23-213

Last-modified: 2011-08-15 (月) 18:13:35

213 名前: 静かなる日々の中で [sage] 投稿日: 2010/01/18(月) 16:20:55 ID:hJDc59qb

その日は久々の連休の2日目だった。
俺は昨日から通してゲームに興じていた。
このスレを最初から見ているヤツにはわかってもらえてると思うが、俺はかなりゲームが好きだ。
必然休みの日はインドア派になりがちだったりする。
イリオス「たまにゃーレトロゲームもいいもんだな。今のゲームにはない不便さがなんともいえねぇ味がある」
そう……俺が今プレイしてるファミコン…仮面ライダー倶楽部にゃセーブもパスワードもねぇ!
現在17ステージ目……すでに21時間ぶっとおしでプレイして後6ステージまでこぎつけた。
テンションが上がりきってりゃ眠気も疲れもかんじねぇもんだ。
イリオス「なんとしても今日中に…」
オルエン「ねぇイリオスってば!」
イリオス「うわぁぁぁああ!?いつの間にっ!?」
いつの間にか隣にオルエンがいるっ!?
まるで気づかなかったぞっ!?
オルエン「だって何度ノックしてもお返事がないんだもの。だから上がらせてもらっちゃった」
イリオス「そ、そうだったか? 気づかなくてわりぃ…」
よっぽど熱中してたんだな俺……。
エロ本しまっといてよかった……。

オルエン「ねぇそれよりどこかお出かけしましょうよ。2人そろってお休みなんて久しぶりだもの!」
コイツはどっちかっつーと外で遊ぶほうが好きだったりする。
買い物とか乗馬とかな。兄貴についてってゴルフなんかもやるらしい。俺にゃ無縁の遊びだ。
イリオス「ちょ……ちょっと5時間ばかし待っててくれ、このゲームクリアしちまうから!」
すでに21時間を費やしたんだ。これだけはなんとしてもクリアしなきゃならねぇ!
オルエン「えい」
…………………アノ、オルエンサンイマナニヲシマシタカ?
イリオス「あぁあああああぁぁぁぁあぁぁぁーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
コ…コイツ電源切りやがった!?
イリオス「なななななんちゅーことを!?このゲームセーブもないっちゅーくぁwせdrftgyふじこlp」
オルエン「あら、これでまたプレイする楽しみができたじゃない?
     さ、行きましょうよ♪」
しれっと言いやがった………
こうして俺はオルエンに引っ張られて表に出た。25時間ぶりの日光が目にしみるぜ……
214 名前: 静かなる日々の中で [sage] 投稿日: 2010/01/18(月) 16:21:38 ID:hJDc59qb

さて……俺とコイツの間に何か進展があったかっつーとなんもねぇ……
うるさいうるさいチキン言うなっ!
童貞&恋愛暦なしの男に何を期待する!?
せいぜいギャルゲーくらいしかやったことねぇんだ文句あるかっ!!!
遊びに誘うのも毎回オルエンの方からだしな…
こういう男って女からすればじれったいんじゃねぇかと思うんだが、気にするでもなくこうして誘いにくる。

イリオス「…………//////」
オルエン「…………♪♪♪」
うぁぁ……そうやって腕組まれてると胸が……
俺顔真っ赤!?童貞丸出し!?
うぁあああ…………
その時はるか後方から殺気を感じた。あ、フレッドか。
アイツ気配消すの下手になったなぁ………今は後方50Mの木の影にいやがる。
正直ヤツの視線にも慣れた。今じゃ大して気にならねぇ。

俺たちは近所の公園の遊歩道を歩いている。
最近はこういう金のかからねぇ場所に行くことが多い。
……いや、一緒に遊ぶことが多くなったばかりのころは、
高級ブランド店とか貴族向けのバーとかに行くことが多かったんだが、
俺はその都度意地張ってサイフあけてその度貧乏生活に陥っていた。
女におごられてばっかりってわけいかねぇだろ? 
それでもワリカンだが…おごってやるのは不可能だった…orz

金銭感覚が庶民とずれてるコイツもさすがに俺の苦境に気づいたのか、
このところはこんなのんびりした場所によく行く。
215 名前: 静かなる日々の中で [sage] 投稿日: 2010/01/18(月) 16:22:20 ID:hJDc59qb

そ……それにしてもこうやって腕組んでると俺たちカップルみたいじゃねぇか?
いやカップルなのか?……///////
は…二十歳過ぎの男が赤面しても誰も萌えねぇんだぞ!?
静まれ俺の心臓!!!!

…あ、俺の腕にも心臓のドキドキが伝わってくる…
コイツもほんのりと頬が赤く見える…か、可愛いじゃねぇか…
だぁああああああああ!!!!!!
なんでこう初恋の中学生みたいなんだ俺は!?
どうして腕組むぐらいスマートにこなせねぇかな………

あ、通りすがったアーダンが凄い目つきで睨んで行きやがった。
あんたは原作で彼女できる可能性があんだからいいじゃんか。
俺なんてどうあがいてもエンディングまで独り者なんだから。

そ…それにいいことばかりじゃねぇんだぞ?
フレッドには憎まれるわセーラにゃネタにされるわ、
あげくにラインハルト×オルエンを成立させようとする
AKJから暗殺者まで差し向けられる俺の苦労も察してくれ。
……
いやまて、これもノロケなのか?
ひょっとして俺リア充になりつつある!?
かつてあんなにリア充を妬んだのに!?
216 名前: 静かなる日々の中で [sage] 投稿日: 2010/01/18(月) 16:23:02 ID:hJDc59qb

しかしこうしてみると、休日の遊歩道は家族連れや年寄り、そしてカップルの姿もちらほら……
向こうで犬の散歩をしてるのはパント、ルイーズ夫妻だし、
ベンチでいちゃついてるのはキュアン、エスリン夫妻だ。
向こうじゃアレンとティトが腕組んでるし、エストとアベルが追いかけっこしてる。(物陰にパオラがいた気がしたが…)
さらにエフラムがサラに引っ張りまわされてるし、ビラクとヘクトルも追いかけっこ(本気?)してる。
最後の方はカップルかどうか微妙だが……

オルエン「ねぇイリオス…私たちもああいう風に見えるのかしら…///」
イリオス「え!?…あ、ああいや…どどどどどうだかなっ////////
HAHAHAHAHAHAHA!!!!!」
むがっ!?
思いっきりどもっちまった!?
笑って誤魔化す俺に、オルエンは頬を膨らますと背中をつねりやがったっ!?
イリオス「あいたっ!?」
オルエン「むぅ…イリオスのバカ…!」
むくれつつも腕から離れない…可愛い……
そして俺のチキン……orz

昼飯には屋台でお好み焼きを買った。
今回は俺のオゴリだ!……自慢にもなんねぇか…
マリータ「まいどおおきに!…兄やんかわえー彼女やおまへんか!
     大事にしたりな!」
イリオス「ううううううううるせぇ!////////」
オルエン「うふふ……♪」
…なんか嬉しそうだなコイツ……
217 名前: 静かなる日々の中で [sage] 投稿日: 2010/01/18(月) 16:23:44 ID:hJDc59qb

それから俺はベンチで「はいあーん♪」をやらされた…
ししし死ぬほど恥ずかしかったぞっ!?
やってみたかったのかオルエンのヤツ!?

木陰から発するフレッドの殺気が大きく増大したのは俺の気のせいじゃないはずだ……

そんでボートに乗ったり、カップルへの嫌がらせにアトスが埋めたフレイボムを俺が踏んじまったり、
ダラハウの大道芸を見物したりして楽しい時間を過ごした。
オルエン「凄い凄い! ダラハウのマントからウハラダが出てきたわ!?」
イリオス「ど、どうなってんだこりゃ!?」
ダラハウ「タネをあかしたらお仕事になんないのよ~~」
ウハラダ「さ、おひねりよろしくなのね~~」
オルエン「イリオスおひねりって?」
首をかしげてる…そっか、こういうの知らないんだろうな。
イリオス「見物料に金を投げてやるんだよ、ほらそこの帽子にな」
そしてコイツは当然のようにサイフから1万G札を出して投げた…
5G硬貨を投げた俺は、社会の格差ってやつを感じたね……今更な気もするが…

それにしても俺もなんだかんだでコイツと遊ぶのを楽しんでんだな…うん。
フレイボムは痛かったけどな……。

そんなこんなで夕暮れ時だ…俺たちはベンチに座って夕日を眺めていた…
仕事と安アパートでゲームの繰り返しの日々の中、まさか自分がこんなことするようになるたぁ想像もつかなかったな…

オルエンのヤツさりげなく俺の肩に寄りかかってやがる…うぁあああ///////
ここここーいう時は肩に腕くらい回してやるべきなのかっ!?
だだだだだだがそんな勇気は俺にはねぇ!!!!
ヘタレ言うな!
218 名前: 静かなる日々の中で [sage] 投稿日: 2010/01/18(月) 16:24:26 ID:hJDc59qb

オルエン「ねぇイリオス…こうしてると貴方の暖かさを感じるわ…///」
イリオス「お、おお、そそそそうか?////////」
またどもっちまった!?
か…かっこわりぃ……
こちらを見上げるオルエンの顔が赤いのは夕日のせいばかりじゃないよな…お…俺の自意識過剰とかだったり…しないのか?
オルエン「…………//////////」
うぉ!?…目を閉じやがった……こここここここここここれはっ…いやそのあの…
ももももしかしなくてもキスをねだっているっ!?
どどどどどうすれば、どうすればいいんだっ!!!!????

ご、誤解のないように言っておくが俺らは恋人ってわけじゃないんだぞ!?
告白とかはしてないし…そのあの……頬にキスされたことはあるけど…それくらいだし……
最初のほうに言ったろ? まったく進展してねぇって!

俺は完全にテンパッて硬直してしまった……
時間がもんのすごく長く感じる……いや…実際10分くらいは過ぎたかもしんねぇな。
どっか頭の中の冷静な部分では、オルエンもよく待っててくれるよなーとか思っちまう…
い、いやしかしだな、このままでは男としてうあぁあうくぁwせdrftgyふじこ…

フレッド「お嬢様っ!まもなく門限でございますっ!!!!!!!」
イリオス「うおっ!?」
オルエン「きゃあっ!?」
慌てて俺たちは離れた。
…た、助かった…
いつもならウザい野郎だがこの時ばかりは救いの神に見えた…
そしてそんなことを思っちまう俺ってつくづくチキンだな…orz

フレッド「さ、お車を用意しましたので……」
オルエン「う…うん…じゃあイリオス、またね…」
イリオス「お…おう」
そこはかとなく残念そうだ……い、いやその…なんつーか…すまん……
最後にフレッドの野郎が血の涙を流してそうなものすげえ形相で睨んで行きやがった…
219 名前: 静かなる日々の中で [sage] 投稿日: 2010/01/18(月) 16:25:09 ID:hJDc59qb

それからどう帰ったかはあんまり覚えてねぇ……
ぼーっとしたままふらついてたみてぇだ……
部屋に帰った俺は……俺は……どうすればいいのか参考を求めてギャルゲをやってみた……
……なんの参考にもなりそうにねぇ……orz
イリオス「あああああああ……そうだ…明日も早いんだ…寝よう…寝れば何も考えなくてすむ…」

だが寝れねぇ……昨日からぶっとおしでファミコンしてて睡眠不足のはずなのに眠気がこねぇ…
目を閉じるとあの時の…うあああああああ!!!!
なにこの純情ぶり!?
俺二十歳すぎてこれ?キモくね!?

イリオス「ちくしょおおおおおお!!!どーすりゃいいんだぁああああああーーー!」
壁の向こうから怒鳴り声が響いてくる。お隣さんに怒られちまった。
ガイツ「夜中にうるせーぞこの野郎!」

結局一睡も出来なかった俺は、翌日の収録でポカやらかしてセーラ達に怒鳴りまわされる羽目になった…
自分のヘタレぶりが憎いぞ…orz

終わり