24-228

Last-modified: 2012-08-24 (金) 20:44:33

228 :平民と貴族のコンチェルト:2010/02/13(土) 23:21:42 ID:XkBC1g/b

さて今日は2月14日だったりする。
しかも日曜日とあって世間の奴らは浮かれてたりするわけだが…
俺らにゃ関係ねーよバーロー!
TVが土日祝日休むか?
ちゃんと365日流れてるだろうが!

…てなわけで俺は仕事中だったりする。
しかもバレンタイン特番とかでいつもより忙しいくらいだ…
はぁ…ここんとこ徹夜も多かったなぁ…早いとこ貴族様になって楽な暮らしがしたいぜ…

セーラ「はん、なに夢物語ってるのよ」
イリオス「うおおっ!? 人のモノローグ読むなっ!?
セーラ「途中から口に出てたわよ、あんたが貴族? はっちゃんちゃらおかしくてへそで茶を沸かすわ」
こ…この野郎…そういうことは思っても言うなよな!
イリオス「じゃかあしいクソアマ! それよかあと一本収録あんだから準備手伝え!」
セーラ「そんなんアンタがやってよ、は~何本も掛け持ちで出演しなきゃならない売れっ子はつらいわ~」
イリオス「ケッ…うちの資金力じゃ売れっ子なんて使えねぇから仕事もらえてるだけのくせに…」
セーラ「あん? なんか言ったか平民?」
イリオス「平民言うな!」

疲れる…やってられっか…

229 :平民と貴族のコンチェルト:2010/02/13(土) 23:22:22 ID:XkBC1g/b

…そんなこんなで仕事も押してもう終電だ…
だが久々に家で寝れるぜ…疲れた…
俺は駅のコンビニで遅い晩飯を買うと電車の中でガツガツと頬張る。
大して人は乗ってねぇのに酔っ払いの歌声がうるせぇな…
終電の電車にゃ酔っ払いだのチーマーだのろくなヤツがいねぇ。
大体なんでよっぱらいの歌声をBGMに晩飯食わなきゃならねぇんだ…
……げっ!?
独特の酸っぱさのこの臭いはっ!?
…………………俺は食欲を失った………

電車を降りた俺はくたびれ果てて家路についた。
夜道で犬に吼えられた時にゃさすがに泣きたくなったね。

…いやまぁこんな最悪なバレンタインを過ごしてると思われるかもしれねぇけどよ。
もらえるアテはあんのよ、うん。
ソイツからは学生ん時にも貰ったことはあるしな。
(おかげで大学落ちる羽目になったけどな)
なに、平民の分際で生意気だ?贅沢抜かすな?
うるせぇ大きなお世話だ!

あ、やべぇ。
大学落ちた時のこと思い出したら気が滅入ってきた…
ああ…あんとき上手くいってりゃ成功して貴族になっていたのに……
いかんいかん…マイナス思考だ…でもなぁ…はぁ……

230 :平民と貴族のコンチェルト:2010/02/13(土) 23:23:07 ID:XkBC1g/b

あ…俺のボロアパートが見えてきやがった…
くそ、いつ見てもボロいな…築25年とか家主のやつサバ読んでるだろ?
あ?
なんか俺の部屋電気付いてねぇか?
おっかしいな、朝は付けるはずねぇしな…ま、まさか泥棒!?
俺んちから盗るようなもんなんてねぇぞ!?
(ちなみに紋章町では施錠は意味ねぇぜ)
(道具屋で売ってる扉の鍵で全ての扉はフリーパスよ)

焦った俺はトロンの書を握り締めて部屋へと踏み込んだ!
イリオス「コラァ、どこのどいつだ!」
オルエン「ふぇ…あっお帰りなさい!」
俺の方を振り返ったのは机に突っ伏していた寝ぼけ眼のお嬢様だった…

イリオス「あ?……お、お前オルエン?
     なんで俺んちに?」
多分、そん時の俺は相当な間抜け面だったんだろうな。
しかしもう日付も変わっちまったような時間だぞ?
そそそそんな時間に男の部屋にだな…

オルエン「はいこれバレンタイン!」
イリオス「は?」
そうして差し出されたのは綺麗なラッピングが施されたチョコレートの箱だった。
オルエン「どうしても14日のうちに渡したくて…でもイリオスお仕事でしょ?
     だから待ってたの」
イリオス「そ…そうか…遅くなってわりぃな…/////」
またしても俺顔真っ赤!?
ちくしょーギャルゲーで必死こいて免疫つけたのに!?
…いや、効果なかったけどよ…

231 :平民と貴族のコンチェルト:2010/02/13(土) 23:23:49 ID:XkBC1g/b

とりあえず俺はお茶など出すことにした。
お嬢様の口に合うとは思えねぇが。
イリオス「ところでお前、門限はいいのか?
     とっくに過ぎてるだろ?」
オルエン「う、うん、そうね…だからフレッドには…そのう…」
そうだ!
しつこい監視役の野郎はどうしたんだ!
いつもなら血相変えてオルエンを屋敷に連れ戻そうとするはずだが…
オルエン「フレッドには叱られちゃったけど…今日だけは我侭言いたかったから…」
そう言って恥らうコイツは確かに可愛かった…んだが腰に下げてる聖なる剣はナイト特攻だったよな…
俺、しばらくフレッドの野郎に当たられそうだな……
イリオス「そそそうか! まぁなんだ、ありがとよ!
     明日の朝飯にでもさしてもらうわ!HAHAHAHAHAHA!!!」
俺…
もちっと気の利いたこと言えねぇのかよ…orz
まぁ食料事情的な面でもありがてぇのは事実だが。
オルエン「そう、喜んでもらえてよかった♪」
コイツの素直さがありがてぇぜ……

さて、時刻は深夜0時を過ぎている。
ここで男なら泊まっていけって言うとこかもしんねぇが…
オルエンを送ってる俺がいる…ヘタレ言うな!
ちなみに自分の馬はとっくの昔に売ったからな、おれは手綱持って歩くだけだ。
一緒に乗ればいいじゃんって?
へっ振り落とされたんだよ!
貴族様の馬は違うぜ!
言葉は通じずともその目でわかるね。
お前みたいな平民風情は乗せたくない、せいぜい馬番がお似合いだってこの馬は抜かしてやがる!
オルエンは「あら、いつもはおとなしい子なのに…」なんて首をかしげてたが……

ちくしょー…俺が貴族になったらてめぇなんか馬刺しにしてやるからな!
いまにみてろよ!

232 :平民と貴族のコンチェルト:2010/02/13(土) 23:26:07 ID:XkBC1g/b

しばらくして俺達はシュターゼ家の門についた…結構遠いのな…
いつも俺んとこ来るときはフレッドの車で来るのもわかるな。
しかし…予想はしていたが…漫画レベルの金持ちだなこりゃ…
柵の中には広大な庭園、噴水に敷石…よくわからん彫像とかあるし…
俺が何千年働けばこんな屋敷が立つんだ?
門のところにいる黒服のグラサン…ああいうのシークレットサービスっていうんだっけか?
オルエン「ありがと、ここまででいいわ」
イリオス「おう、だけどよ、どっかからこっそり戻ったほうがいいんじゃねえか?
     小言うるせぇんだろ?」
オルエン「どの道フレッドには怒られちゃうし、
     柵を越えるなんてはしたないことをしたらますます怒られちゃうもの」
それもそうか。
つかこの厳重そうな警備をみりゃあ門しか入り口がないことがよくわかる。
イリオス「じゃあまたな、今日はありがとうよ」
オルエン「ええ、お休みなさい」

……俺のチキン……
こないだのこともあるし、キスくらいしてやるべきだったのかもしんねえ…
いやでもまだ付き合ってるわけじゃねぇし…

そんなことを考えながらぼんやりと帰り道を歩いていたら、足踏み外して側溝に落ちた……
その時は悪態ついただけだったが、翌朝財布を落としたことに気付くことになる…
探しに行ったが当然のように俺の財布は返ってくることはなかったorz
どうしてこういい話で終わらねぇんだろな……

終わり

兄弟家のみんなのバレンタインネタはみんなが書いてくれると思ったので俺は脇役を…
しかし俺ほんとに脇役やちょい役が好きなのな…