20-518

Last-modified: 2011-05-31 (火) 03:31:44

518 :ラトナ様がみてる:2009/09/04(金) 18:45:12 ID:mGip+1mR
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エフラムとターナは海辺に座って飲み物を飲んでいた。
空を見上げるエフラムの静かな眼差しに、胸の鼓動が抑えられないターナ。
だが同時に癪でもある。エフラムの表情はクールそのものだ。
ターナ(むう!いくらミルラちゃんみたいのがタイプだからって、
    水着の女の子が隣にいるのに!)

だがこんなエフラムには慣れた。イチイチ凹んでいられない。攻めあるのみ。
さりげに寄り添って肩と肩をくっつける。

空を見上げるエフラムは雲を見ていた。
エフラム(あの雲…ミルラに似てるな…もう3日ほど会っていない…寂しがっていないだろうか)

このエフラムをロリコンと見るか、単にミルラを心配する好青年と見るかは人それぞれだろう。

そしてこの時ターナもエフラムもあの男のことを忘れていた…

519 :ラトナ様がみてる:2009/09/04(金) 18:47:14 ID:mGip+1mR
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ラーチェルはエイリークの手を取って岩辺を歩く。ちょっと歩きにくい。
だがここから見る海は確かに絶景だった。
「わあ、綺麗ですね!」
「そうでございましょう!2人で来た甲斐があったという者ですわ!」
2人きりである。夏の日差しが眩しい。
この胸の鼓動が手を通してエイリークに伝わっているだろうか…
ラーチェルは頬が染まるのを抑えられない。

「えええエイリーク!」
「はい?」
小首をかしげるエイリーク。可愛い。
「そ…その…わたくしの事どう思っていまして?」
「どうとは?」
ラーチェルはしどろもどろになって言葉を紡ぐ。
「で…ですから、可愛いとか、美しいとか、絶世の美王女とか…」
エイリークはラーチェルの意図を掴みかねたが、少し考えてから口を開く。
「そうですねぇ…ラーチェルは可愛くて元気がよくて、正義感が強くて…
 ちょっと人の話を聞かないところもありますけど、決めた事を貫き通す、
 一本筋の通った人だと思います…貴女とだったら来年のルネスを率いていけると思います
 私にとって自慢のお友達です」

お友達…やはりそんなところだろう。
だがそこから先に踏み出すために、今回の旅行を企画したのだ。
いまこそ千載一遇のチャンス!
攻めあるのみ、言葉よりも行動で!
「エイリーク!」
「え?」
ラーチェルはずずいっとエイリークに詰め寄ると、そっと頬にキスをした。
柔らかな感触に目を丸くするエイリーク。

520 :ラトナ様がみてる:2009/09/04(金) 18:49:06 ID:mGip+1mR
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「らーちぇる…?」
「ご…ごめんなさい、でも…」
その先を話すことができない、言葉にしたら今までの関係が壊れそうで…
だからこそ行動にでたのだが、ラーチェルはこれ以上何をどうすることもできなかった。
「言いにくいことならいいんですよ?」
そっとラーチェルを抱きしめる。
この親友が何を思って自分にキスしたのかはわからないが、今は彼女を受け止めていたい。

波の音だけが、2人の側に響き渡っていた。

続く