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Last-modified: 2012-08-27 (月) 21:33:03

377 :幼女の旗の下に:2010/04/19(月) 23:38:50 ID:W/iFeQRu

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2 シャナン案を採用する AKJと手を取り合って協力を求めるぞ!思想の違いはなんとかする!

オグマ  「…AKJを頼ってみよう。今は基盤拡大よりもエフラムの早期釈放を優先したい」
シャナン 「よし、さっそくミルラにコンタクトをとってみよう」
サラ   「…それなら私から連絡するわ。その方が話が早いしね」
ロイド  「いいのか? この案には反対だったんだろ?」
サラ   「決まったことには従うよ。悪いようにはしないわ」

こうして鉄血幼女守護同盟はAKJへの働きかけを開始した。
誰もがエフラムが早期に救われることを祈らずにはいられなかった。

市街地を遠く離れた僻地。山中にカントゥス刑務所は佇んでいた。
周囲を城壁で覆い、さらに鉄条網やフレイボムが脱走を図る者を阻んでいる。
罪人たちを積んだ護送車が城門を潜り抜けていく。

警官   「有罪確定した囚人を護送しました。こちらがリストになります」
ダノミル 「ご苦労…ん?」
警官   「なにか…不振な点でもありましたか?」
ダノミル 「いや…なんでもない…確かに受け取ったぞ」
     (このエフラムとかいう男…ナーシェン様が所内から生かして出すな…との事だったな。
      奴の刑期は3年…その間に理由をつけて始末してしまえということか…こいつは楽しみだわい…)

この日、入所した者は17名。所長の訓示を受けるべく中庭に集められている。
周囲を見ると人相の悪い連中が多い。当然といえば当然だろうが…
ターナ  「はぁ……まさかこんなトコ一生無縁だと思ってたけど…何がどうなるかわからないものね…」
エフラム 「…訓示が終わったら男女は別棟に収容されるらしいな。うまく連絡をとる手を考えないとな…」
ターナ  「よくそこまでポジティブでいれるわね…不安はないの?」
エフラム 「幼女のためならいつでも覚悟はできてるからな。いまさら怖いものなど何一つない」
ターナ  「…ある意味うらやましいわ…」
刑務官  「静粛に! 所長訓示!」
ダノミル 「諸君は紋章町のクズである! 善良な市民に害をなす害毒にすぎん!
      当刑務所で罰を受け腐った性根を更生し、真人間となって社会復帰することを望む!」
エフラム 「言ってくれる…改悪版児ポ法違反のどこに被害者がいる? 漫画に幼女が出るだけで俺たちはクズか…
      許さんぞ…今に必ず思い知らせてくれる…!」
ターナ  「いやそれ今関係ないし…」
     (…なんか…あのハゲ所長私たちのこと見てたような…気のせいかしら?)

378 :幼女の旗の下に:2010/04/19(月) 23:39:30 ID:W/iFeQRu

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それから囚人たちはそれぞれの収容棟へと収容された。
エフラムが通された部屋は3号棟の209号室。
6畳の部屋に6人の男たちが収容されている。
エフラム (さて…ここまできた…だがサラのいう助けになるものとやらはどこにあるのか…そもそもそれはなんなのか…
      まずはどうにか情報を集めねばならんな)
カシム  「あ…あの…こんにちは、これからよろしく」
エフラム 「ん? ああ…よろしく頼む。俺はエフラムだ、お前は?」
     (悪人面ばかりを想像してたが…なんだか気弱そうなやつもいるんだな)
カシム  「僕はカシムです…無実の罪で逮捕され…家には病気の母が…うっうっ…」
エフラム 「…そうか…それは気の毒にな…」
カシム  「はい…はやく元気な身で家に帰りたいです…しくしくしく…
      家族の面倒を見るために健康な体で出所しなくては…だから夕食のおかずを一品でいいからわけてください…」
エフラム 「あのな…いや、わけてやってもいい」
カシム  「ああ…ありがとうございますありがとうございます!」
エフラム 「そのかわり、この刑務所について教えてくれ」
カシム  「え…ここについて…? 例えばどんなことを知りたいんですか?」
エフラム 「なんでもだ」
カシム  「わかりました。それじゃあ僕の知ってることをお話します」

その結果聞いた話によると、この刑務所は敷地内に5階建て収容棟8棟(うち女子用1棟)、
監視搭12箇所、指揮所、作業所、刑務官宿舎等の設備を有し、最大の特徴は露天掘りの鉱山である。
男子囚人は1日10時間の鉱山労務が義務付けられており、これが中々過酷らしい。
なお時給300Gとのことである。

エフラム 「…安くないか?」
カシム  「安いです…食費や設備費を天引きされてるそうですけど、それでも安いです…」
エフラム 「…まぁいい…他には何か変わったことはないのか?」
カシム  「いえ特に…あぁ…もう一品おかずをもらえたら口が軽くなるかも…」
エフラム 「…わかったわかった…つまらん話だったら張り倒すぞ」
カシム  「ああなんてお優しい…僕はエフラム様のためにこの命を捧げます!」
エフラム 「いらん…いいから話せ」
カシム  「それじゃあ…一号棟の囚人から聞いた話なんですけど、なんでも一号棟には開かずの間があるとか…」
エフラム 「なんだそれは?」
カシム  「なんでも分厚い扉に何重にも鍵をかけ、常に3名の刑務官が扉の前を警戒してるとか…
      ほかの部屋と比べて異常に警戒が厳重なんですが、誰が収容されてるのか誰も知らないんです」
エフラム (……そうか…それがサラが言ってたものだろうか? わからんがどうにか調べられないものかな…)

379 :幼女の旗の下に:2010/04/19(月) 23:40:14 ID:W/iFeQRu

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ほぼ同じころ、ターナも8号棟415号室に収容されていた。
ターナ  「はー女子の労務は作業所ね…」
キャス  「そ、鉱石を売り物になるようにいろいろ弄くるんだってさ。細かいことはよくわかんないけど、
      言われたとおりの作業してりゃいいよ」
ターナ  (今聞いた話だと、作業時間以外は棟内から出られないのよね…作業中も仕事場は別になるし…
      どうやってエフラムと連絡を取り合おう…)
キャス  「ねぇ…あんたはシャバでなにやったの?」
ターナ  「へ?」
キャス  「だーかーらー、何やらかして逮捕されたかって聞いてんの!」
ターナ  「え…えーとね……それはね…あはは…なんてゆーか…」
     (ロリコン犯罪なんて言えないわよっ!? …冤罪だけど…)
キャス  「…ムショ仲間にすら言いにくいこと? ひょっとしてアンタ可愛い顔してとんでもない凶悪犯なんじゃ…
      ヤク売りとかコロシとか……やめてよ、怖いなー」
ターナ  「そ、そんなことするはずないでしょーーーーっ!? ただのロリコンよロリコン!」
キャス  「…………」
ターナ  「あ…」
キャス  「……あんまりこっち近寄らないでくれる?」
ターナ  「ち、ちがっ!? いろいろと誤解なのよ!?」
キャス  「わっよせ、こっちこないでよ! 私が少女だからってなんか変なことする気だな!?」
ターナ  「しないっ!しないってば!冤罪なのよーーーー!!!!!」

380 :幼女の旗の下に:2010/04/19(月) 23:40:55 ID:W/iFeQRu

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AKJ本部ではラケシスが高々と笑い声を上げていた。
ラケシス 「四倍!まさに大躍進よ!これこそ有権者にKINSHINへの理解が広まりつつまる証拠だわ!」
プリシラ 「まさしくこれこそ紋章町がKINSHINに埋め尽くされるための第一歩ですね」
クラリーネ「そのためにいくら注ぎこんでると思ってますの! もう、財源は無限じゃありませんのよ。
      大体289人も立候補させるなんて無謀極まりませんわ!おかげでほとんど落選したじゃありませんの!」
ラケシス 「数うちゃ当たるの理論よ。議席は大きく伸びたんだから文句言わない。
      お金はあなたのとこのお兄様になんとかさせなさい」
クラリーネ「もう!仕方ありませんわね…」
ティニー 「ちなみにこれが選挙結果です」

党名(党首・議席数・前回比)                     

ベグニオン元老党(ルカン・109・+7)                     
バーハラ保守党(アズムール・90・+2)                     
アカネイア中央党(ハーディン・24・-7)                     
カルチノ共産党(クリムト・22・+3)                     
AKJ(ラケシス・21・+16) 
国家社会主義トラキア統一戦線(トラバント・17・+2)
北方トラキア4州血盟党(キュアン・16・+1)                                                               
エトルリア王侯党(モルドレッド・15・-9)
リキア民主党(ウーゼル・11・+3)                     
マギ・ヴァル連盟(ヴィガルド・9・-2)                     
アグストリア人民党(シャガール・4・-5)                     
愛国マケドニア新進党(ミシェイル・4・-1)                     
エッダ・エミリーヌ連立道徳党(ヨーデル・3・-3)                     
クリミア文治党(ユリシーズ・3・-2)                     
西方三島独立戦線(エキドナ・2・-1)                     
鉄血幼女守護同盟(エフラム・2・+2)                     
サカ天命党(ダヤン・1・-2)                     
バレンシア農業者同盟(リマ四世・1・-1)                     
カダイン魔道自治党(ウェンデル・1・0)
イリア労働党(ゼロット・0・-2)                                    
紋章町蛮族連合(バトゥ・0・-1)
ミラ神党(ノーマ・0・0) 
                              
ロプト信仰者同盟(マンフロイ・0・0)※選挙後解散を宣言                  

合計 355

ラケシス 「ベスト5進出じゃない! 素晴らしい成果よ! 紋章町もまもなくKINSHINに溢れた素晴らしい町になるでしょう」
クラリーネ「そのために随分実弾ばらまきましたけどね…」
ティニー 「過半数は遠いですねぇ…また法案が通りません…」
ラケシス 「そのためにこうよ。 政府に不信任案提出→政府、拒否して議会を解散→再選挙→今度こそ過半数」
クラリーネ「無理無理無理ですわよっ!?お金にも限度ってものがありますわ!
      貴族だって無茶すりゃ破産して没落してしまいますわよ!」
ラケシス 「そこをなんとかするのがあなたの仕事でしょ? 大丈夫、ノディオンからも出資は惜しまないわ」
クラリーネ「…もう…! はぁ…お兄様にお願いしてみますわ」

381 :幼女の旗の下に:2010/04/19(月) 23:41:36 ID:W/iFeQRu

35

AKJ会員「失礼します。ミルラ会員が会長に会っていただきたい方がいるそうです」
ラケシス 「ん?……誰?」
AKJ会員「なんでも…鉄血幼女守護同盟の党首代行に会ってほしいと…」

それから数日…ノディオン家の応接間にて会談が行われた。
出席したものはAKJ側、ラケシス、プリシラ、ミルラ。
鉄血幼女守護同盟、オグマ、サラ…といった面々である。
会談の目的は言うまでもない。

ミルラ  「お願いします会長!お兄ちゃんを助けてください!」
ラケシス 「もちろんAKJは愛する兄を救うため全力をつくすわ。たとえそれが政敵の党首でもね」
ミルラ  「よかったぁ…」
ラケシス 「それにしても意外ね? てっきり竜王家の力をつかうと思ったのに」
ミルラ  「…おじいちゃんたちに怒られたのです…竜族のみんなで刑務所を壊して力ずくでお兄ちゃんを助けたりしたら山賊と変わらないって…えくえく…」
ラケシス 「ふふふ、心配はいらないわ。さ、後は任せて…プリシラ、ちょっとミルラを別室で面倒みてあげて」
プリシラ 「はい、それじゃ行きましょうミルラさん」
ミルラ  「はい…」

2人の姿をオグマは瞳を細めて見送った。愛らしい幼女の願いをかなえるためにも必ずエフラムを助けねばならない。
オグマ  「ありがたい、ここまですんなりと話が通るとは思わなかった。それならば…」
サラ   「ミルラに聞かせるには酷な話があるんでしょ、会長さん?」
オグマ  「サラ!?」
ラケシス 「話が早いわね…そうよ、私たちにも私たちの都合があるの。貴方たちには政府への不信任案提出に協力してもらうわ」
オグマ  「ど…どういうことだ?」
ラケシス 「ライバル政党にそこまで思惑を話す道理はないわね」
オグマ  「まってくれ。俺たちは兄妹愛を否定するものじゃない。うちの党員にも妹を愛する兄はいる!
      手を取り合うことはできると思うのだが」
サラ   「……これは思想の話じゃないのよ。もっと現実的な話。要するに現政権に喧嘩を売るから手を貸せ…ってことでしょ?」
ラケシス 「…そういうことよ。政府への不信任案は議会の3分の1の賛成、その一つに加われと言っているのよ」
オグマ  「……もし無理だと言ったら?」
ラケシス 「…悲しいことだけど、1人の兄と紋章町の数万の兄妹愛の未来…会長としては後者を優先せざるをえないわ。
      AKJは一刻も早く兄妹恋愛支援法案を成立させねばならないの」
サラ   「オグマ…今は引く時じゃないわ。再度の選挙戦…どうせうちは2席だもの。仮に負けても失うものなんかないわよ。
      むしろ議席を増やすチャンスじゃない」
オグマ  「そうだな…それはわかる。だが3分の1の賛成を取り付ける目処はあるのか?」
ラケシス 「その心配をするのは私よ、あなたじゃないわ」
オグマ  「確かにそうだ…いやわかった。我が党は不信任案に賛成する。そのかわり…」
ラケシス 「ええ、エフラムの釈放に全力をつくします」
サラ   (不信任案の動き…いいわね。少数とはいえロプト信仰者同盟を解散させてその支持者を取り込んである…
      今選挙があれば…1~2席くらい増やせるかもね…ただAKJの勢力が伸びすぎたら…)

こうしてAKJと鉄血幼女守護同盟は一時協力路線に入った。

382 :幼女の旗の下に:2010/04/19(月) 23:42:18 ID:W/iFeQRu

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ツルハシが高らかと金属音を鳴らす。
炎天下の中、エフラムは露天掘りの鉱山で上半身裸で採掘作業に当たっていた。
全身を汗が伝う。
エフラム 「こいつはなかなかいい修行になるな、槍が持てないのは寂しいが運動不足にはならずにすみそうだ」
掘り返した石を他の班の連中が手押し車に乗せて運んでいく。
エフラム (むぅ…今頃ターナは作業場か…なんとか上手く抜け出して様子を見に…出来れば話をできないものか)
当たり前だが数名のソルジャーやアーチャーが監視している。
どうにか騒ぎを起こさずに抜けられないものか…
エフラム (ほんの短期間でいいんだ…すぐに戻れば問題にはなるまい…なにか手はないか…)

1 監視員に袖の下を渡す  今日の昼飯を差し上げるからちょっとだけ見逃してください
2 トイレに行く      仮設トイレでじっくり考えてみよう
3 カシムに相談する    あてになるだろうか………
4 エリウッドの真似をする ううっ胃が胃がぁぁ  

続く