28-457

Last-modified: 2012-09-01 (土) 14:08:20

457 :幼女の旗の下に:2010/08/18(水) 16:29:24 ID:98KmRYNO

217

4 ジャファルの携帯に電話する あいつならニノの居場所をつかんでるんじゃねえかな?

ライナス 「…そういや最近ジャファルの奴見かけないな…どら、アイツに聴いてみるか」

携帯を手に連絡を取ってみる。
出ない……
ライナス 「あんだ…出れないのか? しゃあねえな」
数度コールして出ないのを確認するとライナスはニノの部屋にたこ焼きを置いてメモを書き添えると部屋を出て行った。
メモには一言『ライナス兄ちゃんからの土産だ。あっためて食え』と書いて置いた。

ジャファル「……」
ポケットに入れた携帯が震えている。
常にマナーモードに設定されており、バイブレーションも最弱に設定してはあるが電源を切っておけばよかった。
万一ニノから電話があった時のため切らずにおいたのが裏目に出たかもしれない……

ここはトラキア地区某所……暗い部屋の一角、樽の中に身を潜めていた時に携帯が鳴った。
当然出れるはずもない。数度のコールの後携帯は止んだ。

ウルスラ 「…なにか…聞こえなかったかしら?」
ほんの僅かな振動だったのだが…四牙は伊達ではない。
ヴァイダ 「あん? ここの周りは子分どもが固めてる。ネズミ一匹入り込んでるはずぁないよ」
ウルスラ 「どうかしらね? ポリ崩れの子分の仕事が当てになるのかしら?」
ヴァイダ 「ケッ…言ってくれるじゃないか! ヒース! その辺を調べてみな!」
ヒース  「はい、警部!」
ヴァイダ 「その呼び方はよせってんだろ!」
ヒース  「す…すみません…クセで…」

男が部屋を調べ始める。
ジャファル(チッ……)

ヴァイダ 「報告はさっきまでので全部だよ。とっとと失せな!」
ウルスラ 「あら、まだ貴女の仕事は終わっていないもの。この件が片付くまでは特等席で見物を決め込ませてもらうわ。
      せいぜいソーニャ様を失望させないようにね?」
ヴァイダ 「ケッ…んなこたわかってるよ!あんたも見たろ。スラムでも裏街でも仕事は上手くいってる。
      後は戦争して捻り潰すだけさ。そいつが済んだら約束の件を忘れるんじゃないよってソーニャに伝えときな!」
ウルスラ 「一度追われた場所に帰りたいなんて物好きね…承ったわ」

ジャファル「……」
ヒースと呼ばれた男の足音が近づいてくる。
置かれた箱や樽を蹴倒し、中を改めている。
もう少し時間をかけて調査したかったが潮時だろう。そう判断しリターンリングをもって脱出した……

458 :助けて!名無しさん!:2010/08/18(水) 16:32:18 ID:98KmRYNO

218

トラキアのマフィアたちの会合は終わった。
日頃のいがみ合いは棚に上げ、牙との全面抗争に突入する事となる…
リフィス 「さて…そう段取りが組まれた以上俺も手下に準備させねぇとならねぇわけだが…」
ギース  「おめえんとこはどんくらい兵隊を出せるんだ?」
リフィス 「へへへ…うちんとこはギースさんみてぇにでかくないすからねぇ。15人がいいとこでさ」
バレンシア系のシンジケートのドン、ギースはリフィスとは比べ物にならないほどの大物だ。
砂漠地帯を跳梁跋扈し、海運でも違法品の取引や海賊行為で多大な利益を上げている。
ギース  「トラキアは紋章町の盗品ルートの要路だ。牙どもに荒らさせるわけにゃいかねぇ。
      …あん…? なんだこのガキ? おめえの小間使いか?」
リフィス 「そんなようなもんでさ。おいルー! 親分さんに挨拶しな!」      
リーフ  「ルー・ファリスです。リフィス親分のお世話になってやす」
ギース  「おう…んじゃあおめえらもしっかりやれや」

ドン達は順次部屋を出て行く。ほぼ人気が消え失せた頃にリーフとリフィスは部屋を出た。
軽く周囲を伺うが誰もいない…
リフィス 「……ぷっはぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~………」
緊張しきっていたのか一気に息を吐き出してしまった。元来彼はとても小心だ。顔色が悪い。
リーフ  「どうしやしたボス?」
リフィス 「もうからかわねぇでくれよ…誰もいねぇって…」
リーフ  「みたいだね」
リフィス 「んじゃあどうすんだ? この事態によ」
サラ   「そうね、どうしようかしら?」
リーフ  「うぎゃあっ!?」
リフィス 「のわあ!?」
サラ   「あ、そんなに驚く事ないじゃない」
リフィス 「いきなり背後から声をかけられりゃ驚くっつーの…一人で歩いてきたわけじゃねえよな?」
リーフ  「この街は女性や子供が一人で出歩ける街じゃないよ。サラなら平気だろうけどね」
サラ   「リワープよ。それよりどう動くのかしら?」
リーフ  「そうだね…まずは皆をあつめようか…リフィス、連絡を取ってくれる?」
リフィス 「りょーかい。まったく…流血沙汰だけはごめんだぜ…俺は荒事は苦手なんだ」
リーフ  「血の気の多い悪党ばっかだからねここは…いつも誰かが誰かを狙ってる。
      だけどさ…あまり暴れられるとトラキアの根底も潰れちゃうんだよね。
      僕はこの雑多で猥雑で下衆だらけで…それでもギラギラして活力のあるこの街がわりと気に入ってる。
      度を過ぎないぶんにはね」
リフィス 「肝に銘じておくよ。ボス」
サラ   「そして私はボスの危険な愛人…」
リーフ  「…幼女じゃ似合わないさ! そういうのはもっとこう…不二子さんみたいな
      ルパンダイブをかましたくなるナイスバディの…や…やめて僕が悪かったアッー!」

3人はトラキアの闇夜に消えていった……

459 :幼女の旗の下に:2010/08/18(水) 16:33:01 ID:98KmRYNO

219

翌日の午後、マンスターの駅に一人の紳士の姿があった。
周囲に幾人かのお供の姿があり、彼が貴族であることが伺える。
従者たちは懸命に主人を説得していた。
フィン  「どうかお考え直しください。単身で南に入るなど賛成できません。
      南トラキアがどれだけ治安の悪い土地かはご存知でしょうに」
キュアン 「トラバントとサシで話をしてくるだけさ。護衛なんて連れて行ってどうやって腹を割った話が出来る」
フィン  「…では…せめてこのフィンだけでもお連れください」
キュアン 「だから心配するなっちゅーに。俺にはゲイボルグがある。
      そこらのチンピラにやられると思うか?
      ちょっと行ってすぐ帰ってくるだけだって」
フィン  「ですが!」
キュアン 「あっちむいてほい!」
フィン  「ほい?」
思わず指差した方を向いてしまう。
その隙にキュアンは電車へと飛び乗った。調度発車の時間である。
フィン  「キュアン様!?」
キュアン 「政治家ちゅーのはフットワークが軽くないといかんぞー。じゃーな。明日には帰る」
従者A  「フィン様…いかがしますか?」
フィン  「や…やむをえん。次の電車は何時だ!?切符を買って来い!」
従者B  「はっ!」

フィンはキュアンを押し留めるつもりであったので入場券しか買ってなかったのだ。
駆け出した従者は切符の販売機を求めて改札を出る…そしてフィン達から見えなくなったのを確認すると…電話をはじめた…
従者B  「レイドリック様…急報です…ええ…キュアンが南トラキアに…はい……報酬の件は…」

460 :幼女の旗の下に:2010/08/18(水) 16:33:44 ID:98KmRYNO

220

トラキアで騒乱が起き…牙では四牙のうち3人がソーニャにハブにされ事態から置き去りにされている。
この状況をロイドもライナスも面白からず思っていた。
断片的な話はいくつか漏れ聞こえてくるのだが…
事務所に顔を出しても2人の表情は暗い。
エフラム 「お前等…なんかあったのか?」
ライナス 「いや…なんでもねぇよ」
エフラム 「そうか…最近はジャファルもあまり顔を見せん…会ったら事務所に顔を出すように言っておいてくれ」
ロイド  「わかった…」
ターナ  「……ねえ2人とも…もしかして牙の事で悩んでるんじゃないの?
      前にジャファルが言ってた…レイドリックがどうとかって件で…」
エフラム 「む…そうなのか?」
ロイド  「別件だ。今度の祭りの仕切りでちょっといろいろあってな」
ライナス 「そういうこった。顔に出しちまってわりいな」
ロイド  (この件に党を関わらせるわけにはいかねぇ…マスコミにでも掴まれたらイメージダウンもいいとこだ…)
カナス  「党首。今度の演説会の原稿を纏めて置きました。暗記をお願いします」
エフラム 「わかった。なに、自分で書いたもんだ。すぐ頭に入る」
ディーク 「おーいお客さんだぜ」
注目が客に集まる…ロイド達に向いていた意識は皆客人に傾いた。
ダーレン 「しばらくですな」
エフラム 「おおダーレン殿!」
ダーレン 「以前申し上げた通り、プリシラたんのため党の末席に加えていただきたい」
エフラム 「歓迎しますぞ。よく来てくださった!」
ターナ  (いままでどおりリキア民主党から出馬すればまず間違いなく議員を続投できるのに…
      男ってアホばっか…いや…ここが特殊なのよね…わかってるんだけど…)

461 :幼女の旗の下に:2010/08/18(水) 16:35:09 ID:98KmRYNO

221

そのプリシラはムシャクシャしてちゃぶ台をひっくり返していた。
このところAKJが進めていた新規会員の募集が捗らないのだ。
…というのもブラコンの妹の勧誘はすでに一段落している。
ブラコンでない妹を引きずり込むのは容易ではなかった。
プリシラ 「まったく…KINSHINの啓発活動が足りないようですね…
      ラケシス会長の妹さんまで断るなんて…素敵なリーゼントの兄がいながら
      あんな貧相な葉っぱのどこがいいんでしょうか…」
本気で理解できない…
その時プリシラの携帯にメールが入った。
プリシラ 「?」
ラウスの叔父様…ダーレンからだ。
なにかと便利なので利用させてもらってる相手だ。見るだけ見てみよう。

やっほ~プリシラたん(*^o^*)
ラウスのおじさんだよ~~ん♪

ワシね~プリシラたんを守るため前の党を辞めちゃいましたっテヘッ(^^ゞ
今はエフラム君の党に入っちゃったよ~~

それでねそれでね
ワシの移籍を記念してプリシラたんとデートしたいな~ナンチテ(#^.^#)

エレブの駅前でショッピングなんてどうかなっ?(><) ドキドキ

日曜の午後1時に駅で待ち合わせでどう?
よければお返事ちょうだいね~待ってるよっ♪

プリシラ 「…………はぁ…いいトシこいて…」
正直ウザい。
前も気を持たせて適当にあしらった覚えがあるが…

続く

1 OKの返事をだす …ムシャクシャしてますし…気晴らしに何か奢らせましょうか?
2 適当に断る    ぶっちゃけ面倒です。
3 これを利用する  デートをちらつかせて叔父様からエフラムさんの党内情勢でも引きだしますか…
              セリノスでの恨みは忘れていません