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Last-modified: 2012-09-01 (土) 13:28:18

204 :幼女の旗の下に:2010/08/02(月) 00:58:01 ID:kXCl1FJl

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4 夢に参加する 兄様の夢に入ってみよ、何しでかそうかな…

そうと決まれば行動は早い。エフラムの額に指を当て、二言三言呪文を唱える。
ロプト的な秘術の類だ。
原作で言えばマンフロイがディアドラの記憶を消したり、ユリアを洗脳したり、魔将を作ったり、
ユリウスの魔力で寿命を延ばしたりするのに用いた様々な術の仲間のようなものである。
サラはこの年ですでにマンフロイを超える術者であった。

サラ  (兄様の夢…どうやら夢に私も出てるようね…よし、夢の私と一体化して潜入しよ…)
そのまま瞳を閉じると精神を夢の世界に送り込んだ。
闇の中を抜け、夢の世界に辿り着いた精神はエフラムが抱くイメージ…夢の中のサラと一つになる。
サラ  「さて…兄様はどんな夢を見てるのかしら?」
まずは周囲を見渡してみる。サラは見晴らしのよい丘の上にいた。
どこまでも続く田園…所々に木が生えており、丘の向こうには川が見える。
数件の家がポツポツと点在しておりのどかな田園風景が視界いっぱいに広がる。
雲一つない青空…夢の中なので感じないが、現実であれば爽やかな風を肌で感じられただろう。
その時背後で物音がした。振り向くとエフラムが汗水垂らして木材を担いでいた。
上半身裸で頭にタオルを巻いている。
何してるのかは気になったが夢なんて不可解なものである。どうせ夢だし悪戯してやろうと歩み寄ると脇腹をくすぐってやった。
エフラム 「ぬおっ!? こらこら危ないからよさんか」
サラ   「あらやっぱりくすぐったくはないのね」
エフラム 「なんのことだ?」
サラ   「別に…ところでなにしてるの?」
エフラム 「ここに保育園を作るのだ」
見るとエフラムだけではない。
オグマやらシャナンやら牙の3人やらターナやら…エフラムの同志たちも汗水垂らして働いている。
基礎を整え、木材を立て、釘を打ち…彼らの顔には喜びが煌きあふれていた。
エフラム 「おっとこうしてはおれん。俺も幼女のため働かねば…もうすぐ幼女たちが入園しにくる」
サラ   「まだ出来てもいないのに?…ってこういう世界は不可解で不条理なものだものね」
ふと稜線の向こうから人影がやってくるのが目に付いた。
チキファミルラ…アメリア…だけではない。
ニノやユミナ、ユベロやラクチェらの姿もある。さらにはエイリーク、リンとセリスまで…

オグマ  「ちょっとまっててくれー、もう少しで出来るから」
ユミナ  「あんまり待たせないでよね!」
ニノ   「ジャファルー兄ちゃんたちー頑張れー!」
ジャファル「……!」
ライナス 「うおおおおおおおおおっ!」
ロイド  「どりゃあああああああっ!」
その光景を見てサラもターナに声をかけてみた。
サラ   「がんばれー」
ターナ  「ふぬぅぅぅううううううっ!」
頑張った。これはエフラムの夢のイメージ。どうやらエフラムの中ではターナはオグマ達のカテゴリに入ってるようだ。
サラ   「…姉さまも難儀ね」

男達に気合が入ったのかまるでビデオの早送りのような速度で保育園が出来上がっていく。

205 :幼女の旗の下に:2010/08/02(月) 00:59:05 ID:kXCl1FJl

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その瞬間入園式の場にワープした。場面が飛んだというべきか。
サラ   「兄様の夢はせっかちねぇ…悪さする暇もないわ。ま、今しばらくはこの時間を楽しみましょ」
入園式では幼女たちが可愛らしい制服に身を包んでいる…とはいえ実際に幼稚園児なのはファのみ。
ラクチェやエイリークらが幼稚園の制服を着てるのはかなり…引く。
リンに至っては…言っては悪いが変態だ。
…が、夢の住人ゆえか気にしたそぶりもない。
さらにセリスも女子用の制服を着ていた。
セリス  「わぁ…可愛いなぁ」
エイリーク「よく似合っていますよセリス」
エフラム 「うむ、お前達は俺達が守り抜くから安心してこの保育園で暮らすといい」
セリス  「うん、ありがとう兄さん!」
リン   「嬉しい兄さん!さっそくだけど…お腹すいちゃった」
エフラム 「よしよしちょっと待ってろ」
幼女達のおやつを作るエフラムの表情には保護欲を満たしきった喜びが浮かんでいた。
夢の世界ではその人の深い面やイメージ…願望を見ることができる。
サラ   「実際のセリスだったら反発しそうね…それにしても兄様はわりとポジティブなのかしら?
      少なくとも悪夢の要素は見当たらない」
そこまで言って気が付いた。
現実でサラのマンションに泊まってサラをお世話したので保護欲を満たしたからではないだろうか?
だからいい夢を見ているようだ。
サラ   「ふぅん…」
悪い気はしないがエフラムの悪夢もそれはそれで見てみたい気がする。
とりあえずどうせ夢なのだし色々やらかそう。
サラ   「に・い・さ・ま」
おやつを用意してるエフラムの背中にしがみつく。
いつもなら耳に息をかけるところだが、夢の中では効果がない。
エフラム 「こらこら危ないぞ」
ミルラ  「あーーーっ!お兄ちゃんに何するですかーっ!?」
チキ   「がおーっ」
ファ   「がおがおーっ」
飛んできたミルラがブレスを吐く。ついでにチキとファもブレスを吐く。
エフラム 「こらこら喧嘩はいかんぞ。仲良くせんといかん」
間に入ったエフラムは全てのブレスをまともに浴びた。
心持ち服や髪の毛が焦げたものの元気そうだ。
むしろ幼女の喧嘩を仲裁したことに幸福を感じていそうな気がする。
サラ   「…夢だからいいようなものの現実だったら死んでるね」
エフラム 「幼女を守るためなら俺は死なん」

206 :幼女の旗の下に:2010/08/02(月) 00:59:46 ID:kXCl1FJl

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エフラムが竜幼女たちを宥めている間、サラはエフラムの夢ワールドを調査して回った。
エフラムが周囲の人間をどういうイメージで見てるか…あるいはその人にどういう願望を抱いているかが読み取れる。
向こうではシャナンがラクチェやパティに剣を教えている。
現実ではラクチェはクラスチェンジする頃になるとシャナンを抜いてしまうのだが…バルムンク以外。
オグマはユミナ&ユベロを愛でているし、
ニノはジャファル、ロイド、ライナス、カナスら四人もの守護者に守られて幸せそうだ。
ターナはさっきから自分の後ろを付いてきてひたすら撫でてくる。ちょっとウザイ。
サラ   「これが…兄様の夢の世界っと…もちょっと調べよ」
ターナをワープで夢のどっかに飛ばすと、園長室に入ってみた。
エフラムの留守だし色々調べよう…と思ったらそこにはセリスがいた。
可愛らしい顔に真珠のような涙が伝い落ちている。
サラ   「あら…こんなところでなにしてるの?」
セリス  「迷子になっちゃったよう…にいさ~ん!ふえ~ん!」
ひたすらか弱そうな雰囲気である。エフラムのようなタイプには保護欲をさそうのかもしれない。
サラにとってはいぢめたくなるが。
サラ   「現実のセリスよりずっと華奢で儚げ…そういう風に見られてたらセリスも反発するわけね」
ちなみにこのセリスはエフラムの妹なのだが、それはサラも自然に受け入れてしまい変には思わなかった。
エフラム 「セリスっ!?セリスが泣いている!今行くぞ!」
物凄い勢いで足音が近づいてくる。
勢いよく扉が開いた。
サラ   「あっ手がすべっちゃった。ワープ」
セリスをどっかに飛ばす。
エフラム 「こらなんてことを!?」
サラ   「事故だもの。しょうがないわ」
めっとばかりにお仕置きのでこぴんをされた。夢なので痛くないが。
サラ   「酷い兄様」
エフラム 「まったく困ったやつだ…セリス、今いくぞ!」
慌しく窓を突き破って走っていくエフラムを見送るとサラは園長室のチェックを再会する。

部屋の本棚には…いくつもの分厚い本が納められていた。
一冊ずつタイトルを読み上げる。
サラ   「槍バカ一代…幼女のための政治…福祉論…守るべき妹達…これが兄様の人生観ね。
      まぁ兄様らしいわね」
概ね見たいあたりも目を通した。これから思い切りエフラムを弄ろう。

207 :幼女の旗の下に:2010/08/02(月) 01:00:29 ID:kXCl1FJl

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夢の中を走るエフラムはセリスを探していた。
薄暗い森の中に入り込み、捻じ曲がった木の枝が不気味悪い。
エフラム 「むぅ…どこだ…どこにいった」
そこに高い笑い声が響く。
ヒーニアス「わははははエイリークは頂いた!リンもセリスもセリカも貴様の妹は全て私が頂いた!」
エフラム 「なんだとぉぉぉぉっ!?きさまあああああああああ!」
ヒーニアス「返さんぞ、決して決して返さんぞ!わはははは!」
ひょいひょいと飛び回るヒーニアスは森の中へ消えていく。
エフラム 「またんかーーーーーーっ!!!」
2人の追いかけっこをサラは木陰から覗いていた。
サラ   「セリスが行方不明になった不安の象徴ねこの森は…そしてヒーニアス…
      妹を狙う悪い男のイメージ…」
森を突っ切るエフラムを追ってみる。
時折ヒーニアスが物陰から矢を放ってくる。
夢なので当たっても問題ないが、夢を見ている本人は夢とは気付いていないので懸命にかわしている。
サラ   「兄様兄様助けてあげる」
エフラム 「おおサラか!?」
サラ   「それワープ」
転移の魔法がエフラムをヒーニアスの隣に飛ばす。
ヒーニアスの周囲には四人のエフラムが出現した。ヒーニアスに対するイメージだろうが夢なのでなんでもアリだ。
ヒーニアス「アッー!タスケテエイリーク!」

ヒーニアスが滅びると森は消え去り兄弟家の居間に座っていた。
おそらくここが心理的にもっとも安心できる場所なのだろう。
エイリーク「兄上!…怖かった…ヒーニアス様がセーラー服を着て欲しいと迫ってきて…」
セリス  「僕も…」
リン   「兄さん…ありがとう」
セリカ  「悪に天罰が下ったわ…」
エフラム×4「うむ、もう心配はいらんぞ」
サラ   (兄様…ヒーニアスのエイリークへの迫り方…よほど腹に据えかねてたのね…完全に変態扱いじゃない…)
4人になったエフラムは四人の妹を保護している。
サラ   「それにしても兄様? 妹も大事だけど…このままじゃ人数が足りないんじゃないかしら?」
エフラム×4「む? そうはいってもな」
サラ   「ほらレスキュー」
チキファミルラやアメリアを召還する。
もはや面白半分だ。
サラ   「ね? 足りないわ。一人に一人なら…もっといてもいいんじゃない?」
エフラム×4「増え方などわからん」
サラ   「じゃあ私が増やしてあげる」
適当にエフラムの夢を弄ってやる。
こうしてエフラムは9人に増えた。
エフラム達はそれぞれ妹や幼女を愛でている。
サラにも一人のエフラムがついてサラを撫でている。
サラ   「弄っておいてなんだけど…カオスな夢ね…」

その時であった…

208 :幼女の旗の下に:2010/08/02(月) 01:01:36 ID:kXCl1FJl

205

ミルラ2 「お兄ちゃん!」
サラ2  「兄様…」
エイリーク2「兄上!」
サラ   「!?」
妹や幼女が…増えた…
さすがに驚いて見守ってみると…
エフラム×9一人当たりにサラ、チキファミルラ、アメリア、エイリーク、リン、セリカ、セリスが一人ずつついている。
つまり全員×9。狭苦しくて仕方ない。
サラ   「これは…それもそうよね。兄様一人一人にとっては皆がいるのが自然ってわけなのね…
      それにしても自分の顔がこれだけならんでるのも妙な気分ね」

その時である…空間が歪んだ…
サラ   「あ…夢が覚める…先に起きてやることが…」
エフラム1「ん…サラ? どこいくんだ?」
サラ   「気にしないで、すぐにまた会えるから」
背のびしてエフラムの頬に唇を触れさせると、サラの姿は夢の中から消えた。

カーテンの隙間から朝の日差しが差し込んでいる。
枕もとの時計は6時半…いつもより若干起きるのが遅い…妙な夢を見たせいだろうか…
エフラム 「む…」
体を起こして…
サラ   「兄様…責任とってね…」
エフラム 「何やってるんだお前…」
隣ではシーツで体を隠したサラが微笑んでいた。
白い肩が覗いている。ベッドの側にはパジャマや下着が落ちていた。
サラ   「酷い…覚えてないの? 昨夜はあんなに…」
泣き真似をするサラの頭を軽く小突く。
エフラム 「それは男を酔わせて仕掛ける罠だろうが…俺は酒など飲んでないし夕べの記憶はしっかりしてる。
      まったく…時々お前が小学生なのか疑わしくなるぞ」
サラ   「ちぇっ…ほんとは嬉しいくせに」
エフラム 「いいからさっさと服を着ろ。朝のラジオ体操をするぞ。スタンプカードを持て」
サラ   「だるいしめんどくさいわ」
エフラム 「小学生は元気よく体操してから朝ごはんを食うものだ。スタンプが埋まればお菓子が…ってお前一回も行ってないのか。
      地元の子供会にはちゃんと参加するもんだ。当分俺が一緒に行くからな」
サラ   「子供ばかりでわずらわしいんだもの…あ、兄様さては体操する幼女が目当てね」
エフラム 「お前も子供だろうが。馬鹿言ってないで早く来い」

209 :幼女の旗の下に:2010/08/02(月) 01:02:18 ID:kXCl1FJl

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近所の空き地でラジオ体操をしたエフラム達はサラのカードにスタンプを貰うとマンションに戻って朝ご飯を用意した。
適当にパンで済ませようとするサラを叱ってご飯に味噌汁。それとおかずを数点作ったのはエフラムだ。
エフラム 「うむ、流れるようにキャベツが切れる…サラ、お前は食器を準備して…」
サラ   「別にパンでいいのに」
エフラム 「朝からそれだけではいかん。朝飯は一日の基本だ。さ、いただきますするぞ」
サラ   「兄様…教育パパみたい」
エフラム 「食べ物に感謝するのは基本だ。野菜や家畜を育てた人、牛や豚や魚に感謝していただきますをだな…」
サラ   「もう…わかったわよ。いただきます」
ぶっちゃけエフラムも普段はアイクやヘクトルとおかずを争ってがっついたりしているのだが、
サラと一緒だと居住まいを正してしまう。子供を躾けるにはまず自分がしっかりしないといけない。

食事を終えて片づけを済ませるとサラに小学校の準備をさせた。
エフラム 「俺も家に帰って学校の支度をするが、その前にお前を学校まで送っていく」
サラ   「そんなことしてたら遅刻するよ?
      私はリワープですぐだから気にしなくていいわ」
エフラム 「横着すな。小学生なのだから自分の足で歩いてかよえ」

文句を言うサラを強引に手を引いて小学校まで送ると慌しく家に帰りダッシュで学校に向かう。
学校が終わったら道具屋にいって指輪をつくってもらい、それが済んだら党事務所に行かなければ。
まったく忙しい一日になりそうだ。

グランベル社の人事部には休暇中のシグルドが尋ねてきていた。
アゼル  「それじゃこれが幹部研修の資料です。頑張ってくださいね」
シグルド 「ありがとう、もう勉強ははじめてるんだ。管理職か…」
ちょっと頬が緩む。嬉しい。思わずスキップしそうだ。
アゼル  「ええ、アレクさん達も喜んでましたよ」
シグルド 「ははは、さっき顔を出してきたんだ。あいつらも祝福してくれたよ」

書類を受け取ると人事部を出た。
喜びの余りちょっと踊りだしそうになる。
シグルド 「昇進してディアドラと結婚して…人生薔薇色ううう…長かった…長かったなぁ…」
思わず感涙の涙が毀れる。
こうして文書が手元にあると実感が沸いてくる。
喜びが胸いっぱいに満ちていった。

続く

1 全身で喜びを表現する やったーディアドラー!もうすぐ君にふさわしい男になれるぞー!
2 アルヴィスに会う   なんでもあいつが私を推薦してくれたらしいしな…礼を言っておくか
3 屋上で黄昏る     入社してからいろいろあったなぁ…