~ ゲイバー ~
ビラク「ヘッきゅん…どうすれば俺の一途な愛はヘッきゅんに届くのだろう?
ノンケだって食っちまう俺だができれば相思相愛になりたいZE!」
レックス「ロシェはもういいのかい?」
ビラク「うほっ俺の愛は海のように広く深いのさ、浮気なんかじゃない。俺は全員に本気だ!」
キサ「それも難儀よねぇ…」
ビラク「やっぱりアタックあるのみだな!へっきゅ~~ん!」
~ 兄弟家居間 ~
ヘクトル「なんだ…今、寒気が…」
ミカヤ「風邪?」
ヘクトル「いや…多分気のせいだ…」
エフラム「ところでピザよ、まだビラク殿と結ばれる気はないのか?」
ロイ「お似合いだもんね。早く兄弟の結婚第1号になっちゃいなよ」
ヘクトル「お前ら……だから俺はノーマルなんだっつの!」
ミカヤ「そーよそーよ!ただでさえウチはロリコンだのレズだのアレな子達がいるのに、
これ以上カオスな性癖を広めないで!」
エフラム「…そのロリコンというのが誰のことだか気にはなるが、俺はビラク殿を見ていて確信したのだ。
強い愛は性別も種族も年齢も関係ない尊いものだとな」
ロイ「僕はヘクトル兄さんとビラクさんを応援するよ!」
ヘクトル「だから俺はノーマルだっつってんだろが! 普通に女に興味くらいあるわ!」
ミカヤ「そうよね、だから早く彼女を作って姉さんを安心させて!」
エフラム「無理に決まっている。貴様は年齢=彼女いない暦ではないか」
ヘクトル「それはてめえもだろうが! 言っとくがサラやミルラはカウントしねえぞ!」
エフラム「当然だ、彼女たちは守るべき幼女たち。彼女になどするはずあるまい。
いずれにしても特定の相手がいないのならビラク殿と付き合ってみろ。
そのうち愛が芽生えるかもしれん」
ヘクトル「芽生えるかバカチン!」
ミカヤ「そうよ、それよりヘクトル、彼女を作ればいくらビラクでも諦めざるをえないわ!」
ヘクトル「そ、それもそうだな」
ミカヤ「自分は焦らなくても大丈夫とか思ってると恋愛は負けるわ!
皆、必死なんだから余裕かましてたら気がついたら隣にいるのはビラクだけってことになるわよ。
親しい女の子にでも声をかけてみなさい!」
ロイ「姉さん無茶言っちゃだめだよ、兄さんに彼女なんてできるわけないじゃないか。
ビラクさんはヘクトル兄さんの救済キャラだよ」
エフラム「ピザよ…無意味な幻想に浸って傍にある愛を見過ごしてどうなるのだ。
あの時ビラク殿の愛を受け入れていれば…と、後になって後悔しても遅いぞ」
ヘクトル「てめえら…俺に彼女が出来るか出来ないか、目ん玉かっぽじってよく見てやがれ!」
~ 翌日 学校の教室 ~
ヘクトル「…と、意気込んでみたはいいが…実際どうすりゃいいんだ…」
マシュー「若、悩み事ですかい?」
ヘクトル「いや、大したことじゃねぇよ…」
(彼女の作り方なんてみっともなくて聞けるか!)
マシュー「それならいいんすけどね、おっとメールだ返信返信っと」
ヘクトル「あん、誰よ?」
マシュー「へへ、レイラっすよ。今日の放課後は俺、用事が出来ました!」
ヘクトル「そういやお前ら付き合ってんだっけ? どういう切っ掛けだったんだ?」
(それとなく方法を聞いてみるか)
マシュー「へ? いやまあなんつーか…俺から告って…OKもらったんす♪」
ヘクトル「そうか…で、出会いとかはどんなだったんだ?」
マシュー「えーと、バイト先で知り合ったっつーか…どしたんすか若?
いつもならこんな話にはあんま乗ってこないのに」
ヘクトル「べ、別になんでもねぇよ。ただ俺だって人並み程度には
誰それがくっついただの離れただのっつー話にも関心があるってだけだ」
マシュー「ほ~~~♪ ま、青春が野郎一匹じゃ寂しいっすしね。
ここは共学だし、出会いなんてその辺に転がってますよ」
ヘクトル「けっ浮かれやがって」
(だが確かにそうだよな、学校の半分は女子なんだし大概は顔見知りだ)
(でもアイク兄貴みてぇに向こうから寄ってくるなんてのは一握りだ)
(マシューみたいにこっちからいかなきゃ彼女なんてそうそうできねえよな)
~ 放課後の教室 ~
ヘクトル(だがこっちからいくっつっても誰にいく? そこが問題だよな)
ファリナ「コラ、なに黄昏てんのよ。デブが突っ立ってると掃除の邪魔!どいたどいた!」
ヘクトル「箒で叩くな!今、どくから!つーか誰がデブだ!」
ファリナ「あんたよ、他に誰がいるっつーの」
ヘクトル「るっせ!」
(……そういやコイツとはなんだかんだで結構話すよな……)
(クラスメイトとしか思ってなかったが…こっちから寄ってく感じでいかねぇといけねぇのかな)
(いやそもそも俺とコイツがくっつく姿が想像できねぇな。コイツ悪態ばっかついてきやがるし)
マシュー「なに、くっついた後のイメージなんざ、くっついた後から作ればいいんすよ」
ヘクトル「うぉい!? お前どうやって俺の心の中を読みやがった!?」
マシュー「口元でブツブツやってましたよ。他の者にはわからないだろうけど、俺読唇術使えるんで」
ヘクトル「くそーやなこと見られちまったな…」
マシュー「ま、ちょいと相談にのりますぜ、ここじゃ他のモンの目もあるし向こうで…」
~ 屋上 ~
マシュー「はー……、それで彼女をねぇ…」
ヘクトル「売り言葉に買い言葉っつーか、もう後には引けねぇ…」
マシュー「まぁいいじゃないすか。きっかけがなんであれ、それで幸せカップルが一組できるならめでたいことです。
そんでファリナがタイプなんすか?」
ヘクトル「いや…そういう意識をしたことは無かったんだが…つーかあいつ悪態ばっかついてくるし俺みてぇなのは嫌いなんじゃないか?」
マシュー(鈍いこって…もったいない)
(でも、いつまでも気づかれないまま待ってくれるほど甘いもんでもないみたいす)
「…若は女心なんかわかんないでしょうねぇ…いや、俺だってわかんないすよ男だもの。
でも、相手の態度を額面どおりに取らなくてもいいんじゃないすか?」
ヘクトル「そ、そういうもんか…」
(くそー…、こっち方面の経験ないことマシューにはばれちまったろうな…)
マシュー「あー、それと一つなんすけど、ファリナは最近ケントと支援Bまでいってるらしいです」
ヘクトル「ケントって…あの風紀委員の堅物だろ?
どうみてもソリが合いそうにねぇぞ?」
マシュー「それがわからないもんで…ファリナが学校に許可取らないでバイトしてた時、見つけて注意したのがケントなんす。
それ以来犬猿の仲…に見えてなんだかんだでつるんでるっすから。
ケントの方も若の妹のリンさんにレズ疑惑で失恋して凹んでた矢先っすし、燃えちゃってるんじゃないすかね」
ヘクトル「あ、アイツ、リンに気が合ったのか?」
マシュー「……もちっと周りに気ぃ配った方がいいんじゃないすか?」
ヘクトル「大きなお世話だっつの…」
マシュー「そういうわけだから、告るなら早いほうがいいんじゃないすか。おっとそろそろいかないとレイラを待たせちまう。
そんじゃあ後でどうなったか教えてくださいねー!」
(シュタッ)
ヘクトル「行っちまいやがった…どうしろってんだよ」
~ 昇降口 ~
ヘクトル「…つーか別に告るって決めたわけでもねぇんだがなぁ…」
ファリナ「なにでかい図体で入り口塞いでんのよ、さっさとどいてよ」
ヘクトル「うぉ!?人が考え事してる時にいきなり背後から話しかけるなよ!」
ファリナ「アンタが突っ立ってるからだろが、このメタボ」
(…どーしてアタシャこんなことしか言えないかな…)
ヘクトル「ケッ俺のこれは筋肉だっつの!」
(…ダ、ダイエット後はその予定だ!)
ファリナ「はん、その弛み切った腹のどこが筋肉だっつーのよ。たまにゃダイエットしろっての」
ヘクトル「うるせぇ!……なあ、お前これから時間あるか?」
(しまった! つい勢いで言っちまった! まだ告るって決めたわけでもねぇのに!)
ファリナ「はぁ!?…なにそれデートのお誘い?」
(ちょ…どーしてこうヒネた物言いしかできねーのよアタシャ…そ…それにしてもなんだろ…)
ヘクトル「ちげーよバカ!…いやちょっと話したいことがあるっつーか…」
(やべぇ俺テンパッてる!? 自分でもなに口走ってるかわからんぞ!)
ファリナ「ふ…フン! まーバイトやらなんやらで忙しいけど特別に時間を割いてやるわ!」
(ま…マジでなんだろ…どーせくだらんオチがついて変わらない日常が展開される気が…)
(いやいやわからないじゃん! 23スレもの間に、色々変わったものもあるし、アタシらの関係ももしかしたら…)
~ 校舎裏 ~
ファリナ「んで、なによ?」
ヘクトル「………」
(…ええいここまできたら覚悟を決めた!告るぞ!俺は告白する!)
(今までそういう意識を持った相手じゃねぇが…カップリングしてから育む愛情があっても悪くないはずだ!)
(…それに…改めてみてみるとこいつ…可愛いかもしんねぇ…こういうことがスラッと言えるヤツはすげぇよな…)
ファリナ「黙ってたらわかんねーだろが」
(ちょ…急かすなアタシ!?)
ヘクトル「俺はお前に言いたいことがあるんだ!」
(言うぞ俺!言うぞ!)
ファリナ「な…なにを?」
ヘクトル「これが俺の正直な気持ちだーーーーっ!」
(言葉より先に抱きしめちまった!?)
(だがしゃべりより行動で示すほうが俺らしいかもしんねぇ)
(しかし…ファリナのやつ…けっこうゴツい体つきなのな…)
ビラク「うほっへっきゅんの正直な気持ち…受け取ったよ…」
ヘクトル「ぎゃあああああああああああああ!!!!!!!!!!
どこから沸いてでたーーーーーー!?」
ビラク「ヘっ君の行くところなら俺はどこへでも現れるさ!」
ファリナ「…………………………そーお…アンタの正直な気持ちはよーくわかったわ……」
ヘクトル「ちょ…ちが!?」
ファリナ「るっさいガチホモ野郎!!!
そういう性癖の告白ならまずは身内に明かせってのバカ野郎!!!」
ビラク「そうだな!まずはご家族に俺たちの仲を告白しようぜ!」
ヘクトル「ひっつくなー!!!!違う違うんだーーーーー!!!!
駆け去るな、話を聞けーーーーーー!!!!!」
ファリナ「知るかホモやろーーーー!!!勝手に幸せになっちまえーーーー!!!!!」
(アタシャピエロかい!?さっきまでのときめき返しやがれーーーーー!!!)
~ 道端 ~
ヘクトル「……やっと振り切った……俺の生涯一世一代の決心が…」
リン「……ヘクトル……」
ヘクトル「うぉ!?いたのかお前」
リン「ビラクから逃げ回ってるのを見かけてね…最近ホモ疑惑で大変らしいわね」
ヘクトル「言っとくが…」
リン「わかってるわよ、私もそうだったから…」
ヘクトル「そうか、お前もそうだったな…」
リン「アンタは青髪だけど…涙目グリーンの居酒屋に行きましょ?
姉さんたちには内緒でね。いい気晴らしになるわ」
ヘクトル「……すまねぇ…悪い酒になるかもしんねーけど付き合ってくれ…orz」
~ 夜のファミレス ~
ファリナ「中坊じゃあるまいし一度くらいの失恋で凹んでらんねー…いや、やっぱ凹んでるわ…
はぁ…とはいえこんな時にもしっかりバイトには出てしまう自分の金欲には参るわ…」
ケント「……この時間の生徒のバイトは禁止されてるはずだが?」
ファリナ「…見回り? へいへいご苦労なこってすね風紀委員様は!」
ケント「なにかあったのか?」
ファリナ「…べっつに~~? わたしゃ単なる不良だもの。校則破りなんざなんでもないっつの!」
ケント「……そうではないんだ…私にはわかる…私もそうだったからな…
勝手な想像で悪いが……好きな人となにかあったんじゃないか?」
ファリナ「……!?」
ケント「……私でよければ話くらいは聞くぞ」
ファリナ「そっか…あんたもそんなことがあったんだ……いいよ、もうすぐバイト上がりだしね。カリルの店で一杯付き合ってくれる?
それとも高校生は飲酒はダメーなんて言わないよねー?」
ケント「…そう言いたいところだが、その時は私もやらかしてしまった…
たまには…本当にごくたまには校則破りも悪くないもんだ」
ファリナ「ありがと! オゴリね!」
ケント「……割りかんな」
~ ゲイバー ~
ビラク「人間信じて貫けば思いは通じるものだZE!
ヘッくーん愛してるZE!」
レックス「うほっおめでとう、俺もアゼルと早く深い仲になりたいぜ!」
キサ「私もライ隊長相手に早くウェディングを着たいわねぇ」
こうして3者3様の夜は更けていった…
終わり