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Last-modified: 2012-08-28 (火) 19:42:38

87 :幼女の旗の下に:2010/05/08(土) 01:11:56 ID:zPpgI59e

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2 ツルハシで抵抗する なんだか知らんがこのままやられてたまるか!?

エフラム 「槍が無ければ戦えぬなどと思うなよ!」
監視員D 「ほざけロリコン!」

風を切って槍の矛先が迫る!!!
見切った!
ツルハシをもって槍を払うと返す一撃を胸に打ち込んだ!
監視員D 「ぐふぇ!?」

胸から血飛沫をあげて男が崩れ落ちる。
とっさに槍を奪おうと狙ってみるが、他の者たちが攻撃をかけてきてそれどころではない。
数人が同時に突き出した槍を身を引いてよける。
監視員A 「囲め!足を刺して動きを止めろ!」
エフラム 「ええぃ…貴様ら…武人なら一騎打ちでかかってこんか、卑劣漢どもめ!」
監視員B 「死ねいーーーっ!」
四方から槍先が迫る!
エフラム 「ちぇすと!」
裂帛の気合を持って正面の槍先を打ち落とす!
高々と金属音が鳴り響き槍が地面に落ちる。
そのまま勢いを殺さずに踏み込む。両脇から伸びた槍が両腕をかすめるがかすり傷だ。
一気に前進して正面の男に渾身の一撃を肩口に見舞う。骨の折れる音がした。
監視員B 「ぐぅっ!?」
呻き声をあげて男がうずくまる。後3人。
監視員C 「……っ」
手強しとみたか、3人の男は槍先を向けたまま距離をとっている。

相手が踏み込んでこないと悟ったエフラムは、油断なくツルハシを構えたまま怒声を張り上げた。
エフラム 「いったいこれは何の真似だ貴様ら!
      …さては幼女を守ることに反対する反幼女主義者…ロリコンの差し金だな!」

88 :幼女の旗の下に:2010/05/08(土) 01:12:39 ID:zPpgI59e

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ダノミル 「それは違うぞ? ここは脱走犯の捕り物現場よ。
      囚人エフラムは脱走をもくろんだ上、それを阻もうとした看守2名に重傷を負わせた。
      許しがたい犯罪だ」
監視員達の背後より、ジェネラルの全身鎧に身を包んだ所長が姿を現した。
ふてぶてしい表情でエフラムを睨み付けている。
エフラム 「正当防衛…などと言っても聞く耳持たんのだろうな…一つ聞く。何故俺を殺す?」
ダノミル 「それを知らずにあの世に行くのも哀れと言えば哀れ。ナーシェン様のご命令よ。
      さあ執行の時間よ!紋章町刑法177条!
      刑務所より脱走を図った犯人はこれを捕縛するものとするも、
      抵抗せし場合は所長、及び看守の権限においてこれを殺傷するもやむなしとす!」
エフラム 「ふん、初めからでっちあげるつもりだろうが!」

ズシンズシンと地響きを立ててジェネラルが前進してくる。
構えを見る…まともな武器さえあればどうということの無い相手だが…
こんなチンケなツルハシではあの鎧に充分な打撃は与えられないだろう。

ダノミル 「雑魚どもならいざ知らず!そんな物で俺の相手が務まるか!」
エフラム 「ぬっ!」
繰り出された鋼の槍をかわす。
ダノミル 「いいぞ、もっと逃げ回って見せろ!」
エフラム 「せらりゃあああ!」
ダノミル 「効かぬわ!」
甲高い金属が火花を散らす…が…鎧には凹んだ跡すらなく、ツルハシの先が欠けている…
根元もぐらついている……
ダノミル 「頼みのツルハシもその有様よ」
エフラム 「ぐぅ…」
   
額に一筋の汗が伝う……
例え歴戦の猛者であっても風邪を拗らせて死ぬこともあれば、一瞬の油断ではるかに弱い相手に討ち取られることもある…
まさか自分も自分より技量の劣る相手に討たれることになるのか…

エフラム (お…俺の命運も尽きたというのか?
      いや…俺は…幼女のためにここでくたばるわけにはいかん。
      俺が幼女のために必要な人間ならば天は必ず俺を生かすはずだ!)

再び繰り出された槍先をツルハシの柄でそらす。
かろうじて避けられたもののツルハシは折れて砕け、もはや用をなさない。
ダノミル 「いい悪あがきだ…だがこれ以上時間をかけてもおれん…」
所長があごをしゃくる…
エフラム 「!?」
…足に激痛が走る!
しまった……残っていた監視員が所長の合図で手槍を投げつけたのだ。
腿を貫かれて傷口を焼かれるような痛みが走る。赤いものがズボンに滲み出していく。
エフラム 「貴様…」
ダノミル 「卑怯とでも思うか? 警官は犯罪者を捕らえるのに囮…盗聴…なんでも使うのよ。
      悪党の悪知恵と争うには正攻法ではかなわんからな。さあ死んでもらおう。
      これでナーシェン様もお喜びになる!」

鋭い槍先が眼前に迫る…
だが脚を貫いた手槍は地面に突き刺さり、もはや動くこともかなわない…
エフラム (死を恐れはせんが…ここで死んでは無駄死にだ…!)

89 :幼女の旗の下に:2010/05/08(土) 01:13:28 ID:zPpgI59e

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?????「おや…満月の夜に月見に出てみれば…なんの騒ぎですかね?」
ダノミル 「!?」

背後から涼しげな言葉が響く…とっさに振り向いた所長が見出したのは…
長い髪を夜風に棚引かせた長身の男だった。
ダノミル 「セフェラン様!?…勝手に独房をお出になっては困ります!」
セフェラン「これは失礼…ですがさすがに見過ごすわけにも行きますまい。
      よもやここまで強行な手を取るとは思いませんでした」
ダノミル 「な…なんのことだかわかりかねます!
      我々は脱走犯を捕らえようとしたのみのこと!」
セフェラン「さすがナーシェン殿の息のかかった者だけあって見苦しい言い逃れをなさる…ターナさん!」

岩陰からターナが姿を見せた…その右手には槍が握られている。
エフラムが打ち倒した監視員が持っていたものを、ほかの者がエフラムに手槍を投げつけてる隙に拾ったものだ。
そして左手には…ビデオカメラが握られていた…

ターナ  「あんたがベラベラしゃべったことは、しっかりこの中に納まってんのよ!
      ナーシェン様がどうこうってこともね!」
ダノミル 「ぬっぐっ…ぐぐぐっ!?」
監視員C 「しょ…所長…」

この時所長の脳裏ではこの状況が高速で分析されていた…
先ほどの光景…自分が動けなくなったエフラムに止めを刺そうとしていた姿が録画されているなら…
刑法177条はあくまでも抵抗する脱走者に対してのもの…もはや抵抗不能に陥った者を殺せば、それは看守であっても殺人罪だ。
いくらナーシェンの後ろ盾があっても、これほどの証拠があってはごまかしきれない…
ダノミル 「かかれ…」
監視員A 「はっ!?」
ダノミル 「皆殺しにしろ!こいつらはみんな脱走犯だ!」
監視員C 「はっ!」

セフェラン「最後まで無駄なあがきをなさる…ターナさん、懲らしめてあげなさい!」
ターナ  「はい!」

90 :幼女の旗の下に:2010/05/08(土) 01:14:09 ID:zPpgI59e

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3人の男が槍を向けてターナに襲い掛かる…が。
ターナ  「武器さえあればアンタたちなんか敵じゃないわよ!」
監視員A 「げはっ!」
監視員C 「ぐふっ!」
監視員E 「が!?」
たちまち突き払い、薙ぎ倒し、利き腕を貫いて戦闘不能に陥れる。

ダノミル 「ぐぐ…役立たずどもめ!」
エフラム 「…ターナ…」
ターナ  「さあエフラムをやってくれたお礼はこんなもんじゃすまないわよ!」
ダノミル 「小娘が…!」

踵を返したダノミルは、鉱山施設の管理室へと走りだす!
セフェラン「ふむ、警報を鳴らすつもりですね」
ターナ  「させるか!」
槍先を向けてつっこむと奥義を発動させた!
ターナ  「うりゃああああ!衝撃ぃ!」
ダノミル 「がっ!?ば…馬鹿な…進めん…!」
セフェラン「やれやれ…これで一応は落着ですかな…」

髪を掻き揚げると、歩み寄ったセフェランはダノミルの周囲に光の結界を配置していく。
エフラム 「………う…ぐ…」
ターナ  「エフラム、エフラム!?」
セフェラン「まずはローラさんを呼んできましょう、あの人は所長の息がかかってませんから安心です」
掠れいく意識の中で、そんな声を聞いた…

91 :幼女の旗の下に:2010/05/08(土) 01:15:11 ID:zPpgI59e

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この夜…再び独房を抜け出したセフェランはいつもの待ち合わせ場所でエフラムを待っていたのだが、
いつまでたっても戻ってこない…
嫌な予感を覚えた彼は、エフラムから同志だと聞いていたターナをアンロックで牢から出すと共に鉱山へ駆けつけたのだ。
相手の犯行の証拠を握ろうと自室からビデオカメラを持ってきたのはとっさの機転である。

これらの説明をエフラムは医務室でローラからライブを受けながら聞いていた。

エフラム 「なるほど…そうだったのか…礼を言う。ターナもすまないな」
セフェラン「いえいえ、しかしそれでもギリギリでした。鉱山のどのあたりにいるかは総当りでしたから」
エフラム (鉱山から逃げていたら…上手く会えなかったかもしれんな…)
ターナ  「本当…助けられてよかったよ…セフェランさんが私を呼びに来たときは何事かと思ったもの…」
エフラム 「…このまま夜が明ければ俺たちは再審だな…セフェラン殿…世話になったな」
セフェラン「いえいえ、貴方のように有益な若者を助けられたのはうれしい限りですよ。
      次は刑務所の外でお会いしたいものです」
ターナ  「それにしてもセフェランさんは囚人なのに、どうして色んな杖やアイテムを持ってるんですか?
      それにビデオカメラまで…」
セフェラン「私に親身にしてくれる方が何かと便宜を図ってくれるのですよ。さすがに武器はなりませんがね。
      それにしても今夜はよき夜です。刑務所の大掃除が出来ました。
      天上のごとく清浄である必要はありませんが、あまり汚れているのも住処としては困りますので」

あの後…セフェランが刑務官たちに通報し、ダノミルとその部下たちは現在拘束されて監視を受けている。
報告を受けた刑務官たちもすぐには信じられなかったが、証拠画像を確認した以上所長を拘束しないわけにはいかなかった。
明日にはベルン署の捜査が入るだろう。

セフェラン「無断で独房を出たことはお叱りを受けてしまいましたがね…ブラッド君はマードック殿に連絡したそうです」
ビデオにナーシェンの名が出た以上、当然の措置とも言える。

エフラム 「ふむ…これでベルン署の内部にはびこる悪も滅びるか…後は俺たちの再審で無罪を得るのみ。
      セフェラン殿。以前も言ったが刑務所を出たらわが党に入ってほしい。どうか考えておいてくれ」
セフェラン「ふふふ…そうですね…いずれ再会することもあるでしょう」
ターナ  「エフラム…ライブしてもらったとはいえ、もう眠ったほうがいいわ」
エフラム 「そうだな…そうするか…」
言われるまでもなく疲れきっていたのだろう…
睡魔がエフラムを夢の中に誘うのにそう時間はかからなかった…

1 夢に…家族が出てきた    やはり…離れてみると…な…元気でやっているだろうか…
2 夢に…幼女が出てきた    俺は…やはり幼女に癒されていたんだな…サラ、ミルラ、チキ、ファ、アメリア…
3 夢に…ターナが出てきた   同志よ…お前がいなければ俺は死んでいたやもしれぬ
4 夢に…党の同志達が出てきた みんな…もうすぐ帰るぞ…再び共に幼女のために頑張ろう!

続く