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Last-modified: 2012-09-01 (土) 13:31:21

238 :風の交響曲 2 1/3:2010/08/05(木) 16:41:04 ID:UzitFvpy

「やっぱり自然はいいわね。癒されるわ。」
僕はマルス様とリンと一緒にサカの草原に来ている。
リンは馬で草原を駆け回り、僕とマルス様は草原で横になっていた。
「うーん…空が青いねぇ…」
「空が青いですねぇ…」
「ちょっと!そんなところで寝転がらない!」
「いいじゃない。僕達はこうやって自然を感じるんだから。」
「あんたは……あ、マリクもなの?」
「いえ、リンのオススメがあるならそれにします。」

草原を駆け抜ける馬、風が僕を突き抜ける。
「どうマリク?これがサカの自然よ!」
「気持ちいいですね。」
僕はリンの愛馬の後ろに乗って草原を駆け抜ける。
カダインの中庭で感じていた風とはまったく別の物だった。

「まあ結局エクスカリバーは何にも言わなかったですけどね…」
「ま、気楽に行こうよ。」
「うーん…残念ね。ここでダメならアルムにでも頼む?」
「ああ、アルムならいいかもね。」
僕達は馬で草原を駆けた後、マルス様が狩った兎を焼いて食べていた。
残念ながらエクスカリバーからはいまだに何も感じない。
けど、サカからは何かヒントを得ることができた気がした。

リンにお礼を言い別れ、再びマルス様の家に戻る。
「ただいまーアルムいる?」
「マルス兄さん、おかえり。アルムならバレンシア地区よ?」
「あちゃー…自然について話を聞きたかったのに。」
「あら?なら私がミラ教について話すわよ。」
「あ…しまった…」
…迂闊です。マルス様。
そう思っていると不意に背後から声が聞こえた。
「ミラ教はいわゆるミラ神を奉る宗教でミラ様の加護で大地は肥える。」
「あ、おかえりアルム。」
「ただいま、マルス兄さん。セリカ。」
「ちょうどいい。アルム、自然について話してよ。」
「いいよ。セリカ、お客様にお茶お願い。」
「はーい(残念、しm…信者獲得のチャンスだったのに。)」

「まあ僕達は自然の力を借りて生きてるからね。」
「そうですね。さっきもサカで兎を食べましたし。」
居間で不機嫌なセリカさんからお茶をいただき、アルムさんの話を聞く。
アルムさんは農業の話や気象、狩りなどの話をしていた。
「ま、僕は自然ってのは全てを包み込む物だと思うよ。」
「全てを包み込む…か。」
「まあマリクさんは風の意思って話みたいだからちょっと違うかな。」
「いえ、参考になります。ありがとうございました。」
「じゃあ次はミラky…」
セリカさんが喋っていると突然大きな騒音が聞こえた。
「うわ…アイク兄さんが庭で塀を壊したよ…」
「あ、アイク兄さんなら衝撃波を使うし何かヒントになるかもよ?」
「ああ、それはいいね。マリク、行こう。」
僕はマルス様と一緒に庭で塀を破壊したアイク様のところへ向かった

239 :風の交響曲 2 2/3:2010/08/05(木) 16:42:08 ID:UzitFvpy

庭にはラグネルという大剣を持ったマルス様の兄、アイク様がいた。
僕が庭に着くと壊した塀の修繕をしながらマルス様と会話していた。
「アイク兄さん、また塀なんて壊したらエリウッド兄さんが壊れるよ。」
「む、すまん…」
「で、ラグネル振り回して何してたの?」
「いや、衝撃波に乗れないかを試してみたんだが…」
衝撃波に乗るって…すごい発想だなぁ…
「何だろう…兄さんなら可能な気がしてしまうね。」
「いや、実際乗ることまではできたんだ。コントロールが難しくてな。」
「いやいやいや、乗れただけでも十分だからね!?」
「方向転換できればいろいろ応用がききそうだからな。」
「まあそれはさておき、何で衝撃波に乗ろうとしたの?」
「衝撃波を攻撃するためだけに使うのは違う気がしてな。」
「いや、むしろ攻撃のために衝撃波はあると思うんだけど…」
「気にするな。さて、塀も直ったしもう一度試してみるか。ぬぅん!」
アイク様はラグネルから出た衝撃波に飛び乗って飛んでいった…
「アイク兄さんは…いろいろ…規格外だね…」
「でもエクスカリバーのヒントにはなった気がします。」
「え?そうなの?」
「ええ、攻撃のため以外の使い方にヒントを貰った気がします。」
「ふーん…そうなんだ。次は…って何だろうこの音は?」
耳をすませば家からバイオリンの音色が聞こえてきた。
「エイリーク姉さんか…リーフかな。行こう。」
「はい。」

「エイリーク姉さん、入るよ?」
ノックをしてエイリーク様の返事を確認するマルス様。
「ええ、どうぞ。」
ドアを開くとバイオリンを構えたエイリーク様がいた。
「マルス、どうしたのですか?」
「いや、バイオリンの音色が聞こえたから来たんだ。」
「あら、珍しいですね。そちらの方はご友人ですか?」
「あ、マリクと申します。よろしくお願いします。」
「あ、エイリークです。こちらこそよろしくお願いします。」
「エイリーク姉さんの演奏は綺麗に聞こえてくるよね。コツとかあるの?」
「あら、ありがとう。コツですか…」
「うん、コツ。」
「難しいですね…私は風に乗せるイメージですかね。」
「風…ですか?」
「ええ、今日の風…空気に合うリズムを刻む感じですね。」
「風…のリズム…?」
「まあこれはオリヴァー様の受け売りなんですけどね。」
「いえ、参考になりました。ありがとうございました。」
僕はエイリーク様にお礼をして部屋を退出した。
「どう、参考になった?」
「はい、何か掴めた気がします…たぶん。」
「それはよかった。」
「ありがとうございました。いい息抜きになりましたよ。」
「せっかくだし夕飯ぐらい食べていきなよ。」
「あ、すいません。ありがとうございます。」

240 :風の交響曲 2 3/3:2010/08/05(木) 16:44:03 ID:UzitFvpy

兄弟家で夕食を食べ、僕はカダインに帰ってきた。
食後、他の兄弟にもいろいろ聞いてみたがどれも面白い意見だった。
学院の人は思想がある程度固まってるが、他の人の意見は自由だ。
例えばヘクトル様は「魔法は素人だが、使い込めば答えたりしないか?」
エフラム様は「愛着を持って接すれば答えたりするものだ。」
2人の意見は互いに食い違うみたいだが僕には似てるように思う。
セリス様のように優しくに、ロイ様のように熱く扱うのも面白い。
まあさすがにエリンシア様のKINNNIKUやリーフ様の売るは勘弁願いたいが…
一通り意見を貰い帰ろうとしたら、ミカヤ様はアドバイスをくれた。
「魔法にも意思がある…同じように自然にも意思があるわ。」
「はい、今日いただいたアドバイスから学べました。」
「私からはこれだけ。風を知りたいなら風を感じなさい。」
「はい、ありがとうございました。」

カダインに帰ると僕はエクスカリバーを持って中庭に立つ。
空は闇に覆われ、風は冷たく僕を突き抜ける。
「今の風は…サカから来たのかな?」
あの時馬の上で感じた風と今の冷たい風は違う。
けどそれはいろんな世界を巡って変化しているのかもしれない。
サカから街へ、街から砂漠へ、砂漠からここへ旅をしている。
ならここからどこへ行くのだろうか?
僕はエクスカリバーを取り出してエクスカリバーに尋ねていた。

ある日、街に買い出しに出掛けると街中で山賊に女性が絡まれていた。
周りには人がいないので助けられるのは僕だけか…
僕はエクスカリバーを持って山賊に声をかけた。
「おい、やめろ!嫌がってるだろ!」
「何だ貴様は?魔導士ごときが俺達に逆らう気か?」
「そうだといったらどうするんだ?」
「はっ、ちょうどいい。格の違いを見せてやれ!」
山賊の掛け声で山賊の背後からダークマージが現れた。
ダークマージは僕に向かって魔導書を構え何かを唱える。
瞬間、僕に向かって風の塊が飛んできた。
「ウインド…か。」
「御名答。くくく…俺は風魔法を極めている。まだまだイケるぞ。」
再びウインドの魔導書を構えるダークマージ。
風魔法を極めた…か。そんなことを考えながら僕の身体は押されていく。
「どうした?かっこよく現れたのにずいぶん情けないな?」
ダークマージがそう言ってくる。けどそんなことはどうでもいい…
何か…何かが僕の頭で揃いそうな気がする。
またダークマージがウインドを唱えようとしている。
僕は、エクスカリバーをウインドに合わせて唱える。
思い描いたのは…サカの時に感じた風を突き抜けるイメージだった。

続く…