2-104

Last-modified: 2007-06-15 (金) 22:29:43

2-87への便乗

 

 ~数日後

ミカヤ?「セーリーカーちゃーん」
セリカ「なに、ミカヤ姉さ……」
ミカヤ?「ちーがーうーわーよー? 私はぁ、混沌の女神ユンヌ様でーすっ!」
セリカ「……っ! また姉さんの身体を乗っ取って……! この悪魔!」
ユンヌ「だから乗っ取ってなんか無いってば。もう、そんな……」
マルス「あ、もしかしてユンヌさん? ちょっといいかな」
ユンヌ「え? なにマルスちゃん」
マルス「クラスメイトにユンヌさんのファンだっていう人がいるんだ。だからサイン書いて欲しいんだけど……いいかな?」
ユンヌ「ええー、わたしのファン? やだもうっ、困っちゃうなー(さらさら)」
マルス「素早く流れるような筆跡のサイン、ありがとう。……ところで、今日は何しに?」
ユンヌ「わたしね、ちょっと前にセリカちゃんと喧嘩したの」
マルス「ああ、丁度僕が出かけてるときの話ですよね」
ユンヌ「そうそう。もう、邪神邪神って連呼されて、すごい傷ついたんだから」
マルス「けど事実じゃないですか(さらり)。正に対する負の神って、つまりは日向に対する日陰の神ってことでしょう? なら、暗黒神呼ばわりされても仕方ないんじゃないですか?(にこにこ)」
ユンヌ「…………。さり気にひっどいこと言われてる気がするけど、とにかく、そういうことがあったから、今日は仲直りに来たの」
マルス「へえ」
セリカ「…………!(ぎりぎり)」
アルム「セ、セリカ。新聞紙をそんな雑巾のように絞ったりしないでくれ……!」
ユンヌ「そういうわけで、セリカちゃーん? ちょっといいかなー?」
セリカ「…………」アルム(あわわわ)
ユンヌ「わたしはもう気にしてないからー。セリカちゃんが一言、『申し訳ございませんでした混沌の女神ユンヌ様』って言ってくれたら、仲直りしてあげてもいいんだけどー?」
セリカ「…………っっ!!(びきいっ)」
アルム「セリカ! 湯飲みを握り潰すな! 危ないから!」
ユンヌ「ほらほらー、仲直りしましょうよー? ミラちゃんの姉貴分である、このわ・た・し・とー」
セリカ「…………ぅっ」
ユンヌ「あらあら、涙目で拳握っちゃって。かっわいー」
マルス「……ところでユンヌさん。これ、何か分かりますか?」
ユンヌ「へ? ……なにって、えと、ファイアーエムブレムでしょ?」
マルス「そうです。で、これにこれを嵌め込むと……」(五つのオーブを設置する)

 キラーン☆

ユンヌ「!?っきゃあああああ!! なんか不可視の力がわたしを引き摺り込もうとおおぉ!?」
マルス「封印の盾となって、邪悪なものを封じる神器になるわけですね。……さっき言った通り、ユンヌさんは日陰の神ですから、立派に封印対象なんですよねー」
ユンヌ「くううっ! 神様ナメんなああっ!! 竜如きを抑えただけのモノで……」
マルス「ふっ。残念ながら、あなたに勝ち目はないんですよ。コレのおかげでね」
ユンヌ「それは……私が署名したサイン色紙?」
マルス「くっくっく。……世間知らずの神様は、これがただのサイン色紙だとすっかり信じていらっしゃったようだが」
ユンヌ「……え?」
マルス「このサイン色紙の真の姿は……“血の誓約書”。不正献金で捕まったルカン市議の家から盗ってきた呪いの誓約書!」
ユンヌ「えええっ!!」
マルス「ちなみに内容は『兄弟を泣かせたり怒らせたり困らせたり…中略…した場合、許されるまで押入れで反省しろ』ってことで」
ユンヌ「く、なぜか力が出せないと思ったら……アスタルテの力のせいだったのね。けど、まだまだ……!」
マルス「あ、そうそう。ユンヌさんのここ最近のいたずら、アスタテューヌさんに密告っといたから」
ユンヌ「……………………。はい?」
マルス「大層怒ってたらしいよー。それで、コレ借りてきちゃった」(メダリオンを取り出す)
ユンヌ「……っ! イヤーーーーッ! 押入れはイヤーーーーーーーーッッ!!」
マルス「はーっはっはっはっ! たかが神様の分際で、僕の兄弟を泣かせるからだ! さあ、キリキリ閉じ込められろ!」
ユンヌ「イーーーーヤーーーーーーーーッッ!!!!」(しゅるしゅるしゅるぽん)
アルム「…………」
セリカ「…………」
ミカヤ「…………」
ユンヌ(暗いよ! 怖いよ! うわーーん!)
マルス「(無視して)はいセリカ。これあげるね。あ、素手で触らないようにね」
セリカ「マルス兄さん……。ありがとう!」
マルス「いやぁ。可愛い妹のためだし、たまにはね」
セリカ「さすが、汚い手とか腹黒さとかでは一番ね!」
マルス「はっはっは。そんなに誉めるなよ、照れるじゃないか」
アルム(……ナチュラルに誉め言葉と思ってるし)
ミカヤ「(我に返って)……ってマルス! だめよ、そんな……」
マルス「エリス先生ー、お願ーい」
エリス「はいはい。(スリープの杖を構えて)ドクターストップです、お休みください」
ミカヤ「え? ……あ……」(ばたん)
マルス「任せていい?」
エリス「ええ。しばらく私が看ていますから。安心なさい、マルス」(ミカヤを担いで退場)
アルム「……魔防の高いミカヤ姉さんが、あんなにあっさり……」
マルス「ここんところユンヌさんの出現率が高かったからねー。疲れが溜まってるんだよ」
アルム「……そうなの?」
マルス「そうだよ。いつも胃が痛いって嘆いてるエリウッド兄さんのせいで目立たないけど、ミカヤ姉さんはうちで一番体力ないんだから」
アルム「そっか……。言われてみれば、セイニーでボス殴りたいけど手槍の反撃で一撃死なもんだからまごまごするのがミカヤ姉さんだったもんな」
マルス「そうそう。そんな身体なのに神様が出たり入ったり勝手に動かしたりしてるんだ。本人が気付かないだけで、相当身体に無理させてるはずなんだよ」
アルム「……気付かなかった、俺……」
マルス「気付いてたのは多分エリンシア姉さんだけだろうね。兄さんたちも、ミカヤ姉さんには甘えてばかりだから」
アルム「マルス兄さんは、よく気が付いたね?」
マルス「…………。まあ、兄弟のど真ん中だからね。上も下も程々によく見えるんだよ」

ユンヌ(ごめんなさいごめんなさいごめんなさい! もう許してお願い出してー!)
セリカ「ほーっほっほっほっ! 邪神めが、そこで永遠を過ごすがいいわ!!」

アルム「……で、あれ、どうしよう?」
マルス「? あのままでいいんじゃない?」
アルム「…………」

サザ「……上手くいったみたいだ」
セフェラン「そうですか……。全く、ユンヌ様の悪戯も困ったものです」
サザ「まあ、とにかくこれで、しばらくはミカヤも楽に過ごせるはずだ。……その、手を貸してくれてありがとう」
セフェラン「いえ、私は何もしていません。ただ彼と貴女の言葉をアスタテューヌ様に伝えただけ。……ですから、お気になさらず」
サザ「…………」
セフェラン「……ですが、そうですね。どうしても気になるというのでしたら、一つ」
サザ「なんだ?」
セフェラン「お見舞い。行くのでしょう? 私の分もしっかりお願いします」
サザ「……分かった」