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Last-modified: 2012-09-01 (土) 01:52:32

84 :レンタルビデオ屋の憂鬱:2010/07/26(月) 15:16:40 ID:EKvyx9B6

午前中で大学の講義が終わった私はバイトに精を出していた。
今月飲みすぎて金がねぇ……
このままじゃーアパートの家賃もやべぇしちっとバイト増やさねーとなー。

私のバイト先はちっぽけなレンタルビデオ屋だ。
つっても今はDVDだからビデオ屋ってのは名ばかりなんだが小さいとこなので客もあんまこねーし、
シフトも一度に一人しか入らないのが気楽で気に入ってる。
人気のほとんど無い店内なら遠慮なくカウンターでタバコ吸えるしな。
マチュア「ぷは~~」
さっそく一服してると客が来た。ウゼーけどしゃあない。一応タバコは消す。
お、ありゃあKINNIKU姉さんじゃんか。
名前なんざ知らないけど毎回KINNIKUモノのDVDを借りてくんで私は内心そう呼んでる。
店の会員証に名前が載ってたはずだが、んなもんイチイチチェックするほど私はマメじゃないし。

そういやバアトルの新作入ってたな。相変わらず情報はやいなー。
脇目も振らずにバアトルコーナーに向かっていく。
後は多分オスティアムービー発売のマッスルアーマーズのイメージDVD、
「夏の太陽に蒸れる鎧」(監督リリーナ)を借りていくと見たね。
同社の「ゴンザレス万歳」(同じく)も借りてくかもしんない。
よし、当たったら自分にご褒美で晩酌にビール付けよう。

エリンシア「これと…これをお願いします」
マチュア「へい毎度」
うわ…予想がドンピシャリ…
エリンシア「ハァハァハァ…こ…これから脈動するKINNIKUがTV一杯一杯…ハァハァハァ」
鼻血零しながら帰っていった。
いっつもそうなんだよなーあの人。
床モップがけする私の身にもなって欲しいもんだ。

85 :レンタルビデオ屋の憂鬱:2010/07/26(月) 15:17:22 ID:EKvyx9B6

綺麗になったので休憩タイムだ。
休憩室に引っ込んでゴロゴロすることに決定。一応部屋からカウンターは見えるから客がくればわかるしな。
来ない方が楽でいいけど。しっかしビールが無いと塩辛だけ食っても味気ねぇ…今度ビールも持ち込もうかな?
あ、いけないいけない。それで金が無くなったんじゃんか。んなことしてたらバイト増やす意味ないって。
つーかこんな事してっから彼氏できないのか私は?
うるせー大きなお世話だ。

んな事してたら客が来たな。なんか今日は多いなー。
お、アレは私のアパートの上の階に住んでるヤツじゃんか。なんつったっけ…オルソン?
なんかいっつも朝早く出かけて夜遅く帰ってるのにこんな時間帯に見かけるなんて珍しいなー。
休みなのか?

何借りてくんだろと眺めてたら予想を裏切らずアダルトコーナーへ向かっていく。
ま、男なんてそんなもんだ。
…その時自動ドアが開く。おんや、もう一人お客さんだ。
この店じゃあ初めて見る顔だな。いかにもって感じの貴族のお嬢さんだ。
オルエン「イリオスー! やっと追いついたわ♪」
イリオス「のわああああああああっ!?」
オルエン「イリオスの家に向かってたら途中で見かけたから…慌てて追いかけてきちゃった」
…なんだあの野郎彼女いたのか…平民のくせして。
なーんて平民の私も思ってもーた。
いいじゃんそれくらい、彼氏いねー女子大生がこんなもん見せられちゃ気持ちもやさぐれるってもんよ。

オルエン「ところで…ここは何のお店なの?」
イリオス「こここここはだな。DVDを貸してくれる店なんだ。なんか見ようと思ってな」
さりげなくアダルトコーナーに向かってた足の向きを変えやがった。
エロDVD借りようとしてたなんて彼女にゃ知られたくないよね。
オルエン「そうなんだ。私そういうお店って初めて!それで何を借りに来たのかしら?」
イリオス「そ、それはな。何か映画で面白いのないかと思ってな!」
オルエン「…映画なら映画館を借りればいいと思うけど?」
もの珍しいのかキョロキョロしてる。てかさりげに凄い台詞が出たような…
あの平民にゃ釣り合わなさそうな貴族のご令嬢っぷりだなー。
焦った平民はお嬢様の手を引っ張って名作映画コーナーに連れてった。
いつまでもアダルトコーナーのそばにいられないわな。
結局平民は名作「パレスの休日」と「宝と共に去りぬ」を借りていった。
ま、エロDVDは次の機会だな。
つか一緒に見ようと喜んでるお嬢様を見てて思ったんだが、エロDVD借りるよかよほど幸せなのと違うか平民?

86 :レンタルビデオ屋の憂鬱:2010/07/26(月) 15:18:22 ID:EKvyx9B6

連中が帰った後はなんかやさぐれてタバコをふかしちまった。
マチュア「ちくしょーなんで彼氏できないのかなー。見てくれはそう悪くないと思うんだけど…
     やっぱ体格か? 自分より背の高い女は嫌なのか? あ~やってらんね~いーじゃんか背ー高くたってさ~」
なんてボヤいてるとまた客だ。
吸い終わるまで待ってて欲しいよまったく。

この日はやたら客の多い日だったな。
パイナップルが「101回目の隣接」を借りてったかと思えば、ちっこいポニテ娘が「座頭剣魔」
デコに変な模様付けたガキは「セリス2/1」
背の高いイケメンが「ロリータ(グラン歴776)」を借りてった時はがっくりきたね。
幼女がイケメンの心を引き付けて私が独りもんなんて世の中間違ってる。

さて…そろそろ店じまいの時間だ。支度をしてるとギリギリで客がきやがった。うぜぇ。
…ってありゃこの前の少年じゃんか。
帽子とグラサンつけてなにやってんだあのガキ?
リーフ「ハァハァ…前の店では年がバレて借りられなくなってしまった…今度は気をつけないと」
おーい、聞こえてるぞー。
…少年が精一杯背伸びして大人の世界を覗こうとしてんだな…
なんだか生暖かい視線を少年に向けてやる。
まったく迷わずリーフ少年はアダルトコーナーに入っていった。
どうすっかなぁ…適当に見逃してやってもいいがここは一つからかってやるか。
背後からいきなり声をかけてやる。
マチュア「君~ここは大人のコーナーだよ? 補導員としちゃーほうっておけないなぁ。学校どこ?
     家の電話番号は?」
リーフ「ぎゃあああああああああ!?出来心だったんです許してください!?
    第2次成長期の少年のほんの好奇心だったんです!!!!!!!」
…そこまでビビることないじゃん。

87 :レンタルビデオ屋の憂鬱:2010/07/26(月) 15:19:16 ID:EKvyx9B6

マチュア「あ~脅かしてわりぃ…私だよ私」
リーフ「ああっマチュアおねいさん!? お…おねいさんにこんな姿を見られるなんて…
    エロDVDを借りようとする浅ましい僕の姿を…これなんて羞恥プレイハァハァ…」
…ダメだコイツ…早くなんとかしないと…

だがリーフ少年は驚くほど立ち直りが早かったっつーか開き直ってる。
リーフ「優しいおねいさんなら僕がエロDVDを借りるのも見逃してくれるはず…
    ありがとうおねいさん…またデートしようよ!」
マチュア「うわー堂々としてんなー。ちっとは恥ずかしがれよ」
リーフ「中高生男子がエロに興味があるのは自然な事さ!なんも悪いことじゃないよ!」
マチュア「いや…そりゃそうだけどさ…私だってめんどくせーし貸してもいんだけど、
     後で店長にバレたら叱られんのよ」
リーフ「なんと…おねいさんに迷惑はかけられないよ。それじゃあ我慢するよ!
    ところでお店が終わったら時間ある?僕とトラキアの寂れた夜景を見ながらディナーでも…」
言いかけたところに吸ったタバコの煙を吹いてやった。
リーフ「ゲホゲホゲホッ!?」
マチュア「もう夜遅いっつの。マセた事言ってないで帰らないとだめだぞー」
リーフ「それじゃ残念だけどまた今度日中にデートしましょう!約束を楽しみにしてるよ!」
…ちょっと待て、いつ約束になった。
などと突っ込む間もなく少年は駆け去っていく。いや、たしかにこないだは楽しかったけどさ。
遊び友達ならともかくぶっちゃけアンタ、彼氏としてはこれっぱかしも好みじゃないんだけど。

駆け去る少年の後ろ姿を見送ってると…リーフ少年の足元に魔方陣が現れ…消えた。
よくわかんねーヤツだなー。おもしれーからいーけどさ。
おっといけない店じまい店じまい。

その晩は部屋で晩酌して…結局バイト増やした意味は無くなった。
チェッ…食費削るかー…タバコは一日一箱に抑えてるしこれ以上削れるとこねーぞ…
なんて考えても実行できないんだろーなぁ。また体格が上がるぞ……運動してるのに…

えーいちくしょー知らん。後のこたー後で考える。

そして…次のレベルアップ時には+1される体格のメーターを見る羽目になる私…orz
マジで彼氏無いまま大学時代が過ぎ去るかもしんねー……

終わり