながら、ミーシャはバレンシアのスレを開けてみる。
ここにも求人の情報はない。もともとの求人数が少ない上に地縁の強いバレンシアの
農林水産企業は、大抵大きな農家の次男三男などで内々に求人枠がうまってしまう。
外部の人間を採用する事は滅多にない。

気晴らしのためにBBSを眺めているのに、気が付くと仕事の事ばかり考えている。
気分を変えようとミーシャは、8のリーフスレを開いた

この町の有名人兄弟家のリーフは少し知っている。
中学校の天馬部のOGの集まりに出たときに後輩のカリンに紹介されたのだ。
どうもしつこくカリンに頼み込んだらしい。
リーフは「ミーシャおねいさんキター!」とほざいて色々とミーシャに声をかけてきた。
ミーシャは女子校育ちでカリンもそうなのだが、自分と違って明るいカリンは色々な友達がいるようだ。
リーフという少年は口も達者で、どちらかというと無口なミーシャは相槌を打つので精一杯だった。
ただ、悪い人間ではないが、相手にしようとはまったく思わなかった。
スレにはキア娘というコテハンがリーフの最近の行いを報告し、
それに数名のコテハン、プージや雷の剣、
グングニルやフィンの親友、山賊親父といったコテハンが、
リーフに行ったお仕置きを書き込みするというのが大まかな流れである。
どうもスレ名と内容があってない気がするが知った事ではない。

ただ、最近カリンと会うとフェルグスという男の愚痴を聞かされる事が多い。
一度付き合ってるのかと聞いてみたことがあるが
カリン「だ、誰があんなのと!!馬鹿言わないで下さい先輩!」と返された。
自分で好意をバラしてるようなものだが、微笑ましくてつい笑ってしまった。

そんな可愛い後輩も、シレジア家の家臣と学業を忙しくこなしている。
いずれ卒業したら自分の様にシレジア企業に勤めるのだろう。
あるいはそのフェルグスという男のため家庭に入るのかもしれない。

ミーシャ「家庭かぁ・・・」
ふとミーシャは18緑の居酒屋のスレを開いた。セティは今頃元気だろうか。
このスレでは居酒屋の主人や客の書き込みが多く、時折セティと思われる書き込みを見かける。

845 風の勇者 投稿日: 1002/6/7(月) 03:08:28 ID:???
やっと先週の仕事が終わったとです(´;ω;`)
ティニーと随分会ってないとです(´;ω;`)
もう月曜日です、少し外出したら今週の仕事です(´;ω;`)

ミーシャ「・・・・・・」
ミーシャは泣きたくなった。やはりシレジアに残ってセティを助けるべきだったのだろうか。

ミーシャがシレジアを辞めたのは理由がある。かつてエレブグランドホテルの事件で、
重鎮のダッカーとマイオスが逮捕された時、母ディートバも計画に加担しており従犯として逮捕されたのだ。
居心地の悪くなったミーシャにセティは何かと気を使ってくれた。
いや、ミーシャだけではなく旧ダッカー、マイオス派の社員で事件に関与してない者達には
寛大な処置が下ったのではあるが、それでもダッカー達の専横を憎んでいた社員たちの風当たりは強く、
多くの者がシレジアを去った。神経の細い所のあるミーシャも反逆者の娘のレッテルはきつく、
退職する事にしたのである。

それからが大変だった。新しい仕事を探そうと思った矢先にディートバの大借金が判明する。
どうやら母は独立して起業しようとしていたらしく、そのための資金として多額の借金をしていたらしいのだ。
ダッカー、マイオスのシレジア掌握が成功していれば、その影響力と人脈を活かして
会社を造り、余裕をもって返済ができただろうが、現実にはディートバは獄中にある。

そのためミーシャは家と財産のほとんどを手放し、オルリベス大橋の下の小屋に移り住んで、
残りの借金の返済に励んでいるのである。
ミーシャはディートバを恨む気はない。独立して会社を作ろうという、その気概や野望の大きさは
尊敬できると思うが、そのために目先の利益に食いついてマイオスなどの下についたのは大失敗だった。
セティの下についてコツコツと業界の信用を得るべきではなかったか。
残されたものは家から持ち出したノートPCの中の起業計画書だけである。
いつかディートバが戻ってきたら、これを渡して一緒にやり直そうと思う。

ミーシャ「・・・まいったなぁ、いや、なんとかなるか」

気持ちが落ち込んだときは、FETVのセーラ主演のTVCMのフレーズである
ケセラセラ~~~♪なんとかなるさ~~~♪を思い出すことにしている。
何のCMだったかは忘れてしまったがこのフレーズだけはよく覚えている。
順境にある時は何も感じなかったのだが、今となっては身にしみわたる響きだ。

ついBBSを開くと、長くなるのだが電気代もキツイ。明日もバイトがあるのである。
ミーシャはPCを落とし、寝袋に入ろうとした。

トントン
ミーシャ「?こんな時間に・・・誰だろう」

正直深夜の客に何の心当たりもなかった。
ミーシャ(強盗だったらヤダなぁ・・・武器もないのに)

とはいえ、ボロ小屋の扉には鍵も付いていない。
打ち破るのは簡単だ。
ミーシャは警戒しつつ扉を開けた。

セティ「やっと見つけた!こんな所にいたのか!」
ミーシャ「セティ様!?何でこんな所に?」
セティ「もちろん仕事のためだ。我が社の将来の幹部をこんな所に追いとくわけにはいかない!」
セティの目の下にはクマができている。よほど忙しかったのだろう。
そういえばさっきの書き込みに少し外出するとあったが・・・
ミーシャ「でも、私・・・」
セティ「君がディートバの娘だからとか、くだらない事を言う連中なら私が黙らせておいた。
入社以来の君はよく働いて私たちを助けてくれた、その能力が必要なんだ!」

焦ったミーシャはそれでもなにか言おうと口を開きかけた。だが。

セティ「拒否は許さないぞ、君の給料はすでに前貸ししてある!借金の心配ならない!」
ミーシャ「えええええええっ!?だ、だってあれ300万ゴールドはあるんですよ!?そんな無茶な!?」
セティ「無茶なものか、これから私の元で働いてもらえばすぐに元はとれる!」
ミーシャ「・・・・・・ケセラセラなんとかなるさって訳ですね・・・」
セティ「?ああ」

ミーシャは滲んだ涙をそっと拭うと世話になったボロ小屋を出たのである。

それからミーシャはホークと共にセティを補佐する忙しい日々を送っている。
ミーシャ本人は気付いていないが、ミーシャの心に生まれた淡い感情は
セティがティニーの事でいつも(´;ω;`)となっているのを見て形になる前に消え去った。
それだけセティはティニーを強く思っているのだろう。
セティの思いが通じるかは分からないが、ミーシャはセティの恋路を応援してやろうと
一人密かに誓ったのだった。