21-208

Last-modified: 2011-06-01 (水) 22:41:53

208 :結婚行進曲:2009/10/04(日) 13:31:00 ID:iCIbCrKq

ミカヤ「ぐぬぬぅ…」
エリンシア「困りましたわねぇ…」
ミカヤとエリンシアがちゃぶ台を挟んで頭を抱えている。
そこにロイがやってきた。
ロイ「あれ、どうしたの?」
ミカヤ「シグルドの事よ」
ロイ「シグルド兄さんがどうかしたの?」
エリンシア「兄上がディアドラさんとお付き合いしてもうどれだけたつか…
      にもかかわらず進展なし。婚約なんて話も聞こえてきません」
ロイ「…いや、それはむしろシグルド兄さんが悩むところじゃ…」

ミカヤはちゃぶ台を叩く。
ミカヤ「甘いわ!うちの兄弟で一番恋愛面で不利なのがシグルドなのよ!
    恋愛は惚れるより惚れさせた方の勝ち!うちの子達はアルムとセリカ以外
    みんな何人か嫁候補や婿候補がいて、将来的には誰かしらと結婚して落ち着けるでしょう。
    その中で唯一圧倒的不利なのがシグルドなのよ!」
ロイ「…いや、まがりなりにも彼女はいるんだしアルム兄さんとセリカ姉さんの心配をしようよ」
エリンシア「あそこは特殊ケースですもの。それに年齢的にもシグルド兄さんのほうが先だしね」
ミカヤ「そうよそうよ!」
ロイ「いや、それを言ったらミカヤ姉さんのほうが…と、なんでもない。
   でも確かにシグルド兄さんはディアドラさんにべた惚れだもんね…
   結婚したら尻にしかれそう」
ミカヤ「まぁそれで主導権をディアドラさんがとるならそれはそれでいいのよ。
    こういうことは人それぞれだしね…でも、このままじゃアルヴィスさんに取られてしまうわ!
    シグルドの寝取られ属性は強力!例えゴールインしても安心できないわ!」
ロイ「なんか物凄くひどい事言ってるような…」
エリンシア「兄上ももう中年だし、仮にディアドラさんを取られた場合、他にいい相手を探せるとは限らないわ。
      年下の兄弟達が次々と結婚する中、それを祝福しつつも一人身を続ける兄上の胸中を考えた結果、
      私たちは2人を早急に結婚させなければとの結論に達しました」

そこで茶をすするミカヤとエリンシア。具体的にはどうするのだろうか。

209 :結婚行進曲:2009/10/04(日) 13:32:18 ID:iCIbCrKq

一呼吸おいてミカヤは語りだす。
ミカヤ「いいこと、シグルドとディアドラさんとの仲が進展しない理由は2人の時間が取れないことにあるわ。
    仕事が忙しいからやむをえないんだけど、業務多忙の理由の多くはシグルド自身にあるのよ」
ロイ「どんな風に?」
ミカヤ「仕事中、私用での外出が多いのよ。ぶっちゃけるとKINSHIN退治ね。これじゃ仕事も溜まるわけよ」
ロイ「じゃあそれを取り除けばディアドラさんとの時間を取れるようになるわけだね。
   でもさ、それって要するにAKJを撃破しないといけないんじゃないの?」
エリンシア「そうなのよ…あの巨大組織には兄弟家の総力を挙げても勝利は難しいわ…
      アイクがラグネル持って暴れれば撃破できるかもしれないけど、
      彼女達には何をしでかすかわからない怖さがあるわ、特にプリシラさんとか」
ロイ「セリカ姉さんとアルム兄さんはAKJにつくだろうしねぇ…」
ミカヤ「そこで発想の転換よ!…シグルドのKINSHINセンサーを効かなくすればいいのよ!
    例えKINSHINがあっても認識できなければそれはないのと同じことだわ!」
エリンシア「グッドアイディア!こういうときはドラ…優秀さんの出番ですわ!」

3人は優秀さん家に出かけた。
ルーテ「できました」
ロイ「はやっ!?」
ルーテは怪しいヘルメットを取り出した。
ルーテ「これぞセンサージャミング君1号です。インプットしたデータに基づき人間の認識を阻害します」
ミカヤ「と言うと?」
ルーテ「例えばラーメンとインプットすれば目の前にラーメンがあっても気付けなくなります。
    行き着けのラーメン屋に向かっても、目の前でラーメン屋はどこだ?…とウロウロする羽目になります。
    試してみましょう」
言うが早いかルーテは端末を繋ぐとキーボードを叩き、怪しいヘルメットをロイに被らせた。
ロイ「うわっ!…あれミカヤ姉さんがいなくなっちゃった!?」
ミカヤ「隣にいるのにこの効果…KINSHINと入力してシグルドに被らせればいいのね!」
ルーテ「そういうことです。それで報酬の件ですが…」
エリンシア「わかってます。リーフちゃんを来週行かせますわ」
ルーテ「葉っぱさんの異常なスタミナとタフネスには以前から興味がありました。よいデータがとれそうです。
    うまくすれば風の特効薬が開発できるかも…」
ロイ「…リーフ兄さん…病気一つしたことないもんなぁ…ルーテさんお手柔らかに…」

210 :結婚行進曲:2009/10/04(日) 13:34:06 ID:iCIbCrKq

優秀さん家を出た3人はさっそく帰宅する。
ロイ「でもさ、どうやってこの妙なヘルメットをシグルド兄さんに被せるのさ?」
センサージャミング君1号は妙ちくりんなコードやランプがついており、とても帽子と誤魔化せそうにない。
だがミカヤは自信満々だ。
ミカヤ「ふっふっふっお姉ちゃんにまかせなさい!」

シグルド「今日も一日頑張った!」
家の玄関をくぐるとミカヤが待っていた。
シグルド「ただいま!」
ミカヤ「おかえり、シグルド、早速だけど恋愛運を占ってあげるわ!」
シグルド「はっはっは、私にはディアドラがいるじゃないか、今更占いなんて…」
ミカヤ「…先週お姉ちゃん見ちゃったのよね…ディアドラさんがアルヴィスさんと歩いてるところ…
    何か対策がでるかもしれないわよ?…まぁ取られてもいいなら無理にとは言わないけど」
シグルド「…是非お願いします!」
早速水晶を取り出して占い始める。
ミカヤ「エロイムエッサイムエロイムエッサイム…」
シグルド「ドキドキ…」
ミカヤ「出たわ!このヘルメットを被って暮らしなさい!24時間365日、1秒たりともはずしちゃだめよ!
    そうすればディアドラさんと100%結婚できるわ!」
シグルド「やった!ばんざーい!」
喜んでヘルメットを被る。
それから数日…

グランベル社オフィスにて…
アルヴィス「…そのヘルメットはなんとかならないのかね…」
シグルド「これだけは死んでもはずすわけにはいきません!」
シグルドは本当にヘルメットを24時間被って暮らしていた。
最近外出も大きく減っている。

211 :結婚行進曲:2009/10/04(日) 13:35:03 ID:iCIbCrKq

シグルド「なんか最近仕事がはかどるなぁ…私もベテランの域に入ってきたってことかな?
     このままいけば来年には昇進できるかも♪」
ワクワクしながら仕事を進める。
だが心配事もある。
シグルド「最近KINSHINセンサーになにもひっかからない…いや、KINSHINがないのはいいことなんだが、
     急にどうしたんだ?」
KINSHINを撲滅するために戦っていても、急になくなるとなんだか気持ち悪い。
シグルド「ああ、心配だ…私の気付かん所でKINSHINが行われているんじゃあるまいか?
     そう言えば最近アルムやセリカともあんまり行き会わない気がするぞ…」

シグルドは突然立ち上がった。

シグルド「アレク、ノイッシュ、アーダン!…悪いがちょっと出かけてくる!」

凄まじい勢いで町に走り出す。
シグルド「さてはAKJの陰謀かなにかで、私に気付かんところでKINSHINが行われているに違いない!
     ぬお~KINSHINは許さんぞー!」
街中ではやつれたレイヴァンとプリシラが連れ立って歩いていた。
プリシラ「嬉しいです兄様!プリシラのために時間を割いてくれて!」
レイヴァン(…だってそうしないとお前なにしでかすかわからんもん…)
その時前方からシグルドが走ってくる!
プリシラ「むっ!?兄弟家のS!…私と兄様の甘いひと時を邪魔する気ですね!…ええい今日という今日は…ってあれ?」
自分たちをスルーして通り過ぎるシグルドに拍子抜けする。

KINSHINが見つからない事に焦ったシグルドはKINSHIN捜索に時間を費やすようになり、
結局残業や休日出勤の多さは解決しないのだった…

212 :結婚行進曲:2009/10/04(日) 13:35:50 ID:iCIbCrKq

ミカヤ「…………」
エリンシア「お姉さま…」
ミカヤ「駄目じゃん!これじゃ元の木阿弥じゃん!」

その頃AKJでもSの話が持ち上がっていた。
ラケシス「最近SがKINSHINをスルーしているそうだけど…」
プリシラ「ええ…さては私たちを油断させてなにかたくらんでいるにちがいありません!」
クラリーネ「先手必勝!ここはこちらから攻撃しましょう!」
ティニー「合点承知!」
こうしてAKJがシグルドに襲い掛かる!

シグルド「ガルルルル…KINSHINはどこだ…」
ラケシス「KINSHINならここにあり、食らいなさい!ボルガノン!」
シグルド「あっちい!」
ボルガノンでセンサージャミング君1号は木っ端微塵に砕け散る。
シグルド「そこか、ようやく見つけたぞKINSHIN軍団め!KINSHINは許さんぞぉおおおおお!」
ラケシス「なんの、今日こそ貴様を抹殺して紋章町をKINSHINに染め上げてくれるわぁああああ!」

2人の意思と力が衝突する。

それをこっそり見ている2人。
ミカヤ「……………頭痛くなってきた…………シグルドの頭の中じゃKINSHIN>ディアドラなんじゃないの?」
エリンシア「お姉さまどうかしっかり!」
こうして姉2人の心配をよそにKINSHIN殲滅の戦いを続けるシグルド。
彼がディアドラと結ばれる日は果たしてくるのだろうか…

終わり