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Last-modified: 2012-08-28 (火) 20:06:26

219 :幼女の旗の下に:2010/05/24(月) 01:51:43 ID:OE8aovZN

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2 セティに相談する   セティ様…セティ様なら賢い方ですしいい知恵を貸してくれそうです

シレジア社…グランベル地区シレジアを中心に栄える大手企業の一つであり、
多くの大企業がそうであるように、創設者貴族の一族経営で成り立っている会社である。
ティニーがセティを尋ねたのは昼をやや過ぎた時間であった。

セティ  「ああ、ティニー! 尋ねてきてくれて嬉しいよ!」
ティニー 「お久しぶりですセティ様、本日お伺いしたのは…折り入って相談がございまして…」
セティ  「相談? 私に出来ることならなんでも力になるよ」
ティニー 「ありがとうございます…じつは…」

かいつまんで事情を説明する。
AKJより祖父の説得の任を受けたものの、それが不可能に等しい事。
それどころかそんなことをしたら、おっかない伯母ヒルダの怒りを買いかねない事。
かといって説得しないとAKJ内部の強硬派プリシラあたりが何をしでかすかわからない事…
ある意味でAKJと家族の板ばさみのようなものだ。

ティニー 「それでセティ様の知恵をお借りできないかと…」
セティ  「…なるほど…」

セティも若年とはいえ企業をしょってる男である。
その意味ではレプトールの考えも理解できる。
政界に強力な基盤を持てば、企業活動にどれほど有利かは現在のグランベル、フリージ関連企業の繁栄を見ればわかる。
AKJの案に乗って元老党との政争を激しくするような事に賛成するはずもない。
加えて言うとシレジアがそれなりに大手ながらもユグドラル地区の北方以外に市場を開拓できないのは、
政界とのパイプが弱いからだ。

セティ  (確かに説得しろと言われても無理な話だな…だがどうにかティニーの力になりたい…けど…)

ティニーに力を貸す→説得成功→AKJの望み通り→AKJの勢力拡大→ティニーますますKINSHINにのめり込む

セティ  「……………嫌だ!? アーサーばっかり幸せになりやがって!うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」
ティニー 「あ…あのーセティ様?」
セティ  「す…すまない…つい取り乱して……」

ティニーの兄のアーサーという男…フィーという彼女はいるし、
ブラコン気味のティニーに慕われているしかなりのリア充である。
涙目のセティとは大違いの境遇に切なさと嫉妬を禁じえない。

セティ  「ま…まぁ正直…レプトールさんの説得は無理だと思う…
      むしろプリシラさんが無茶苦茶をやらかさないように抑えることを考えるべきだろうね」
ティニー 「あぅ……そうですよね…でも私もAKJの幹部ですし…」
セティ  「それはわかるけど…でもね、無理なことで家族と諍いを起こすことはないと思うんだ。
      レプトールさんも会社のためを考えてやってることだろうしね。
      何か困ったことがあったら私がいつでも相談に乗るからね」
ティニー 「ええ…ありがとうございます」
できればAKJを離れてKINSHINをやめてほしい…という気持ちもセティにはあったが、
家族の方をより大事にすべき…というのはセティの本心だった。

それに触れたティニーは…いままで涙目で頼りないイメージばかりを感じていたセティを少しだけ見直すのだった。

220 :幼女の旗の下に:2010/05/24(月) 01:52:29 ID:OE8aovZN

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レプトール 「どうかね、ドズル重工の方の景気は?」
ランゴバルト「ガッハッハ! 国防軍のアーマー用鎧5000を受注したわい。
       これは大口の仕事じゃぞ!」
レプトール 「おお、それは結構なことだな」

この日…レプトールは私邸にランゴバルトを招いていた。
目的はクルト派への対策を話し合うことである。

レプトール 「これも政権に閣僚を送り込めばこその事、それがわからぬクルト社長ではあるまいに…」
ランゴバルト「うむ、ワシらの説得も聞く耳持たぬ…バイロン殿の騎士道の薫陶が厚すぎたのじゃろうて…
       時代錯誤も甚だしい」
レプトール 「貴族が正義の騎士道を信奉していればよい時代は100年も前に終わっておる。
       今は経済の原理が世の中を支配しておる…元老党が腐敗しておるからといってもな。
       それと対立しては我らの関連企業数万の社員の生活を脅かしかねん」

綺麗事のみで経済は動かない。
レプトールもランゴバルトも表沙汰には出来ないようなことにも手を付けてきた。
そうして数十年の苦労の上にグランベルを大企業に育て上げたのだ。
クルトの振る舞いはそれを台無しにしかねない。

ランゴバルト「うっとおしいAKJの小娘どもめが…社長にいらぬことをほざきおって…」
レプトール 「けしからぬことに、それに同調した党首…エフラムとかいう青二才は我が社社員の弟であったわい。
       弟の教育もようできぬ兄が我が社におるとは嘆かわしい…」

レプトールにしてみれば社員の生活を守るために骨も折ってきたにもかかわらず、
その社員の稼ぎで育った若造が下手をすれば社の存続に響きかねないことを、
ラケシスと結託してしでかした事は許し難いことだった。

ランゴバルト「…いまだ党内ではワシらの派と社長派は拮抗しておる。
       現状を維持できれば少なくとも元老党との対立は押さえ込めるが…」
レプトール 「この状態が長引くと…2年後の選挙にも響きかねんぞ…」

221 :幼女の旗の下に:2010/05/24(月) 01:53:13 ID:OE8aovZN

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帰宅したティニーは来客中の旨を使用人から聞いた。
ランゴバルトが祖父を訪ねるのはたまにあることだ。
が…今のティニーの意識はすでに別のところにあった。
ティニー 「ぶっちゃけ説得は無理…ならすることないです。プリシラさんを自重させるには…」
今の考えどころはそこである。さすがに実家を襲撃されたりしたらたまったもんじゃない。
が、プリシラはAKJの中でも特に病的なKINSHIN至上主義者である。
クラリーネら穏健派の静止を振り切る可能性はかなり高い。

ティニーの悩みは尽きなかった…

こうしてラケシスの政治戦略は破綻した。
ティニーが説得に失敗した…と報告したためである。
ラケシス 「ぬぬぬ…なんてこと…」
クラリーネ「…どのみち再選挙は資金的に厳しかったですし…今は地道に活動すべきですわ」
プリシラ 「いえ、まだチャンスはあります! レプトールとランゴバルトを亡き者にすればいいんです!」
ティニー 「あのー、孫娘目の前なんですけど…」
プリシラ 「ティニーさんはKINSHINワールドよりも身内が大事だと言うんですかっ!?」
ティニー 「いえ…そうはいいませんけど…」
プリシラ 「会長! ご決断を! 我が武装党員は証拠を残すようなヘマはしません!」
クラリーネ「私は賛同しかねますわ。万一の事があってはAKJの存続に関わりますもの」
ラケシス 「…武装党員の出撃は禁じます。再選挙案は破棄。当面は地道に支持基盤拡充をはかるものとします」
プリシラ 「会長!?」
ティニー 「ほっ…」

会員たちは知らないことだが…この一件でラケシスはエルトシャンから苦言を受けていた。
あまりバーハラ…しいてはグランベル社に無理な要求を繰り返してはノディオンとの関係にも悪影響が出ると…
なおエルトシャンにその事を説いたのは商売上の付き合いがあったセティである。

こうしてティニーの安堵のうちに会議は終結した。
しかし…

プリシラ (こうなったら勝手にやるまでです…レプトール、ランゴバルトを誅殺しKINSHINワールドを築かねば…)

222 :幼女の旗の下に:2010/05/24(月) 01:53:55 ID:OE8aovZN

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鉄血幼女守護同盟事務所でもAKJからの連絡を受け、もはや不信任案の提出は難しいとの見通しで一致していた。
元々エフラム釈放への見返りに協力していたのであり、その相手が案の提出を諦めた以上この路線を続ける必要はない。
エフラム 「…とはいえ…何かしらの形で恩は返したいものだな」
オグマ  「いずれ機会もあるさ」
ロイド  「3党の連立もこれで維持できなくなるかな?
      共通の目的があればこそ纏まってたんだがなぁ」
ジャファル「……他に一致してる意見はない…」
ライナス 「俺は…AKJの兄妹恋愛支援は立派な考えだと思うんだが」
ジャファル「……!……絶対反対…」
エフラム 「不信任案を諦めるならそれもまたよし。俺たちは俺たちで地道に支持者を増やすだけさ」
ターナ  (…ロリ…もとい幼女の守護者の人数にも限りがあるわよ?
      そろそろ頭打ちになりそうだけどね)
オグマ  「なぁエフラム?」
エフラム 「ん?」
オグマ  「お前の兄貴が単身赴任になるって話は聞いた。少し…家にいる時間を増やしたほうがいいんじゃないか?」
バヌトゥ 「そうですのぅ。ヴェルダンのような僻地に行けば、会える機会も少なくなるしのぅ」
エフラム 「気遣いすまんな。だが、結局それは俺の私事であって、幼女を守るという公の使命と引き換えにはできんよ。
      俺たちは一刻も早く幼女のための町を作らなければならんからな」
シャナン 「その意気やよし!…だが今日くらいはいいだろう。聞けば来週には赴任するらしいじゃないか」
エフラム 「…すまんな…それでは言葉に甘える…」

事務所を出たエフラムは今まで世話になったシグルドを思い浮かべる。
自分が刑務所に入った時もみんなこのような気持ちで送り出したのだろうか…

何か兄にしてあげたいが……

続く

1 グランベル社に乗り込む    やはり兄上が左遷などと納得いかん!断固撤回を要求する!
2 一緒にヴェルダンに付いていく あわよくばヴェルダンに党の支部を作れるかもしれんな。ついでに兄上にも党に入ってもらおう
3 ディアドラとの仲を取り持つ  …具体的にどうしたらいいのかわからんが…
4 サラとおままごとさせてあげる ディアドラさんと兄上の娘…って設定にすれば兄上の心が慰められるかもしれん
5 シグルドの晩酌に付き合う   俺でよければ愚痴の聞き相手くらい努めよう