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Last-modified: 2011-06-05 (日) 13:37:39

509 :FEの夜2~紋章町のヒトデナシ~:2009/12/28(月) 08:54:37 ID:evozBmnR
注意!
このネタは「かまいたちの夜2」のバグ文章をこのスレ風に改変したものです。
不快感、抵抗感のある人はスルーして下さい。

「ファイアーエムブレム」が呪われたゲームだって聞いたことはないか。
まあ、聞いていたって聞いていなくたって構わない。
もう始まってしまったんだから。
ぼくは噂を聞いていた。
兄さんが言っていたのだ。
奇妙な声が聞こえると。
歪んだ人の顔を見たものもいるらしい。
新しい演出だね、とぼくは笑いながら言ったものだ。
その時ぼくは一時間近くモニターを見つめていた。
そう、ちょうど今のあなたのように。
ただし立場がちょっと違う。
ぼくはこのゲームの制作協力者だった。
初期ROMでプレイするのは初めてだった。
演出効果は抜群で、自分でいうのもなんだが面白いゲームに仕上がろうとしていた。
初めてそいつを見たとき、ぼくはあまり気にならなかった。
モニターの向こうでちらちら動くものがあった。
はっと視線を移すと何もない。
モニターを見始めると現れる。
人影に見えた。
どうやらこちらの様子を伺っているようなのだ。
ぼくがゲームをしていたのは自宅の居間だった。
その時は午後十一時を過ぎていたが、まだまだ一部の兄弟は起きていた。

510 :FEの夜2~紋章町のヒトデナシ~ 2:2009/12/28(月) 08:55:29 ID:evozBmnR
だから当然その一人だと思った。
それでも記憶に残ったのは、同時に声が聞こえたからだ。
掠れた囁き声が耳元で聞こえた。
何を言っているのかはわからなかった。
はっとして周囲を見回したが誰もいなかった。
その日から人影を頻繁に見るようになった。
いつもの四人娘の後ろに。
見上げた民家の窓に。
自宅の壁に空いたでっかい穴の向こうに。
食事中のテーブルの向こうに。
そいつは次第に大胆になってきた。
積み上げたおねいさん本の山の間から腕を伸ばす。
部屋の扉の隙間から覗く。
閉じた本から指のようなものが現れる。
それはぼんやりと青みがかった影だった。
影を通して後ろが透けて見える。
やがてそいつらの声も聞こえ始めた。
最初に聞こえた、あの耳障りな囁き声だ。
病気だと思った。
医者に行くとノイローゼだと言われた。
心当たりはある。
「ファイアーエムブレム」の納期が迫っていたからだ。
毎日毎日癖毛に叱られ幸運0に怒鳴られ、
自称優秀たちに嫌味を言われ続けていた。
疲れていたのだ。
特効薬をもらってぼくは帰った。

511 :FEの夜2~紋章町のヒトデナシ~ 3:2009/12/28(月) 08:56:28 ID:evozBmnR
その翌日だ。
ぼくは久し振りに四人娘を食事に誘った。
その帰りだった。
ぼくたちは通りを外れてぽつんと取り残されたようなプリントマシンを見つけた。
おねいさんキャラクターに挟まれてぼくは決定のボタンを押した。
そして出てきたプリント。
彼女とぼくの顔の間に、蒼褪めたそいつの顔があった。
今までと違って、表情のようなものが見てとれた。
その眼もその鼻もその口も、物語ることはただひとつ。
恨みだ。
毒液のような呪いがその顔から汗のように滴っていた。
全員が悲鳴を上げた。
それをどのようにとりなしてどうやって家に戻ったのか、良く覚えていない。
気がつけばいつもの部屋の中でテレビ画面を前にしていた。
映っているのは「ファイアーエムブレム」。
そしてぼくは悟った。
やつらの正体を。
やつらは膨大なテキストの町の中のやられ役。
「ファイアーエムブレム」でヒトデナシされたキャラクターたちだ。

512 :FEの夜2~紋章町のヒトデナシ~ 4:2009/12/28(月) 08:57:31 ID:evozBmnR
モニターの奥で何度も何度も様々な、そして残忍な方法でヒトデナシされるキャラクターたち。
やつらがぼくに、ぼくを初めとするゲームに係わる者たちに復讐しようと現れてきているのだ。
「そうだよ」
声が聞こえると同時に、モニターに顔が現れた。
血塗れのそれがエフラムなのかピザなのか、それともマルスなのか、ぼくには区別がつかなかった。
でも大勢の笑い声と肩に触れた堅く冷たい神器の感触だけは覚えている。
そして、ぼくは失踪したことになっている。
スタッフロールからぼくの名まえは消され、代わりに入った兄弟の名前だけが残された。
でもぼく自身はゲームから消えたわけではない。
こうしてここにいるんだからね。
さあ、ぼくの話は終わった。
まだ今の内ならあなたも間に合うかもしれない。
やつらの声をまだ聞いていないのなら。

ミカヤ「何やってんのリーフ」
リーフ「いや、ちょっと文章作成を…」
ミカヤ「またしょうもない妄想エロ文か!」つレクスオーラ
リーフ「違うんだアッーー!!」