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Last-modified: 2010-06-19 (土) 01:23:22

83 :白い巨塔 前編:2010/01/09(土) 00:52:27 ID:5SogEBQu

エーディン「……まぁ許容値内ね…」

検査結果を眺めながらエーディンは呟いた。
ここはエーディンの病院。
目の前の患者は常連のエリウッドだ。

エリウッド「それじゃあ…」
エーディン「…いつものお薬を出しておくわ。ところでエリウッド君」
エリウッド「なんでしょう?」
エーディン「しばらくうちでバイトしてみない?」

以外な言葉にエリウッドは固まった。
そういえばここでナースのバイトをしてるはずのニニアンとフィオーラの姿が見えないが…
エリウッド「な…なにかあったんですか?」
エーディン「えっとね…こないだまで来ててくれた娘達がね。しばらくこれなくなっちゃったのよ。
      それで急遽人手が入用になっちゃってね」

ちなみにニニアンは氷漬けにした火竜が多数逃げ出してしまったため、
捕獲のために各地を飛び回っており、フィオーラはエリウッドへの盗撮がベルン署にばれて拘留中である。

エーディン「エリウッド君なら病院の事もよく知ってるし、バイト代はずむから」
エリウッド「…まぁそういうことでしたら、先生にはお世話になってるし家計の足しにもなるし…」

こうしてエリウッドはしばらく看護士をすることとなった。
資格?
ここは紋章町なので細かいことは気にしない!

84 :白い巨塔 前編:2010/01/09(土) 00:53:33 ID:5SogEBQu

そして初日…エリウッドは立ち尽くしていた…
エリウッド「……こ…これが今の全スタッフなんですか?」
エーディン「そうよ、可愛いでしょう?」

そう…目の前にいたのは…
デュー「技師のデューだよ♪」
ユベロ「看護士のユベロです」
ユミナ「士長のユミナよ!」

エリウッド「…………エーディン先生…これはなんの冗談ですか…」
エーディン「あら、デューは手先が器用だし、ユミナは杖が使えるもの。
      それにみんなとっても可愛らしいじゃない♪」
エリウッド「…小学生ばっかりじゃないですか…うう…異が痛い…」
ユミナ「なによー! 私がちゃんとできないってゆーの!」
エリウッド「いやそういうわけじゃ…」
ユミナ「私は士長よ、つまりあんたの上司!」

小さなユミナが偉そうに胸を張る。
エーディン「ま、そういうことだから仕事の指示はユミナちゃんに聞いてね。
      それと一言……可愛いを基準に集めたらこうなった後悔はしていない…と、だけ言っておくわ…」
エリウッド「……先生……せめて大人を…ミデェールさんに手伝わせるとか…」
エーディン「ミデェールは私よりお姉さまのが美しいと抜かしたからクビにしたわ」
エリウッド「……」
もはやため息しかでない……
これは自分が頑張らないとこの病院やばいんじゃあるまいか……
真面目なエリウッドは胃を抱えて深々と息を吐いた。

85 :白い巨塔 前編:2010/01/09(土) 00:55:19 ID:5SogEBQu

ユミナ「さぁ仕事よ、ちゃっちゃとついて来なさい」
エリウッド「はい士長」
幼女とはいえ上司である以上敬語を使う。
エリウッドは律儀だ。

聞けばスタッフはみんな、小学校の放課後をつかってバイトしているという。
午前中とかどうしてるんだろう…と思うが…その辺をニニアン達がやってたんだろうか…
しかしあの2人だって学校があるし…
神経質なエリウッドは気になりだすと止まらない。

ユミナ「そんじゃー病棟をまわって患者さんたちの容態をチェックするわよ」
エリウッド「今は何人くらい入院してるんですか?」
ユミナ「そんなに大きな病院じゃないからね。10人よ」
エリウッド(夜勤とかどういう体制になってるんだろう…後で聞いとかないと…)

病室は2つ、ベッドは10床だ。
1つ目の病室に入り患者さんたちの体温や脈拍を測る。
バヌトゥ「火竜石が切れてのう…」
ユミナ「買うと高いもんねぇ…ほい、採血OK」
エリウッド「…いいんだろうか…資格制度がないなんて…僕が入院したとき大丈夫なのかな…」
ユミナ「なにブツブツ言ってんのよ。ほら注射器よこしなさい」
エリウッド「…はい…」

2人は手際よく患者さんたちの採血をしていく。
レニング「ああ、そんな時間か…じゃあ頼むよ」
エリウッド(見た感じ健康そうに見えるけど…この人もなにかの病気なのかな?)
ユミナ「はい、じゃあ腕まくって…」
レニング「…うぅ…」

壮年の男は急に震えだした。それを見てユミナの顔色が変わる。
ユミナ「やばっ!? 新入り!患者さんを抑えなさい!」
エリウッド「えっ!?」
レニング→ベウフォレス「ツブス…ツブス!」

86 :白い巨塔 前編:2010/01/09(土) 00:56:20 ID:5SogEBQu

突如として暴れだした男に、病室は大騒ぎだ。
ユミナ「あの人は薬物中毒でああして時々暴れるのよ!
    こんな時のための男手なんだからなんとかしなさい!」
エリウッド「そ…そんな無茶な…ええぃレイピア!」
相手は騎馬系、デブ剣よりこっちの方がいいだろう。

やがて乱闘の末、かろうじてレニングをベッドに縛り付ける…
エリウッド「……ぜぇぜぇ…」
ユミナ「ほいライブ」
エリウッド「ふぅ…いつもはどうやってたんですか?」
ユミナ「ニニアンが氷漬けにするんだけどね、いないものは仕方がないわ」
言いながらユミナは手際よくレニングの腕から採血をする。
ユミナ「さ、終わりよ。おとなしくしてなきゃだめよおじさま」
レニング「…すまん」

ユミナ「ま、大体こんなとこね。1時間後に手術があるからあんたにも手伝ってもらうわよ」
エリウッド「…無資格の看護士、キャリア1時間の僕が立ち会う手術…紋章町の医療は…」

手術室はライトの光に照らされている。
マスクをつけたエーディンがスタッフに指示を出している。
エーディン「患者はトラース、患部は目、症状はどちらを見ても方位445に見えてしまう」
デュー「機材OKだよー」
エーディン「まぁえらいわ♪ご褒美になでなでしてあげる。ユベロきゅんとユミナたんは麻酔の準備をおねがい♪」
ユベロ&ユミナ「はーい」
エリウッド「メスにも色々あるんだなぁ…病気もレストで治ればいいのに…」
手術台の上にはひげ面の男が横たわっている。
トラース「方位445!方位445!方位445!」
ユミナ「はいお休み」
スリープを受けたトラースの意識は深い闇のそこへと沈んでいった……

87 :白い巨塔 前編:2010/01/09(土) 00:57:52 ID:5SogEBQu

エーディン「メス、ダニエル製35番!」
エリウッド「は…はい!」
ユミナ「スリープ解除まで残り5ターン!」
デュー「HP量問題なし」
ユベロ「リフ印傷薬準備できてます!」
エーディン「エーディン先生にかかれば軽い手術だわ!」

鮮やかな手つきで患部を切り裂いていく。ほとんど出血は見られない。
エーディン「ちょいちょいの…ビンゴ! これが悪さしてたのね!」
眼球の内側にはビグル菌が患部を蝕んでいた。目視では到底わからないが、患部を見て判断したようだ。
エーディン「患部確認、医療用ウォッチを」
ユミナ「ほいきた!」
エーディン「おーらいおーらい……切除……と、エリウッド君、トレイを」
エリウッド「は、はい」
エーディン「終わり…ユベロきゅん、処置お願い」
ユベロ「はい」
切除部分にリフ印の傷薬を塗りこむ。
たちまちトラースの目の傷口はふさがっていった。

エリウッド「……これが病気の原因ですか…」
トレイの上に載った、小さな小さな断片を覗き込む。
エーディン「そ、悪い菌に蝕まれてたのね。それは医療廃棄物の保管庫にしまっといて。
      明後日には業者が来るから」
エリウッド「はい…先生、あの患者さんはこれで」
エーディン「2~3日様子を見て問題なければ退院ね。ま、完治させた自信はあるわ」

誇らしげに胸をはるエーディンに、エリウッドはかすかなやりきれなさを覚えるのだった。

88 :白い巨塔 前編:2010/01/09(土) 00:59:00 ID:5SogEBQu

薄暗い保管庫の中。
適切に保存処理された廃棄物が格納されている。
使用済みの注射針から、今回の様な手術で出た細胞辺まで様々なものが廃棄物業者を待っている。

エリウッド「………」

ビグル菌に罹患した細胞辺をしまいつつ、エリウッドは思いを馳せていた…

エリウッド「一生病気と付き合って生きていくものだと思ってるけど…もしも完治できるのなら…」
自分の病弱さは精神的なものが多い気がする。
結局気の持ちようを変えないとどうしようもないのかもしれないが、
それとは別に自らの身をなにがしかの病気が蝕んでいることも事実。
エリウッド「エーディン先生は手術や投薬で完治できるものではないって言ってた。
      悪化させないように上手に付き合っていくしかないと…」
だが直せるものなら直したい。
目の前で一人の病人が完治する様を見て強く思った。

エリウッド「怪我ならライブや薬で治る。だけど病気は…」
直るものと直らないものがある。
自分の病気は後者なのだろう。
エリウッド「いけないな、少し感触的になってるようだ…さ、仕事しないと」
エーディン「あ、エリウッド君ここにいたの?」
エリウッド「先生?」
入室してきたエーディンは手に薬ビンを持っていた。
エーディン「お願いがあるんだけど、これを今夜シグルド様にこっそり飲ませてくれないかしら」
エリウッド「なんの薬ですか?」
エーディン「しびれ薬よ、今夜リワープ使って夜這いをかけようと…」
     (栄養剤よ、最近お疲れらしいから)
エリウッド「……志村ー逆逆…全力でお断りします…」

どっと疲労感に襲われてエリウッドは保管庫を出るのだった…

続く

182 :白い巨塔 後編:2010/01/16(土) 12:48:37 ID:0Nn0XfLi

バヌトゥ「それではお世話になりましたのう」
エリウッド「いえいえ、どうかお大事に」
ユミナ「ちゃんと忘れずに通院しないとだめよ。気をつけてね」

糖尿病のバヌトゥが目出度く退院した。
完治とはいかないが、自宅療養に移るくらいには元気になった。

エリウッド「……いいな」
ユミナ「ん、なんか言った?」
エリウッド「…いえなんでも」

時折、病を癒して患者が帰っていくのを見るとどうしようもなく切なくなる。
本来それは嬉しいことだし、エリウッドも心から喜んでいるのだが、
人間どうしようもない気持ちというものもある。

ユミナ「ほら、ぼさっとしてないで…私は検査室入ってるからエーディン先生の手伝いをしてきて」
エリウッド「あっはいっ!」

幼女に使われるのにも慣れてきた。
家でこの話をしたら、
エフラムが羨ましそうにしている…ように見えたのはエリウッドの先入観によるものだろう…多分。

183 :白い巨塔 後編:2010/01/16(土) 12:49:23 ID:0Nn0XfLi

デギンハンザー「………無理か………」
エーディン「アデランスで出来ないことを病院に来られましてもね…」
がっくりと肩を落としたデギンハンザーが診察室を出る。
エリウッド「お次の方、グローメルさんどうぞ」

さっそく問診が始まる。
エーディン「本日はどうされましたか?」
グローメル「……山や高い所に上ると…無償に駆け下りたくなるんです……
      初めは気にしてなかったんですが…何度も岩に潰されるうち、自分は病気なんじゃないかって…」
検査結果を眺めながらカルテになにやら書き込んでいく。
エーディン「恐らく低レベルAI症ですね。お薬を出しておきます。
      それと暁なら上方が有利ですので、寝る前にこれを十回唱えるといいでしょう」
グローメル「な…なるほど…やはり下にいくのは間違いなんだな!ありがとうございました!」

エリウッド「…ふと思ったんですがこの病院って何科なんでしょうね?」
エーディン「総合病院よ、つまりなんでもあり」
エリウッド「……つ、次の患者さん…オグマさんどうぞ」

オグマ「ああ……俺は…先生…俺は変態なんでしょうか?
    ユミナに萌える…それはいいんです」
エリウッド「いいんですかっ!?」
エーディン「エリウッド君、静かに…それで?」
オグマ「だけど…最近はユベロとユミナが時々入れ替わってるのを知ったら、
    ユベロもいいと思うようになってしまって…」
エーディン「大丈夫、あなたは正常です。小さい子供に萌え萌えするのは、種の保存のための本能です。
      どんな動物も小さい子を守るもの、貴方はおかしくなんてありません。
      ただ一つ言えるのは…手は・出・さ・な・い・よ・う・に? 
      両方私が…ゴホンゴホン…」
エリウッド「先生……」
エーディン「あ、ああ忙しい忙しい! ほら、エリウッド君、次の仕事がまってるわよ?」
     (しかし、いいことを聞いたわ…女装美幼年と男装美幼女ハァハァ)

184 :白い巨塔 後編:2010/01/16(土) 12:50:18 ID:0Nn0XfLi

ようやく仕事にも慣れ、それなりに充実(?)した日々を送っていた。
だがそんな日々にも終わりが近づいていた。
フィオーラの出所がまもなくであり、ニニアンも数日中には職場に戻れるそうだ。
エリウッド「もともと短期のバイトだもんな」
一人ごちる。
最近当直をするようになってから学校の勉強もやや滞ってるし…
それに家計の手助けもできた。そろそろ日常に戻ってもいいだろう。

アラン「ごほごほ……看護士さん、なにか悩み事かな?」
エリウッド「え?」
アラン「いや…私の思い過ごしかも知れないが、病をえたころの私と同じような顔をしていたからね
    うわぶはっ!?げーほげほ!」
エリウッド「あっ大丈夫ですかっ!?」
慌てて背中をさする。

アラン「ごほごほ……ああ楽になったすまない…」
この男の名はアラン。
成長率低下症という謎の奇病に冒されて入院中だ。
元来人はある程度年をとると若い頃に比べて成長率が低下する。
例:烈火マーカス → 封印マーカス
(個人差があり老齢でもウェンデルのようにそれなりの成長率を保つ者もいるが)

だがアランはまだ30も半ばだというのにジェイガン並みの成長率になってしまった。
アラン「看護士さん……私の見立てだが君も何か病を持っているね?」
エリウッド「ええまあ……」
小さく頷く。

185 :白い巨塔 後編:2010/01/16(土) 12:51:00 ID:0Nn0XfLi

エリウッド「生まれ持ったものです。遺伝的なものかはわかりません。
      僕の兄弟はみんな健康そのものですしね」
アラン「ご兄弟は元気なのか、結構なことだね」
エリウッド「ええ、本当に元気な兄弟たちでいつも振り回されてます」
思わず苦笑する。
何度、蝶サイコー!!!!!
になったやら数え切れない。
アラン「兄弟仲がよいのはよいことだよ。君は面倒見のよい人だし、なにかと頼られているのだろう。
    ……しかし周囲が健康だとどうしても思うところがあるのだね」
エリウッド「………ええ………時々思います…どうして僕はみんなのように丈夫に生まれなかったんだろうって…
      子供の頃、年の近い兄弟と遊んでいても、いつもどこかで気を使わせていたような気がするんです。
      それだけ思われるのは嬉しいことですけど…同時にどうしようもない気持ちにもなるんです」
こうして心情を吐露するのは子供の頃姉の胸で泣いた時以来な気がする。

エリウッド「すでに気持ちの整理はつけて、この病気と付き合いながら生きていくつもりでいましたけど、
      ここで働いて…病気を治して退院する人たちを見たら…
      嬉しい反面、凄く妬ましい気持ちになって……でもそう思う自分が嫌で……
      って何を言ってるんでしょうね僕は」
アラン「私も何度同じことを思ったかな。人間そう聖人君子にはなれないものだよ。
    だが病人の痛みや苦しみをよくわかって、その身になって察することのできる君はよい看護士になれると思うよ」
少しだけエリウッドは申し訳ないような気持ちになった。
そこまで考えてはじめた仕事ではなく、エーディンに誘われるまま軽い気持ちではじめたバイトだったからだ。

186 :白い巨塔 後編:2010/01/16(土) 12:51:41 ID:0Nn0XfLi

アラン「…私は時折思うことがあるよ。
    いつまでも今の仕事にしがみついていないでさっさと退職したほうがいいのかもしれないとね。
    いつまで勤められるかわからない私よりも若い連中に経験値を与えたほうがいいんじゃないかってね。
    だが体の動くうちは囮でも壁役でも、あるいは2軍での第2輸送隊だってなんでもやるつもりだ。
    …なんのことはない、つきつめれば心の奥では人のためですらない。
    自分が少しでも世間の役に立ってるって、自分を慰めたいだけなんだ。」
エリウッド「アランさん……」
アラン「君ができることは私よりもずっと多い。正直な気持ちを言わせてもらえば、私は君が羨ましい。
    …余計なお世話かも知れないが君には頑張ってほしいな…すまなかったね話につき合わせて」
エリウッド「いえ、僕こそ聞いてもらってありがとうございました!」

少しだけ気持ちが晴れた気がする。
エリウッドは落ち着いた足取りで次の仕事に当たるべく病室を後にした。

それから数日…
エーディン「今日までありがとうエリウッド君、色つけておいたから」
エリウッド「いえ、僕こそお世話になりました!」
最後のバイト代を受け取る。
ニニアンとフィオーラが帰ってきて、今日が最後の仕事だった。
帰ってきたフィオーラがロッカールームで、
エリウッドの着ていた看護服の匂いを嗅いでいた気がするが気のせいだろう……多分。

187 :白い巨塔 後編:2010/01/16(土) 12:52:30 ID:0Nn0XfLi

エリウッド「それじゃ帰ろうか姉さん、エフラム」

偶然というべきかこの日はミカヤとエフラムが病院に来ていた。
ミカヤ「ロリコンは脳の病気よっカウンセリングを受けなさい!」
…というわけでミカヤがエフラムを無理やり引っ張ってきたようだが、
エーディン「小さい子供に萌え萌えするのは正常です。人間として年長者として当然のことです」
などと診断され、
エフラム「やはり幼い者を守るのは人として当然なのだな!」
ミカヤ「………」
という結果に終わった。

3人での帰り道…
エフラム「やはり俺は正常だったのだ、医者のお墨付きなら間違いない!
     ところでエリウッド。ユミナはまだ幼いのによく働いていたな。
     ご褒美に撫でてやったら子供扱いするなーっ…なんて騒いでいた。
     ハハハ、可愛いもんだ」
エリウッド「…あ、…ああ、そうだね…ハハハ」
乾いた笑いを立てる。
…エリウッドは知っている。
エフラムが撫でて愛でたユミナは入れ替わったユベロだったことを……
あの時はユベロ(実はユミナ)と仕事をしていて偶然気付いたから間違いない。
その事をエフラムに教えたらオグマのように苦悩するんだろうか……

隣でミカヤは憮然としている。
ミカヤ「あああああ……誰かエフラムのロリコンを更正させて…」
エフラム「だから俺は問題ないと診断されたではありませんか姉上」
エリウッド「あ、ちょっと寄るところがあるから先に帰っててもらっていいかな?」

ふと思い立つとエリウッドは2人と別れて本屋に入った。
専門書のコーナーに入る。
…目当てのそれは…あった。
医学の入門書を手にとると2~3ページ捲ってみる。
……いくらエリウッドが成績優秀でもチンプンカンプンだ……
エリウッド「……病人の身になれる医者……っていうのも悪くないんじゃないかな?」
少し高かったが、その本をエリウッドはレジに持っていった。
その足取りはどこか力強いものであった。

終わり