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Last-modified: 2012-08-27 (月) 21:34:29

390 :兄弟毛の休日17:2010/04/22(木) 22:32:00 ID:5HqbtVHD

あらすじ
楽しい旅行のはずが一変して、無理やり無人島ライフに!?
果たして兄弟家一同は島を脱出できるのか・・・・・・

無人島で一筋の光明を見出し、脱出へ向けて歩み始めた兄弟家
その頃紋章町では・・・・・

「ふ、あぁーーーーーっ、なんか暇ねぇ・・・・・・」

家族のほとんどが無人島に流されていることなどつゆ知らず、
兄弟家最年長である長女、ミカヤは大きく欠伸をしていた

「春はすごしやすい気候なのはありがたいんだけど・・・・・・
 油断するとすぐ眠くなっちゃうのが欠点と言えば欠点ねえ・・・・・・ふぁ」
そういうが早いか、再び大きな欠伸をしてしまい、ミカヤは恥ずかしげに口元に手を当てた
(年のせいか)寒がり、暑がりなミカヤにとって、春はとても過ごしやすい季節だ
しかし自分以外の家族がほとんど出払っているせいか、彼女は自堕落な生活を送っていた・・・・・・
現に今も、頭をこっくりこっくりと揺らしながらうとうとし、
今にも眠りそうな所で、危うく目を覚ました
ちなみに今は午後4時、寝るには早すぎる時刻である

「・・・・・・・駄目ね、何もしてないと眠っちゃうわ。
 何か面白いTVやってないかしら」
そう言いながらリモコンを手に取り、T好みの番組がないかと高速でチャンネルをかえていく
・・・暇だからTVというのはおもいっきりオバハンの発想だが、そこに突っ込んではいけない
最も実年齢はオバハンの線を斜め上に行き過ぎているのだが・・・・・・・・

391 :兄弟毛の休日18:2010/04/22(木) 22:33:56 ID:5HqbtVHD

目にかなう番組がなかったのか、ニュース番組でミカヤはリモコンを置いた
画面には、最早おなじみの地味顔キャスター、ドロシーがいてニュースを読み上げていた
「・・・・・ということで、現場のセーラさん、お疲れ様でした。
 みなさんもやっつけ負けには気を付けてください。
 さて、次のニュースですが・・・・・・ベニグオン社の所有する豪華客船が突然沈没!!原因は不明・・・・・・」
タイミングが良いというかなんというか、家族の今の状態を知るチャンスが何も知らないミカヤに訪れた
まぁ、占い師なのに占いじゃなくてニュースで知るのもどうかと思うが・・・・・・
と、その時、ドロシーが核心をつくであろう、乗客の安否について解説し始めた
「奇跡的に乗客の殆どは無事でしたが、何名か行方不明者が出ています。
 えー、現在分かっているだけで、まずハーディンさん。
 親族の方は連絡、おまちしています。
 ・・・・・ただ、奥さんのニーナさんがまったく捜索届を出していないのが少し気になりますが・・・・・・
 と、とにかく次に行きます!!(この話題に触れちゃいけない気がする・・・・・・」
さて次に、とうとう兄弟家の遭難メンバーの名前が読み上げられようとしたその時

ブツッ

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

「駄目ね、いつまでもTVばっかり見てちゃ。
 アイクを見習って少しは運動しなきゃ!!」

なんとも間の悪いことに、名前が読み上げられる数秒前にミカヤはTVの電源を切ってしまった
それも、ひょっとして占いで先読みしてわざとやっているのではないかと思うくらいの、最悪に近いタイミングで
さらに、エフラムもここの所幼女愛護党の仕事が忙しく、家族のことについて振り返っている暇がなく、
セリスは元々楽天家な面もあってか、旅行中の家族のことを羨ましがりこそすれ、心配することなどまったくなかった
結論から先に言うと、居残り組がこれ以降、家族の遭難について知ることはなかった・・・・・・

392 :兄弟毛の休日19:2010/04/22(木) 22:35:26 ID:5HqbtVHD

―――ルーテ家
「・・・・・・ふぅ、実に前々スレの最後以来、久々の出番ですね・・・・・。
 でも準備は怠ってません。私、優秀ですから」
「はぁ・・・・・・・気合十分ですね。
 それで、今回は何を・・・・・・?」
希代の天才、ルーテと、若干不安そうなアスレイ
最早おなじみの2人だが、久々の登場に天才の方はいつもより気合が漲っているようだ
「今回は久しぶりに漫画を描こうと思ってます」
「具体的にどのような?」
「そうですね、今までにない・・・・・ヤンキー系のものにしようかと」
「はぁ・・・・・・たしかに、最近人気が出てる気がしますねぇ・・・・
 ク○ーズとかA-○OUTとか・・・・・・」
「今回は少し古い漫画のパロディで行きます。
 主人公は兄弟家の人にしたいのですが・・・・・・」
「一体誰に頼むつもりですか?」
「はっぱさんにしようかと・・・・・・」
「「えっ!?」」
ヤンキー系漫画の主人公としてはあまりに意外な人選だったっためか、
横で貴族風に紅茶を啜っていたノールまでも食いついてきた
もっとも、2人が驚くのも無理はない
兄弟家の中から1人選ぶなら、ヘクトルあたりではないかと思うのが当たり前である
「・・・・・・2人が驚くのも無理はありませんが、まずタイトルからしてはっぱさんしかいないのですよ。
 この話が適任なのは・・・・・・」
「で、肝心のそのタイトルは・・・・・?」

393 :兄弟毛の休日20:2010/04/22(木) 22:36:20 ID:5HqbtVHD

「ヒトデナシーBLUESです」
「「・・・・・・・・・・・」」
時が
止まった

「主人公のリーフさんはヤンキー系の学校の4天王であり、
 とにかく年上の女性に声を掛けまくる自称「愛の戦士」という設定です。
 喧嘩はしませんが売られた喧嘩どころか他人の喧嘩のとばっちりまで受けてしまう、
 にも関わらず不死身、というのが四天王たるゆえん・・・・・という感じなのですが」

返事がない2人に対し、そろそろ不安を覚えてきたのか、語尾を濁らせながらルーテが視線を2人の方へと向ける
その2人は内心
*1
と思いつつも、
「ま、まあいいんじゃないですか?」
「本人の許可が前提ですがね・・・・・・」
というふうに無難な返事をしておいた
それでも返答があったことに満足したのか、彼女はほっとした様子で
「では、取材にいってきます」
と言うや否や、ものの30秒で視界から消えてしまった
あらかじめ準備していたにせよ、常人には到底まねのできない芸当だ
今日も彼女は天才だな、と思いながら部屋に残された2人は同時にため息をついた
・・・・・天才が天災でないことを祈りながら

394 :兄弟毛の休日21:2010/04/22(木) 22:39:00 ID:5HqbtVHD

しばらくして、紋章町の公園にて・・・・・・

「さて・・・・・・困りましたね
 取材しようにも、肝心のはっぱさんがどこにもいないとは・・・・・・」

1人、公園のベンチに座りながら、独り言をつぶやくルーテ
独り言の内容から察するに、リーフは見つからなかったようだ
最も今リーフははるか遠くの無人島で遭難している為、見つかるわけがないのだが

今、紋章町はしぶとい冬将軍が最後の猛攻を放っており、
ルーテの格好は青いマフラーに薄紫色のコートと、今の状況にふさわしい格好であった
だが、この天才にも落ち度があった
手袋を忘れてきたため、手のひらに自分の息をはぁーっと吹き掛けている状況だ

あの後、彼女はまず兄弟家へと向かったのだが、運悪くミカヤは散歩に出かけた後であり、
家には誰もおらず、インターホンの音が空しく響き渡るだけだった・・・・・・・とはならなかった
何故ならば、ルーテはインターホンを押すことができなかったからだ

これはルーテが非力なせいではなく、アイクがインターホン導入の際に、
いたずら防止のために子供が押せないようにしようと思い、約100?sの力でなければ押せないようにしたのだ
おかげでこれを使う人はものすごく限られるので、最近ではインターホンが鳴ると
「しっこくさんですかー?」
と返すのが普通になってしまっている
・・・・・もっとも、80%は実際しっこくの騎士だったのはここだけの話だ

395 :兄弟毛の休日22:2010/04/22(木) 22:40:34 ID:5HqbtVHD

・・・・・・・・・・・話が大幅に逸れてしまったが、結局今現在ルーテは行き詰っていた
やがてあきらめたのだろうか、
ひさびさの出番だというのに空回り感が拭えないまま、よろよろと帰路に着く、天才

(・・・・・・やはり、諦めるしかないのでしょうか・・・・・・
!?
そうだ・・・・・・・・まだあの彼女達がいました!!)

しかしその帰り道にて、思い出す
リーフをいつも取り囲んでいる、4人娘の存在を・・・・・・

4人娘を見つけるのは簡単だったが、どうやら彼女達もリーフ遭難の事実は知らないようだ
「それなら、はっぱさんの現在地はわかりませんか?」
「うーん、私たちとしても協力したいところなのですが・・・・・・」
「こういう時役に立つ、サラさんが・・・・・・・」
名前が出て、ようやく4人娘が1人足りないことに気がついたに気付いた
この緊急時(!?)にもっとも役に立ちそうな彼女の姿がないことに
「サラ、最近リーフ様のお兄様の選挙活動の手伝いで忙しいとか・・・・・・」
「ああ、エフラムさんだっけ?あのロリk」
「自重しなさい」
「ともかく、そういうわけで私たちも困ってるんです」
「そうですか・・・・・・」

396 :兄弟毛の休日23:2010/04/22(木) 22:42:57 ID:5HqbtVHD

どうやら、サラがいないとリーフの居場所が分からないらしい
がっくりと肩を落としたルーテをよそに、ミランダが話題を続ける
「あれ、でも確か捕まったんじゃなかったっけ?エフラムさん」
「うん。
 でもサラに聞いたら、あの子がそそのかしたらしいわよ」
「えっ!?何考えてるのよあの子!?」

「・・・・・・失礼します」
彼女達から、リーフへの情報はこれ以上得られないと感じたのか
帰り支度を始めるルーテ
「あ、あのっ、リーフ様の居場所が分かったら私たちにも教えてください!!」
「了解です。・・・・・・その可能性は低そうですが」

・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・

「はぁ・・・・・・・」
寒空のなか、1人ルーテのため息だけが空しく響く
とぼとぼと帰るルーテの足取りは重かったが、不意に立ち止まった
「エフラムさんを主人公にして、脱獄系漫画にするという手もありますね・・・・・」
そういう彼女の眼は、まだ死んでいなかった
ひさびさの出番だけあって、彼女は諦めるつもりはないようだ

兄弟家の皆にも、彼女のように諦めないで島から自力で脱出して欲しいものだ
何故なら、彼らの行方を知る人は1人もいないのだから・・・・・・

「アイクはまだ見つからんのかっ!?」
「サナキ様、どうか落ち着いて・・・・・・」
「これが落ち着いていられるかっ!!
 せっかく、アイクの家族の1人に旅行を当てさせて、アイクとリゾートする計画がぁ・・・・・・」
あ・・・・・・1人、いた
                                    つづく


*1 どう考えてもタイトルネタやりたいだけです本当に(ry