29-289

Last-modified: 2012-09-03 (月) 19:40:44

289 :幼女の旗の下に:2010/09/03(金) 16:53:22 ID:YD2Oq/gt

232

1 カリルの酒場     何度か入った事があるがいい店だな

シグルド 「かんぱーい!」

「「「かんぱーい!!!」」」
ジョッキを合わせる音が響き渡る。
やっぱり一杯目はビールに限る。
アレク  「……ぷっは~~~!やっぱ奢りで飲むビールは美味い!」
ノイッシュ「コラアレク!」
シグルド 「はっはっは構わないぞ~無礼講だ」
アレク  「そうだぞノイッシュ。で…無礼ついでに聞いちゃいましょうかね。課長はディアドラさんとは最近どうスか?
      俺の見立てじゃかなり上手く行ってるように見えるんスけど?」
シグルド 「おーい。私はまだ正式に課長じゃないぞ」
アレク  「もうすぐじゃないですか。それよかディアドラさんとの話を聞かせてくださいよ~」
アーダン 「シグルド様…俺たちは童貞仲間ですよね?俺は信じてますよ?」
シグルド 「もちろんまだ童貞だとも。心配するなアーダンはっはっは!
      …日取りが決まってからと思ったが…そうだな。お前達には報告しとくか。
      課長になったらディアドラのご両親の許可をもらいに行く。ディアドラは承知してくれてる」
アレク  「おお~ゴール寸前っすね」
ノイッシュ「おめでとうございますシグルド様」
アーダン 「今まで何人の仲間を見送ってきただろう…もうすぐお別れなんですね…ううぅぅぅぅぅ」
シグルド 「なに、お前の魅力がわかる人に今に出会えるさ。ほら飲めアーダン…おーいビール追加」

カリル  「あいよ!」

シグルド 「そういえばお前達はその辺りどうなんだ?誰かいい相手はいるのか?」
人間自分の事が落ち着くと人の世話を焼きたくなるものである。
心に余裕の出たシグルドは部下たちの恋愛相談に乗り出した。

アレク  「俺たちですか? 俺は今シルヴィアって娘に声かけてるんスけどなかなか色よい返事くれないんですよね~」
シグルド 「ほうどうしてだ?」
アレク  「その娘シレジアのレヴィンってヤツに夢中でしてね。
      だけどまぁ二股かけてるようなタチの悪い野郎ですしそのうち幻滅してこっちになびくと踏んでるんすけどね」
シグルド 「そうか…それはいけないな。そんな不実な男に負けてはいかんぞ!気合を入れていけ!」
アレク  「うっす!」

290 :幼女の旗の下に:2010/09/03(金) 16:54:14 ID:YD2Oq/gt

233

こういう話の流れになると気まずいのはノイッシュとアーダンである。
この2人浮いた話が何も無い。
ノイッシュはマジメ一辺倒で仕事ばかりに精を出してきたしアーダンは…察してほしい。

シグルド 「それでお前達はどうだ?」
ノイッシュ「あー…ええと…まだ私は仕事の方が楽しくてですね。あいにくそういう話はまだ…」
シグルド 「それはいかんぞ!気が付いたら適齢期を大幅に過ぎてるなんて事になりかねないんだ!
      ディアドラがいたにも関わらずそうなりかけてた私が言うんだから間違いない!」
ノイッシュ(…なんて返せばいいんだろう…まったくその通りですなんて言い難い…)
アーダン 「おろろ~~ん…俺は色々アプローチはやってんですよ…会社の若い娘たちにね…
      でも結局アーダンさんはいい人ですね…で終わっちゃうんですよぉぉおおおおおお!!!」
シグルド 「……ま…まぁそう泣くな…きっとお前にもいい相手が見つかるさ…」

そこに摘みを運んできたカリルが声をかけてきた。
カリル  「…うちの常連にもあんたみたいな理由でよく泣く連中がいるけどねぇ…
      誰かに紹介してもらうってわけにはいかないのかい?
      そういや課長さんとこは妹さんが沢山いるって言うじゃないか。だれか紹介してやったらどうだい?」
シグルド 「むむ…それはそうだが…ん~~」
     (アーダンは人となりのいいヤツだし確かに安心できるが…結局決めるのは当人たちだからな…
      私としてはセリカの彼氏になってくれたら安心なんだがセリカの奴絶対承知しないだろうな…)

この飲み会はいつの間にかアーダンを励ます会に変わっていった。

291 :幼女の旗の下に:2010/09/03(金) 16:55:06 ID:YD2Oq/gt

234

トラキアの混乱が収束に向かう今、それを望まない者たちは最後のあがきを見せようとしていた。
ウルスラ 「まったく酷い有様ね…自信満々に大見得を切ったと思えばこの始末…
      どう責任を取るつもりかしら?」
ヴァイダ 「ぐっ…」
牙とトラキアマフィアとの抗争はベルン署の素早い対応によって鎮圧されつつある。
牙ともつながりのあったナーシェンが健在なら捜査の撹乱妨害もできただろうが…

ヒース  「市街に展開した手勢はほとんど逮捕されてしまいました…マフィアにも相当の痛手を与えたとは思いますが…」
ウルスラ 「これではこのシマを取る事は出来ないわね。ソーニャ様にはありのままに報告させてもらうわ」
ヴァイダ 「待て!まだだ!ここまでは痛みわけだ!連中も相当幹部級をしょっぴかれてる!
      残った連中で大物はギースだけだ!あとは義賊だなんだとほざいてるお人好しどもで取るにたりねぇ!
      ギースのタマを取ればこのシマは思いのままなんだ!」
ウルスラ 「まだ居場所も特定できないのに?」
ヴァイダ 「なんとかするよ!ヒース!ついてきな!」
ヒース  「はい!」

二騎の飛竜がトラキアの空に舞った。

ウルスラ 「愚かね…せいぜいそちらに警察の耳目を集めるがいいわ。
      トラキア取りはついで…無理なら無理で構わないのよ。
      すでに本来の目的に王手をかけた。後はゆっくりと連絡を待ちましょう…」

リフィス団…いや緑葉のアジト…うらぶれた酒場でリーフは仲間達の連絡を受けていた。
ジュリアン『大体タチの悪い連中は片付いてきてる。あとはギースだけだ』
リーフ  「そう…それじゃ一旦ここで落ち合おう。現場に長居して警察からいらない疑いを受けることはないさ。
      僕らだって真っ白なわけじゃないんだから」
ジュリアン『わかった』

受話器を下ろす。
今だ連絡の無いのはキュアンの護衛担当のチャドとキャスだけだ。
定時連絡の時間をすでに30分はオーバーしていた。
リーフ  「…これは何かあったかな…」
周囲はすでにベルン署の封鎖線が何重にも張られている。
徒歩で駅方面に向かうのは難しい。
リーフ  「サラ…すまないがここを頼めるかい?
      ボクをトラキア駅にワープで送って欲しい」
サラ   「わかったわ。何かあったらレスキューするわね」
リーフ  「うん頼むよ。皆が戻ってきたらリフィスの連絡を待って動いてね」

リーフの周囲を魔方陣が包み込んだ…

292 :幼女の旗の下に:2010/09/03(金) 16:55:54 ID:YD2Oq/gt

235

それより20分程前……

この日のトラキア駅近辺は激しい抗争と警察の封鎖の影響もあってほとんど人通りは無かった。
裏路地ともなれば尚更である。
キュアン 「まったく入り組んだ道だな…トラバントの家は…こっちか?」
地図を片手に脚を止める。
その時であった。
背後に気配を感じたのだ。
キュアン 「!?」
とっさに振り向いて構えたのは聖戦士の実力だろう。
そこに立っていたのは深手を負った少年だった。
チャド  「に……げろ……」
その言葉を最後に少年は力を失って崩れ落ちる。
いや…少年だけではない。
少し先にはオレンジの髪をした少女がうつ伏せに倒れている。
キュアン 「おいどうした!大丈夫か!?」

その瞬間であった。頭上にかすかな風を感じたのは…
キュアン 「っ」
とっさにゲイボルグで頭上を守る。
激しい金属音が響き渡り、一撃目で仕損じたことを悟った刺客はバックステップして剣を構えなおした。
ガルザス 「……」
キュアン 「何者だ!レンスターの聖戦士と知って挑んでくるのか!?」
ガルザス 「…答えるつもりはない」
キュアン 「大方見当がつくぞ…レイドリック辺りがこの機会に俺を消すつもりだろう?」
ガルザス 「………」
キュアン 「そう簡単に俺を倒せると思うなよ?死ね!ハイエナめ!」
ノヴァの聖光が輝きゲイボルグの矛先が空気を裂いた。

293 :幼女の旗の下に:2010/09/03(金) 16:56:39 ID:YD2Oq/gt

236

党の事務所では今日も遅くまで仕事が行われている。
政策決定権の無い野党といえども色んな政策を実現するための調査や与党との折衝などいろいろあるのだ。

エフラム 「エレブ地区の育児休暇の取得率はどうなってますか?」
ダーレン 「よくはありませんな。各企業に調査してみたところ2割というところです」
エフラム 「ふむ…では早急に企業への育児休暇取得者向け手当ての国としての支援の要綱を作って政府に申し入れをせねば…
      野党としてもできることはしないとな…カナス手伝ってくれ」
カナス  「わかりました党首」
エフラム 「オグマ、ロイド。要綱ができたら議員のお前達から提出してもらいたい」
オグマ  「ああ任せろ」
ロイド  「……」
エフラム 「ロイド?」
ロイド  「あ? ああすまないなんだ?」
ターナ  「疲れてるんじゃないの?…あなただけじゃない…ライナスやジャファルもそんな顔が増えた気がするけど…」
エフラム 「それはいかんな。Sドリンク飲むか?」
ロイド  「すまねぇな。もらっとく。ちょっと疲れが出ただけさ。コレを飲めばすぐ元気になるぜ」
ターナ  (エフラム…ちょっと)
エフラム 「ん?」

袖を引かれてエフラムは廊下に出た。なにやら話しにくいことだろうか?
ターナ  「ねぇ…最近ロイド達の様子がおかしくない?」
エフラム 「そうか?」
ターナ  「やっぱり気付いてなかったのね…今みたいにぼーっとしてたり…
      ジャファルが牙で何かあった…なんて報告をサラに上げた事もあるし…きっと悩みがあると思うのよ」
エフラム 「同志たちの悩みとあれば放ってはおけんな。さっそく相談に乗ろう」
ターナ  「多分…直接聞いてもなんでもないって言う気がするのよね…なにか難しい問題の気がするのよ。
      家族とか…身内とか…」
エフラム 「どういう事だ?」
ターナ  「ん~~なんて言ったらいいのか私もわからないんだけど…牙って…ぶっちゃけヤクザでしょ?
      それで何かあったんじゃないかって思うのよ」
エフラム 「む…考えた事も無かったな」
ターナ  (こんな調子だから心配になるのよね…それがエフラムのいいとこなんだけど)

エフラム 「とにかく捨て置けん。どうにか話を聞いてみないとな」

続く

1 ロイドに話を聞く   遠慮はいらん!包み隠さず俺に話してみろ!
2 ライナスに話を聞く  ライナスも遠慮するな!俺が相談に乗る!
3 ジャファルに話を聞く …あいつはいない事が多いな…電話してみるか
4 家庭訪問する     抜き打ちで牙の屋敷を訪ねてみよう。なにか判るかも知れん
5 ヘクトルに相談する  そういえばアイツはよくライナスと喧嘩してたな。なんか知ってるかもしれん