20-293

Last-modified: 2011-05-31 (火) 03:00:44

293 :Let's肝試し!(109):2009/08/15(土) 22:52:01 ID:+goCmc0X
今の時期の内にとにかく投下!
前回(前スレ 639-645)

リン「何やってんの、あんた達、もうついたわよ」
どうやら最深部に到着したらしい、呼びかけられたのに気づき気持ちを切り替える二人
マルス「本当だ、じゃあ入ろっか」
セリス「鍵かかってるよ」
証明するためにセリスがドアノブに手をかけて回そうとする
鍵がかかっているときの独特の手ごたえとガチャガチャという音が
ドアが固く閉じられていることを意味している
マルス「ひらけーゴマー」
しかしマルスがドアノブに手をかけるとガチャリという音とともにドアが軋みながら開いた
セリス「あれ、なんで?」
マルス「鍵もらってたから」
セリス「あ、そう…」
鍵を懐中電灯で照らすマルス、続けて足下を照らしながら部屋へ先に入っていき、
続けてリン、セリスの順に部屋へ足を踏み入れていく
一人廊下に残ったリーフはドアの上部に懐中電灯を向ける
リーフ「『事務局』?」
そこに貼り付けられているプレートにはそう書いてあった
貴重な光源を手にぼんやりと立ってる訳にもいかないのでそれだけ確認するとすぐに中へ入った
リン「やっぱりそこまで広くはないわね」
セリス「わーあちこちボロボロ」
机が点在し、上に電話機などが乗っていたりするわけだが
なかなかに悲惨な状況である、壁、床にヒビはもちろん、点在している机は必ずどこかしら破損
例を挙げると4本ある机の足の内一本が折れていたり、なぜか中央から真っ二つに割れた机もある
受話器部分だけ綺麗に吹っ飛んでいる電話機があったりなどなど
セリス「何があったんだろ」
リーフ「まあ、この世界の住民色々と濃いから」
武器類は平然と持ち歩けるし、魔法もあるし、竜族やラグズといった人ならざる存在もいるし
色々と化け物みたいな力を持った存在も一人や二人どころではないし
些細なことで地域の一部が破壊されるなぞ日常茶飯事、
これらに突っ込みを入れると決めたらキリがない、
要するにフリーダムなのがこの世界だ、割り切るに限る
リン「それにしても、ケホッ…なんか埃たってない?」
リーフ「ホントだ…長い間閉ざされてたはずなのになんで?」
その答えは虹シグルドにある、リーフの踵落としによって急落下したのが原因で
実はこのとき地下まで到達してしまい、その影響で大量の埃を巻き上げてしまった
1Fでエイリーク、リンが虹シグルドを発見した際
リンの打撃によって虹シグルドから埃が上ったのはこのためである
マルス「まあ、気にせずに各自、この部屋を隈なく探してほしい、資料を探す」
目の前の埃を払うように自身の目の前を手で払いながら奥へ行くマルス
リーフ「どんなの?」
マルス「あー…とりあえず本の類を手当たり次第集めて」
セリス「適当すぎるよ! 特徴は?」
マルス「見た目は不明、内容を少し教えられてる僕が見て判断するから勝手に開いちゃダメだよ」
リン「しょうがないわね、さっさとやりましょ」
他の部屋に同じく必要なものは持ち出されており、探すのには苦労しなかった
逆にここでも必要な物を持ち出されているのに、
極秘資料だけピンポイントで忘れた事にますます疑問が深まったが…
結局数冊程度しか見つからず、その中に当たりがあったようだ
極秘資料を手にマルスは一息つく、任務完了である

294 :Let's肝試し!(110):2009/08/15(土) 22:54:30 ID:+goCmc0X
マルス「さて、用も済んだし出ようか、長居は無用…!?」
帰ろうとしたその時、急に背筋を逆撫でするような感触がし、
マルスは勢いよく背後を振り返った、突然の行動に他三人は目を丸くする
リン「何してるのよ?」
マルス「いや…背筋に寒気が…ん?」
そこまで言ってついさっきにもこんなことがあったのを思い出す
4Fで使える剣を探していたときのことだ、あの時の感触に似ていた
セリス「風邪でもひいた?」
マルス「んーでもなんだか少し気分が悪い…」
リン「本当に風邪ならシャレにならないわよ、とっとと出て…!?」
今度はリンが背後を思いきり振り返った
リーフ「ちょっとまって、まさかリン姉さんまで?」
リン「確かに背後に寒気を感じたわ…ゾッとするような」
なにやら段々空気が重くなってきた気がする、室温も下がったような…
セリス「やめてよー…とりあえず――」
出た方がいい、と提案しようとしたその時

――ナニヲシテルノ?

突如部屋全体に響き渡る少し片言の女性の声、
それでいて明瞭に聞こえるその声は思わずゾクっとするような感覚を与える

セリス「で、出たーー!!」
リーフ「幽霊って本当にいたの!?」
マルス「そんなまさか…!」
思わず半狂乱になるセリスとリーフ、マルスも表面には出さないが内心狼狽してるようだ
リン「人に言えたものじゃないわね、あんたこそ何してるのよ、というか誰!」
リン自身も内心は平常でなかった、でも恐れに怯む彼女ではないようだ、負けじと言い返す
姿こそ見えないが声は届いたようだ、一瞬の沈黙の後再び声が聞こえた
――質問に質問で返す物じゃないんじゃないの?
先ほどに比べ普通の口調になっている、それでも正体不明の声というだけで気味が悪い
リン「ぐっ…」
思わず押し黙ってしまった、返答がごもっともなのもそうだが
今の言葉はつい先刻自分が言った台詞だ、
しかもそれを知っているような口振りである事が気味の悪さに拍車をかけた
マルス「…ある人の依頼を果たしに来ただけだ」
とりあえず強気の姿勢で行くべきだろうと判断したマルスはやや語調を荒げて返答した
――あら、知ってるわよ、探し物でしょ? わざわざ返答ありがと
マルス「な、知って…」
ところが返ってきた言葉は挑発的だ、どこまでも人を小馬鹿にした態度を取る謎の声、
思わず怒りを覚えたが、ここまで余裕がある口調は逆に恐ろしくも思える、
余裕があるということは自分が優位であると確信してるという事だ
セリス「じゃあ、あなたは何をしに来たんですか?」
若干語気が弱いがはっきりとした口調で問いかける
――うーん…特別何をしに来たわけじゃないけど、意味を見出すなら
バタンッ!
リーフ「うわ、ドアが勝手に閉まって…!?」
――少し遊んでもらおうかなぁ?
セリス「あれ何!?」
突如4人の目の前に青く揺らめく淡い光が現れる
マルス「付き合ってられない、さっさと出よ」
鍵を手にしてドアに足を運ぼうとするマルス
――え? いらないのコレ?
マルス「はぁ…? って、ちょっ!」
いつの間にか手にしていた資料がなく、青い光と一緒に資料が浮いているではないか
早い話が奪われ、人質を取られた状態となる、人じゃないけど

295 :Let's肝試し!(111):2009/08/15(土) 22:56:19 ID:+goCmc0X
リーフ「いつの間に…」
リン「返しなさいって言っても通じないわよね?」
――もちろん通じなーい
語尾に音符マークでも付きそうな口調で肯定される、とりあえず返す気はさらさらないらしい
リーフ「だったら力づくだ!」
勇敢にも青い光に飛びかかるリーフ、一直線に対象に向かって走り出す
――あ、飛びかからないほうが…
何故か相手側から警告っぽいのが飛んできたが慣性の法則というものがある
避ける事も止まる事も出来ずにリーフは真正面から青い光に接触、貫通してしまった
リーフ「う…何コレ、気分が…」
とたんに床に膝をついてしまう、少し頭がクラクラする
――あらら、中てられちゃったかなぁ、だいじょぶー?
セリス(なんか口調が幼いな…それに)
リン(どこかで会ったような…?)
初めて会うはずなのにどこかデジャヴを感じるセリスとリン
自分の記憶を辿っていた二人だが、ふと青い光にそっと近づくマルスが見えた
相手の死角に入っているかは定かでないが(姿形見えないし)、気づいていなければチャンスである
――もしもーし、生きてるー?
どうやら意識はリーフの方へ向いているらしい、おそらく気付かれていない
そうマルスは確信し、一気に距離を詰め、そして
――あ…
ひょいっと資料を取り上げるマルス、呆然とした声を発する青い光
あっさりと奪還に成功した事で面倒事にならずに済んだ事に安心するリンとセリス
マルス「はぁ…なにやってんですか負の女神さん」
溜め息をつきながら青い光を見やる、溜め息は無事に取り返せた安堵なのか呆れの意か、両方か
セリス「え、負の女神って…」
とたんに青い光が揺らぎ始め、徐々に人の輪郭を形成していく
ユンヌ「さすがにバレちゃった?」
そこに居たのはまさしく外見は子供だがれっきとした負の女神ことユンヌだった
正体がばれたにも関わらずどこか楽しげである
マルス「背後に何かを感じた時の嫌な感覚、ようやく思い出した…あれは負の気だ」
ユンヌ「御名答、背後からちょっと負の気を送っただけで、目を見開いて背後をバッて振り向くんだもの」
もう面白くて、と今度は心の底から笑い始めた
軽く怒りを覚えたが相手には実体がないので小突くこともできない
仮に出来たとしても負の気に中てられる可能性があるのでオススメしない、触らぬ神にたたりなし
リーフ「で? なんでここにいるわけ…」
多少は回復したらしいリーフ、まだ若干顔色が悪いが…
ユンヌ「だって肝試しやってるって聞いたんだもの、そんな面白そうな事参加しない手はないでしょ」
リン「誰に聞いたの? 今日私たちは初めて聞かされた上に、仕掛け人三人組は内密にしてたし」
ユンヌ「エリンシア」
セリス「エリンシア姉さん?」
意外な人物の名前が出てきた事に思わず言葉を失う一同、いったいいつの間に?
ユンヌ「正確には独り事を聞いちゃっただけだけど」
リーフ「ごめん話がさっぱりわからない」
うーん、とちょっと考え込むかのような動作をするユンヌ、どこから話すか考えているようだ
やがて一人頷き、口を開いた
ユンヌ「んと、実は今朝から退屈で、紋章町の人に悪戯して遊んでいたんだけど」
マルス「朝っぱらから何してんですかアンタは」
開口早々に口を挟まれやや頬を膨らませるユンヌ、これだけ見ると神様というより年相応の子供だ
ユンヌ「退屈なんだもん、いいでしょーちょっと負の気送って軽いバーサクにするぐらいー」
リーフ「ナチュラルになにしてんの!?」
ユンヌ「だって面白いんだもん…例えばしっこくさんにやったら所構わず衝撃波飛ばしまくった」
リン「よりにもよって第一級危険人物になんてことを」
ユンヌ「ちなみにしっかりサザが巻き込まれてたわ、ざっと2、3発は当たってたかも?」
セリス(サザさん…どうか、安らかに…)
心の中で祈りを捧げるセリス、黙祷、すでに死人扱いだ

296 :Let's肝試し!(112):2009/08/15(土) 22:57:31 ID:+goCmc0X
ユンヌ「ああ、大丈夫、サザは無事だった」
セリス「え、そうなの?」
無事に生存していた事も多少は驚いたがそれ以上に驚いたのが
ユンヌの口からサザの無事が聞けた事だ、てっきりその後の末路なぞ眼中にないと思ったのだが
彼女なりに案じていたのだろうか、と思ったが
ユンヌ「いやぁ正直、虫の息だったんだけど負の気を送ったらまた元気になってねー」
どうやら案じるつもりは微塵もなかったらしい、とんでもない荒療治である、セリスが固まる
リーフ「死人にムチ打つ真似してどーすんの!」
ユンヌ「助けるとしてもこの方法しか思いつかなかったもん、
    ちなみにそのまま暴走しっこくさんに向かってったけどさすがにその後は見てないわ」
リン(生きてる…といいわね)
さて瀕死状態を無理矢理暴走させて危険物に突貫した場合の生存確率はいかほどだろう
パーセンテージで表すなら1%いってれば良い方に思える気がするが
ユンヌ「無駄話しちゃった、んでひとしきり遊び終わって、あなたたちの家に戻ったら誰もいなくて…」
リーフ(無駄話で片づけられちゃったよ)
誰もいなかったのは肝試しで全員出払っていたからであるのは言うまでもない
それにしても退屈しのぎという理由だけで一体どれだけの人数に被害が出たのだろうかとリーフは思ったが
そんな心境に気づくこともなくユンヌは話を続ける
ユンヌ「どうしたものかなーって考えてたら誰かが帰ってくる音がしたのよ」
リン「その人、もしかしてさっき話してたエリンシア姉さん?」
ユンヌ「そうそう、他に誰もいないし、話を聞こうとしたらなんか色々独り言を言ってて」
リーフ「独り言?」
ユンヌ「肝試し、とか早く戻らないと、とか、それでまたすぐに出かけて行ったから後をつけたの」
セリス「尾行ってやつですか」
ユンヌ「そしたら遠目に廃ビル前でアイク達が屯してるの見えたから、
    肝試し会場はここだとわかって、エリンシアを追い越してさっさと入らせてもらったわ」
麦茶やら取りにエリンシアが戻った時に意図せぬ拾い物をしてきてしまったと、そういう事だ
納得した?、と最後に言って話を切り上げるユンヌ、しかし途端にまた不機嫌そうな表情になる
ユンヌ「もーこんな面白いことするなら教えてほしかったなぁ、これ以上ないほど混沌にしてあげたのに」
だから言わなかったんだ、とマルスとリーフは心中でぼやいた、
知られたらどうなるかわかったものじゃない、主に命が
リーフ「じゃあ仮に事前に知らせてたなら何する気だった?」
ユンヌ「んー4Fに武器とか残留してたじゃない? あれでも使ったかな」
セリス「あまり聞きたくないけど具体的には…?」
武器などという単語を聞いた時点でマシとは思えないが突っ込んで聞いてみる
そうねー、と頭を捻るユンヌ、やがて思いついたようにパッと顔を上げた
ユンヌ「いきなり横の壁の穴から槍が飛び出すとか、物影から斧飛んだら楽しくない?」
マルス「普通に人命に関わる事を神様がしようとするなぁー!!」
例として挙げた二つのどちらも直撃したらただ事ではなくなる
もはや肝試しどころか生きて帰れるかの運試しとなってしまう
仮に自分が直面したら…とセリスは考えそうになったがやめた、考えただけで冷える、嫌な意味で
ユンヌ「えー…じゃあ杖か…魔道書で背後からボコッと?」
リン「さっきより危険性は少ないけど、どうして全部手荒なのよ、しかも魔道書は打撃武器じゃないし」
ユンヌ「私は混沌だから、魔道書は角でも使えば立派な武器よ」
リーフ「答えになってない、あと本の角はやめて」
ユンヌ「まあ私が来た時には肝試しどころじゃなく、妙な物追いかけまわしてたみたいだけどねー」
マルス「スマボか…」
虹シグルドの事だ、エリンシアが戻ってきたときはまだ虹シグルドの討伐真っ最中だった

297 :Let's肝試し!(113):2009/08/15(土) 22:59:04 ID:+goCmc0X
ユンヌ「あんまりにも必死に壊そうとしてるからそのスマボに負の気のバリア作ってあげたわ」
マルス「やけに壊すのに時間かかったと思ったらアンタのせいか!!」
リン「い、いらない事を…!」
スマボはルーテによる強化などは一切されてなかったのだ
かなり前にも述べたように原料不明の物質の耐久を上げるのはそう容易ではない
なんのことはない、はた迷惑な神様の恩恵(というの名の横槍)だったのだ
ユンヌ「だってー…、リンー」
リン「え、私? 何」
まさか急に話を振られると思ってなかったので少々驚いたが耳を傾ける
ユンヌ「もし、戦う力を持たないたった一人の人間に複数人で襲いかかっているのを見たらどうする?」
リン「助けるに決まってるわよ、一人に大勢でかかるってのが気に入らないから」
ユンヌ「それは正しい事だと思う?」
リン「当り前でしょ! 間違ってるとは言わせないわ」
リンは正義感が強い人間だ、弱きを助け強きを挫くというスタンスを貫いている
納得のいく答えが得られたのか、うんうん、と腕を組みながら頷くユンヌ
ユンヌ「うん、やっぱりそうよね、しっかり聞いたわ、そこの腹黒王子もしっかりと聞いたでしょ?」
リン「だから何なの…?」
いまいち言いたい事がわからない、多少の苛立ちを覚えながらリンはユンヌの言葉を待つ
反面マルスは言葉に詰まっている様子だ、その様子を口端に笑みを浮かべながら見やりながら口を開く
ユンヌ「なら私のスマボにした行動と、リン、あなたが取ると言った行動、何が違うというの?」
リン「う…!?」
ようやく意図が読めた、さっきのユンヌの例え話で出た人物に
さっきまで虹シグルドを討伐していた時を当てはめればこういうことになる
戦う力を持たない一人の人間 = 虹シグルド
その一人の人間に襲いかかる複数人 = リン、マルス等の虹シグルド討伐隊
ユンヌのした行動はリンがさっき取るといった正しい行動に等しくなる
ユンヌ「一人で大勢にかかるのが気に入らないって言ったわよね、ならあなたたちのやってた事は?
    一人に集団で襲いかかる、まさしくあなたたちは『集団』の方じゃない」
リン「た、確かにそうだけど…あれは…」
ユンヌ「あれは…何? 相手次第ではどうにでもしていいって事? うわー差別はんたーい」
リン「…ああ、もう! わかったわよ、私が悪うございました!」
ユンヌ「わかればよし! 腹黒王子も文句ないでしょ?」
マルス「…はい」
結局のところ自身の迷惑行為の正当化に過ぎなかったのだが、正論を出されてしまうと何も言えない
ユンヌ「それに私、わざわざ地下にいっちゃったスマボを上げてあげたのよ?」
マルス「はい?」
先ほどと同じ言葉だが、今度は思わず間抜けな声を出すマルス
ユンヌ「どこかの葉っぱさんの踵落としで地下まで行っちゃったから手伝ってあげたって事」
虹シグルドが地下へいってしまったことで破壊不可能となった所を救済したというわけだ
図らずもあの時のリーフの祈りは確かに神様に届いた事になる、字面通り、神様に
リーフ「そうだったの…?」
マルス「というか一体いつから居たんですか」
ユンヌ「葉っぱさんの踵落としから」

298 :Let's肝試し!(114):2009/08/15(土) 23:00:32 ID:+goCmc0X
リーフ「ってことは、丁度居合わせたって事?(ていうか『葉っぱ』って…)」
ユンヌ「そうよ、廃ビル入って早々に見た光景がそれだった、
    まあ…地下に行くための手段があのスマボを使う事だったのは後から知った事だけど」
虹シグルドの破壊を困難にしたのは腹立たしいがスマボが地下に行ってしまっていたら
地下へ行く手段もなくなり、詰んだ事になる、仮にスマボが無かったとしても
無理矢理にでも扉を破壊して地下に行く事は出来ただろうが、
ドアを破壊するにはスマボを使う事が一番楽だった
実際リーフの踵落としで地下へ行ってしまったかもという可能性に行きついた時は
正直、少し危機感を覚えていた
ユンヌ本人にしてみれば虹シグルドにバリアを作り、破壊に奮闘してる様を見ようという魂胆だったのだろうが
ユンヌ「結果的にあなた達を助けることになったわけだし、むしろ私に感謝してほしいわね」
甚だ不本意な借りを作る原因となった葉っぱ事リーフをとりあえず睨むマルス
その眼光に耐えきれなくなり、嫌な汗をダラダラ掻きながら
リーフはそっぽを向く、それでも視線が痛い、刺さりそうだ
リーフ「ああ…なんか急に疲れてきた」
とりあえず視線を忘れようと少し大げさな声量で疲労を訴え、伸びをする
いらぬ労力をかけていたことを実感するとなぜか思い出したように疲れが出てくる
どうせなら言わないでほしかった、とリーフは思った
セリス「ねぇ、スマボって何?」
リン「あ、そっか、セリスは知らないわよね」
リーフ「極力知られないようにしてたけど、ここまで来たら隠せないから話すよ」
逃避もしたいし、と心の中で呟きながら未だ背後から感じる刺さるような視線を誤魔化すためにも
リーフはセリスに事細かに説明し始めた

マルス「逃げたな…全く」
ユンヌ「まあ、借りをどう返してもらうかは後で考えよーっと」
あとでアイクに関する何かでも送ってチャラにでもなるかな、とマルスは考えた
つい先ほどエリンシアを追いながら見つけた廃ビル前に屯する我が家族達を
『アイク』達、と意識的なのか無意識的なのかはわからないが、そう呼んだほどだ
第一アイクを好いている事は周知の事実だし
ユンヌ「あーあ、アイクと肝試ししたかったなぁ」
わざわざこうしてご丁寧に声にしてまで出すほどだ、おそらく問題ないだろう
半ば家族を売ろうとしてる事に関してはこの際黙殺する