338 :花火情景~夜空に舞う天↑空↓~39:2009/10/13(火) 07:20:59 ID:TH64ziTW
前回までのあらすじ
突然始まった~ドキッ!漢だらけの腕相撲大会~
エリンシアが暴走し、リーフが利に走る中、大会は順調に進み、勝ち残ったのはわずか4名
AブロックのアイクVSバアトルは、まさかのアイク敗退で幕を閉じる
そして次はBブロックのラルゴVSアシュナードだが・・・・・・?
ラルゴ「ぐ、ぅっ・・・・・・・・・あっ!」
アシュナード「弱すぎる・・・・・・つまらん」
ざわ・・・・・・ざわ・・・・・・・
フィル「こ、これはなんということでしょう!
アシュナード選手、ラルゴ選手にわずか2秒で勝利!
準決勝でもその無敵ぶりは健在です!!」
エリンシア「ラルゴさま・・・・・・大丈夫かしら・・・・・・・KINNIKUハァハァ」
リーフ「姉さん、よだれよだれ」
ラルゴ「ぐっ・・・・・・やっちまった」
カリル「あんた・・・・・・!」
エイミ「うわぁぁーーん!!お父さんが・・・・・・・お父さんが死んじゃうよぅ!」
うずくまるラルゴの方に駆け寄るカリル、エイミ
ラルゴ「何・・・・・・死にゃしねえさ・・・・・・・」
339 :花火情景~夜空に舞う天↑空↓~40:2009/10/13(火) 07:22:04 ID:TH64ziTW
エイミを心配させまいと、平静を装うラルゴ
だがその顔色は青く、息は荒い
カリル(小声)「あんた、その腕・・・・・・」
ラルゴ(小声)「ああ・・・・・・・多分、まともに動かすのは無理だな」
カリル(小声)「・・・・・・・・・・・・」
ラルゴ(小声)「あんまり心配すんなって。店での仕事位ならできるさ」
カリル(小声)「フン!別に心配なんざしちゃいないよ。
強盗追っ払う位なら、あたし一人で十分だからね
・・・・・・だから、今はおとなしくしてな」
ラルゴ(小声)「カリル・・・・・・すまねぇな・・・・・・・・・」
カリル「ほら、あんたももう涙を拭いて・・・・・・・」
エイミ「ぐす・・・・・・うん・・・・・・・」
ラルゴ「うっし!心配かけたな。さあ、店に帰るとするか!!」
エイミ「お父さん、お手手つなごう!」
ラルゴ「おう、いいぞ」
カリル「こら、お父さんは今・・・・・・」
言いかけるカリルを目で制するラルゴ
今は何も言うなと
この子を不安にさせるな、と
カリル(やれやれ・・・・・・かっこつけるじゃないか)
そんな所に惚れたんだけどね、と心の中で付け加えるカリルであった
340 :花火情景~夜空に舞う天↑空↓~41:2009/10/13(火) 07:23:48 ID:TH64ziTW
フィル「さあ次はいよいよ決勝戦!
兄弟家最強、アイク選手を倒した主催者・バアトル!
ここまで圧倒的な実力で相手をねじ伏せてきたアシュナード選手!
果たして勝利の女神はどちらに微笑むのか!!!
・・・・・・なお、台座は頑丈なものに取り替えましたのでご安心くださいませ」
観客「バアトル!!!!バアトル!!!!バアトル!!!!」
観客「アシュナード!!!!アシュナード!!!!アシュナード!!!!」
エリンシア(一番大音量)「( ゚∀゚)o彡°KINNIKU!!!!KINNIKU!!!!」
リーフ「熱っ!ここら辺絶対外気+10℃位あるって!!!」
バアトル「ぬおお!燃える!」
アシュナード「ククク・・・・・・あやつに勝つとは、少しは骨がありそうだな・・・・・・・」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・
リーフ(アシュナードさん、メダリオン化してるような・・・・・・。き、気のせいだよね・・・・・・?)
フィル「さあ両者、位置につきました!
それでは、決勝戦・・・・・・・開始です!」
(父上・・・・・・!!)
GO!
341 :花火情景~夜空に舞う天↑空↓~42:2009/10/13(火) 07:24:50 ID:TH64ziTW
グッ・・・・・・グググッ・・・・・・
アシュナード「ほう・・・・・・少しはやるようだな」
バアトル「ぐっ・・・・・ぬ、うっ・・・・・・!」
一瞬互角に見えたこの勝負
だが少しずつ、しかし確実に押し返されていくバアトル
アシュナード「ククク・・・・・・・よく耐える。だが、これで終わりだ・・・・・・!!」
グン!
突然、アシュナードの腕の力が増す
傍目から見ても、その強化幅は常軌を逸していた
バアトル「!!ぬおおおおっ!!(まだ・・・・・・これ程の力を・・・・・・!!」
アイク「・・・・・正直、俺は今のあいつには勝てる自信がない」
冷や汗をかきながら、淡々とした口調で呟くアイク
リーフ(アイク兄さんに戦意を喪失させるなんて・・・・・・
今日のアシュナードさん、やっぱり“アレ” の影響でおかしくなってる。
だとしたら・・・・・・バアトルさんが危ない!!)
342 :花火情景~夜空に舞う天↑空↓~43:2009/10/13(火) 07:27:42 ID:TH64ziTW
ギリギリの所で踏ん張るバアトル
しかし無情なまでの力で押してくるアシュナード
バアトル「く、そっ・・・・・・・!!」
アシュナード「終わりだ・・・・・・!!」
アシュナードがとどめを刺そうと、力を込めたその時
アシュナード「・・・・・・・・・・・・・!?」
ぐらっ
突然アシュナードがバランスを崩す
もちろん本来なら腕相撲の最中にそんな事はありえない
観客からは、バアトルが火事場の馬鹿力を出したとしか見えないだろう
バアトル(今しかない!!)「オオオオオオオッ!!!!」
グオオッ・・・・・・!
だんっ!
台座に叩きつけられるアシュナードの腕
343 :花火情景~夜空に舞う天↑空↓~44:2009/10/13(火) 07:29:51 ID:TH64ziTW
観客「え・・・・・・・・・・・・?これって・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「「「・・・・・・うおおおおおおおっ!!!」」」
一瞬の沈黙
その後爆発する歓声
今ここに、勝負は決した
フィル「ゆ、優勝は・・・・・・・
大会主催者にして私の父!!!!バアトル選手ですっ!
どうか皆様、大健闘した両者に盛大な拍手を!!!!!!
私・・・・・・涙で・・・・・・涙で前が見えませんっ!!!!」
観客「( ゚∀゚)o彡°バアトル!!!!( ゚∀゚)o彡°バアトル!!!!」
エリンシア「ハァハァ・・・・・・モウシンボウタマラン」
リーフ(姉さんが壊れた!!
ん・・・・・・?待てよ・・・・・・・。
(掛け金計算中)
・・・・・・グハッ!コノヒトデナシー!!)
アイク「・・・・・・・・・・・・」
誰もが会場の中央を見る中、ただ一人で入り口を見据えるアイク
そこには、一人会場をあとにする黒い影
その影を追いかけるかのように外に出る
そして・・・・・・
344 :花火情景~夜空に舞う天↑空↓~45:2009/10/13(火) 07:32:26 ID:TH64ziTW
アイク「・・・・・・おい、待て」
???「・・・・・・・やっぱりあなたにはばれてましたか、アイク」
アイク「・・・・・・セネリオ」
セネリオ「何も言わないでください。
・・・・・・確かに、僕はあの男の・・・・・父の、足に向けてウィンドを使いました。
それも、気付かれないように」
アイク「・・・・・・・・・」
セネリオ「あなたがこの手の不正を嫌うのは知っています。
それに、僕があの男を好きではないという事も」
アイクは、無言
ただ真っ直ぐ、常人には耐えられない程の視線で、セネリオの目を見据え続ける
そして、セネリオも目を逸らさずに、話し続ける
セネリオ「しかし、それが理由ではありません。
・・・・・・今日のあの男は・・・・・・どこか、壊れていた」
アイク「壊れていた・・・・・・?」
セネリオ「準決勝の相手・・・・・・。
いくらあいつが戦闘狂だとしても、相手を腕相撲で再起不能に追いやるなど、
普段ならばありえません。
そして決勝で、殺意が更に増大したのを感じて・・・・・・・
まるで、相手を殺しかねない程に」
アイク「だから、止めたと言う訳か」
345 :花火情景~夜空に舞う天↑空↓~46:2009/10/13(火) 07:34:48 ID:TH64ziTW
セネリオ「僕のした事が、正しい事だとは思っていません。
ただ単に、身内の尻拭いをしただけ。
それも、武人としては最低の方法で・・・・・・・・」
アイク「・・・・・・・俺も強さを追い求める内の一人だ。
正直いって、お前のやり方が良かったと言うことは出来ない。
それにあの2人も、決して認めはしないだろう」
セネリオ「・・・・・・・・・っ」
信頼している者からの批判は、身を切られるより辛い
その事実を改める知らされるセネリオであった
沈黙が、痛い
・・・・・・長い沈黙の後、アイクが唐突に語りだす
アイク「・・・・・・だが、武人ではなく個人として言わせてもらうならば、
あれでよかったと俺は思う。
お前は間違えたのかもしれんが、悪い間違え方ではない。
セネリオなりに、あの2人を助けようとしたのだろう?」
そういって、表情を和らげるアイク
この人にはやっぱり隠し事はできない・・・・・・・
セネリオは改めて、アイクという人間の大きさを知った
セネリオ「・・・・・・あなたには敵いませんね」
346 :花火情景~夜空に舞う天↑空↓~47:2009/10/13(火) 07:37:16 ID:TH64ziTW
アイク「そうでもない。お前の方がずっと頭が良い」
セネリオ「理屈じゃないんです。きっと・・・・・もっと別の何か」
アイク「・・・・・・よくわからん。長話は苦手だ」
ぼりぼりと頭を掻くアイク
そしてそれにつられるかのように、セネリオは苦笑する
セネリオ「あなたはずっと、そのままでいいんだと思います、アイク」
アイク「俺は俺だ。このままの俺で行くしかない。
・・・・・・仲間や家族無しでは、弱い男だ
お前も、俺も、それは変わらん」
セネリオ「そうかも・・・・・・しれませんね」
しばしの、沈黙
しかしそれは、先程とはまるで違う、穏やかな沈黙であった
セネリオ「・・・・・・では、アイク。
最後に一つ言っておくことが・・・・・・・・」
アイク「・・・・・・?」
セネリオ「この辺り一帯に、妙な空気が満ちています。
・・・・・・どうか、お気をつけて。」
アイク「・・・・・・・分かった」
そう一言だけ残し立ち去る背中をみて、やはり敵わない・・・・・と思うセネリオであった
花火情景~夜空に舞う天↑空↓~48:2009/10/13(火) 16:45:48 ID:TH64ziTW
―――上空
???「マルスちゃんにはばれちゃったみたいね・・・・・・」
奇妙な光を身にまといながら、そう呟くょぅじょ・・・・・・もとい、ユンヌ
ユンヌ「まぁいいわ。もう会場中に負の気が満ちた・・・・・・。
この中で私に勝てる者は居はしない
例え何者であっても」
目の前の空虚に、独り言を空しく響かせる
心なしかその姿は、普段よりも大きく見える
ユンヌ「さあ、そろそろ始めましょう・・・・・・・・・もう一つの祭を、ね」
とうとう、動き始めた黒幕・ユンヌ
果たして兄弟家の面子は、この狂神を止められるのか
そして作者は、どうやってオチをつけるつもりなのか
続く