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Last-modified: 2012-08-28 (火) 19:59:54

195 :実は怒り持ち:2010/05/21(金) 21:56:51 ID:AsM6kM/t

「…あの男ですか?」
「うむ…行くぞ」
「はっ!」

「さて…帰ったらまず走りこみでも…うおっ!?」

 帰宅途中のエフラムだったが、突如現れた謎の集団がエフラムを取り囲む。

「な、何なんだお前ら!?」
「わしの部下達じゃよ、気にせんでくれ」

 突然の出来事に混乱していると、集団の中から見知った人物が現れた。
 サラの祖父のマンフロイだ。

「あなたの、ということはロプトの…それより、これは一体…」
「少し話がしたくてな、サラのことなんじゃが…」
「サラの?」
「うむ…お主、サラを嫁にする気はあるかね?」
「な!?何をいきなり!?」
「いや何…孫の将来を考えてじゃよ。サラは見た目は可愛らしいが、性格は…その、かなり個性的であろう?
 だから将来嫁の貰い手が無いのではないかと心配しているのだ。サラはお主に懐いているようであるし、どうかな?」
「どうと言われても…大体、俺は玩具にされているだけじゃないのか?」
「そんなことは無いと思うぞ」

 集団の中から一人の男が現れた、随分と個性的な髪形をした青年だ。

「あんたは?」
「私はセイラム、マンフロイ様の部下だ。さっきの話だが、お前がサラ様に気に入られているのは間違いないだろう。
 あの方は興味のないものは覚えもしないからな…」
「…そうなのか?」
「ああ…この前の話だが…」

「ちょっと、そこの人?」
「…私ですか?」
「そこの本を取ってくれない?」
「これですね…どうぞ」
「ありがと……か…花京院だっけ?」
「……セイラムです」
「あら、そうだった?」
「…はい」

「どうだ?私はマンフロイ様にお仕えして暫く経つが、いまだに名前すら覚えられていないのだ…」
「そ、そうか」
「大体何なのだ花京院とは…以前から私の名前を間違える人はいつもそうだ。ありえないだろう?
 『い』しか合っていないではないか!?」
(理由はわからんが、確かにこいつは花京院という方がしっくりくるような…)
「とにかく自信を持て、あの方が自分から関わろうとしているということは、お前は気に入られているということだ」
「そうです!サラ様のことをお願いします!」
「どうか!どうかサラ様を!」
「我々の為にもどうか!」

196 :実は怒り持ち:2010/05/21(金) 21:58:43 ID:AsM6kM/t

「な、何なんだお前ら…」

 周りから一斉に詰め寄られ、流石のエフラムも引き気味だ。

「よくわからんが、お前らの為とはどういうことだ?」
「それは…我々の身の安全の為です…」
「…?」
「あなたと遊ぶようになってからサラ様の機嫌が良くて、我々への当たりが緩くなっているんです」
「前は本当に機嫌が悪い時は、口にするのも憚られるようなお仕置きを受けていたのですが…今だと
 必殺魔法を撃たれるくらいで済んでいるんですよ」
「そうそう、前だと考えられないよなあ」
(それはましになったと言えるのか!?)
「それに、サラ様がそちらに嫁入りすると、もう我々がサラ様のお世話をしなくてもいいということですよね!?」
「つまり!我々がサラ様のお仕置きを受けることが無くなるってことなんですよ!」
「分かりますか!?あなたには我々の未来がかかってるんです!!」
「我々は全力であなたを応援します!どうかサラ様のことを宜しくお願いします!!!」
「どうかな?皆もこう言っておる、協力は惜しまんぞ。何なら今すぐ婚約をだな…」
「ま、待ってくれ…大体、あいつがそこまで酷い奴だとは思えないが…」
「まあ、お主の前ではな…わしも我が孫ながら恐ろしいと思うことがあるぞ、この前もだな…」

「あたしがどうかした?」

「…!?」
「サ、サラ様!?」
「サ、サラ…いつの間に…」
「なんだ、お前いつからいたんだ?」
「まあ、さっきからね…ところで、誰が恐ろしいって?」
「い、いや…それはだな」
「わ、我々はただ、サラ様とエフラム様の将来のことをですね…」
「…お仕置き」
「「「ヒイィィィーーーーッッ!!!」」」

 集団を次々をワープで何処かへ飛ばすサラ、数秒後には集団の姿はすっかり消えてしまった。

「…何だったんだ?」
「ごめんなさい…変なこと言われなかった?」
「お前を嫁にする気があるかと聞かれたぞ」
「………」
「…お前は将来、俺の嫁になる気はあるか?」
「…っ!?」
「冗談だ」
「…兄様!」
「いつもやられてるからな、たまには俺から言ってみただけだ」
「……期待しちゃったじゃない」
「…ん?」
「…別に」
「それより、今日は遊びに来るのか?」
「…ん…ちょっと用事ができたから、済んだら行く」

198 :実は怒り持ち:2010/05/21(金) 22:00:31 ID:AsM6kM/t

一方、サラにワープさせられた集団は、全員が同じ部屋に飛ばされていた。

「ん…ここは?」
「壁に窓は無し…この切れかけな電灯…まさか!?」
「サラ様のお仕置き部屋!?」
「そうよ」

 声と同時に、サラがリワープで現れる。部屋が暗いせいか、表情は見えない。

「あなたたち…兄様に変なこと言ってないでしょうね?」
「わ、我々は何も…!」
「そ、そうだぞサラ。わし達はお前とあの者の将来のことを考えてだな…」
「恐ろしいとか…お仕置きとか…もうあたしと関わりたくないようなことを言ってなかった?」
「い、いえ、そんな…」
「…まあ、兄様と私のことを応援してくれるみたいだし、酌量の余地はあるかもね…」
「ほ、本当か?」
「普段なら許さないけど…今日は命だけは許してあげるわ…」
「そ、それはまさか…」
「し、死ぬ寸前まで痛めつけられるという…」
「大丈夫、もし死んでも蘇らせてあげるから…」
「あ、あの…それは魔戦士としてではないですよね?」
「ま、まてサラ!わし達の話を…」
「…お仕置き」

 その後、彼らがどんな目に遭ったのか、知る者はいない…

 終わり