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Last-modified: 2012-09-03 (月) 19:08:28

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1 OKの返事をだす …ムシャクシャしてますし…気晴らしに何か奢らせましょうか?

ダーレン 「…スーツ…よし…髪型…よし…サイフも持った…」
エリック 「父上…何やってるんすか?」
ダーレン 「今日はプリシラたんとデートなのだ~」
エリック 「…そりゃまた珍しい事もあったもので…つかあんたいいトシこいて…」
ダーレン 「だまらっしゃい! 人が人を好きになるのに年齢なぞ関係あるか!」
エリック 「世間体を考えろって言ってるんですよ…ラウス家の党首がロリコンなどとみっともないって言ってるんです!
      先ほども唐突にリキア党を抜けてきたそうじゃないですか。党首のウーゼル様が嘆いてましたよ!」
ダーレン 「いや原作でもワシらリキアを抜けておるし細かい事はいいんじゃよ。
      それより今日こそお前の新しいお母さんを連れて帰ってくるぞ~」
エリック 「ないないそれはない…てかあったらいやだ…何が悲しくて自分より年下の少女を母と呼ばねばならんですか…」

だが息子の声は浮かれた父には届かない。
ラウス候ダーレンは鼻歌など歌いながら幸せそうな笑顔で出かけていった…

プリシラ 「お待たせしました叔父様。遅れてごめんなさい…どんな服を来ていこうか迷ってしまいまして」
ダーレン 「おおプリシラたん! よくきてくれたね!気にしないでおくれ」

待ち合わせの場所に1時間早く来て待っていたダーレンに対しプリシラは30分ほど遅刻してきた。
ぶっちゃけ忘れていたのだがふとした拍子に思い出して出かけてきたのである。
もちろん迷った云々は嘘八百だ。

プリシラ (む~なんだってOKのメールなんぞ返しちゃったんでしょう…我ながら気紛れというか…
      やっぱりストレス溜まってると妙な事してしまうものかも知れませんね…)
だが日頃何かとプリシラはダーレンを利用している。
兄との強制的なデート時にラウス家保有の店を提供させたり
嘘泣きで泣き落とししてAKJに資金提供させたり…それを思えばたまには機嫌をとっておくべきかもしれない。
完璧といっていい笑顔を作ると可憐な深窓の姫君を演じて見せる。
…いや、演技ばかりではない。それもプリシラの一面ではある。

プリシラ 「さ、叔父様。今日はどこへエスコートしてくださいますか?」
ダーレン 「もちろんレディの望むままに」
鼻の下のばしてみっともない表情だが仕草そのものは貴族らしく洗練されていた。

104 :幼女の旗の下に:2010/08/23(月) 17:06:56 ID:u9h13PnK

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やって来た先は主に貴族や富裕層を相手にしている百貨店である。
プリシラはまったく遠慮せずにブランド物のバッグや服…宝石の類をねだり、ダーレンは全てに応じた。
機嫌を取っておくといいつこれだが、ダーレンが幸せそうなのでいいのかもしれない。
プリシラ 「まぁ…深い色のアメジストのイヤリング…シックなファッションに似合いそうです
ダーレン 「もちろん買ってあげるよプリシラたん♪ 君、支払いはカードで頼む」
マリナス 「かしこまりました。お届け先はどちらになりますでしょうか?」
ダーレン 「カルレオン伯爵家宛だ。よろしく頼むぞ」
マリナス 「はい、お買い上げありがとうございます」
プリシラ 「ありがとうございます叔父様」
     (美しく着飾って兄様に見せてあげましょう)
ダーレン 「はっはっはこれくらいかまわんよ」
     (プリシラたん…カワユス…)

こうしてわずか3時間でシグルドの年収以上の買い物が行われた。
リキアの名門ラウスのダーレンにとってはどうということもない。なんという格差社会。

さて百貨店での買い物も大体一段落した頃、
店を出ようという矢先にダーレンは見知った顔を見かけたので挨拶することにした。
ダーレン 「おやフリージ公。お買い物ですかな?」
レプトール「これはラウス候。ええまぁ…孫が同人誌につかう高級画材が入用ということでしてな」
ダーレン 「そ…それは…雅なご趣味のお孫さんですな…」
レプトール「はは……」
乾いた笑みを浮かべる老人の背には悲哀が漂っている。
ダーレン 「時に…あの事件は災難でしたな。怪我の具合はもうよろしいのですか?」
プリシラ 「……っ」
レプトール「ええまぁ…すっかり回復しましたわい…
      時にそちらのお嬢さんはどなたですかな?
      娘さんですかな?」
ダーレン 「こちらはカルレオン家のプリシラ嬢です」
     (やはり傍からは親子に見えるのか…年の差カップルの辛いところじゃ))
プリシラ 「………プリシラです…どうぞ御見知りおきを…」
     (…元はといえば…貴方がAKJと組む事に反対して親元老院な態度を取ったから!
      だからバーハラの力を充分に借りられずに今日のAKJの伸び悩みが…っ!
      あの襲撃が成功してれば…貴方がこの世にいなければ
      きっと新紋章にも兄を愛する妹の新キャラが登場したでしょうに!)
完全な思い込みと言いがかりであるが…
プリシラの脳内では完全にレプトールは兄妹愛の敵、悪の権化となっていた。

ダーレン 「……!?」
そしてそれは…どこか視線…表情にも出ていたのかも知れない。
いつもプリシラに萌えているダーレンはその微かな表情を読み取れる事ができた…
不団の観察力のたまものだろうか…
ダーレン (な…なんじゃ!? こんな雰囲気のプリシラたんは見たことないぞ?
      なんというか…いつもの愛らしいプリシラたんではなく…物凄い憎悪と殺意のようなものが…
      わ…ワシは夢を見ておるのか?)
呆然としたのはほんの1~2秒のことだったろうか…
プリシラ 「叔父様? どうかなさいましたか?」
ダーレン 「へっ!?」
レプトール「なにやらお疲れのようですな。それではこれで失礼しますぞ」
立ち去る老人の背中をプリシラは憎しみを込めて見つめていた…
ダーレン (い…いったいなんじゃろ…そういえばレプトール卿の事件はいまだ未解決だったな…
      政敵の仕業とか色々噂はあったが…ま…まさかプリシラたんが関わってたりは…
      いやいや…ワシのぷりちーなプリシラたんに限って…)

105 :幼女の旗の下に:2010/08/23(月) 17:07:37 ID:u9h13PnK

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それからしばらく2人は駅前を回った。
プリシラは適当にダーレンをあしらいつつ好きな物を買ってもらった。
ダーレン 「プリシラたん、次はどこに行きたい?」
さりげなく握ろうとした手をかわされてもめげることはない。
プリシラ (うざい…もう充分に機嫌は取りましたし欲しいものも買いましたし…この辺で理由をつけて…え…あれは?)

視界の端に入ったもの…それは…街を歩くレイヴァンとルセアだった。

プリシラ 「ぬわああ兄様!? ま…またあの女と…許せません!」
ダーレン 「ぷ…プリシラたん待って~~っ!?」
プリシラの指先から渾身のフィンブルが降り注ぐ。
レイヴァン「ぬおおおっ!?」
ルセア  「うわっプリシラ様!?」
プリシラ 「私の兄様になにさらすんですかこのドロボー猫!兄様も兄様です!
      兄でありながら妹以外の相手と…」
レイヴァン「いや!ただ歩いていただけだ!?」
ルセア  「プリシラ様、どうかお静まりを!」
ダーレン 「義兄さん!大好きなプリシラたんをワシにください!」
レイヴァン(是非やりたいよ…口に出して言ったら何するかわからんから言わんが…)
プリシラ 「……しっしっ!あっちお行きなさい!」
ルセア  「はぁ」
ダーレン (ぬぅ…この兄への執着…そういえばレプトール殿はバーハラ在籍時にAKJと何やらあったとか…
      調べてみる必要があるかも知れん…プリシラたんが過ちをおかそうとしてるならワシの愛で正しく導かないと…)

106 :幼女の旗の下に:2010/08/23(月) 17:08:19 ID:u9h13PnK

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黒い牙の屋敷の一室ではロイド、ライナス、ジャファルがブレンダン組長と会っていた。
もちろん話はこのところソーニャ派が行っているトラキア進出である。

ロイド  「親父…ソーニャが何をしてるかはわかってるだろ?」
ブレンダン「ワシにはなんの報告も来てはおらん…」
ロイド  「なら俺達から言ってやる。ジャファルの調査だ。間違いは無い。
      ソーニャはレイドリックと結びついてトラキアにシマを広げようとしてる」
ライナス 「兵隊を勝手に動かしてな!俺達の掟、カタギには手を出さないってのも平気で破っている!
      仁義もクソもあったもんじゃねぇ!」
ブレンダン「む…」
ロイド  「今じゃトラキアは抗争の嵐だ。毎日どこそこが襲われただの爆破されただの…
      血の気の多い連中同士が争ってやがる。ベルン署も本腰を入れて押さえ込みにかかってる」
ライナス 「このままソーニャに牙を好き勝手させていいのかよ!
      ウハイもラガルトも昔からの連中は皆今の牙がおかしくなっちまったって言ってるぜ!
      もうソーニャを始末しちまうべきじゃねぇのか!」
ブレンダン「ま…まぁ待て。わかったワシからソーニャに話を聞いてみる。
      だから早まった真似はよせ…」

ブレンダンの部屋を辞した三人は顔を突き合わせて語り合った。
三人とも思うところは一緒だ。

ライナス 「あてになると思うか?」
ロイド  「思わん」
ジャファル「……」
ロイド  「とにかく反ソーニャ派の幹部を集めて押さえにかからねぇとな…」

107 :幼女の旗の下に:2010/08/23(月) 17:09:51 ID:u9h13PnK

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トラキアの裏通り…うらぶれた酒場には本日貸し切りの札がかかっていた。
店内には数人の男女がたむろしている。

リフィス 「大体集まったみてぇだな」
デュー  「どうしたのさリフィスさん?」
リフィス 「わかってんだろ? ここんとこの抗争に対するために召集をかけたんだよ。
      こっからはかわるぜボス」
リーフ  「オーケイ、みんな耳の早い連中だから大体事情はわかってるよね?」
ヘザー  「まぁねぇ。今までどおりエレブに引っ込んでれば角も立たないのにねぇ」
サザ   「ミカヤは俺が守る!」
ジュリアン「その意気やよし…と言いたいけどミカヤさんはかかわりねぇだろうな。
      とっくに足洗った俺まで呼びつけやがって」
リーフ  「まぁまぁ、古巣の危機だと思ってさ」
リカード 「それで具体的にはどうすんの?
      話じゃマフィアがこぞって兵隊を集めてるそうだけど…オイラたちも合流すんの?」
リフィス 「トラキアでやってくには付き合いもあるからな。何人かは人手を出すさ」
リーフ  「うん、そこでなんだけどね…度を過ぎた連中はこの機会にベルン署にすっぱぬこうと思ってる」
パティ  「ここに来てなんだけどさ…下手な事言わないほうがいいよ?
      壁に耳アリ障子に目アリ…くわえて何人が信用できるかな?」
リーフ  「ふふふ、そうヘマはしないさ。その辺は信用できる目があるんでね」
サラ   「……」
リーフ  (信用…していいんだよね?)
サラ   (クスクス…スリリングなゲームよね…)
リーフ  (僕の思考読まないでよ…ってかテレパシー!?)

デイジー 「南北鉄道を張ってた子分から連絡だよ。北トラキアの議員が事態解決のために南に入るって。
      キュアンとかって人みたい」
リーフ  「そっか…キュアンさんも動きが早いな。だけど今のトラキアは…このエリアは歩き方を知らないと危険だ。
      護衛に行くべきかな…」
リフィス 「トラバントの貧民区でも連日牙の嫌がらせが酷くなってるらしいぜ」
サザ   「俺は…そっちを守りに行くべきと思う。それが俺達のやり方じゃないか?」
コーマ  「俺達は少人数だ…活動のリソースにゃ限度がある。
      他の連中と合流して牙との抗争をやんねぇとまずくねぇか?
      奴らを追い出した後、非協力的だったとか言われるとトラキアに住めなくなるぜ?」
リーフ  「そうだねぇそれじゃあ…」

続く

1 自分の案を採用する  尊敬するキュアンさんを守りに行こう!
2 サザ案を採用する   トラバントたちと協力して貧民街を守ろう!
3 コーマ案を採用する  他の組織と合同で牙と戦おう。
                この機会に悪党をベルン署にすっぱぬくチャンスかもしれないしね…