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Last-modified: 2011-06-05 (日) 12:55:15

301 :破れた葉っぱと怒れる姫君 前編:2009/12/14(月) 15:32:30 ID:7m1XXVrM

またやってしまった…
足元には「酷い有様です」な葉っぱが転がっている。
モザイクかけないとお見せできない有様だ。

ミランダ「はぁぁ~~~」
ついため息をついてしまう。

最近リーフが優しい。
なにかと気を使ってくれたり、家にもよく遊びに来てくれるようになった。
それ自体は嬉しいことのはずなのだが、いつもリーフは最後にこうしめくくるのだ。
リーフ「エスニャママンによろしく♪」

そのたびにこうして癇癪を起こして、葉っぱを破り捨ててしまう。(比喩表現)
今日もお母様目当てで遊びに来たリーフをついボコッてしまった…
ミランダ「これはアレよね。…連れ子に嫌われたらお母様との結婚なんて不可能だから優しくしてくれるのよね…
     あ~~もうふざけんじゃないわよ!」
むしゃくしゃして頭を掻き毟ると、足元で気絶している破れ葉っぱに2、3発蹴りを入れる。
あとでやりすぎた…と思うであろうことは自分でもわかっているがどうしようもない。

ちなみに連れ子とは言うが、父は普通に健在である。
忘れてるあたりミランダも何気に酷い。

302 :破れた葉っぱと怒れる姫君 前編:2009/12/14(月) 15:33:17 ID:7m1XXVrM

エスニャ「あら喧嘩? いけませんよミランダ、めっ」
お茶を運んできたエスニャがリーフの酷い有様を見て娘をしかる。
ミランダ「お母様、でも!」
エスニャ「でも、じゃありません。あなたは怒ると攻撃力があがるんだから…」

転がっているグロ画像のようなリーフにエスニャは傷薬を使ってあげる。
常人なら三途の川を100回は渡っていそうな有様のリーフだが、一応生きてるのでこれ1つで回復だ。
リーフ「はっ!?」
エスニャ「ミランダが乱暴をしてごめんなさいね。」
リーフ「…ぼ…僕がコノヒトデナシーになっても、皆どうせリーフだから平気だろとか、杖がもったいないとか言って何もしてくれないのに、
    一回200Gもする傷薬(トラキア価格)を使ってくれるなんて…エスニャママンはなんて優しいんだ!」
ミランダ「どうせ私は優しくないわよ!リーフのばか!オタンコナス!」
ここぞとばかりにエスニャに甘えるリーフに罵声を叩きつけるとミランダは部屋を飛び出していった。

エスニャ「あっ!……もうあの娘ったら…いつまでたっても子供なんだから…」
リーフ「いえいえ、僕がしっかり教育しますからご安心を!」(だって未来の義理の娘だしね)
エスニャ「ありがとう、あんな怒りっぽい娘だけど友達でいてあげてね。
     あなたの事を話すミランダは本当に楽しそうで…と、いけない。
     こんなこと口にしたら娘にしかられちゃうわね♪」
ホホホと笑って口元を隠すエスニャにリーフは不思議そうに首をかしげつつも、
貴婦人の仕草たまらねぇ…と内心ハァハァするのだった。

303 :破れた葉っぱと怒れる姫君 前編:2009/12/14(月) 15:34:11 ID:7m1XXVrM

ミランダが通った後はペンペン草一本生えないほど破壊された。
完全な八つ当たりである。自分でもその辺はわかってるのだが歯止めが利かない。
ミランダ「ぬがぁああああああああ~~~~!!!! 自分の母に妬かなきゃなんないってどうよ!?
     …い、いや勘違いしないでよね! 妬いてなんかいないんだからね!」
暴れるミランダを尻目にメイド達が壊れた屋敷を片している。慣れたものだ。

そこに騒ぎを聞きつけたミランダの父がやってきた。
原作ではアルスターの王様だった人物だ。名前は出てないので便宜的にミランダパパと称する。

ミランダパパ「ああなんてことを…いくら我が家が裕福とはいえこう何回も壊されてはたまらんぞ…
       うう…胃が……」
ミランダ「うげ…お父様…」
この父上、原作では病没してるだけあってあまり丈夫ではない。
娘としてはいらない心労はかけたくない。
ミランダパパ「あああ……レイドリックの件だけでも困っておるのに…頭が痛い…」
ミランダ「…? どうかしたのお父様?」
ミランダパパ「い…いやなんでもない…」
父は頭を抱えてフラフラと自室に戻っていった。
さすがに気の静まったミランダ。割とお父さんっ子だったりするので気になって仕方がない。
…が、あの様子では聞いたところで答えてくれないだろう。
ここは執事のコノモールに聞いてみよう。

304 :破れた葉っぱと怒れる姫君 前編:2009/12/14(月) 15:34:56 ID:7m1XXVrM

コノモール「…お館様の悩み事ですか?」
ミランダ「ええ、コノモールなら心当たりがあるでしょう?」

忠実な執事は髭をさすって考え込んだ。
恐らく主は娘に心配をかけることを望まないだろう。
…が、さきほどのミランダの暴れっぷりを見るに、まだ機嫌は悪いだろうし、
下手に隠してはなにをしでかすかわからない。主の心労を増すことになるだろう。
ここは事情を話して諭すことだ。
コノモール「レイドリック男爵はご存知ですな?」
ミランダ「あのエロそうな髭親父よね? 社交界のつまはじき者の」
コノモール「お嬢様、お言葉使いがはしたないですぞ」
ミランダ「はいはいごめんなさい、それでそのレイドリックがどうしたのよ?」
軽くため息をつくとコノモールは言葉を続けた。
コノモール「はぁ……レイドリック男爵が我が家が所有する鉱山の所有権を主張しまして…
      かの山は我が家の数代前の頭首が、レイドリック男爵の祖父から買い取ったものなのですが、
      最近銀の鉱脈が見つかりまして…」
ミランダ「そんで、銀に目がくらんだレイドリックが、過去の売買取引に不備があったとでもほざいたの?
     馬鹿みたい。鉱山の権利書はうちにあるんでしょ? なんの問題もないじゃない」
コノモール「ええ法的には何の問題もありません。ですがレイドリックめは
      先祖伝来の土地を売り渡したのは祖父の過ち、ただちに買い戻しに応じてもらいたい。
      それを受け入れないなら決闘をもって鉱山を取り戻すと…」
ミランダ「いやらしいやり方ね…無視を決め込んだら決闘から逃げた臆病者として
     貴族社会の笑いものになるってわけね」

ミランダパパは温和な人となりであり、やや優柔不断だ。
どうにかことを穏便にすませようと悩んでいるのだろう。

ミランダ「なら簡単な話だわ、決闘に応じてぶちのめせばいいだけのことよ。
     お父様が武芸はからきしなのはわかってるわ。ここは私が…」
コノモール「そのようなはしたない振る舞いこのじいが許しませんぞ!」
ミランダ「じゃあどうするっていうのよ!」
コノモール「よろしいですかな? レイドリックめはおのれが決闘にでるわけではありません。
      腕利きを代理人として雇ったそうです。代理の者ごときに我が家の血統に連なる方が自らあたっては、
      我が家がレイドリックの家より格下といってるようなもの、ここはこちらも代理人を雇うのです」

305 :破れた葉っぱと怒れる姫君 前編:2009/12/14(月) 15:36:11 ID:7m1XXVrM

リーフ「話は聞いた!」
ミランダ「リーフ!?」
いつのまにか背後にいたリーフ。驚く暇もなく話しに入ってくる。

リーフ「ここは僕が人肌脱ごう!」
ミランダ「なに? アイクさんにでも話をつけてくれるの?」
決闘の代理人として真っ先に浮かんだのがリーフの兄、アイクだ。
ミランダの知る限り最強の人物である。

リーフ「ふっふっふ、ここはこの僕がその決闘代理人とやらを引き受けよう!」
   (エスニャママンの前でかっこいいとこ見せるチャンスだ!)
だがミランダの反応は冷淡だ。
ミランダ「アンタみたいな貧弱葉っぱごときに務まるの?
     私としてはアイクさんに頼みたいんだけど…」
リーフ(い、いかん! アイク兄さんにこの役をとられたらママンのフラグが兄さんと立ってしまう!)

焦ったリーフは気合を入れてミランダを説得にかかる。
リーフ「大丈夫さ! 僕に任せて! 僕はミランダの力になりたいんだ!」
   (だって君は未来の娘だもの!)

リーフは力強く言い放つとミランダの手を取って、その瞳を覗き込んだ。
人を説得する時は目を見るのが基本…とマルスのガールフレンドから聞いたことがある。

ミランダ「え…えっと…その…そこまで言うなら…」
赤くなった顔を見られたくなくて目を逸らすミランダ。
コノモールはさりげなく席を外すのだった。

それから数日後…父の反対を押し切ったミランダは、
レイドリックの元に決闘を受けると手紙を送るのだった…

306 :破れた葉っぱと怒れる姫君 前編:2009/12/14(月) 15:36:55 ID:7m1XXVrM

~ 闘技場 ~

本日貸切となった闘技場で、両家の決闘が行われようとしていた。
話を聞きつけた貴族たちが客席に陣取り、興味深げに見物している。

その中にいささか場違いな風貌の男達が座っていた。
アイク「うむ」
ヘクトル「リーフの奴が決闘ね…」
エフラム「相手はどんなやつなんだろうな」
脳筋トリオは決闘をいうキーワードがツボに入ったのか、興味を抱いて見物にきた。
弟の成長振りも見てやりたい。

闘技場にはいやがる馬に無理やりまたがったリーフが相手側の通路を見据えている。
リーフの馬「いやだいやだ! またひどい目にあう!」
リーフ「おとなしくするんだ!君と僕は一蓮托生、吹っ飛ぶときは一緒だ!」
言い捨てるとリーフは自分と馬具にロープをつけて結んでしまう。
これで振り落とされる心配はない。
しかし、他の兄弟の馬は忠実なのに(特にセリスの馬)どうして自分は馬に嫌われるんだろう?

レイリドック「それでは鉱山の正当な所有者を巡って…決闘を行う!
       勝敗はいずれかが戦意を失うか、死ぬまで行う」
リーフ「……ふっ死ぬのは慣れてる!」
ミランダ「負けること前提でどーするのよ!」
ミランダパパ「あああ……なんということだ……負けたら我が家の名誉が…ご先祖様に申し訳ない…
       胃が…うぅぅ…」
エスニャ「大丈夫ですよ、娘の自慢のお友達ですもの、こうして私たちを助けてくれるのですから
     信じて見守りましょう」

307 :破れた葉っぱと怒れる姫君 前編:2009/12/14(月) 15:37:37 ID:7m1XXVrM

ほどなく一人の男が闘技場に現れた。
堂々たる体躯に立派な大剣をかつぎ、たくましい筋肉が全身を覆っている。

アイク「ほうできるな」
ヘクトル「葉っぱオワタ\(^o^)/」

たちまちリーフの膝が震える。
リーフ「あああああああれはガルザス!? そういえば相手の名前を聞いてなかったっ!?」
ミランダ「言ったらアンタ逃げたでしょ! 代理人にアンタの名前を書いて知らせてあるんだから、
     そんなことされたら私の面目丸つぶれじゃない!
     いい、恥ずかしい戦いをしたら許さないからね!」

ガルザス「………」

流星剣、月光剣、再行動5……これだけでも相手の戦力がわかるだろう…

レイドリック「ふっ…おや、アルスター家の代理人は腰が引けておるようですな?」
ミランダ「ぐぬぅ…勝負は終わってみなけりゃわかんないわ!
     さっさとはじめなさいよ!」
リーフ「ちょ…まだ心の準備というか…今日は持病のシャクが…」
レイドリック「よろしい、それでは!」

こうしてレイドリックの合図とともに戦いの幕は切って落とされた。

続く