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Last-modified: 2011-06-05 (日) 22:15:00

私はラドネイ。流星軒でバイトをしているごく平凡な学生だ。
怪人や超人や変人の出没する紋章町ではまったく目立たない、
いわば剣士Aみたいな私だけど人と違う点が一つだけある。

それは…重度の男嫌いだということだ。

その理由は…まあ色々あるんだが、とにかくあのムサ苦しいのが嫌でしょうがない。
粗暴で下品、どうしようもない連中だ。半径1.5メートル内に入られると吐き気がする。
いや、頭じゃそうじゃないヤツもいるとわかってるんだが…生理的に受け付けないものは仕方がない。
でも例外はある。
まず、兄のロドルバン。生まれた時から一緒だしな。地味で弱気だがいい兄だ。
次にクラスメイトのセリス様。時々ホントに男なのかと思うくらい可愛い。
そして最後に…シャナン様だ。
その理由は…あーなんだ…その…なんてゆうか…
(//∇//)…い…いいじゃないか!なんだって!!

…しばらく前の私ならこんな反応を返したんだろうな…はぁ…

あれは私が中学にあがる少し前の事だ。
ベルクローゼンとかいう変態どもに絡まれたんだ。
レイドリック「グフフフフフゥこれはよい黒髪美少女だ」
ゲブ「俺の脇のにおいをかげぇ!」
ブラムセル「ええい!おとなしくせんか!」
ラドネイ「何するんだ!離せ変態!」
あれは今思い出しても鳥肌立つ思い出だな。ああ、気持ち悪い!

シャナン「貴様ら!いたいけな少女に何をしているか!」
ゲブ「な、なんだぁ貴様は!」
ブラムセル「わしらの邪魔をするか!」
レイドリック「このロプトの剣のサビにしてくれる!」
シャナン「消えろゲスども!流星剣!」
変態トリオ「うわらば!」「いってれぼ!」「たわば!」

シャナン「怪我はないか?少女よ」
…一発だったな。なんてゆうか…古典的な少女漫画みたいだけど…
聞けばシャナン様は仲間達と町内の子供達を変質者から守るため活動しているという。
また、子供に護身術を教えるため道場もやってると自分の事を話してくれた。
私の事も熱心に誘ってくれた。私は2つ返事で入門したさ。

こんなステキな人とこれっきりなんて嫌だったからな。
男嫌いの私にとっちゃ初恋だった。

それからは毎日学校帰りは道場だ。中学に上がってからはシャナン様の実家の流星軒でバイトもはじめた。
とにかく近くにいたかったからな。シャナン様は物凄く熱心に手取り足取り教えてくれたぞ。
まあ今にして思えばロリ萌え~~~とか思ってたんだろうが。……ケッ!

シャナン様はモテるほうで周りにはいつもラクチェやパティやデイジーがいた。
私だって負けたくなかったしな。いつも4人で取り合ってたもんさ。
でも見事に10代の少女ばっかりだな…………はぁ。
その時の私は夢中で気付かなかったけど、男の門下生は完全にないがしろだったな。
私たち4人で遊びにつれてってもらったり、海や山に合宿に行った時も、男連中はいなかった。
まあ、私は男嫌いだからその方がよかったけど、今にして思えばシャナン様が、
「私と少女達の一時を邪魔する男なんぞいらん!」ってなかんじでハブいたんだろ。
あきれたもんだ。

だがその頃の私はシャナン様がロリコンとは知らなかったからな。
熱心に慕っていた。
パティ「シャナン様~~~バレンタインのチョコレートですぅ!」
デイジー「がんばって作ったんですよー!」
ラドネイ「わ、私だって!どうぞシャナン様!」
ラクチェ「……か、買ってきたヤツですけど…よければ…」
シャナン「はっはっはっ困った奴らだ。だが折角だ、もらっておこう」
…今ならわかるぞ…シャナン様は内心(ロリ少女チョコハァハァ(´Д`)今日は歯みがけないよ)
とか思ってたに違いない。数日後に歯医者に行ってたからな。
それにしてもラクチェは剣は最強なのに、他の事はつくづく不器用だな。
失敗作を食わされたスカサハが寝込んでたぞ。

まあ、そんなこんなで毎日を過ごしていたわけだ。
だが、2ヶ月ほど前になるかな。いつもどおり流星軒でバイトしてた時のことだ。

アイラ「この忙しいのにシャナンは何をしてるんだ!ラドネイ!呼んできてくれ!」
ラドネイ「はい!」
忙しい時はシャナン様も皿洗いなどに動員される。
私はシャナン様の部屋に向かった。考えてみればシャナン様の部屋に行くのは初めてだ。
ドキドキしたさ。

ラドネイ「シャナン様ー!店長が手伝えって呼んでますよー!」
そういって部屋の扉を叩いたけど返事はなかった。
ラドネイ「いないのかな?入りますよー」
…いや、だってさ。好きな人の部屋って気になるじゃないか…
ホント、入るのやめときゃよかったよ…

シャナン「ハァハァ(´д`)…ダレカヒトリナンテエラベナイヨ!ゴニンデナカヨククラソウ!ハァハァ!ロ…ロリ萌え~~~!」
ラドネイ「…………」
そこには私達のイラストが書かれた抱き枕4つ(自作したんだろうか?)
を抱えて転げまわるシャナン様の姿があったよ…
夢中になりすぎて私に気づかなかったんだろうな…

シャナン「ぬおおぉおっぉぉおぉぉぉぉ!!!!!!ラララララララドネイ!?」
ラドネイ「…………」
私は呆然としたさ。人生最大の衝撃だったね。
それにいつもクールなシャナン様のあの崩れ顔といったら…
シャナン「ちちちちち違うのだ!これはだな!…そう!私はシャナムなのだ!ははは、だまされただろう!
これはFETVのドッキリだったのだ!」
ラドネイ「………だ…」
シャナン「へ?」
ラドネイ「不潔だ!ロリコン!男なんか大っ嫌いだー!」
シャナン「へもば!」
私のストレートはモロに人中にクリーンヒットしたよ。達人でもこうなるとスキだらけだったな。
私の男嫌いは5レベルはあがったね。少女の夢を木っ端微塵にしやがって!

男嫌い度が上がってからは半径2メートルに入られるのもイヤだ。
バイトで男の客にラーメン運ぶの大変なんだぞ!
まあ、慣れ親しんだバイト先だから辞める気はないけどな。

それ以来、道場でもシャナン様には距離を取っている。
クールな姿の裏側を見ちゃったからなあ…
ラクチェ達にも本性を教えてやったんだが冗談だと思って信じない。無理もないが…

そういや店長の昔のライバルだったカアラさんにこの話をしたら、
カアラ「おぬしは早くシャナンの正体に気付いてよかった。やはりナバール系などロクなものではない!
私など20年も…ゴホンゴホン!…と、とにかくラクチェ達の目を覚まさせてやれ。
ナバール系なんぞ年をとったら痛い中年になるだけだ!」
といわれた。ナバール系になにか嫌な思い出でもあるんだろうか?

そんなワケで私は今も道場には通っている。
男嫌いをカミングアウトしてからは変態盗賊が寄ってくるようになったけど、
私にソッチの趣味はないぞ。
それにしても稽古しながら横目で見ると、クール気取ってるシャナン様が、
ラクチェ達に鼻の下伸ばしきっているのがわかる。
…恋は盲目か…私も気付かなかったけどハタからみりゃわかるもんだな。

カアラさんも言ってたが中年になってからも、シャナン様がロリコンだと想像してみる。
うわ…そりゃ痛いわ…
かつての恋敵のよしみだ。ラクチェ、パティ、デイジーの目を絶対覚まさせてやるんだ!

終わり