26-103

Last-modified: 2012-08-28 (火) 19:45:35

103 :紋章町バスケットボール大会その14:2010/05/08(土) 23:39:08 ID:yMFwvt7a

マルス (ラスト10分間は相手ボールから。ここが最初の正念場だな。)

マルス 「みんな!3ポイントシュートだけ撃たせないようにして!」
リン 「いいの!?アイク兄さんは今ベンチにいるのよ?ゴール下に入られたら確実に決められちゃうじゃない!!」
マルス 「確かに、今こっちの防御力は少なからず下がってる。でも、ゴール下のシュートを警戒し過ぎて、3ポイントシュートを決められるよりはマシだよ。それに・・・」
リン 「・・・それに?」
マルス 「僕は、アルムが3ポイントシュートを決めてくれると信じてる。だから、これでいいんだ。」
リン (・・・たまにはいいこと言うじゃない・・・)
リン 「わかったわ。もう、相手に3ポイントシュートは撃たせない・・・!!」

ティト 「っ!」
ティト (・・・この葉っぱ、どれだけ体力あるのよ!!振り切れる気がしない・・・!!)

ティトは、リーフのディフェンスを振り切ることができずにいた。右に左にティトが揺さぶっても、リーフがスキを見せることはなかった。

セリス 「すっごぉい!!リーフよく振り切られないね!!」
アイク 「あいつはこの紋章町で、間違いなくNo.1の体力を持っている。俺でも、あいつを振り切ることは難しいだろう。」
ヘクトル 「俺には出来ねぇな・・・」
ロイ 「そりゃそうでしょ。ヘクトル兄さんは、紋章町で五本の指に入るピザなんだから。」
エリンシア 「一理有りますわね・・・。」
ヘクトル 「(´・ω・`)ショボーン。・・・!!」

兄弟家ベンチの雑談が終わった直後、試合は、動いた。

104 :紋章町バスケットボール大会その15:2010/05/08(土) 23:41:02 ID:yMFwvt7a

ティト 「あっ!!」
リーフ 「頂き!!アルム兄さん!!」

リーフがティトからボールを奪い取り、アルムにパスを出したのである。そして、

マルス 「アルム!!そこから撃って!!」

マルスがアルムに指示をだした時、アルムは、先程聞こえたマルスとリンの会話を思い返していた。

アルム (僕は、アルムを信じてる。か・・・)

アルムは、コートの中心にいた。ここからシュートを撃っても、入る可能性は、限りなく、低い。マルスだって、そんなことわかっているだろう。それでも、マルスはアルムに、「撃て」と言った。決められると信じて。

アルム (決められるかなんて、わからない。けど・・・)

アルムは、脚に力を込めた。

アルム (マルス兄さんが僕を信じるなら・・・)

一呼吸分、力を貯めて、そして、

アルム (僕も、マルス兄さんを、そして・・・)

アルム (僕を信じる!!)

全身を使って、ボールを打ち出した。

アルム 「いっけぇっ!」

アルムの撃ったボールは、大きな弧を描いた。力強く、繊細に。そして・・・

スパァン!!

会場に、心地良い音が響きわたった。

105 :紋章町バスケットボール大会その16:2010/05/08(土) 23:43:22 ID:yMFwvt7a

セリカ 「アルムかっっっこいぃーー!!!」
アルム 「ありがとう!セリカ!」

この3ポイントシュートにより、点差は12点となった。まだ、点差は広い。しかし、

マルス (この3ポイントシュートは、流れをこっちに引き寄せる!!)

ティト (3ポイントシュート!?)
ファリナ 「まぐれ・・・かな?」
フィオーラ (大変なことになるかもしれませんね・・・ここで止めないと!)
フィオーラ 「ティト!私にパスを!」
ティト 「はいっ!」

マルス (ここで立ち直らせる訳にはいかない!)
マルス 「みんな!パスを警戒して!打たれる前に奪い取るんだ!」
リーフ 「フィオーラおねいさんは僕がディフェンスするよ!触っても何も言われないなんてパラダイスDAKARAね!ハァハァ」
マルス (・・・そろそろ来ると思ったよ。)

エリウッド 「リーフ・・・」
ミカヤ 「むしろよくここまで耐えたと思うべきね。」
エリンシア 「一応、ディフェンスですから、文句もつけられませんしねぇ・・・」
セリス (あの台詞言わないで黙ってディフェンスに行けばよかったのに。)

106 :紋章町バスケットボール大会その17:2010/05/08(土) 23:45:45 ID:yMFwvt7a

フィオーラ 「くっ!」
フィオーラ (ピッタリくっついてくる・・・抜けない!)
フロリーナ (パスルートも全部塞がれてる・・・)
フィオーラ 「あっ!」

ピーーーーッ!

コートに笛が響き渡る。
フィオーラが、誤って三歩動いたのだ。

マルス (やった・・・)
これにより、イリアチームは攻撃権を失い、兄弟家ボールとなった。

アイク 「ん?なんで今笛が鳴ったんだ?」
ロイ 「ボールを持っている人が三歩以上歩くと、トラベリングって言う反則で、相手ボールになるんだ。」
アイク 「なるほど。」

マルス 「流れは傾いた、かな?僕らの方に。」
エフラム 「一気に攻めるぞ。点差はまだ、広い。」
リン 「そうね。ここで縮めないと・・・。」
アルム 「ここは堅実に2ポイントシュートかな?」
マルス 「いや、アルムの3ポイントシュートで行こう。」
リーフ 「また?」
エフラム 「流石に防がれるんじゃないか?」
マルス 「そうかもね。」
リン 「じゃあなんで?今の流れを切られたら・・・」
マルス 「違うんだよ。入る、入らないの問題じゃないんだ。入らなくてもいいんだよ。」
アルム 「どうして?」
マルス 「普通、さっきのアルムのシュート、決められると思うかい?
エフラム 「普通、無理だな。」
マルス 「そうでしょ?だからこそ、いますぐにもう一度3ポイントシュートを撃つ必要があるんだ。」
エフラム 「???」

107 :紋章町バスケットボール大会その18:2010/05/08(土) 23:47:45 ID:yMFwvt7a

マルス 「もう一度、アルムが3ポイントシュートを撃てば、相手はアルムが狙って撃ったと確信する」
リン 「すると、どうなるの?」
マルス 「相手は、アルムに常に気を配らなきゃいけなくなる」
エフラム 「!!なるほど。そういうことか!!」
リーフ 「相手がアルムの3ポイントシュートを警戒しなければいけないということは」
アルム 「相手のゴール下への警戒が甘くなる!」
マルス 「そういうこと。これで警戒が甘くなれば、僕らは容易にシュートを決められる」
エフラム 「警戒が甘くならなければ、アルムが3ポイントシュートを決められる、ということか」
リン 「ディフェンスは?こっちが決めても、相手に決められたら・・・」
マルス 「僕らには、ディフェンスにおいてできるプレーが三つある。」
リーフ 「三つ・・・?」マルス 「一つは、ペンタゴン・アタックのパスカット。二つ目は、アルムのパスカット。最後の一つは・・・」
アルム 「最後は・・・?」
マルス 「ドリブルスティール、さ。」
マルス以外全員 「!!」

108 :紋章町バスケットボール大会その19:2010/05/08(土) 23:51:10 ID:yMFwvt7a

マルス 「僕らは素人だ。相手もね。だからこそ・・・」
リーフ 「必ずどこかにスキができるっ!」
マルス 「この大会は、準備期間が短かった。だから、恐らくどこのチームも何かしらの長所を特化させているはずなんだ。イリアチームが特化させたのは・・・」
リン 「パスと、チームプレー・・・!」
マルス 「実際、相手のシュートの精度はあまり良くない。恐らく3ポイントシュート要員をフロリーナさんだけに絞って鍛え上げたんだろうね。」
アルム 「・・・」
マルス 「だから、最初のシュートはフロリーナさんだった。そして、3ポイントシュート要員が少なかったおかげで、今まであまり差が開かなかったんだ。」
エフラム 「そういえば、リーフはボールスティールをしていたな。」
リン 「確かに・・・」
マルス 「リーフは、盗賊団の首領だからね。常に相手からボールを奪うって意識がどこかにあったんだろう。」
アルム 「これからは、それを全員で意識してディフェンスするってこと?」
マルス 「そういうこと。なるべくアルムのパスカットは使いたくないしね。」
リン 「なんで?」
マルス 「理由は二つあるんだ。一つは次の試合に向けて隠しておきたいから。もう一つは・・・」
リン 「・・・」
マルス 「念のため、さ。最後の切り札として取っておきたいんだ。」