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Last-modified: 2011-08-15 (月) 01:01:05

「はぁ…今日もバアトル様の腹筋の美しさときたら……」

私は今日も居間でDVDを見てうっとりしていました。
ああ…なんてため息の出る美しさ……

「姉さま姉さま~~~っ!」
元気のよい声とともに戸を開けたのはリリーナちゃん。
ロイちゃんのお友達です。ヘクトルちゃんとも仲がいいみたい。
でも最近は私もこの娘と親しくしています…その理由は…

「すんばらしいDVD撮影しましたっ!
 題してプールサイドのガチムチ達、真夏のブーメランパンツっ!
 ゴンザレス、ガレット、バース、ボールスに出てもらって渾身の作となりましたっ!」
「まぁっ!(゚∀゚)」

……そう、この娘は同好の士だったのです!
ロイちゃんが好きみたいだからガチムチには興味ないのかと思ってたらなかなかどうして…
支援や説得の相手にはガチムチ盛りだくさん!

「と…とても素晴らしいですわ…ハァハァハァハァ…さ、さっそく一緒にみましょう」
「ね…姉さま…見る前からそんなに興奮してたら出欠多量で瀕死ものです…ハァハァ」

さっそく2人して息を荒げながらTVにがぶりよりです。ハァハァ。

TVにはブーメランパンツ一丁のガチムチ達が逞しい肉体美を晒してポーズを取ったり、
組み体操したり……ああ…生きててよかった……
「見てください、懇親のガチムチピラミッドですっ!
 こここここの後ろに回って撮影したTバックからのびるお尻と大腿筋のセクシーなことといったら…
 ワンダホー!!!!ムッハー!!!ブバァアアアアアア!!!!」
「ハァハァハァハァ!!!
 ゴゴッゴゴンザレスさんの足がガレットさんの背筋と密着してムヒョー!KINNIKU! KINNIKU!
 ブバァアアアアアアア!!!!」

私とリリーナちゃんは居間を鼻血で染めて痙攣することとなりました。
あらあら、お掃除が大変ね♪

しばらく仲良く悶えてました。

「はぁはぁ…私…この趣味が世間じゃ理解されないのが怖くて…変な娘だって言われたくなくて 
 ずっと隠してましたけど…こんなに近くに仲間がいたんですね…」
「ええ…隠すことなんてないわリリーナちゃん…私とあなたは仲間なのよ!」

私たちは固く手を取り合います。
ですが一点だけ、思うところがあったので聞いてみました。
「ところでリリーナちゃん…ボールスさんのお腹だけど…ちょっと弛みすぎじゃないかしら?
 もっと腹筋を強化しなくては」
「そこがいいんじゃないですか。逞しいKINNIKUとプニプニしたZEINIKUのコラボ。
 NIKUの芸術の極地です!」
「まぁ!それは違うわ!
 全身鍛え上げられたKINNIKUこそが至高!
 アイクのまるでギリシャ彫刻のような美しさをご覧なさい!」
「たしかにアイクさんは舐めたくなるようなすばらしいKINNIKU…姉さまの言葉を否定はしません…
 ですが、触るとぷよぷよするZEINIKUの肌触りには優しさがあるのです。
 ヘクトル兄様の弛んだ体には崩れた造形がもたらす破滅的な美しさを感じます!」

そう…私たちはこの一点において見解を異にします。
リリーナちゃんはZEINIKUも愛しているのです。私にはわからない嗜好ですが……

「姉さま……それはそうとロイにプロテインを飲ませてますか?」
「そりゃあもう…でもうちの年少組は細い子が多くて…
 蒼炎アイク → 暁アイクみたいに一気に育ってくれるといいんだけど…」
「……ま、私はロイがヘクトル兄様みたいにメタボになってもOKですよ?
 ただ中肉中背のどっちつかずかやせっぽちにだけはなってほしくないです。
 マッチョかメタボ、2択あるのみ!
 ……ですからおすそ分けです。
 高カロリーはKINNIKU、ZEINIKUのどちらにもかかせませんし」

そう言ってリリーナちゃんは鶏肉を出してくれました。
「まぁありがとう、今夜のおかずにするわね!」
「ええ、それとヘクトル兄様にもおかわりを出してあげてくださいね」
「それは駄目!ヘクトルちゃんはまずダイエットしてしぼらないと!」
「せっかくのZEINIKUになんてことを!
 痩せた兄様なんて兄様じゃありません!」

そして私たちの論争は再開します。
でも、こうして口論するのも同じ趣味を持つ仲間同士の楽しみというものです。
…ふふふ、ロイちゃん、がんばってKINNIKUをつけないとリリーナちゃんをヘクトルちゃんに取られてしまうかもしれないわよ?
ZEINIKUはつけなくていいからね?

年下の友達を得て、私はそんなことを思いながら楽しく、しかし真剣に議論を戦わせたのでした。

終わり