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Last-modified: 2012-09-03 (月) 19:14:47

130 :ミルラの一日:2010/08/25(水) 23:48:58 ID:Usg7XSb9

まだ家族の多数が寝ている時間に私はベッドから起き出す
理由は隣に住むお兄ちゃんの早朝のトレーニングについていくからだ
寝間着を脱いでトレーニング用のジャージに着替え、静かに部屋を出て、
まだ寝ている妹のチキやファ、ユリウスお兄ちゃんやニルスお兄ちゃん、
ユリアお姉ちゃん、ニニアンお姉ちゃんを起こさないように歩きながら居間へ向かう
そして居間に行くと既に起きているバヌトゥおじいちゃんがお茶を飲んでいた
「おお、ミルラおはよう。いつも頑張ってるのぉ」
「バヌトゥおじいちゃん、おはようございます」
いつものようにおじいちゃんと挨拶をして玄関へと向かう
玄関で運動靴を履いて庭へと向かう。いつもイドゥンお姉ちゃんがいるはずだ
庭ではいつだったかに貰ったゼラニウムに水をあげているイドゥンお姉ちゃんがいた
「おはようミルラ。気をつけて行くんですよ」
「おはようございますイドゥンお姉ちゃん。はい、エフラムがいるから大丈夫です」
イドゥンお姉ちゃんは毎日私のことを気遣ってくれる
そんなお姉ちゃんに見送られながら庭を通り抜け、門へと小走りで向かう
途中、デギンハンザーおじいちゃんが毎朝恒例の腕立て伏せをしていた
「おはようございますデギンハンザーおじいちゃん」
「ん、ミルラか。おはよう。お前も毎日頑張るな」
トレーニングも最初の頃は辛かったが慣れてしまえば辛くない
むしろ毎朝エフラムと一緒にいられるのだから楽しい
私はデギンハンザーおじいちゃんに挨拶をして門を出た
門を出るとエフラムが門のそばで待っていてくれた
「おはようございます、お兄ちゃん」
「ああ、おはようミルラ。では行くか」
「はい、よろしくお願いします」
最初の頃のエフラムは私に合わせたペースで走っていてくれた
けれどもそれではエフラムに迷惑だからとペースを戻してもらった
始めの頃はついていけずすぐにエフラムに置いていかれていた
けど少しずつエフラムのペースについていける時間が延びていき、
今ではきちんとエフラムのペースで走れるようになっていた
次の目標はエフラムと話しながら走れるぐらい余裕を持つことだ
残念ながら今はついていくので精一杯で、話す余裕がない

1時間で家の前まで戻ってくる。私は休憩しながらエフラムを観察する
走り終わった後、エフラムは槍の素振りをする
少し休んでから私はエフラムから簡単な槍の使い方を習う
「違う違う、槍は近づかれたおしまいだからこう使わないと」
エフラムは私に合わせて剣で相手をしてくれる。それでも強いけど
「そうだ、剣相手には近づかないで戦うようにするんだ」
エフラムによると私は少しずつ上達しているらしい。少し、嬉しかった

131 :ミルラの一日:2010/08/25(水) 23:49:44 ID:Usg7XSb9

30分ぐらいの訓練が終わり、エフラムと別れ家に帰る
門を抜け、庭を駆け、玄関で靴を脱ぎ、居間で起き出した家族に挨拶をし、風呂場へ行く
帰ってきたらシャワーを浴びてから朝食を食べるのだ
ふと、脱衣所にある大きな鏡で自分を見てみる
「最近…少し大きくなったかな?」
まあ実際今まで平原だったある部分は少しだけ丘になってる気がする
そんなことを考えながら急いでシャワーを浴び、再び着替える
着替えたら皆がいる居間に行き、仲良く朝食を食べる
ちなみに朝食中に迂闊なことを言ったユリウスお兄ちゃんが吹き飛んだりした

朝食を食べ終えたらチキ、ファと一緒に身支度をして学校へ行く
途中、エフラムとエイリークさんや金髪のおじちゃんが通学路で旗振りをしていた

学校に着いたら学年の違うチキやファと別れ教室に向かう
私はクラスにあまり知人はいない。マムクートであるから敬遠されがちなのである
数少ない知人といえるのがお兄ちゃん争奪戦のライバルのサラである
「あら、おはようミルラ」
「うっ…おはようです」
「今日はどうだったの?お兄様は?」
「…いつも通りです」
そんなたわいもない?会話をしていると先生が来る

1時間目は算数である。今日は分数の文章題が出た
『リーフ君はケーキを4人で分けました。しかし途中で5人増えたために
リーフ君のケーキを5人で分けました。リーフ君のケーキは最初の何分の何ですか?』
…どこかからコノヒトデナシーと聞こえてきた気がする。ちなみに答えは20分の1

2時間目は国語
これはまあありきたりな文章を読むだけで終わる

3、4時間目は体育
今日は男女合同のマラソン
クラスのがき大将がみんなに足を自慢して回っている
「いやよね。あんなやつリーフには勝てないのに」
サラが私に話し掛けてきた。けどリーフさんには誰も勝てないと思う…うん
「まあいつも兄様についていくミルラなら余裕よね。頑張ってね」

マラソンは私が断トツの1位でゴールしたのだった
がき大将が何か言っていたような気もしたが気にしない事にする
「はぁ…はぁ…やるわね…やっとゴールよ…疲れたわ」
サラがようやくゴールしたのは4時間目も終わりになる頃だった
「まったく…だんだん成長してるのね」
「…成長期ですから」
「くっ…なんだか悔しいわね」
そんな会話をしているとチャイムがなった。昼ご飯の時間だ

今日はイドゥンお姉ちゃん特製のサンドイッチだった
チキとファ、あとサラと一緒に楽しく話しながら食べたのであった

132 :ミルラの一日:2010/08/25(水) 23:50:29 ID:Usg7XSb9

教室に戻り清掃をしてから昼休みになった
「ねえ、一緒に読書でもしない?」
「…今日は何を読むんですか?」
サラが読書を誘ってくるということはまた何か企んでいるのだろう
「フフ…今日はこれよ」
『槍の使い方 初心者編』
「…これ、どこから見つけてきたんですか?」
「リーフの本棚の3段目、左から4冊目のところよ」
「それ…泥棒ってことですか?」
「違うわ、有効活用よ。どうする?いらないならアメリアさんに渡すけど」
「……お借りします」
アメリアさんに渡されるぐらいなら読もう…リーフさんごめんなさい
昼休みを読書で過ごしていると昼休み終了のチャイムが鳴った

5時間目は社会
紋章町の歴史を勉強していた時に事件は起きた
ちょうどマンフロイさんの子供狩りのことが範囲だったのが悪かった
サラはマンフロイさんの孫娘だ。当たり前だがサラはいい人だ…たぶん
マンフロイさんだって昔はともかく今はいい人になっている…きっと
けれどもクラスの中にはそういうことでサラを馬鹿にするやつがいるのだ
サラは軽くあしらっているのだがそういう態度が気に入らないのだろうか、
クラスのがき大将がサラに殴り掛かろうとしたのだった
これは先生が止めたことでことなきを得たが、放課後にまた揉めるのは必然だろう

放課後、サラに本を返そうと近づくとあのがき大将が取り巻きを連れてやってきた
「おい、サラ!てめームカつくんだよ!」
「そう…それは大変ね。牛乳飲んだら?」
何で火に油を注ぐようなことをするんだろう…
「くっ…サラ!俺と勝負だ!」
「いいわよ」
「ただし、魔法は使用するなよ」
「…セイジに魔法を使わせないなんて卑怯です」
あまりにも卑怯なのでつい口走ってしまった
「ならミルラ、お前が代わりにやるか?竜にはなるなよ」
「…ちょっと!それこそ卑怯じゃn…」
「…わかりました。やりましょう」
「はっ、じゃあ校庭にいるからな」
がき大将達はニヤニヤしながら校庭へと出ていった
「ちょっとミルラ!あなたどうするの!?」
「…エフラムから習った槍があります」
「無茶よ!まだ習ってから間もないのよ!?」
「…きっと大丈夫です。いざとなったらライブをお願いします」
生兵法は怪我の元と本で読んだけど相手も素人だから大丈夫なはず…
私はそう思って、制止するサラに謝りながら校庭へと向かった

133 :ミルラの一日:2010/08/25(水) 23:51:11 ID:Usg7XSb9

校庭ではがき大将が訓練用の剣を持って待っていた
「よく来たな!お前は好きな武器を使えよ!」
「…なら槍をください」
「わかった、ほらよ」
そういって渡されたのは訓練用の槍。エフラムと訓練する時のとほぼ同じやつだ
「好きな時に攻撃していいぜ。こっちで合わせるからな」
余裕を見せているのはマムクートが槍を使えるとは思わないのだろう
「わかりました…では行きます」
初手はエフラムに習った相手の胴体を狙う突きをする
「なっ!?」
まさか私がきちんと槍を使えるとは思わなかったのだろう、
がき大将は驚いて一瞬固まり、避けきれずに突きを喰らう
「ふっ…どうやら手加減しないでいいようだな!喰らえ!」
がき大将が剣を大きく構え接近してくる…こういう時は…
「な、逃げるな!正々堂々と戦え!いたっ!?」
私は距離を保ちながらどんどんと槍で突きまくる
5分が過ぎただろうか、がき大将が涙目になりながら逃げ出した
「…やるわね」
「…エフラムに今日は剣との戦い方をならったです」
「…なるほど。ありがとう、すっきりしたわ」
「…元々あの人は差別とかをしてるから嫌いなだけです」
「そう…せっかくだからお礼をしたいわね。これから遊ばない?」
「いいんですか?」
「ええ、なら一旦帰りましょうか」
そういうとサラはワープの杖で私と一緒に私の家にワープしたのだった

イドゥンお姉ちゃんに遊ぶ旨を伝え、私はサラと一緒に町に行く
「…ところで何をするんですか?」
「フフ、兄様に振り向いてもらうための作戦ね」
なんだかサラさんがちょっと怖い…と思っていたらサラが止まる。着いたようです
着いた先にあったのは
「…デパートですか?」
「そう。ここ、うちのおじいちゃんが経営してるのよ」
ここって普段安売りとかしている時にイドゥンお姉ちゃんがよく来てるデパートだ
「さ、4Fの服屋に行きましょう」
「え…私お金そんなにないです」
「心配しないで、私のお礼だから…5割引よ」
…お金足りるだろうか…不安になってきました

服屋でサラと一緒に服を選ぶ
「フフ…これなら兄様も…」
…正直サラや私には今サラが着ている服は似合わない気がする
「あら?そんな控えめなやつでいいの?」
「…サラの服は正直恥ずかしいです」
「あら、そう。まあいいわ」

デパートで新しい服を一着買って私は家へと帰ろうとした
その帰り道で知らない人に声をかけられた
「お嬢ちゃんがミルラちゃんだね?」
「……知らない人とは話してはいけないと言われてます」

134 :ミルラの一日:2010/08/25(水) 23:51:53 ID:Usg7XSb9

「まあまあ、うちの弟が世話になったようだからな。俺とも勝負しようぜ」
…この人、あのがき大将に似てます…兄ですか
「ほらよ、この槍を使いな」
投げ付けられたのは銀の槍…でもこれは…
「…私には使えません」
「そうか?ならこれで戦うかい?」
次に渡されたのは細身の槍だ。まあこれなら何とか…
「じゃあ俺はこれを使うかな」
そういって取り出したのは…ランスバスター…
「…む、無理です…そんなの卑怯です」
「ああん?今更何言ってるんだ!?まあ謝れば許してやるよ」
「ッ………ご、ごめn」
「なら俺が代わりにやろう」
謝りかけた時、背後から誰かが来た。その声は…
「お、お兄ちゃん…」
「ああん?お前がこの子の兄貴か?いいぜ、やろうか?」
「あ、お兄ちゃん…私…」
「ミルラ、下がっていろ」
いろいろ話したかったがエフラムは戦うつもりである
こうなったらエフラムの言うとおりにして離れていよう
そして離れてから10秒後、がき大将の兄は悲鳴をあげていたのだった

「ミルラ…大丈夫だから…」
「…私のせいでお兄ちゃんが怪我しちゃった…です」
戻ってきたエフラムは頬から血を流していた。少し切ったらしい
私は杖が使えないからすぐには治せないので、持っていた絆創膏を貼っていた
「それで、何であんなやつに絡まれていたんだ?」
「…それは…カクカクシカジカ…です」
「そうか………すまん、先に謝っておく」
「え?」
そう呟いた瞬間、私の頬っぺたに痛みが走る…平手打ちされたのだ
「まったく…あれほど無茶をするなと教えたのに」
「ごめんなさい…」
「だがサラを守ろうとしたのは立派だ…偉かったな」
そう言うと今度はエフラムに撫でられた
「さ、帰るか。そろそろ日が落ちるしな」
「…はい」

家に帰るとイドゥンお姉ちゃんが夕飯を作っていた
「…ただいま」
「お帰りなさい。楽しかった?」
「はい…楽しかったです」
イドゥンお姉ちゃんと軽く会話して自分の部屋に戻る
買ってきた服を着て、誰かがいるであろう居間に行く
居間ではニニアンお姉ちゃんがニルスお兄ちゃんと会話していた
「あら、お帰りミルラ。その服は買ったの?」
「お帰りミルラ。似合ってるよ」
「ただいまです。似合ってますか?」
「うん、似合ってるよ。ミルラらしくていいと思うな」
「ありがとうございます」
よし、今度の休みはこれでエフラムに会いに行こう

みんなで夕飯を食べ、食べ終えたら宿題を終わらせ、チキやファと風呂に入る
風呂からあがったら寝る時間である
「…おやすみなさい」
そう呟いて私は目をつぶったのだった
終わり