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Last-modified: 2012-09-01 (土) 13:45:35

345 :少女少年・前編:2010/08/12(木) 16:38:07 ID:2DtYi9Hp

セリス「ユリウス~~♪ 一緒に帰ろうよ~~♪」
ユリウス「うわっひっつくなバカッ//////」
今日もセリス君とユリウス君は仲良しさんです。
ですがその2人を物陰から見つめる少女が一人。
ユリア「…………っ」
無言でハンカチを噛み締めるユリアちゃんです。
ユリア「ユリウス兄様…いつもいつもっ…一体私のどこが兄様ごときに負けているというんですかっ…
    性別なんてどうにもならない部分で勝ち目が無いなんて悔しい…私が男の子だったら…」
美しい少女(?)のセリス君に想いを寄せるユリアちゃんは歯軋りして悔しがります。
その時ユリアちゃんは閃きました。
ユリア「そうよ…私が女の子だから百合の気の無いセリス様は振り向いてくれないんだわ…
    だったら男の子になればいいのよ! 既成事実が出来てから実はユリアでしたとカミングアウトすれば…
    その時はセリス様も私を受け入れてくれるはず!」

急いで家に帰ったユリアちゃんは鏡台の前に座るとさっそくメイクを始めます。
ユリア「まずは髪だけど…切っちゃったらまた伸ばすのが大変だし…とりあえず上げて纏めましょ。
    帽子に隠すって手もあるわね。体型は幸い(?)ぺたんこだからそちらを誤魔化す必要は無いし…orz」
いつもはスカート等の女の子らしいファッションを好むユリアちゃんですが、
この日はボーイッシュに纏めて見ました。
髪をラフに纏めてタンクトップとジーンズ、スニーカーを身に纏います。
男の子というよりはボーイッシュな女の子という感じですが、男だと言い張れば人の好いセリス君は多分信じてくれるでしょう。
ユリア「性別さえ問題なければ…私、ユリウス兄様なんかに負けません!
    …あ、口調も気をつけないと…俺…僕…どちらがいいかしら…?
    ああいや…いいかな…いいんじゃね? いいのかだぜ?…
    男の子の口調って難しい…」

準備が出来たら次は出会いのチャンスを作る事です。

346 :少女少年・前編:2010/08/12(木) 16:38:57 ID:2DtYi9Hp

ユリアちゃんはセリス君をストーキングしてみました。
上手くきっかけを作りたいものです。
その時おあつらえむきに変態集団ベルクローゼンがセリス君によってきました。
レイドリック「ぐふふ…これはなかなかの美少女じゃのう…」
ブラムセル「ほっほっほ近うよれ近うよれ。ワシお抱えの踊り子にしてやってもよいぞ」
ゲブ「ぶふふぅ…ワシらのアジトに閉じ込めてたっぷり可愛がってやるぞぉ」
セリス「なんだかよくわからないけど…人攫いは許さないよ!」
レイドリック「なんのなんのワシのロプトの剣に勝てると思うてか!」
セリス君は勇敢に銀の剣で戦いますが、ロプトの剣で能力を弱められてしまいます。
セリス君ピンチです!
ここでベルクローゼンをかっこよくボコボコにしてセリス君を助ければ最高の第一印象で出会いを果たせるでしょう。
ナーガ持ったユリアちゃんは何気に紋章町ベスト10に入る強者です。
ユリア「やめろお前等!」
勢いよく飛び出した瞬間…
レイドリック「あべし!」
ブラムセル「たわば!」
ゲブ「ひでぶ!」
変態たちが吹き飛んでいきます。

ユリア「あれ? 私…じゃなかった俺、まだ何もしてないのに…」
セリス「ふぇ?」

そこには拳を突き出した一人の猛者が立っていました。
どうやらこの人が変態を倒したようです。
男子校オスティアの学ランに学帽、ゲタを履いた姿はまさに昭和の番長です。漢のスタイルです。
ですが…整髪料で必死に固めてぽわぽわを誤魔化していますが…あのオレンジの髪はまさしく…

347 :少女少年・前編:2010/08/12(木) 16:39:39 ID:2DtYi9Hp

ユリア「ラナ!?」
ラナ「ラナ?誰だそれは…我はラナオウなり。この世紀末に覇を唱えん!」
セリス「ありがとうラナオウさん!凄いなぁ…僕もラナオウさんみたいな強い漢になりたいよ!」
ユリア「ちょ…ちょっとちょっと!?」
セリス「あ、さっき助けに入ってきてくれた人だね。ありがとうね」
内心は自力で解決したかったセリス君ですが感謝の心は忘れません。
ユリア「い…いいよ。俺…結局なんもしてねぇし…」
男っぽい口調を使おうとして無理に乱暴なしゃべり方をしてみます。
どうやら人を疑う事を知らない純粋なセリス君は目の前にいるのがユリアとラナだと気付いてないようです。

ヒソヒソ…
ユリア(ちょっとラナ…どういうつもりよ!?)
ラナ(そっちこそ抜け駆けは許さないわ!)
どうやらラナもユリアとまったく同じ作戦を考えていたようです。
どこかから男子校の制服まで調達してきて、いいところを完全に持っていってしまいました。

セリス「ねえ2人ともどうしたの?」
ラナ「なんでもないぞ」
ユリア「そーだそーだ気にするな」
セリス「そう? それにしても2人とも漢らしいなぁ。やっぱり人を助けてこその漢だよね!
    よければ僕とお友達になってよ!」
ラナ「フッ…そうまで言われてはやむをえん」
ユリア「もちろん喜んで!……ああいやいや…い…いいぜ…」
セリス「ありがとう、僕はセリス。よろしくね!」
ラナ「先ほども言ったがラナオウなり」
ユリア「わた…俺は…ああ…えーと…えーと…ユーリだ。よろしくたのむぜ…」
セリス「ラナオウにユーリだね!よろしくね!」

輝くような笑顔のセリスに二人はクラッときます。
そしてセリスから見えない背後で互いの背中を抓りあっていたのでした。

後編へ続くよ