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Last-modified: 2011-05-31 (火) 03:42:58

599 :ラトナ様がみてる:2009/09/11(金) 02:05:12 ID:qbMBa9J8
完結編投下します

百合嫌いな方はスルーして下さい

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柔らかな風が2人の身を包んでいる。波の音が静寂を乱す。
感じ取れるのはお互いの心臓の鼓動。 こうして抱き合っているだけで暖かなものが胸を満たしてしく。
「ああ…エイリーク」
一言好きと言えればいいのだが、それをするにはもう少し勇気が必要だ。
ラーチェルの若草色の髪を撫でるエイリークは穏やかな微笑みを浮かべる。

柔らかなキスは親愛の証。
先ほどラーチェルのキスを頬に受けたエイリークはそっとラーチェルの額にキスをした。
「ふふふ…お返しです♪」
耳まで赤くなるラーチェルを見て、可愛いと思ってしまう自分がいる。
今までと何か違って見える親友とこうして触れ合っていることが心地よい。
「も…もうエイリークったら!」
「あら?先にキスしてきたのはそちらですよ?」
クスクスと悪戯な笑顔を浮かべる。
笑顔の影でエイリークは何故か胸の鼓動が高まるのを感じていた。

600 :ラトナ様がみてる:2009/09/11(金) 02:06:00 ID:qbMBa9J8
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「えいぃぃぃぃりぃぃぃぃぃぃくぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」
静寂を破り海から全身にワカメを纏った怪人が這い上がってくる!
「うひゃあ!?」
「きゃあ!?」
驚いて飛びのく2人。ラーチェルの驚きはすぐに怒りへと変わる。
「よくも愛し合う2人のひと時を邪魔してくれましたわね!」

つ 必殺 イーヴァルディ

アー!タスケテエイリーク!

ワカメが吹き飛び、そこにいたのはボロ雑巾と化したヒーニアスだ。
「ヒーニアス様!?」
「え…えい…りーく…きみにこの…すく…みずを…」
「あっちおいき変態!」
ラーチェルはヒーニアスを海に放り込む。どんぶらこと流れていくヒーニアス。
「まったくもう!いいところでしたのに!」
「いいところ?」
小首をかしげるエイリーク。
「あ…いえ…その…///////////」
しどろもどろになるラーチェル。
その時向こうから憮然としたターナがやってきた。
「お兄様はどこ!どこよぉ!」
「どうしたんですかターナ!」
「聞いてよ!お兄様ったらひどいのよ!」

601 :ラトナ様がみてる:2009/09/11(金) 02:07:26 ID:qbMBa9J8
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時間は少し遡る。
ターナは砂浜に座り、隣に座るエフラムにそっと寄り添っていた。
(こ…こんなに頑張っているのに…エフラムももーちょっとこう照れるとかなにかないの!こうなったらストレートに告白するしか!)
(さっきからターナはなんでひっついてくるんだ?…だが年頃の婦女子がやたらに男にくっつくものではないな、一言注意するか)
「エフラム!」「ターナ」
2人が声を発するのは同時だった。
「「あ…」」
一瞬言葉につまる。
「すまん、ターナが先に言ってくれるか?」
「う…うん…」
意を決するターナ。
「あのねエフラム…私…エフラムのことが大好き!」
言ってしまった!恥ずかしくてエフラムの顔が見れない。
真っ赤になって俯くターナだが、エフラムからはなんの反応も返ってこない。
「…?」
恐る恐る見上げると、エフラムの苦痛に歪んだ顔があった。
「う…ぐ…おぉぉ!?」
「エ…エフラム!?」
尻を押さえてもがくエフラム。
なんと砂浜から手が突き出してエフラムにカンチョーをかましたのだ!
これではターナの言葉など聞こえなかったに違いない。
「んな!?」
そして砂浜からヒーニアスが出てくる。
「わはははははは!ざまをみよ!貴様にはさんざんエイリークとの仲を邪魔され続けてきたが、
 20スレにしてついに一矢報いたぞ!」
頭のうえで両手を叩いて喜ぶヒーニアス。
だが彼は妹の逆鱗に触れてしまった。
「…さて、これで後はエイリークにスク水を着てもらうだけ!…ん、どうしたターナ?」
「お兄様のどへんたいがぁぁああああああああ!」
「ぐべばぼ!」
ヴィドフニルの必殺を食らって海まで吹っ飛ぶヒーニアス。

後は泳いでエイリーク達のところに来たのである。

602 :ラトナ様がみてる:2009/09/11(金) 02:08:09 ID:qbMBa9J8
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そんなこんなで帰る時間になってしまった。
ターナはまだプンプンと怒っている。それが腑に落ちないエフラム。
「なぁ…俺が怒るならわかるが、なんでターナがあんなに怒っているんだ?」
「兄上…自分で考えて下さい」
兄の鈍さにため息の出る思いだ。ターナの想いが届く日ははたして来るのだろうか。

それにしてもと、エイリークは思う。
自分とラーチェルの関係は今までと少しずつ変わっていくのだろうか?
そっと手を握る親友の手をきゅっと握り返す。
柔らかに微笑むラーチェルを見て、
エイリークは自分でも気付かぬうちに、かすかに頬を染めて微笑み返したのだった。

終わり