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Last-modified: 2011-08-15 (月) 21:59:53
    ~ユグドラル高校~
   セリス  「おおロミオ、あなたはどうしてロミオなの?」
   ユリウス 「……」
   ミランダ 「カーット!」
   ユリウス 「……」
   ミランダ 「ちょっとユリウス!? なんなのよさっきのげんなりした顔は!?」
   アーサー 「ジュリエットにあんな表情向けるロミオはちょっとないと思うなあ」
   ユリウス 「その前に配役に関する疑問をだな」
   アーサー 「……僕の妹が決めた配役に、何か文句でも?」
   ミランダ 「……それを認めたわたしの決定に何か文句でも?」
   ユリウス 「クソッ、ブチギレコンビめ……! 文化祭が終わったら覚えてろよ……!」
   ラナ   「……クッ……! 何故私はロミオ役を勝ち取れなかった……!?」
   ユリア  「あら、羊髪のロミオなんてお笑いだわ」
   ラナ   「あら、イタコモドキのロミオよりはマシじゃなくって?」
   二人   「「……ッ!」」
   パティ  「あっちゃあ……まーたやってるわ、お二人さんたら」
   レスター 「ティボルト役とマキューシオ役だからハマり役と言えばハマり役なんだが」
   スカサハ 「毎回演戯をぶっちぎったガチバトルになるのはどうにかならないものか……」
   フィー  「っていうかさ、ミランダが肩につけてる『超監督』って腕章、なに?」
   リーン  「さあ……なんか、『微妙に似てるから』とか言ってたけど」
   アレス  「何の話なんだ……」
   ラクチェ 「でもまあ、あれよね。最初はこの配役どうよって思ったけど、割と絵になってるわよね」
   ユリア  「……まあ、お兄様は中身はともかく顔はなかなかですからね。中身はともかく」
   ラナ   「セリス様の美しさは言わずもがな……」
   ティニー (セリユリハァハァ)
   ミランダ 「よーっし、演技指導が終わったところでもう一回やるわよ!」
   アーサー 「次の場面出る人は配置についてー」
   ナンナ  「……」
   マリータ 「どうしたの、ナンナ。浮かない顔しちゃって」
   ナンナ  「いえ……わたし、ちょっと外へ出てきます」
   マリータ 「休憩? まあナンナの出番はまだだから、別にいいんじゃないの」
   ナンナ  「……」
   リーフ  「フッフッフ……ハンマーとノコギリとラジオペンチとカラースプレーを同時に使いこなせるのなんて僕ぐらいのものだろうな!
         いやー、舞台美術関係全部押し付けられたときは面倒くさいと思ってたけど、やってみると割と楽しいもんだなー。
         一人きりの作業だからこの人でなしー! 的な事態になることも滅多にないし、こりゃなかなかいい仕事につけたぞー」
   ナンナ  「……リーフ様」
   リーフ  「んー? ああ、ナンナか。どうしたんだい、何か用?」
   ナンナ  「いえ……なんだか、納得がいかなくて」
   リーフ  「ここはもうちょっとこうして……何が納得いかないって?」
   ナンナ  「確かにセリス様やユリウス様はとても絵になる役者だと思いますけれど、
         リーフ様だってこんなに頑張っていらっしゃるのに」
   リーフ  「よし、ここはこの色で大丈夫だな。でも照明の当たり具合を考えるとなー……
         うん、まあ頑張ってはいるよ。やってみると結構楽しいしね。
         あ、あんまり近づかない方がいいよ。そっちの奴ペンキ塗りたてだから、衣装汚れるかもしれないし」
   ナンナ  「なのに皆さん舞台の上ばかり気にして……」
   リーフ  「うん、完璧だ。我ながらなんと美しい張りぼてだろう……
         いやまあ、裏方なんてそんなもんだよ。別にいいじゃん、一緒に舞台作る喜びを噛みしめられれば」
   ナンナ  「ミランダだって監督に夢中だし、サラもなんだか最近エフラム様のところばかり……」
   リーフ  「よし、次はこれだな。バルコニーのセット、ここで作るのはいいけど誰に持って行ってもらうか……
         まあ、そんなもんじゃないのかなあ。僕はあんまり気にしてないけど」
   ナンナ  「気にしてないって……リーフ様はそれでいいんですか? 誰にも自分の頑張りを認めてもらえなくて」
   リーフ  「フッフッフ、これぞカラースプレー三刀流……! 今回の仕事で熟練度上がりまくり。今度壁に落書きでもしてみようか。
         うん、別にいいよ。僕の頑張りはいつだってナンナが見てくれてるし」
   ナンナ  「……」
   リーフ  「ッシャーッ、気合入れるぞーッ! トアーッ、ホアッホアッ、フゥゥゥゥーッ、ヒャッハァ、ヒャッハァ!」
    ~一時間後~
   リーフ  「……ヤベッ、テンションあがりすぎた……シンナー吸ってラリッてきたかな……ちょっと休憩行こう」
   リーフ  「……ぷはー、一仕事終えた後のSドリンクは最高だな! 僕の場合飲む意味全くないんだけど!」
   デルムッド「……リーフ?」
   リーフ  「ん。なに、総長」
   デルムッド「そのあだ名は止めてくれ。あのな、お前の様子を見に行って戻って来てから、ナンナが赤い顔で黙りこくったままなんだけど」
   リーフ  「ナンナ? ああ、そう言えば来てた気がするなあ。セット作りに夢中で全然気づいてなかったよ」
   デルムッド「お前、校舎裏で二人きりだからってなんかしたんじゃないだろうな?」
   リーフ  「いや、別に? っていうか、いついなくなったかも分かんないし……」
   デルムッド「本当か? じゃあ、なんか、変なこと言ったとか……」
   リーフ  「さあ。道具作りに集中してたせいで、何話したか覚えてないけど……ごく当たり前のこと話してた記憶しかないけどなあ……?」