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Last-modified: 2012-08-28 (火) 19:36:30

27 :幼女の旗の下に:2010/05/02(日) 20:31:06 ID:IeYQGqCH

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2 演説を始める  幼女のなんたるかも知らぬ輩にロリコンと幼女を守ることの違いを教えてやる!

エフラム (ええい、これ以上の侮辱には耐えられん!こうなったらここにいる連中を啓発して
      本当の少女主義に目覚めさせてやる!)

高らかと声を張り上げる。
エフラム 「俺はロリコンではない! 何故か? それは幼女を守り愛してきたからだ!
      愛とは与えるものであり、奪うものではない。そこに幼女を守る男とロリコンの違いがあるのだ!
      ロリコンはただハァハァして幼女を邪な目で見るのみだが、我らは幼女の未来を考え、守り、導くものだ!」
監視員A 「いきなりなにわけのわからん事をほざいてやがる!いいからさっさとツルハシ持って残業しろ!」
エフラム 「ええいわからんのか!本当の幼女の純粋さ、愛らしさがわかるなら、それを守ろうと思うのは男として当然だ!
      ハァハァするなぞもってのほか! そんなのはただの欲望だ、いいか、みんなもよく聞いてくれ!」

あっけにとられた看守たちも囚人たちもエフラムを注目している。
いきなりこの男は何をほざきだすやら…だがエフラムはとまらない。
よく通る声を張り上げて演説をぶちかました。

エフラム 「そもそも幼い者を守るのは人間として…いや、生物としての本能とすら言っても過言ではない!
      なぜなら種族としての未来は幼女たちが担うものだからだ!
      猿だって他人の子供を守るのに、なぜ我らがロリコンの蔑みを受けるのか。
      理由はこうだ! ロリコンが跳梁跋扈した結果、世間の目が厳しいものとなった!
      それ自体は子供を守るためと言えるが、その結果子供の側にいるだけで不審者扱いする疑心暗鬼の世の中にしてしまった!
      他人を全て不審者とみなすようでは、幼女は身近な人間としか付き合いをもたぬ狭い世界に生きることになってしまう!
      それで大人になって社会でやっていけると思うのか!?」
監視員A 「だ…黙れと言うのに!」
エフラム 「黙らんぞ!俺は幼女のために警告するのだ!
      他人を信じることのできない人間…側によってくる者は全て不審者…そんな風に育てられた人間を世の中に放ってどうしようというのだ!
      大切な事は、人を信じること!そして信用できる相手を見抜く目を持つことではないか!
      俺たち大人は一丸となって幼女を守り、本当の不審者を殲滅して
      安心して幼女が暮らせる町…小学生が防犯ブザーを持たなくてもよい町を作らねばならんのだ!」
囚人A  「長い!3行で!」
エフラム 「ええいまだまだ語り足りないというのに!
      仕方ない要約すると、
      幼女大切。
      幼女守る。
      ロリコン許さん」
監視員B 「でも…言われてみればそうかもなぁ…俺も娘に防犯ブザー持たせてるけど…
      俺たちが子供のころにはそんなものは必要なかった…」
監視員C 「うん……そうだな…俺らのころは子供を外で遊ばせていてもなんも心配なかったよな。
      近所の人もよく面倒みてくれたし……今じゃ心配で公園に行くのもついてかなきゃならねぇ…」
監視員A 「な…何共感してるんだ! そうなったのはコイツみたいなロリコンのせいだろうが!」
エフラム 「貴様まだわからんのか!さては幼女の素晴らしさすら理解できん外道の輩か!」

散々騒いだものの、命令は覆しがたく結局過酷な労働をするはめになった…
すでに日も落ちた23時…
エフラム 「……さすがに疲れるな…」
監視員A 「よーし、さっさと収容棟へ…」
監視員D 「ああ、私が連行しておきますよ。所長に業務終了を伝えてください」
監視員A 「ああわかった、それじゃあ頼むぞ」

夜道を収容棟へと歩いていく。すでに消灯されており懐中電灯を頼りに進んでいく。
エフラム 「…ん…俺の収容棟はこちらではないはずだが?」
監視員D 「少しだけお話を伺いたいのです。お疲れのところ申し訳ありませんが貴方のお話に興味を覚えましてね。」
エフラム 「そうか! いや、俺の主張を理解してくれる人のためならいつでも話をしよう!
      どこに行くんだ?」
監視員D 「話しやすいところですよ…さ、どうぞ」

どこか浮世離れした黒髪のその監視員はエフラムを伴って夜道を進んでいった。

28 :幼女の旗の下に:2010/05/02(日) 20:31:53 ID:IeYQGqCH

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エフラム 「ここは…一号棟?」
監視員D 「ええ…こちらにどうぞ」
進んでいった廊下の突き当りには明らかに他とは違う部屋があった。
分厚い金属の扉にはハンドルと複数の鍵穴がついており、刑務官たちが周囲で眠りこけている。
エフラム 「ここは…」
監視員D 「開かずの間…なんて呼ぶ者もいます。ですが人が作った物、人が空けられぬ道理はありますまい」
その男は鍵束を取り出すと複数のロックを解除していく。
まるで銀行の金庫のような重い扉が開いていく。
その先に見えたのは…赤い絨毯と彫刻に彩られた書斎。
足を踏み入れたそこは、書斎や寝室、バスルーム等からなる一室。
どうみても囚人の部屋とは思えない。
エフラム 「一体…なんだここは?」
     (思わぬことで…ここに招き入れられた…結果論だが演説してよかった…しかしなんだこの男は?)
監視員D 「ここも独房には違いありませんよ。時が来るまでここで大人しくしているつもりだったんですがね」
エフラム 「…何者だ?」
監視員D 「ただのしがない一介の囚人に過ぎませんよ。私の名はセフェラン、この牢獄の囚人です」

帽子をとって一礼したその男は艶やかな長髪をした色白の男だった…

29 :幼女の旗の下に:2010/05/02(日) 20:32:33 ID:IeYQGqCH

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駅前のマンションの一室。
のんびり部屋でプリンを食べていたサラはスプーンを運ぶ手を止めて呟いた。
サラ   「選択はいくつもあり、道は幾重にも分かれてる。
      掴み取った出会いを生かすも殺すも兄様次第。
      私は帰ってきた兄様が動きやすいように環境を整えておきましょう」

指を鳴らすと傍らのマンフロイが歩み寄る。
マンフロイ「なんじゃ?」
サラ   「おじいさま、AKJの方は進んでるわね?」
マンフロイ「うむ、近く再審に入るようじゃの」
サラ   「ベルドを貸してくれる?」
マンフロイ「そりゃかまわんが…」
     (…わが孫ながら恐ろしい…ワシの党を解散させて配下にしおった)

豪奢な部屋にはエフラムの演説が響いている。
時はすでに深夜3時。
エフラム 「幼女こそが世界人類の未来を担うものであり、それを守ることはわれわれの責務!
      幼女が住みよく安心できる町、それこそが我らが理想!」
セフェラン「なるほど、結構な見解です…今だから言ってしまいますが、貴方が取るに足りぬ人間なら
      私はあなたをここに呼びはしませんでした」
エフラム 「む?」
セフェラン「看守の侮蔑に毅然として自らの主張を述べられた。この精神の強さは今の紋章町の政治家に足りぬものです」
エフラム 「俺は…幼女を守りたい…幼女のための紋章町を作りたい…それだけなんだ」
セフェラン「その目的意識が大切なのですよ。
      2流3流の政治家は権力を手に入れることを考えますが、
      1流の政治家は手に入れた権力で何を成し遂げるかを考えるものです」
エフラム 「…あなたは何者なんだ? 何故このような豪奢な独房にいる?
      何故俺に近づいた?」
セフェラン「先も言いましたがしがない囚人ですよ、貴方に近づいたのは興味を覚えたから…と先ほども言いました」
エフラム 「確かに…そうだが」
セフェラン「ふふ…嬉しい限りですよ。お若い方とこうして紋章町の未来を語り合えるのは」
エフラム 「貴方は…何をして逮捕されたのだ…? そもそも…」
セフェラン「疑問に思われるのは当然です。ですがそれは貴方の行く道に関わりのあることではない。
      私の罪を裁けるのはただ私の良心のみです…と、でも言っておきます」
エフラム 「そうか…ひとつ伺いたいのだが…あなたにも守るべき幼女がいるのか?」
セフェラン「…ええ、とてもとても可愛らしい子でしてね…」

男の瞳はどこか虚空を見つめていた…

30 :幼女の旗の下に:2010/05/02(日) 20:35:56 ID:IeYQGqCH

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夜が明ける……
起床時間よりもやや早く目が覚めてしまった…
ターナ  「あぅぅ…目がさえちゃってる……今日までだもんねキャスへの返事…」

衝撃を会得したとはいえ…このスキル脱走の役に立つのだろうか?
ターナ  「スキルだけあっても武器がなきゃ意味ないし…ああ…エフラムはどうしてるのかなぁ」
魔物やラグズなら素手でも戦えるのだが……
一番離れた畳ではキャスが寝ている。

ターナ  「うう…どうしよう…」

1 脱走計画に乗る   もういや!こんなトコ!
2 脱走計画に乗らない やっぱり無謀よね…
3 エフラムを思う   どうしてるのかな…
4 サラ様を思う    ………(妄想中)……はっ!?わわ、私はノーマル…
5 キャスを起こす   周りが寝てる隙に計画の段取りを聞いてみよ

続く