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Last-modified: 2011-06-05 (日) 16:15:29

~夜7時、兄弟家~
アイク   「ただいま」
ミカヤ   「おかえ・・・わ!どうしたのその傷!?」
アイク   「む・・・ちょっとな」
ヘクトル  「なんだなんだ?兄貴、喧嘩してきたのか?」
エフラム  「兄上が喧嘩とは珍しい」
リーフ   「相手誰?余程命知らずなんだね」
マルス   「いや、喧嘩にしてはおかしいでしょ。外傷は顔の傷3本だけ・・・3本?」
ロイ    「・・・よくマンガでさ、動物に引っ掻かれた後は赤い傷が縦に3本あるけど・・・」
ヘクトル  「ってことはラグズの人達だな」
マルス   「レテさん・・・は無いか。有力なのはライさん、スクリミルさん、ジフカさん、カイネギスさんの4人だね」
ヘクトル  「ゲッ、どれも強者揃いじゃねぇか」
リーフ   「僕、スクリミルさんに400G賭ける」
マルス   「じゃあ僕はライさんに500G賭けるよ」
ミカヤ   「賭けに持ちこむのは止めなさい」
ヘクトル  「で、誰なんだ?」
アイク   「レテだ」

 「なァァァにィィィィィィイイ!!?」

アイク   「な、なんだ、どうした?」
マルス   「いやいやいやいや!ビックリするでしょ!」
ロイ    「まさか嫁候補の一角が・・・」
リーフ   「兄さんに傷を負わせるとは・・・!」
ミカヤ   「何があったの?」
アイク   「今日、仕事でガリアに行ったのは知ってるな?」
~回想シーン~
カイネギス 「お待ちしておりました、グレイル殿」
グレイル  「おはようございます、カイネギス殿。ジフカ殿も」
ジフカ   「む・・・」
ワユ    「わぁ!相変わらず広い家だね~!」
ライ    「ガリア地区一の豪邸だからな」
スクリミル 「中に入れば庭も広いぞ!アイク!そこで久々に手合わせ願おうか!」
アイク   「望む所だ」

ミカヤ   「ちょっとまって」
アイク   「なんだ?」
ミカヤ   「スクリミルさんと手合わせして(顔の3本傷除く)傷が無いってどういうこと!?」
アイク   「どうもこうも・・・こういう事だが」
ヘクトル  「獅子王の息子相手に無傷か・・・」
エフラム  「さすがは兄上だな」

ワユ    「じゃあ私その後ね!」
ライ    「ん、じゃあ俺もその後予約」
グレイル  「コラコラ、仕事しに来たのに何を言っているんだ」
ミスト   「何気にライさん便乗してるし・・・」

ミカヤ   「え!?スクリミルさんの後に二人手合わせしても無傷なの!?」
リーフ   「姉さん、もうキリが無いから手合わせ云々はやめようよ」

アイク   「安心しろ、仕事が終わったら思う存分相手してやる」
スクリミル 「うむ!楽しみにしているぞ!」
アイク   「・・・ってワケだ、親父。早く仕事を済ませよう」
グレイル  「まったくお前は・・・」

カンカンカン!コンコンコン!
チュイーン!ガダダダダダダダダダ
アイク   「ふうっ・・・うん、ここはコレでいいだろう」
グレイル  「お、終わったようだな。今度はコッチを頼む。大荷物だから重機を使っても良いぞ」
アイク   「分かった」
ガタガタガタ!ガガガガガガガ! アーッ!タスケテエイリーク!
アイク   (む?今何か轢いたような・・・?気のせいだな。この場に工務店以外の人間がいるはずが無い)
ガガガガガガ!ガターン!
アイク   「これでよし」
カンカンカンカンカンカンカン!ゴゴゴゴゴゴ!
ワユ    「あ!あぶなーい!」
ヒュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ
アイク   「む?」
ズゴゴゴゴゴゴォン!
ワユ    「あっちゃー・・・大将ー!大丈夫ー!?」
アイク   「ああ、平気」『ちょっとまったァー!』

アイク   「今度はなんだ?」
ヘクトル  「おかしい!石材が真上に落っこちて平気なのはおかしい!!」
マルス   (僕はソレよりヒーニアスさんがなんでそんな所にいるのかが気になる・・・)
リーフ   「ただネタで使いたかっただけじゃないの?」
ロイ    「メタ発言自重して」

グレイル  「ワユ、アイクだから良かったものの・・・他の人ならば死んでいたぞ」
ワユ    「ごめんなさい。手が滑って石材を固定してる杭を叩いちゃって・・・」
ミスト   「わ~、結構落ちてきたねぇ」
セネリオ  「10キロのブロック石材が6個ですね・・・半壊してるものやヒビが入ってる物もありますので、新調しなければ・・・」
ワユ    「ゲ~」
イレース  「・・・仕事が増えましたね・・・」
ガトリー  「10キロブロック1個でも結構掛かりますよ?」
グレイル  「仕方ないだろう・・・シノンに連絡して『買って来てくれ』と伝えてくれ」
ガトリー  「了解ッス」
グレイル  「アイクも、引き続き作業を続けてくれ」
アイク   「分かった」

ミカヤ   「・・・ねぇ」
アイク   「うん?」
ミカヤ   「『顔の傷3本事件』の話はまだ?」
アイク   「まだしばらく掛かるぞ。その後イレースが倒れてガトリーが【赫赫然然】。ワユがまた石材をセネリオの上に【赫赫然然】。しばらく経ってからミストとイレースが食事に媚薬がどうのこうの【赫赫然然】。その直後にワユがまた【赫赫然然】・・・」
~1時間後~
アイク   「・・・で、廊下を歩いていたらレテと会ってな」
ヘクトル  「なげぇよ!!」
マルス   「なんで事細かに説明するの!?もうお腹いっぱいだよ!」
リーフ   「ていうか、凄まじいくらい濃い1日だね・・・」
ロイ    「まだ午前中の話だもんね・・・」

レテ    「アイク!」
アイク   「レテか・・・どうした?」
レテ    「来ているならば声をかけてくれれば良いだろう」
アイク   「いや、こっちも仕事で手一杯だったからな」
レテ    「なら仕方ないな・・・な、なぁアイク」
アイク   「うん?」
レテ    「この後、ヒマか?」
アイク   「そうだな、暇だな」
レテ    「そうか、な、なら、この後、ウチで昼飯を一緒に食べないか?」
アイク   「いいのか?」
レテ    「ア、アイクが良ければ・・・」
アイク   「そうか。じゃあ、遠慮無く食べさせてもらおう」
レテ    「あ、ああ」

アイク   「・・・と言うように、俺はカイネギス殿宅で昼飯をレテと一緒に食べた・・・だが、問題は飯を食った後だった」

レテ    「なぁ、アイク、食後の運動として手合わせをしてくれないか?」
アイク   「む、先程スクリミルとワユとライと手合わせの約束をしてな。それに仕事もまだある」
レテ    「手早く終わらせれば良いだろう?」
アイク   「・・・それもそうだな」
レテ    「庭に案内しよう、付いてきてくれ」
アイク   「分かった」
スタスタスタスタスタスタスタスタ
アイク   「・・・」
アイク   (歩くたびに揺れるな、この尻尾・・・)
ぐわしっ

~回想終了~
アイク   「・・・と言う訳で、悲鳴を上げた後に傷を付けられた訳だ」
エフラム  「つまり、尻尾を掴んだのが原因か?」
アイク   「ああ」
リーフ   「んな尻尾掴まれたくらいで大袈裟な」
マルス   「いや、当然の反応だと思うよ?」
ロイ    「え?なんで?」
マルス   「ラグズの・・・獣牙族の人達にとって、尻尾は自分の人生を左右するモノだからね」
リーフ   「そんなに重要なモノなの?」
マルス   「『交尾』って言う言葉を知ってるよね?」
リーフ   ブバアアアアアア!
ロイ    「兄さん!?」
ヘクトル  「気持ちはわかるがそこまで行かないだろ!」
リーフ   「ぶふっ・・・なんて単刀直入な単語だろうか・・・」
マルス   「『交わる尾』・・・そう書いて『交尾』と読む。アクマで憶測だけど、もしかしたら獣牙族の人達にとって尻尾は求愛行動(の方が適切?)をする為の重要な役割を担い出るんだよ」
ヘクトル  「それでか」
マルス   「でも、やっぱり憶測だから信用しないでね」
アイク   「そうか・・・それは失礼な事をしたな」
ガチャ
アイク   「レテに謝ってくる」
マルス   「はいはーい」
ミカヤ   「早めに帰ってきてねー」

~カイネギス宅~
ライ    「ん?どうした?レテ。尻尾抑えて・・・」
レテ    「な、なんでもない」
ライ    「はは~ん・・・さてはアイクと何かあったな?」
レテ    「な、なんでも無いと言っているだろう!」
ライ    「どうかな?動揺すると尻尾に出るからな、お前は」
レテ    「うっ・・・」
ライ    「で?何があったんだ?」
レテ    「・・・尻尾」ピーンポーン
ライ    「ん?・・・この肉と鉄の匂いはアイクだな」
レテ    「!」
ダッ
ライ    「あ、おい!・・・ったく、話の途中だってのに・・・いいや、アイクから聞こう」
アイク   「レテはいるか?」
リィレ   「お姉ちゃん?ちょっと待ってて」
レテ    「その必要は無いぞ」
リィレ   「あ、お姉ちゃん」
レテ    「・・・アイク、どうした?」
アイク   「ああ。昼間の事、謝ってなくてな」
リィレ   (お邪魔かな?)そそくさ
レテ    「尻尾の事・・・か?」
アイク   「まさかあんたがそんなに嫌がるとは思わなかった。すまない」
レテ    「あ、頭を上げてくれ。私にも非がある。顔の傷は大丈夫か?」
アイク   「これくらい、ワケは無い。それに、謝るべきはあんたじゃない。原因は俺だ。俺の方に非がある」
レテ    「もう気にしていない。それに・・・」
アイク   「・・・なんだ?」
レテ    「いや!なんでもない!そ、それよりだ!」
アイク   「?」
レテ    「その・・・あれだ・・・夕食を一緒に・・・どうだ?」
アイク   「いや、昼に続いて夕食までご馳走してもらうわけにはいかん」
レテ    「カイネギス様には私から伝えておく。・・・それとも・・・嫌・・・だったか?」
アイク   「そう言うわけではないが・・・」
レテ    「昼間の事は気にするな。それに、夕食はお前の好きな肉だぞ」
アイク   「・・・謝りに来たのに、なんでご馳走されるんだろうな・・・言葉に甘えて、ご馳走させてもらおうか」
レテ    「そ、そうか!早速報告をしてくる!」
アイク   「俺は姉さん達に連絡をいれてくる」

~兄弟家~
エイリーク 「そうですか・・・分かりました。はい。伝えておきます」
ガチャン
ロイ    「誰から?」
エイリーク 「アイク兄上です。カイネギスさんのお宅でご馳走になるらしいので、夕飯はいらないとの事です」
ミカヤ   「謝りに行ったのに、なんでご馳走されてるのかしら?」
リーフ   「さぁ?・・・ハッ!アイク兄さんは今レテさんと1つ屋根の下ブバァァァァァ!」
ロイ    「リーフ兄さん!?」
マルス   「脳内では展開早いみたいだね」
~翌日~
マルス   「♪~♪~」
(部屋の窓から)コンコン
ライ    「おい、マルス」
マルス   「はい?あれ、ライさんじゃないですか」
ライ    「昨日アイクから聞いたけど、なんでウソを教えたんだ?」
マルス   「あちゃ、やっぱりバレちゃいました?」
ライ    「俺等猫族の尻尾はな、バランスを取る為に付いてるんだ。情報通なお前がそんな事知らないワケねぇだろ?」
マルス   「さすがにライさんにはバレましたか・・・レテさんは?」
ライ    「気付いてない」
マルス   「それはよかった」
ライ    「やっぱわざとか」
マルス   「はい。多分、レテさんはアイク兄さんに自分の体の一部を触られてビックリしただけでしょう」
ライ    「まぁ、お前等人間からすれば女性のケツ触るようなもんだからな。『交わる尾』と書いて『交尾』ね・・・もっともらしい嘘つきやがって、俺も一瞬『なるほど』とか思っちまったよ」
マルス   「ね?筋が通ってるでしょう?」
ライ    「にしても一瞬でその発想に行きつくとはな・・・恐ろしい奴だよ、お前も」
マルス   「これで少しでもアイク兄さんを取り巻く環境が変わってくれたら良いんですけどね」
アイク   「フラグデストラクション!!」(※イメージです)
嫁候補一同 「グウアアアアア!?」
ライ    「・・・環境変わってねぇぞ」
マルス   「・・・どこまで行っても平原だな~・・・はぁ・・・」
 END