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Last-modified: 2011-06-05 (日) 12:10:59

48 :明日に向かって走れ!後編:2009/11/21(土) 03:46:32 ID:1/JX9NYf

スナイパーA「グワー!」
パラディンC「ギエー!」
アルムA「ギャー!」
ウォーリアB「ヌオー!」

ドロシー「やってきました地獄の砂漠ステージ! 砂地に足を取られている間にガンガンビグルが分裂していきます!
     この数を突破するのはここまで辿り着いた猛者でも困難でしょう!」
セーラ「なんか一般人っぽいのがガンガン脱落してるわね」

無数のビグルが飛び交う中、シグルドはティルフィングを振り回しつつ前進していた。
シグルド「勝ってディアドラへの婚約指輪を買うのだ!」
エリウッドの馬「応援したいけど、この足場じゃあ…」
シグルド「くそっ…砂漠なんか嫌いだ! あの章には嫌な思い出しかないぞ!」
エイウッドの馬「メタ自重」
ビグルを切って切って切りまくる。
だがビグルは次々と分裂し、進路を阻止する。

その時猛烈な突風が突破口を切り開いた。
セティ「我ら魔道士なら砂漠は苦にならない! それ今のうち!」
スイスイと進むセティ。これはチャンスだ。
シグルド「悪いがここは便乗させてもらおう!必ず君のために指輪を買う!」
セティが開いた突破口を進みつつ、
シグルドは結婚指輪はマジックリングがいいか、それとも足の遅いディアドラにはレッグリングがいいか思案にくれるのだった。

49 :明日に向かって走れ!後編:2009/11/21(土) 03:47:48 ID:1/JX9NYf

それから少し遅れてロイが砂漠ステージに到達した。
周囲には脱落者がゴロゴロ倒れている。
ロイ「はふぅ…ここも辛そうだなぁ…」
しかしながら脱落者たちやセティの奮戦により、ビグルはかなり数を減らしている。
こういうタイミングのよさがロイのラッキーボーイのゆえんであろう。

だが彼は忘れていた…
砂漠といえばアレがつきものである…
マギー「やぁ男の子がやってきたねローズ」
ローズ「そうだねマギー、賞金と一緒にあの子が持ってる立派な剣もいただこうか」
ポール「それはいいねジャスミン、売ればお金になるよ」
ジャスミン「あの子はいい子だよポール、僕らに剣をプレゼントに来てくれたんだね」
スコット「倭刃よりもレアそうな剣だぜ、さあ坊主そいつをよこしな」
ゲレロ「お宝どこだぁーお宝返事しろぉー!」
デス「よぉよぉよぉ」
ヘル「ほぅほぅほぅ」

セーラ「………な、なにアレ?」
ドロシー「さ、参加者の人たちですね…どさくさまぎれに他の参加者のアイテムを略奪してるみたいです…」
セーラ「てっきりクローン人間かと思ったわよ…あんなツラが8人も並んでるなんて夢に出そうだわ…」

賊どもは斧を持ってロイに襲い掛かる!
ロイ「うわー! 貴重アイテムは売れないんだ!」
スコット「聞く耳もつか!」
1人2人ならまだしも8人はやばい。しかもこいつら互いに支援効果まである。
これは大ピンチ!

彼らの戦いを岩の上から見ている人影が1人。
リリーナ「ロイ! 今こそ私が助けてあげるわ!そりゃああフォルブレイズ!」

リリーナは高い魔力をいかしてフォルブレイズを乱射する。
……が、悲しいかな彼女はノーコンであった…
幾人のプレイヤーが技、速さがヘタれた彼女を見たことであろうか…
数撃てば当たるの要領で連射した結果、砂漠に爆風が吹き荒れる。
ローズ「ギャー!」
ヘル「ヒコワイコワイ…」
ロイ「アヂャー!」

エーラ「ちょ…こりゃ凄いわね…」
ドロシー「ようやく爆煙が晴れてきました…カメラさん、状況確認を!」

煙が晴れた後には、9つの焼死体が残るばかりであった。
リリーナ「…………………………ば…バルキリーはちゃんとするもん…神父に頼んで…」
額に浮かんだ一筋の汗を拭うと、リリーナはロイの分も頑張ろうと先に進むのだった。

50 :明日に向かって走れ!後編:2009/11/21(土) 03:48:32 ID:1/JX9NYf

スターバイザーM「…随分しぼられてきたね…」
胡散臭い野郎はモニターに移る戦況を眺めながら呟いた。
すでに3分の2が脱落し、先頭とドンケツの差は大きく開いている。
最後尾ではトラップから身を守るため竜化したイドゥンが、気づかずにマカロフを踏み潰していた。
…いや、それは気付いてやれよ…
それからしばらく先にはヘクトルとエイリークの馬が毒の沼の上にかかった橋を渡っている。
ヨロヨロしていて今にも落ちそうだ。

シャナム「今のトップは緑風(笑)だったな?」
イリオス「おう」
シャナム「それならいい。だが奴が脱落してアイクがトップになったら連絡してくれ」

俺は首をかしげた…いったいどうしたってんだバカ社長のヤツ…
あの鉄人がトップになったらなんかあるのか?
その時スターバイザーMの野郎がバカ社長を横目で眺めてやがった…
なんだか知らねぇが…こいつ等何かあんのかね?

レテ「ちっ…川を渡るのに少々手間取ったが…我らラグズの身体能力ならベオクなど相手にもならん!」
化身したレテはしなやかな体のバネを活かして、ベオクには到底不可能な速度で疾走する!
このペースなら渡河に手間取った遅れを取り戻し、たちまち先頭に出れるだろう。
その時背後に雄たけびが轟いた!
リン「ふにゃごーっ!」
レテ「うわっ!私と張り合うつもりかっ!?」
四足で駆けてくるリンを振り切ろうと走るレテだが一向に差が広がらない。

セーラ「………あれラグズだっけ?」
ドロシー「いえ…ベオク…のはずです」

レテ「くっ…なかなか粘る…」
スクリミル「たたた助けてくれーーーーっ!」
レテ「スクリミルっ!?」
先を走っていたはずのスクリミルの悲鳴にレテは耳を疑った。
あのプライドの高いスクリミルが助けを求めるなど、いったいなにがあったというのか!?
だが同胞の危機を放ってはおけない。
レテ「どうしたスクリミル!」
悲鳴のした場所に駆けつけたレテが見たものは…

スクリミル「ここここのベオクおかしいぞっ!? 離せっ離さんか!」
エリンシア「ハァハァハァハァ…ライオンさんの強靭なKINNIKU…人間のものとはまた違った…タマリマセンワー!」

化身したスクリミルがエリンシアに纏わりつかれている姿だった…スクリミルの赤い毛がエリンシアの鼻血に染まってさらに赤くなっている。
レテ「………」
エリンシア「ハァハァハァ…こ…こちらの猫ちゃんのしなやかKINNIKUも中々…ちょ…ちょっと舐めさせてください…」
レテ「うわぁこっち来るな!」
スクリミル「ぎぇー!」

理性を失ったエリンシアはレテとスクリミルを追い回す。
リン「にゃーごっ!」
レテ「げっ! コイツもいたんだった!」
さらにリンまで追ってきてわけのわからんことになる。
ジョフレ「まてい!エリ…」
スクリミル「のけい!」 つ 咆哮
ジョフレ「あべし!」
パニックに陥った4人は追いつ追われつしているうちに、コースアウトして失格になるのだった。

51 :明日に向かって走れ!後編:2009/11/21(土) 03:49:43 ID:1/JX9NYf

ドロシー「…こ…これは言葉が見つかりません…」
セーラ「紋章町にはほんとに変態ばっかりね…」
ドロシーはハンカチで汗を拭った。

ドロシー「…えっと…気を取り直して! 現在3位のエイリークさんをエフラムさんが猛追中です!」

神の矢が降り注ぐ城内を、エイリーク&エフラムの馬とエフラム&リーフの馬が苛烈なデッドヒートを演じている。
エフラム「ええい! もっと気合をいれんか!」
リーフの馬「はひ…はひ…ここまでだってかなり無茶しているのに…」
エイリーク「くっ…途中からスピードが落ちてる気がしますが…」
エフラムの馬「こいつだ! 俺の腹に変な女が張り付いてるんだ!
       気付け主の妹!…くそ!俺に人語が話せれば…」
なんとエフラムの馬の腹部にはファリナがしがみついていた!
ファリナ(んふふふ! マーフィが使えないならこうして人様の力を借りるまでよ!)

やがて2人分の重量にエフラムの馬(エイリーク騎乗)のスピードが鈍り始める。
エフラム「もらった!」
エイリーク「ああっこのままじゃ豊胸手術の費用が!?」
エフラム「馬鹿者!あんなもの脂肪の塊だ!妹にそんなものをつけさすわけにはいかん!」

エフラムがエイリークを抜こうとしたその時!
ファリナ「そ~れ!」
器用にもファリナがリーフの馬(エフラム騎乗)に飛び移った!
エフラム「うおっ! なんだ貴様!」
ファリナ「あっちの馬にしがみついてて馬の扱いは大体わかったわ!この馬もらった!」
卑劣にもファリナはエフラムを馬から蹴落とそうとする。
エイリーク「あ、兄上!?ファリナさん!?」
エフラム「き、貴様卑怯だぞ!貴様に騎士道はないのか!」
ファリナ「そんなもんあるか!私は1億ゴールド通帳に入れたら毎日通帳眺めてニマニマするんだ!
     さっさと落ちろこの野郎!」
エフラム「おのれ!そんな邪な金欲のために俺の保育園建設の夢を邪魔させん!」
馬の上で争う2人。リーフの馬はすっかり辟易している。
リーフの馬「あああ…もうやだ…どうにかしてよこの人たち…」

その時背後から飛んできた火弾がエフラムとファリナとリーフの馬を吹き飛ばした。
エフラム「ぐわぁーーーーっみるらーーーーー最初の入園者はお前だ!」
ファリナ「ああっちくしょーーーーーーーーーっ!金、マネー、ゴールド、ひだりうちわーーーーー!」
リーフの馬「リーフと離れても俺はこうなるのかーーーーーーーーっ!」

セリカ「神敵必滅ライナロック!一億で私の部屋を拡張してミラ教の寺院にするの!エイリーク姉さんにも邪魔させないわ!」
エイリーク「いいえ、私の胸を大きくするためにこのお金は使うべき!ここで争っている暇はありません!」
エフラムの馬「主には気の毒だがこれも勝負…今は主の妹のため奮励しよう!」
馬が軽くなったことを活かし、エイリークはセリカを引き離すべく駆け出すのだった。

52 :明日に向かって走れ!後編:2009/11/21(土) 03:50:30 ID:1/JX9NYf

ドロシー「…もはや参加者も100人を割り込みました! それと先頭で何か動きがあったようです!」
セーラ「緑風(笑)が脱落したんでしょ? 意外でもなんでもないわ」
ドロシー「少しは盛り上げましょうよ…それじゃカメラさん!」

モニターに先頭の様子が映し出される。
サザの目の前には巨大な壁が立っていた。しかしながら壁には割れ目がある。いわゆる壊せる壁だ。
サザ「そりゃそりゃ!…はぁはぁはぁ…頑丈なんよ…」
非力なサザは壁の破壊に手間取っている。
そこに背後から土煙が近づいてくる。
サザ「うぉっアイク団長が来るんよ!? このままじゃ1位がやばいんよ!」
アイク「ぬぅん!」
気合一閃! ラグネルの衝撃波で一撃で壁を砕いたアイクは壁の向こう側へと駆け込んでいった。
サザ「あ…あっさり抜かれてしまったんよ…」
アイク「うごあっ!?」
サザ「な……だ…団長の悲鳴!? ここここここここの壁の向こうにいったいどんな恐ろしいモノがあるんよ*1ガクガクブルブル 」

ドロシー「こここ…これは…なんと!?…ま…まさかのアイク脱落です!」
セーラ「いいのっこれ!? こんなん完走なんて出来るワケないじゃん!」

モニターの前に2人の男が並び立っている。
スターバイザーM「社長…このプランはさすがに僕は反対してたんですがね…」
シャナム「しっ…しかしだな! 1億もの賞金を渡すわけにはいかん!」
スターバイザーM「まぁその辺はご自由に…すでに僕の目的は達していますしね。
         ですがこのイベントは注目度からいってもすでに成功してます。
         賞金を払っても金は後から着いてきますよ?」
シャナム「同じく金がついてくるなら、賞金も払わずにすんだほうがいい!」
スターバイザーM「そこまで言うなら僕から言うことは何もありません」

53 :明日に向かって走れ!後編:2009/11/21(土) 03:52:00 ID:1/JX9NYf

エイリーク「そ…そろそろゴールも近いはず…」
セリカを振り切ったエイリーク。
だが背後にシグルドが迫ってきている。
砂地を抜けたシグルドは前を走っていたセティを踏み潰し、セリカを追い抜いてエイリークの後方100Mほどを走っている。
シグルド「エイリーク! 兄さんの結婚のためここは譲ってもらうぞ!」
エイリーク「兄上こそ妹の幸せのため、ここはお引きください!」
エリウッドの馬「ぜはっぜはっふんぬーーーー!!!」
エフラムの馬「ぬぉおおお!!!!」

もはやペース配分もへったくれもない。全力で走る2人はコース前方に割れた壁と、その前で躊躇うサザを発見した。
サザ「…ああ、どうするんよ…正直怖いんよ…」
エイリーク「邪魔です!おっぱ、お…おっぱいおっぱいの道はもうちょっとなんです!」
容赦なくサザを跳ね飛ばし、割れた壁を通過する。

そこには巨大な食堂であった…
エイリーク「こ…これはっ!?」
足元にはアイクが倒れている。
ララム「いらっしゃ~~い ラストはララムのクッキングコーナー!
    この先のゴールのゲートをくぐるには私の料理を完食しないといけないのさ!
    料理は1人前、テーブルに用意してるから好きに食べてね!
    食べ終わったら鍵をあげる♪
    ちなみに私をいてこまして鍵を奪ったりしたら失格だからね」

ドロシー「……か…かつてここまで非道なステージがあったでしょうか!?
     私ドロシーは呆れてものも言えません!」
セーラ「……ひでえ…社長…どうなっても知らないわよ?」

真っ青な顔をして立ち尽くすエイリーク。
追いついたシグルドも途方にくれている。
だが2人の大望のためには先にいかねばならない。
エイリーク「胸!」
シグルド「結婚!」
エイリーク&シグルド「いただきます!」
二人は異臭を放つ、異様な物体を口に運び……………そして倒れた…
エフラムの馬「ああ…なんてことだ…」
エリウッドの馬「ひどい…」

54 :明日に向かって走れ!後編:2009/11/21(土) 03:53:56 ID:1/JX9NYf

そこにセリカが駆け込んできた!
セリカ「心頭滅却!ミラの女神よ!我に力を!」
神に祈り、信仰を気合に変えて箸をとる!
ユンヌ「やっほーセリカちゃん、ミラちゃんがお留守だから代わりに力を…」
セリカ「ぶげっ!?」

セリカは滅びた…
ユンヌ「え!? なにそれひどくない!?」

その後もここまでたどりついた猛者たちが次々玉砕していく…
もはや何者もこの戦いの勝者となれないのだろうか…
はるか後方でノタノタと進むヘクトルは最前線で戦士達が死体の山と化したことなど知る由もないのだった…

続く


*1 *2
*2 ;゚Д゚