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Last-modified: 2011-05-30 (月) 22:36:59

ラトナ様がみてる

「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
さわやかな朝の挨拶が。澄みきった青空にこだまする。
ラトナ様のお庭に集う乙女たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。
汚れを知らない心身を包むのは、深い色の制服。
スカートのプリーツは乱さないように、白いペガサスの羽は落とさないように、
ゆっくりと進むのがここでのたしなみ。
もちろん、遅刻ギリギリでリワープするなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもない。
私立ルネス女学院。
紋章暦三十四年創立のこの学園は、もとは貴族の令嬢のためにつくられたという、
伝統あるロストン系お嬢様学校である。
紋章町下。マギ・ヴァルの面影を未だに残している緑の多いこの地区で、
神に見守られ、幼稚舎から大学までの一貫教育が受けられる乙女の園。
時代は移り変わり、元号がテーベから三回も改まったグラン暦の今日でさえ、十八年通い続ければ
星のオーブ育ちの純粋培養お嬢様が輸送隊で出荷される、という仕組みが未だ残っている貴重な学院である。

ラーチェル「エイリーク、今度の次期生徒会長選挙の件はどうしますの?」
エイリーク「ええと…やはり私は部活の方に集中したいので…」
ターナ「もったいないなー、エイリーク下級生に人気あるのに」
ラーチェル「ふふふ…ならばここは正義の美王女!このわたくしの出番ですわ!
      ルネス女学園に正義のなんたるかを徹底してさしあげますわ!」
ターナ(また、はじまったよ…)

ルネス女学園生徒会は副会長や書記を置かず、3名の生徒会長の合議制で成り立っている。
その3名は敬意と尊敬を込めて己の得意武器の称号をうけて呼ばれる。
現在の3会長はリノアン、シレーネ、アテナ。
従ってロサ・リザイア、ロサ・ヴィドフニル、ロサ・メリクルと呼ばれる。

ラーチェル「ああ…来年にはわたくしがロサ・イーヴァルディと呼ばれる事になりますのね…
      なんて美しい響き」
エイリーク「ええ、応援していますよラーチェル」
ターナ「エイリークがロサ・ジークリンデになるのも興味あるけどねー」

そんな3人を遠巻きに見ている下級生達。
マリーシア「きゃあ!見て見て!上級生のお姉さま方よ!」
マリア「きれいだよねー、ため息でちゃう…」
ティナ「今年の選挙に出馬するのかなー、モチ投票しちゃう!」

その時校内放送が鳴り響いた。
ヴァネッサ『緊急放送!変態集団ベルクローゼンが現れました!生徒の皆さんは校舎内に退避!
      武器を扱える生徒は装備を忘れないように!』
エイリーク「……はぁこりない人たちですね」
ターナ「でもここは仮面の騎士の出番ね!」
ラーチェル「お待ちなさい!今日はエイリークが出るまでもありませんわ!」
ターナ「ラーチェル?」
ラーチェル「生徒を守るのは生徒会長の責務!ここはこのラーチェルにお任せなさい!」

~校庭~
ゲブ「ぶふふふふふぅ、今日こそこの学院を俺達のモノにするのだぁ」
レイドリック「ぐふふ、よだれがでるのぅ黒髪ハァハァ」
ブラムセル「ほっほっほ、この危ない踊り子衣装を着せてやるぞぉ!」

ベルクローゼンのたわ言に校舎の窓から大ブーイングだ。
女生徒A「しつこいわよ!変態ども!」
女生徒B「そーだー死んじゃえー」
アメリア「また仮面の騎士様にやられにきたのね!」
女生徒C「喪男ー、その年まで年齢=彼女いない暦、プギャー!」
その時リノアンが前に進みでた。
リノアン「みなさん、はしたないですよ」
女生徒A「あっロサ・リザイア!」

校庭にでたリノアンは3人の変態と対峙する。
リノアン「どのようなご用件か存じませんが、本校は部外者の無断立ち入りをお断りしています。
     お引取り下さい」
ゲブ「ぶふふぅ、まずはお前が俺たちのものになるのだぁ」

リノアン「聞く耳持たないようですね…ならば!」
シレーネ「腕づくでお引取り願いましょう!」
アテナ「おまえたち・臭い」

女生徒A「きゃあ!3会長のお姉さまがたよ!」
女生徒B「そろってお姿を見られるなんて…」

巨大なルネス学園の生徒を統括する3会長は極めて多忙であり、広い校舎内の各所で仕事をしている。
そのため変態が来た時にはどうしても駆けつけるまでに時間がかかり、
彼らの撃破は仮面の騎士の仕事になっていたが、今日はちょうど3人とも校庭付近に居合わせたようだ。

レイドリック「おのれちょこざいな!いでいダークマージ軍団!」
ダークマージ達「イー!」
手下を呼ぶ変態たち。だがダークマージ軍団など3会長の敵ではない。
あっというまに全滅させられる。

女生徒A「きゃーステキー!」
アテナ「心配するな・アテナ・みんな守る」
女生徒B「きゃああ!守ってくださーい!」
もはや手を振って声援に応える余裕っぷりだ。そしてそれを木の上からみる少女が一人。

ラーチェル「ぐぬぬぅ…せっかくわたくしが高いところから颯爽と登場しようとしましたのに!
      完全に出遅れましたわ!」
ターナ「ラーチェル…今から出て行ってもピエロだよね…でもあの分なら仮面の騎士の出番はないかな」
エイリーク「何事もなければそれが一番です」

シレーネ「さあ、手下達は片付けたわよ、次はあなたたちがやる?」
アテナ「メリクルの錆・なりたいか」
リノアン「無様に逃げたほうがよろしいんじゃなくて?」

ゲブ「ぶふふふふぅこんなこともあろうかと、ちゃんと用意をしてきたのだぁ」
レイドリック「優秀さんを騙してつくらせた新兵器、スタンボム!」
レイドリックが地面に改造したフレイボムを叩きつける。
たちまち破裂したそれは、特殊な魔力を発して3会長を襲った。
リノアン「なっ!?」
シレーネ「か…体が…」
アテナ「これは・麻痺?」
ブラムセル「わっはっは、一回しか使えぬが、アスタルテの全体麻痺と同じ効果があるのだ!」

女生徒A「卑怯よ!」
女生徒B「変態!」
アメリア「ケダモノ!」
女生徒C「ブ男!」
女生徒E「まともじゃ勝負にならないからって!」

ゲブ「ええい!やかましい!これでルネスは俺たちのものだぁ!」
ラーチェル「そうはいきませんわ!」
木の上でポーズをとるラーチェル。
ラーチェル「あなた方の悪行!たとえ天が許してもこの正義の絶世美王女ラーチェルが許しませんわ!
      ラトナ様に代わってお仕置きですわ!とーう!」
木から飛び降りて変態達に突っ込むラーチェル。
ラーチェル(嗚呼…今のわたくし…最高にイカしてますわぁぁぁぁ!)
怯む変態たち。

レイドリック「ど、どうする?なんか強そうだぞ!」
ブラムセル「ええい、後少しでルネス女学院が、女生徒たちが手に入るというのに…」
グブ「ぬぅ…」
ラーチェル「さあ、正義の鉄槌のお時間ですわ!」
リライブの杖で杖ポコをかますラーチェル。
レイドリック「…なんじゃそりゃ?」
ラーチェル「…あら?………しまったですわぁ!!!わたくしとしたことが魔道書を忘れてくるなんてぇぇぇ!」
ゲブ「ぐふふぅ、アホな小娘めぇ、お前から手篭めにしてやるぞぉ」
ラーチェル「きゃあ!けだもの!ヘンタイ!悪魔!ど、どさくさにまぎれて
      わたくしを襲おうなんて許しませんわ!」
ゲブ「ぶふふふぅ、そのとおりだぁ!なんとでも言えぇ!」

仮面の騎士「そこまでだ悪党ども!」
ブラムセル「げっ貴様は!」
ラーチェル「エイ…もとい仮面の騎士様!?」
レイドリック「いかん!このままではいつものパターンでやられてしまう!」
ゲブ「あせるなぁ、俺たちにはこの新兵器が…」
ブラムセル「あれは一つしかないんじゃ…」
レイドリック「ええい、こうなったら力ずくで!」

だが変態たちなど仮面の騎士の敵ではない。華麗なレイピアさばきで校庭に大の字となった。
仮面の騎士「お怪我はありませんか?」
ラーチェル「へ!?…ええ////」
仮面の騎士「よかった…貴女をお守りできたことを私の誇りとします。レディ」
ラーチェル「騎士様…////」

その様子を3会長を介抱しながら眺めるターナ。
ターナ「エイリークったらまた役になりきっちゃってまぁ…にしてもラーチェル、なんで顔赤くしてるのよ…」

続く