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Last-modified: 2007-06-15 (金) 22:19:01

リーフ、つかまる

 

ナンナ  「それで、兄上の髪型はどうにかならないのですかって言ったんだけど……」
ミランダ 「ああ……まあ、確かに問題よね、あれは」
サラ   「……? (ビビビッ!)……受信したわ」
ナンナ  「はい?」
ミランダ 「なんですって?」
サラ   「……この辺に、リーフがいるみたい」
ナンナ  「え、リーフ様が?」
ミランダ 「……でも、彼の家からは大分離れてるわよ、ここ」
サラ   「そうね、だけど……(ビビビッ!)……受信したわ。やっぱり、リーフはこの辺りにいる」
ナンナ  「……と、言われても……」
ミランダ 「……この辺りって、確かラグズの人たちが多い地区じゃない?
      ベオクのリーフがいたら普通に目立つと思うんだけど……」
サラ   「(ビビビッ!)……受信したわ。多分ね、あっちに行けばリーフに会えると思う」
ナンナ  「あ、サラ……行っちゃった。どうしましょう」
ミランダ 「どうしましょうって言ったって、行くしかないわよねこの場合……
      あの子一人にだけリーフと会わせるのも、何となく不安だし」
ナンナ  「そうですね。抜け駆けはしないっていう約束ですものね」
ミランダ 「あ。ち、違うのよ、あんな小さな子にリーフが何か悪戯しないか心配っていう意味であってね」
ナンナ  「ふふ、分かってますよ。さ、行きましょうミランダ」

サラ   「(ビビビッ!)……受信したわ。やっぱり、この辺りに……」
ヘクトル 「おい、見つけたか!?」
エフラム 「いや、駄目だ。リン、どうだ?」
リン   「駄目ね、この辺りはラグズの人たちばかりだから、いろんな臭いが入り混じってて……」
ロイ   (本当に臭いで人を追跡できるんだなあ、リン姉さんは……)
ミカヤ  「困ったわね、ユンヌも分からないって言ってるし、よっぽどうまく隠れてるんだわ」
アイク  「クソッ、リーフの奴め、見つけたらラグネルで百叩きだ」
ヘクトル 「アルマーズでぶん殴ってやる」
エフラム 「ジークムントを投げ槍として扱うための訓練がしたかったところだ」
ロイ   「止めてあげようよ、死んじゃうよそれ」
ヘクトル 「いや、ここは徹底的に体に覚えさせて……お?」
サラ   「……こんにちは」
リン   「えーっと、リーフの友達の……サラちゃん、だっけ?」
ナンナ  「あ……リーフ様のご兄弟の皆様……」
ミランダ 「……ってことは、やっぱりリーフ、この辺にいるんだ……」
サラ   「……リーフを探してるの?」
リン   「え、ええ」
サラ   「……どうしても、見つけたい?」
アイク  「もちろんだ。奴は絶対にしてはならないことをした。その罪は償ってもらう……体でな!」
マルス  「……どうでもいいけど、兄さんが言うといろいろヤバイですよその台詞は」
ナンナ  (……どうしましょう?)
ミランダ (ここは、先にリーフを見つけて逃がしてあげて、恩を売っておくべきじゃない?)
サラ   (……そんなの、つまんない)
ナンナ  「あ、サラ!」
サラ   「(ビビビッ!)……受信したわ」
ヘクトル 「なに?」
サラ   「リーフは、あっち」

アイク  「……この家か?」
ミカヤ  「何か見覚えが……あ、ニケさんのお宅だわ、ここ」
ロイ   「知ってるの?」
ミカヤ  「うん、狼族の人で……でも、どうしてこんなところにリーフが?」
アイク  「入ってみれば分かるだろう。おい、リーフ、お前は完全に包囲されている! 大人しく出て来い」
ニケ   「(ガチャ)騒がしいな……何事だ」
ミカヤ  「あ、ニケ様、お久しぶりです。こちらにわたしの弟が来ていませんか?」
ニケ   「……知らんな。今日は来客などないぞ」
アイク  「本当か? 隠すとために」
ロイ   「失礼だよ兄さん、抑えて、抑えて!」
ニケ   「……そうは言ってもな、本当に心当たりはないぞ」
リン   「あー、そうですよね、失礼しまし」
サラ   「(ビビビッ!)……受信したわ」
リン   「え?」
サラ   「リーフは、そこの、犬小屋の中」
ヘクトル 「犬小屋っつーと……」
エフラム 「この、無駄にでかい……」
ロイ   「『オルグ』って書いてある……」
ミカヤ  (……オルグさん、最近本物の犬化してきてる気が……)
ニケ   「……GAAAAAAAAAWOOOOOOOOO!!」
ヘクトル 「うわっ、なんだこりゃ……!?」
アイク  「凄まじい咆哮だな……!」
リン   「あ、犬小屋が吹っ飛ばされて……!」
オルグ  (『なんだ、何が起きた!?』と言いたげに、慌てふためいてキョロキョロ)
ニケ   「……オルグ、どけ(蹴り飛ばす)」
オルグ  「キャイン!」
ミカヤ  (あ、扱いが酷すぎる!?)
オルグ  「きゅーん、きゅーん」
ミカヤ  (しかも腹を見せて絶対服従のポーズ……! 駄目だわ、駄目すぎるわオルグさん!)
リーフ  「な、なんだ、一体何が」
ヘクトル 「あーっ、いやがった、リーフだ!」
エフラム 「こいつめ、あのでかい犬の影に隠れていたな……!」
リーフ  「そ、そんな! 策敵MAP初搭載FEの主人公であるこの僕が! 
      厄介な隠れ場所なら身を持って熟知しているこの僕が、こうもアッサリ見つかるなんて……!」
アイク  「何を訳の分からないことを言っている……! リーフ、覚悟は出来ているんだろうな!?」
リーフ  「ヒッ……ゆ、許して、アイク兄さん!」
アイク  「黙れ! お前は肉を食べた。それも、俺が楽しみにしていた、火竜のステーキを……
      お前はこともあろうに一人で全部食べてしまったんだ!」
リーフ  「し、仕方なかったんだ! あまりにお腹がすいていたものだから……
      ほら僕ってリスみたいなもんでさ、食べられる内に可能な限り食べるっていう本能があるっていうか。
      か、可愛いよね? 可愛いでしょ? 可愛くない!?」
アイク  「GAAAAAAAAWOOOOOOOOO!!」
リーフ  「ひいっ!?」
ニケ   「むっ……あの小僧、なかなかいい咆哮だな……見所がある」
ミカヤ  (なんか認められてる!?)
ロイ   「どんどん人間離れしていくなアイク兄さんは……」
ヘクトル 「さて……それじゃ、この糞葉っぱ野郎をたっぷり折檻してやるとするか……!」
エフラム 「ああ。食い物の恨みは恐ろしいということを、こいつの体にたっぷり教え込んでやる……!」
アイク  「楽にしねると思うなよ、リーフ……!」
リーフ  「い、いやだ! 誰か、助けて!」
サラ   (じーっ)
リーフ  「さ、サラ!? そうか、見つかったのは君の……! ぼ、僕を売ったな、サラ!」
サラ   「(ゾクゾクッ!)……リーフ……生きてたらまた会おうね……」
リーフ  「こ、このクルクル電波のクソアマァっ! ああ、ナンナ、ミランダ、助けて!
      このままだと極めて物理的に殺されてしまう!」
ナンナ  「え、ええと……」
ミランダ 「無茶言わないでよね……こんな非力な女の子に」
ヘクトル 「安心しろ、殺しはしねえよ」
エフラム 「その方がマシだったと、後悔することにはなるだろうがな」
アイク  「よし、行くぞ皆」
リーフ  「うわぁ、止めてくれーっ! この人でなしーっ……!」
リン   「……協力ありがとうサラちゃん、いつかお礼させてね」
サラ   「それなら(ごにょごにょ)……がいい」
リン   「あはは、そんなことならお安い御用よ。それじゃ、またね」
ナンナ  「あ、あの、リン様……」
ミランダ 「リーフのことなんですけど」
リン   「ああ、大丈夫よ、心配しなくても本気で死んじゃう直前ぐらいには止めるから」
ナンナ  (つまり、死ぬ直前ぐらいまでには痛めつけられる、と……)
ミランダ (自業自得とは言え、可哀想になってくるわ……リーフ、お見舞いぐらいには行ってあげるからね)
サラ   「……」
ナンナ  「サラ、どうしてあんなにアッサリ引き渡したの?」
ミランダ 「そうよ。見なさいよあのリーフの怯え方。ドナドナよりひどいわよあれ。可哀想じゃないの?」
サラ   「……約束、取り付けたの。リーフのちっちゃいころのアルバム、見せてくれるって」
ナンナ  (ピクッ)
ミランダ (ピクッ)
ナンナ  「……そ、そうですね。リーフ様のがっつきようは確かにひどいですし、
      多少痛い目に遭っても、仕方がないですよね」
ミランダ 「……そ、そうね。その通りだわ。あー、ところで、サラ?」
サラ   「(ビビビッ!)……受信したわ。大丈夫、ナンナとミランダも一緒に見に行きましょう……」
ナンナ  「あ、ありがとう、サラ!」
ミランダ 「持つべき者は友達ね……あ、ち、違うわよ、わたしは今よりももっと情けなかったであろうリーフの姿を見たいだけで」
サラ   「……いい取引だったわ……それに」
ナンナ  「それに?」

リーフ  「誰かぁーっ! 助けてーっ! それが無理ならいっそここで殺してーっ! 痛いのいやぁぁぁぁぁぁぁっ!」

サラ   「(ゾクゾクッ!)……リーフが泣き喚いてるところ見るの、大好き……」
ナンナ  (あ、危ない……!)
ミランダ (本物だわ、この子は……!)

<おしまい>