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Last-modified: 2012-08-31 (金) 00:23:24

450 :幼女の旗の下に:2010/07/13(火) 12:59:23 ID:ojMq6iGI

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1 ジョフレに返事を書く     それではお返事でこちらの近況を知らせましょうか

エリンシア「それじゃあこちらからも元気でやってるってお返事しておきましょうか」
マルス  「それだけでいいんですか? ほら、しょーぐんの期待してる事は色々と…
      会えなくて寂しいとか」
エリンシア「え? なんで?」
マルス  「…ま、そらそうですよねー…おや?」

その時部屋の電話が鳴り響く。
立ち上がったエリンシアはパタパタと駆け寄って受話器を取った。

エリンシア「はい、兄弟家です…あ、シグルド兄さん。
      ええ……ええ…まあ帰ってこられるんですか? おめでとうございます! それでいつこちらに?」
シグルド 『はははは! 来週には帰るよ! 本社での配置が決まるまでしばらく休暇にしてくれるそうだから、
      久々の一家団欒といこう!』
マルス  「兄さんからですか? 姉さんちょっと代わってください」
エリンシア「兄さん、マルスに代わりますね…はい」
マルス  「しばらくですね兄さん。こちらに帰ってこれるそうですね。おめでとうございます」
シグルド 『うむ、ありがとうマルス』
マルス  「ヴェルダンじゃどんな魔法を使ったんです? ビジネス界じゃちょっとした評判ですよ」
シグルド 『まぁ本当に魔法みたいなもんだよ。人生悪い時もあれば良い時もあるものだな。
      詳しいことは帰ったら話そう…あ、それとな昇進したら私はディアドラと正式に結婚するつもりだ。
      お前たちもそのつもりでいてくれ。はっはっはっは!色んな物が薔薇色に見えてくるな!
      それじゃあ帰ったら改めて話をしよう!』

受話器から聞こえてくるシグルドの声には喜びが煌めき溢れていた。

喜びの影には苦悩がある。
そのやりきれなさは時が癒してくれるのだろうか。
アルヴィスは自宅で弟に晩酌に付き合ってもらっていた。

アゼル  「兄さん…クルト社長のあの話断ったんだって?
      社内じゃちょっとした噂になってるよ?」
アルヴィス「そりゃそうだろうな…みんなはなんて言ってる?」
アゼル  「なんだってそんな馬鹿な事をって…
      昇進もバーハラの婿養子の座も蹴っ飛ばしたって…」
アルヴィス「私だって他人がこんなことをしたら馬鹿だって笑うだろうよ。
      本当にどうかしている。愛する人、次期役員の座…誰だって欲しくてたまらないだろうよ。
      いや…私だって…人事部長が首を縦に振らなければ…
      シグルドの復帰が適わなければ…おそらく社長の話に乗っただろう」
アゼル  「…兄さんはそれでいいの?
      シグルドさんにディアドラさんを譲って…」
アルヴィス「他人にはこれでいいのだ!振られたことをいつまでも引きずってられるか!
      …と、胸を張るとこだが…そりゃ本音を言えばやりきれないさ。
      人には…特にシグルドには絶対言うなよ?」
アゼル  「言わない言わない。いいよ。たまには愚痴吐いてすっきりするといいよ」
アルヴィス「ああ、すまないな…今夜は秘蔵のブランデーを開けよう。お前も飲むといい」
アゼル  「明日会社には風邪だって言っておくよ。たまには朝まで飲むのもいいもんだよ。
      あくまでもたまにならね」

この晩、兄弟で酒を酌み交わして語り合ったことをアゼルは生涯忘れない。
それは常に自身を厳しく律し、若くしてビジネスマンとして栄達した男が初めて人に弱さを見せた夜であった。

451 :幼女の旗の下に:2010/07/13(火) 13:00:06 ID:ojMq6iGI

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セリノスで支持を断られたAKJの面々は本部に帰ると今後の目標をユグドラル地区に絞り込んだ。
会議室にラケシス会長の声が響く。

ラケシス 「皆もわかっていると思うけど、聖戦子世代には兄妹の組み合わせが非常に多いわ。
      この辺りを会員に引き込むと同時にその彼らの影響力を使って支持者を増やすのよ」
クラリーネ「フィーさんを会員にできればシレジア社、パティさんやラナさんならユングウィ家。
      ラクチェさんなら流星軒が味方になりますわね」
ティニー 「最後のは普通のラーメン屋さんですけど…」
ラケシス 「あら、兄妹愛が作り出すラーメンは美味しいに違いないわ」
クラリーネ「ですわね」
プリシラ 「ええいそれにしても口惜しい…まさかセリノスではロリコン軍団に遅れをとるなんて…
      どうしてあの方々は…」
ラケシス 「今更言っても仕方ないわ。それよりも次を考える事よ」
クラリーネ「それじゃ担当を割り振りしましょう。会長はナンナさんを…」
ラケシス 「わかってるわ。何回も誘ってるけどあの娘も頑固なのよねぇ…
      クラリーネはユングウィの2人、プリシラはラクチェ。
      ティニーは…確かセティと知り合いなのよね。じゃあそのつながりでフィーを入会させるように」
クラリーネ「了解ですわ」
プリシラ 「お任せを…どんな手を使っても入会させてご覧にいれます」
ティニー (セティ様…またややこしいことに…フィーさんブラコンの血は流れてませんし…)

452 :幼女の旗の下に:2010/07/13(火) 13:00:49 ID:ojMq6iGI

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エフラム不在の鉄血幼女守護同盟事務所を取り仕切っているのはサラである。
特に明確に代理を決めていたわけではないのだが、いつの間にかそうなっていた。

ジャファル「こちらジャファル」
サラ   「お疲れ様。それでどうだった?」
ジャファル「各党とも自分の支持基盤はそのままに他党の領域に手を出そうとしている。
      …が簡単にはいかずに膠着してるな」
サラ   「よほど支持の揺らぐような事件でも無ければそうなるでしょうね」
ジャファル「それと一点。北トラキア党のレイドリックが南の鉱山経営について党首キュアンと対立している。
      この件については黒い牙が関わってきそうだ」
サラ   「どういうこと?」
ジャファル「ベルクローゼンの下っ端がウルスラの子分と会っていたらしい。
      詳しいことは俺たち非ソーニャ派には知らされていない。
      内偵してまた報告する」
サラ   「情報は大いにこしたことはないわ。よろしくね」

報告を終えたジャファルは再び紋章町の暗部を抉るべく、
町へと繰り出していった。

ライナス 「まったく…百鬼夜行だなこの町は…ナーシェンみたいな悪党が失脚したと思えば
      今度はベルクローゼンかよ」
サラ   「私たちに影響が無い限りほっとけばいいわ。
      …と言いたいけどね…四牙のうち3人もこちらにいて牙の実権を掌握できないなんて情けない話ね。
      牙が手に入れば裏社会とのパイプも出来るし諜報、工作面でも戦力になるのだけれど」
ライナス 「返す言葉もねえよ…親父がすっかりソーニャに骨抜きにされちまってるからなぁ…
      大人の女は怖ええよまったく」
ターナ  「でも…ライナスの手前言いにくいけど黒い牙ってぶっちゃけヤクザみたいなもんでしょ?
      あまりつながりを持つと他党からの攻撃の材料になるんじゃない?
      …まあ四牙のうち3人がいる時点で今更な話だけど」
ライナス 「あまりおおっぴらに言うもんでもないが…あちこちの党に協力してる地方の有力者っちゃ
      地元のヤクザ筋も多いんだぜ?
      …今はヤクザもビジネス化してる部分があるしな。お互いに利益のある話だ。
      それに比べて牙はまだ昔ながらの任侠道を持ってる極道だ。だから政党との関わりは持ってないんだが…
      もしかしてソーニャの奴レイドリックと組むつもりか…?」
サラ   「まぁそれについてはジャファルの連絡を待ちましょ。それとネサラはまだ戻らないのかしら?」
ターナ  「配達に出てしばらくたつから…そろそろ戻ると思うけど…何か用事あるの?」
サラ   「兄様の負担を減らしてあげるの。キルヴァスの支持は私たちで取り付けましょう」
バヌトゥ 「たとえ小銭でも金で釣ったら選挙法違反になってしまうぞよ?」
サラ   「そんな手は使わないわ。あ…戻ってきたみたいね?」

扉が開きネサラが姿を見せる。

453 :幼女の旗の下に:2010/07/13(火) 13:01:30 ID:ojMq6iGI

180

ネサラ  「配ってきたぜ。今日のバイト代くれバイト代」
サラ   「はい、これよ」
ネサラ  「おおおぉおおおぉぉ……キラキラ光ってなんて綺麗な金なんだ…
      大金だ大金だ!」
サラ   「ところで…次の選挙ではキルヴァスの人たちはどうするつもりかしら?」
ネサラ  「あん? 知らね。んなことより金かせいだり、
      ご馳走を拾う方が重要だぜ。さっきもそこでチキンの骨拾ったんだ!
      ちょっと肉付いてるぜラッキ~~♪」
ターナ  (どうしてかしら…この人を見てるとひたすら悲しくなってくるわ…)
ネサラ  「なに見てんだ。やらねえぞ!」
ターナ  「いらないわよ……」
サラ   「ねえネサラ? 次の選挙でキルヴァスが私たちに投票してくれたらいい情報を教えてあげるわ」
ネサラ  「んあ? なんじゃそりゃ?」
ターナ  (物品じゃなくて情報なら違反にはならないけど…何を教えるつもり?)
サラ   「それは投票を約束してくれないと教えられないけど…いい話よ。お金が沢山手に入るわ」
ネサラ  「よっしゃ約束する!」
ライナス 「うわあっさり」
ディーク 「こうなると他党がいままでキルヴァスの支持を得られなかったのが不思議に思えてくるな」
ターナ  「ほらあれよ。言っちゃあ悪いけど、ネサラさんが残飯を漁ってるのを見るとだれも族長なんて思わないからじゃない?」
ディーク 「あ、なるほど」
ネサラ  「うるせー大きなお世話だ! それで情報ってなんだ?」
サラ   「氷竜神殿で待機しまくるとレナと名乗るお爺さんが大量に沸いてくるわ。
      そのお爺さんに適当なアイテムを持たせて一休み(中断、再開)して制圧すると
      チェイニー顔のマルスが同じアイテムを持って現れるわ。
      これでアイテム増殖成功。これを売ればお金になるわ」
ネサラ  「おおなんてすばらしー話だ!ありがとうよ約束するぜ!
      それじゃあさっそく氷竜神殿に行ってくるぜ!」
ターナ  「あ…いっちゃった…いいのかしら…バグ技だし…」
サラ   「あらバグもゲームのうちよ? 面白バグはネタになるしね」
ライナス 「そういう問題か…?」
ディーク 「まぁ新・紋章ではさすがにその点は直されてるだろ。
      なおSFC版でこれをやるとクリア時にユニットのセーブデータが消える可能性があるのであまりお勧めできない」

454 :幼女の旗の下に:2010/07/13(火) 13:02:33 ID:ojMq6iGI

181

フェニキスではエフラム一行がティバーンと対峙していた。
この男が放つ存在感は他を圧倒するものがある。

ティバーン「尋ねてきた用事はわかってる。最近ラグズの間じゃあ評判だからな」
アイク  「話が早くて助かる」
ティバーン「なら俺がどう返事するかもわかってるだろう。
      スクリミルと同じだ。腕を見せてみろ。
      俺に勝ったら協力してやるぜ」      
エフラム 「望むところ!」

族長に挑もうというベオクが来たということで、周囲にはギャラリーが集まってきている。
ヤナフ  「無謀な奴らだなぁ…ベオクじゃあ最強のアイクだって族長にゃ負けることもあるってのに」
ウルキ  「……」

その言葉が耳に届く。
いや、言われるまでもなくこの男から感じる強さはアイクに匹敵するものがあった。
ティバーン「誰が来る? それとも束でやるか?」
エフラム 「馬鹿な! 一騎打ちに…」
オグマ  「待て!」
エフラム 「なんだ!?」
オグマ  「向こうが一対五でいいというならそれでやるべきだ」
エフラム 「な…そんな卑怯なマネができるか!」
シャナン 「そうだ!やるなら私一人でいく!」
オグマ  「奴はそれだけ強い…スクリミルよりもな…俺たちの目的は自身の名誉じゃない。
      あくまでも幼女のための紋章町を作ることだ。そのためなら甘んじて不名誉も受けるべきじゃないか?
      ここは勝つことを考えるべきだろう」
シャナン 「私は賛成できん…確かにやつは強い…だが…バルムンクと流星剣を持ってすれば勝算はある!」
     (いつもなら鷹の幼女の前でかっこいいとこ見せたい…と思うところだが…今はそれどころじゃないな。
      全員で戦っても奴の前では戦死者を出しかねん…いっそ私一人で戦った方が犠牲も無く、
      勝算だってある…)

それは自惚れではない。
平和な世の中で戦う機会も少ないので忘れがちだが、恐らく鉄血幼女守護同盟でシャナンは最強クラスだろう。
最近ラクチェに抜かれた気もするが、バルムンクを装備してればまだまだ上である。

ロイド  「俺はどっちでもいいがね…牙は騎士様じゃねぇ。勝つためなら総がかりもありだな。
      が…行けというなら一人だっていくぜ?」
カナス  「私も…理想のためなら…行けと言われるなら一騎討ちも受けて見せます。
      本音は恐ろしいですが…弩を使える仲間がいればよかったですねぇ」

エフラム 「ぬぅ…」

続く

1 エフラムが戦う やはり党首自ら一騎討ちを持って戦うぞ!ジークムントの鋭さを知れ!
2 オグマが戦う  お前のキャリアなら奴の隙を見出せるかも知れん
3 シャナンが戦う ラグズの猛者といえど聖武具と流星剣なら勝算はある!
4 ロイドが戦う  ロイドの剣椀とリガルブレイドの力に期待するぞ!
5 カナスが戦う  魔防無視かつ必殺率の高いルナが上手く決まれば…
6 全員で戦う   釈然とせん…釈然とせんがオグマの言葉も一理ある…全員で戦うか!