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Last-modified: 2012-08-25 (土) 20:36:16

377 :暁!オスティア学園!:2010/02/26(金) 23:40:20 ID:QafTuLkx

ワレス「我が学園では帰宅部は認められておらん!
    貴様らは今週中にいずれかの部活に入部届けを出すこと!」

教官の言いつけを受けたヘクトルは放課後を利用して部活を見学して回ることにした。
ヘクトル「…見事に文化部は存在しねぇのな…まぁ元々体育会に行くつもりだったけどよ」
エレブ高時代は特定の部に入らず、試合のたびに助っ人をやっていた。
だがスレが進む度、助っ人として呼ばれる事は減っていき、最近では絶無だったと言ってもいい。
ヘクトル「……そういや気になってたけど……」
自分の下っ腹を掴む…むにゅ…
ヘクトル「………な、なんか運動やるのもいいよな……」

さて文化部の一切存在しないオスティア学園だが運動部は極めて豊富だ。
相撲、レスリング、柔道、ボクシング、空手、ウェイトリフティング、ボディビルダー、
球技や水泳も一通り揃っている。
ヘクトル「漫画とかで主人公的なスポーツって言うと武術か球技だよなぁ…
     主人公兄弟家としてはセオリーに従うべきか?」
そんなことをぼやきながら武道館を覗いてみた。
柔道部が練習をしている。
設立間もないオスティア学園でも、気の早いやつはもう部活動を開始しているようだ。
ビラク「寝技の組み方が甘いぜ、手取り足取り教えてやろう」
部員「押忍!よろしくお願いします!」

ビラクに見つからないうちにUターンした。
ヘクトル「たくっ冗談じゃねえ、あんなとこ入ったら一日中ビラクと寝技やる羽目になるじゃねぇか…」
他の運動部を見てまわろうとグラウンドに出てみる。
あちこちから威勢のよい声がする。
ヘクトル「おっ向こうで練習してるのはサッカー部か、ちょっと見てくか」

378 :暁!オスティア学園!:2010/02/26(金) 23:41:01 ID:QafTuLkx

グラウンドを土煙に塗れながらボールを追う男たち。
ヘクトル「悪くねぇな、ここにすっかな?」
リリーナ「ハァハァ…」
ヘクトル「うわぁっ!? な、なにやってんだお前?」
いつの間にか隣にリリーナがいる。
グラウンド方に視線を向けて鼻血を零している。
リリーナ「なな、なにってサッカー部員のふくらはぎにハァハァしてたのよっ!
     そそそそれより兄様サッカーするのっ!?
     グ、グラウンドを走ってZEINIKUがぽよぽよ揺れてぽんよよ~ぽよっぽょぽょ!
     ムハ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!」
ヘクトル「……やっぱサッカーはやめとくわ……」
よく見ると、グラウンドの隅とか体育館にも監視カメラが設置されていた。
だれが観賞してるのかは考えるまでもない。

~ 兄弟家居間 ~

マルス「…で、応援団に入ったと?」
ヘクトル「しょうがねぇだろ…筋トレしてても練習してても、
     どっかでリリーナが覗いてハァハァしてると思うとおちつかねぇよ…」

そう、ヘクトルは応援団に入ることにした。
体育会では唯一といっていい運動部ではない体育会系部だ。
ヘクトル「けどよ、体力トレーニングとか演舞の練習とかはハードなんだぜ。
     それに上下関係めっちゃ厳しいしな。男を磨くにはもってこいだぜ」
そばで聞いていたセリスがおずおずと口を開く。
セリス「…いいなぁ…そういう所で僕も男を磨きたいな…」
その発言に周りはギョッとする。
リーフ「え?セリスってばオスティアに入りたいの?
    あそこは男子校だよ?」
セリス「そうだけど、それがどうかしたの?」
リーフ「だってそんな女っ気のないムサ男ばかりの場所にセリスが行ったりしたら、
    変な気を起こす男が…せ、セリスの貞操がブバアアアアアアアアアアア!!!!!」
マルス「………」
リン「………」
エリウッド「………」
リーフ「…頼むからそのゴミ虫を見るような視線はやめて…」
大きく咳払いをしてヘクトルがまとめにかかる。
ヘクトル「ま、リーフのエロ妄想もどうかと思うけどよ、
     でも確かにそれもないとは言い切れねぇしやめとけやめとけ。
     今の学校をわざわざ転校することねぇだろ?」

確かに今の学校を離れるのはつらい。
だがヘクトルの話を聞いていて、男を磨く男の軍団にどうしても憧れを抱いてしまうのも事実。
今までまるでお姫様のように兄たちから守られてきたが、どこかで一人の男として認められたいと思うのだ。

379 :暁!オスティア学園!:2010/02/26(金) 23:41:44 ID:QafTuLkx

~ オスティア学園、応援団団室の裏 ~

セリス「ここが兄さんのいる応援団だね」
ユリウス「なぁ…なんで僕までいるんだ?」

セリスはユリウスを誘ってこっそり見学に来た。

セリス「いいじゃない、中学を出たら一緒にオスティアに進学しようよ。
    聞けばここは男であれば年齢は問わないらしいから、すぐにも入学しようと思ったんだけど、
    ユリウスと離れるのは寂しいからね」
ユリウス「ば、ばかっ変なこというなっ//////」

2人はこっそり窓から中の様子を伺った。
ヘクトル達が掃除をしている。

ヘクトル「まだ一年は一人も入部してねぇのな、俺たち2年が一番下っ端かよ…」

その時団室の扉が開き、筋骨逞しい2人の男が入室してきた。
どうやら3年生のようだ。
ヘクトル「押忍!おはようございます!」
ギリアム「うむ、もう掃除は終わったのか?」
ヘクトル「ただいま掃除中であります!」
ギリアム「ばかもん!団長に埃の上、歩かす気かぁ!」
ヘクトル「押忍!申し訳ありません!」

ユリウス「…うわ、おっとろしい剣幕だよ…なんつーか体育会系もいいとこだな…」
セリス「凄いなぁ…こうやってもまれて男を磨くんだね…
    普段短気なヘクトル兄さんが我慢してるよ、男としての忍耐力を鍛えられてるんだ」

380 :暁!オスティア学園!:2010/02/26(金) 23:42:33 ID:QafTuLkx

ギリアムに続いて入ってきた男が口を開く。
ホークアイ「応援団は1年はゴミ、2年で人、3年で神様扱いされる。
      1~2年次の苦しい思いが3年で華を咲かせるものだ」
ヘクトル「押忍、団長!」
ガレット「よろしくご指導願います!押忍!」
部屋の隅に立てかけられていた木刀をホークアイは手にした。
木刀には根性注入棒と書かれている。
ホークアイ「よし、今日の朝練いくぞ、応援は体力からだ。
      腕立て腹筋、それと腿上げダッシュ!
      それが終わったら発声練習と応援歌だ!」
団員達「押忍!」

筋骨逞しい男たちが学ランから体操着に着替えて団室前でハードな練習を開始する。
男たちの掛け声や怒声が轟き、暑苦しいことこの上ない。
まさに男だけの男の世界だ。

ダグダ「腹から腸ぶちまけるくらい声を出さんかぁーーっ!」
オーシン「押忍!押忍!」
ギリアム「応援団に後退はない!母校愛と気合こそが我が運動部に勝利をもたらすのだ!
     腕立てもう1セット!」
ガレット「はぁっはぁっ…押忍!」
ヘクトル(や……やべえ…やっぱ最近ちょっと弛んだ腹が祟って息があがっちまう…)
腕立てのペースが落ちたヘクトルの背中を木刀が打ち据える。
ヘクトル「ぐはぁっ!?」
ホークアイ「気合を入れんかぁ!」

息が上がってる所にホークアイの豪腕で打ち据えられたのはつらい。
こっそり見ているセリスも心配になる。
セリス「に…兄さん…」

苦しむヘクトルをホークアイは見下ろしている。
ホークアイ「どうした、泣きを入れるか?」
だがヘクトルは歯を食いしばって腕立てを再開した。
額に汗を滲ませながらも一言、「押忍!まだいけます!」と気合に満ちた声をあげる。
ホークアイ「よし、それでいい、前を見るのだ。母校体育会に勝利をもたらすには前進あるのみ!」

381 :暁!オスティア学園!:2010/02/26(金) 23:43:48 ID:QafTuLkx

ユリウス「な、なぁ…もう帰ろうぜ…暑苦しくてたまらないよ」
セリス「凄いなぁ…こうして兄さんは男を磨いてるんだ…よし、僕は絶対にオスティアに進学する!
    ユリウスと一緒に男の中の男を目指すんだ!」
ユリウス「馬鹿言うなっなんで僕まで!?」

その言葉にたちまちセリスはしょんぼりする。
セリス「そっか…そうだよね、ユリウスにも行きたい学校あるよね…寂しいけどしょうがないよね…」
この表情にユリウスは弱いのだ。
ユリウス「ま、まぁ…なんだ…第3志望くらいには考えておいてやるよ!」
その言葉にセリスの顔がぱっと華やぐ。
セリス「ありがとうユリウス、大好きだよ!」
ユリウス「こ、こらっ抱きつくな!? 見学はもういいだろ、帰るぞ!//////」

それから数日後…竜王家。

ユリウス「セリスの馬鹿すっかりその気になっちまいやがんの…あんなブートキャンプの親戚みたいなとこで
     やってけるわけないだろうに…」

まぁ高校進学は今しばらく先の話であるし、おいおい思い直させればいいだろうが…
しかしほうっておけばいいものを、なんだかんだいっても心配らしい。

ユリア「聞きましたわ兄様…」
ユリウス「へ、何を?」
ユリア「兄様が私達の手の届かない男子校に入学して、セリス様を独り占めしようとしていると…」
ユリウス「ちょ…ご、誤解だっ!? オスティアに行きたがってるのはセリスだけだっ!」
ユリア「問答無用! そもそも私を差し置いて一人だけ支援Bになった恨み忘れません! ナーガ!」
ユリウス「アッー!」

竜王家の屋根を突き破ってユリウスは吹き飛んでいった……

終わり